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2022年07月25日 10:10 更新

ひじきの食べ過ぎのリスクは?ヒ素の摂り過ぎを防ぐ適量と食べ方を解説【管理栄養士監修】

海藻の一種であるひじきは、ひじき煮など和食のおかずには欠かせない食材です。栄養も豊富で食生活に取り入れたい食材の一つですが、ひじきばかり食べ過ぎてしまうと心配なこともあります。どのようなリスクがあるのか確認しましょう。また、ひじきの栄養のメリットもお伝えします。

ひじきの食べ過ぎによるリスクは?

和食のおかずに頻繁に用いられるひじきですが、食べ過ぎると心配となるリスクがあります。

ひじきの煮物

ヒ素の摂り過ぎになる可能性

ひじきは毒性のある無機ヒ素を含むため、食べ過ぎには注意が必要です。無機ヒ素を短期間に大量摂取した場合には下痢・嘔吐などの中毒症状が出現し、継続的に大量摂取した場合には皮膚症状やがんの心配があります[*1]。また、特に妊娠中の女性は影響を受けやすい可能性があるとも言われます。

その一方で、ヒ素は自然界に広く分布する元素の1つであるため、私たちは日常的に食品や飲料水からヒ素を摂取しています。特に日本ではひじき以外に米(特に玄米)や農産物からも摂取されていると考えられます。

しかしながら、現時点で食品を通じたヒ素による明らかな健康被害は報告されていません。このことから、偏りのない食生活でさまざまな食品から栄養を摂ることを心がけていれば、ヒ素の過剰摂取のリスクを心配する必要はないでしょう。

腹痛や下痢になる可能性

ひじきには食物繊維が豊富に含まれていますが、食物繊維を摂りすぎることで排便のリズムが乱れ、場合によっては腹痛を起こしたり、下痢や便秘になることも考えられます。ひじきだけでなく、他の食品から摂取している食物繊維の量や水分摂取量などにもよるため一概には言えませんが、注意するとよいでしょう。

調理法によっては塩分や油の摂り過ぎに

ひじき自体の摂り過ぎのリスクだけでなく、食べ方によってはほかの食品の摂り過ぎが心配となることもあります。ひじきは煮物にして食べることが多いですよね。ひじき煮が大好きで、そればかり食べてしまうと、調味料の塩分や炒め油を多く摂ることにつながります。

食生活にひじきを取り入れるメリット

ひじきご飯

食べ過ぎるとヒ素などの影響が気になるひじきですが、一方で嬉しい栄養素も含んでいます。ひじきを食生活に取り入れるメリットについても見ていきましょう。

摂りにくい水溶性食物繊維が豊富

食物繊維を摂り過ぎるデメリットをお伝えしましたが、普通にひじきを摂取する分には、排便をスムーズにするなどの食物繊維のメリットを期待できるでしょう。

ゆでたひじきは100gあたり3.7gの食物繊維が含まれています[*2]。これはだいたい葉物野菜と同じくらいです。

食物繊維には水に溶けない不溶性のものと、水に溶ける水溶性のものがありますが、ひじきなどの海藻類は、アルギン酸などの水溶性食物繊維が多いのも特徴です[*2,3]。水溶性食物繊維は摂りにくいと言われているので、ひじきなどを適宜、食生活に取り入れることでうまく摂取できるとよいでしょう。

カルシウムが豊富

カルシウムは不足しがちなため、子どもから高齢者まであらゆる年齢層の人が意識して摂りたい栄養素です。ひじきはカルシウムが豊富な食べ物であり、同じ重さでみると、ゆでたひじきと牛乳にはほぼ同じくらいの量が含まれています[*2]。ひじきのおかずをメニューに入れると、カルシウム補給にもなりますね。

鉄分は補給できる?

干しひじき

ひじきで補給できる栄養素として、「鉄分」をイメージされる方も多いのではないでしょうか?

私たちが普段料理に使うひじきは「干しひじき」と呼ばれるもので、収穫したひじきをゆでて乾燥させたものです。そのまま乾燥状態で売られているものや、ゆで調理されたものが販売されています。

干しひじきを製造する際のゆで釜が鉄製であった場合には、ゆでひじき100gに2.7mgの鉄分を含みますが、近年はステンレス釜で製造されることが多く、その場合には100gに0.3mgしか含まれません[*2]。昔ながらの製法で製造された商品には「鉄釜で炊きました」などと表示されている場合があるので、そのようなものを選ぶと鉄分を補給できるかもしれません。

ひじきは1日にどれくらいまで?

栄養も豊富なひじきは、バランスの良い食事の中で取り入れていきたいですが、1日どのくらいを目安にするとよいのでしょうか?

頻度は数日~1週間に1回くらい

ヒ素による健康被害が出る可能性があるヒ素摂取量は、最も低い濃度で4.0μg/kg体重/日と言われています。これに対して、実際に日本人が摂取しているヒ素の量はおよそ0.754μg/kg体重/日です[*4]。食べ物を原因とするヒ素の健康被害はこれまでにないことから、過剰な心配はいらないと言えますが、ひじきを用いたおかずを毎日大量に食べるなどといったような極端な食べ方は避けるべきでしょう。

食品安全委員会は「特定の食品に偏らず、様々な食品を摂取するように」としていることから[*4]、ひじきは数日〜1週間に1食程度の頻度で食べるのがよいですね。

1日に食べる量はゆでたもので50g程度

ひじきの小鉢

日本人の食事バランスガイドでは野菜・海藻などの副菜の摂取目安量は1日350g程度とされていますが[*5]、ひじき以外の海藻や野菜類も一緒にバランス良く摂取することが望まれるので、ひじきを食べる日の量としては、ゆでたひじきで50gくらいが、バランスとしてちょうどよいでしょう。

ひじきで摂れるカルシウムや食物繊維は小松菜などの葉物野菜でも摂取することができます。また、にんじんなどの緑黄色野菜はひじきにあまり含まれないβ-カロテンなどのビタミン類も多く含まれていますよ。

ヒ素を減らす調理方法

ひじきに含まれるヒ素が心配な場合には、調理の下処理を工夫しましょう。乾燥ひじきを戻す場合には、戻し汁を捨てることで50〜80%ヒ素を低減することができます[*1]。

まとめ

ひじきは昔から和食おかずの定番として親しまれており、栄養面でのメリットもありますが、ひじきばかりを極端に摂り過ぎてしまうと、心配なこともあります。ひじきも適度に食生活に取り入れつつ、その他の食品を摂ることも考えてみてくださいね。

(文:奥野由 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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