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2022年06月10日 11:41 更新

コロナ禍での子育てスタート、誰に頼る? どう乗り越える? #渡邊大地の令和的ワーパパ道 Vol.31

『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップをテーマにした著書が話題の渡邊大地さんによる新連載! 令和における新たなワーパパ像を、読者のみなさんとともに考えます。

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保育園年長組の娘が通う保育園では、今年は「お泊り保育なし」と決定しました。
コロナ禍ですから、仕方がないことです。

でも、保育士さんってさすがですよね。
お泊り保育の代わりに、何か園児に自信を付けさせる試みができないかと考えてくれています。今のところ、「みんなでお買い物に行きたい」という計画を練ってくださっているそうです。

保育園の帰りに娘がそんな話をしてくれたので、「よかったね~、楽しそうだね~」と話しましたが……娘の言い振りがスッキリしません。
「どうしたの?」と聞くと、「買い物するなら“うーばーいーつ”でよくない?」と言われました。

現代っ子か。

皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!

退院したら、どう過ごす?

前回、コロナ禍の立ち合い出産事情を紹介しました。
パパの出入りが制限されている産院もあるなかで、ママや赤ちゃんが産院にいる間、パパはどう過ごす? ということについての話でした。

今回は、その後の話。
退院したら、どうなるの? というところですね。

産後の生活は、おおまかに次の3パターンにわかれると思います。

●両親などのサポートを受ける(里帰り出産、自宅に両親に来てもらう)
●行政や民間の産後ケア施設・産後ヘルパーを利用する
●自宅(夫婦の家)で、夫婦だけで乗り切る

もちろん、親族の助けも借りつつ、産後ヘルパーも利用する、というハイブリッドなご家庭もあるでしょう。
今回は、そんな産後の過ごし方についてアドバイスをしたいと思います!

家族に手伝ってもらう前に知っておきたい3箇条

まず、里帰りするかしないかに関わらず、両親や義理の親、姉妹など身内のサポートをお願いする場合に気を付けたいことを書いておきますね。なお、お手伝いをしてくれる親族を、この業界では「ホスト」と呼ぶことがあるので、ぼくもそのように書きますね。

直前になってサポートができなくなる場合もある

統計があるわけではないので、あくまでもぼくの経験でのお話しです。
うちのように産後ヘルパーの会社をしていると、産前産後のご家族が産後ヘルパーを利用するに至る理由はさまざまあるんだな~、と思い知ります。

「里帰り予定だったんですが、出産直前に母が転んで骨折をしてしまい、里帰りができなくなりました」
「実母がお手伝いに来てくれる予定だったんですが、追突事故に遭ってしまい、それどころではなくなってしまいました」

このような「両親のケガなどで予定が狂ったために、急遽産後ヘルパーに来てほしい」という問い合わせは、年に何件もあります。「縁起悪いこと言わないでよ」と怒られそうですが、ぼくはこういうのってジンクスみたいなものだと思っています。ぜひ出産直前には、ホスト家庭も身の回りに十分気を付けてもらいたいものです。

もちろん、ケガばかりではなく、「急に実母の復職が決まった」「妹も同時期に出産して里帰りすることになり、あとに出産した自分が譲ることになった」というケースもあります。
こうなってしまうと、サポート計画を一から考え直すことになり、結果的に誰にも頼らずに自力で過ごすことになる、という可能性もあることを頭の片隅に置いておいてください。

家族は「産後ケアのプロ」ではない

産後ヘルパーのお問い合わせの中には、「一旦里帰りしたけど、思ったようなサポートを得られなかったから早めに帰ってきました」という方も多くいます。そりゃそうでしょ~、という感じです。

確かに父親や母親は、ぼくたち子どもを産み、育てた経験者ですから「赤ちゃんの子育てを一度経験したことがある」のは間違いないんですけど、「だからプロなのか」と言われたら、そうではないですよね。ぼくだって子ども3人いますけど、保育士さんの仕事ができるわけじゃないですし、ある程度の家事はやっていますけど他人の家で家事代行できるわけでもないですから。「やったことある」のと「上手にできる」のとはイコールではありません。
それを理解しておかないと、「お母さんのサポートがイマイチ!」なんて言われたら、お母さんだって心外ですよね。

このギャップは、事前に「やってほしいこと・やってほしくないこと・やり方」をホストと話し合っておかなかったことによる失敗がほとんどです。経験者だと思って丸投げせず、「パパ・ママ1年生」と「おじいちゃん・おばあちゃん1年生」とで協力する気持ちで挑んでください。

連絡役をパパに任せる? 任せない?

妻の体調を心配するパパの心は、とっても美しい。「産後の妻は体調回復に時間がかかるから、ホストとのやり取りはオレがやろう!」という意気込みも美しい。

そういう殊勝なパパが増えているのですが、パパをメインの連絡役にすると、「パパ目線の情報」が反映されることが多々あります。

妻がまだ回復途上なのに、「もう元気そうだから」とホストに伝えてみたり。または、妻の知らないところで、パパの母親が突然お手伝いに現れて、「あら、今日来ること聞いてないの?」と言われたり。

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「言ってない!」「聞いてない!」というトラブルは、それだけで産後で心身がボロボロのママにとってストレスの素です。ですから、サポートの差配はママがメインでやるか、パパが担当するにしても都度ママにきちんと確認を取って進めるようにして、ママに余計なストレスをかけないようにしましょう。

産後ケア施設・産後ヘルパーも使いたい

次に、行政・民間の産後ケア・産後ヘルパーについてです。これには、「利用者が施設に行く」タイプと、「利用者の自宅に来てくれる」タイプがあります。

利用者が施設に行くタイプ

「産後ケア施設」と呼ばれるところに利用者が行き、サービスを受けます。

●宿泊型:一日~数日間宿泊をして、滞在中常に専門スタッフさんのサポートを受けられるもの

●日帰り(デイサービス)型:施設に訪問して数時間のサポートを受け、当日中に帰宅するもの

どちらも、基本的にはママと赤ちゃんとで訪問し、利用中は専門スタッフが赤ちゃんをみててくれて、ママに休息を与えてくれる、というものです。
施設によって、またコロナの流行などの状況によって利用方法が変わりますので、以下の点は、気になるようなら事前に確認しておきましょうね。

・夫は施設に入れるのか。夫の宿泊も可能か
・上の子の同伴は可能か。上の子も宿泊できるのか
・飲食物の持ち込みは可能か

産後ケア施設は、「●●区民は区の補助で●●%オフで利用できる」というように、地域によって利用料の補助が出る場合もありますので、お住いの自治体の産後サポートを調べてみてください。

利用者の自宅に来てくれるタイプ

専門スタッフが、利用者の自宅を訪問してサービスしてくれるものです。サービス内容には、

●助産師による母乳相談
●ベビーシッターなどによる赤ちゃんのお世話
●家事代行スタッフによる家事手伝い
●産後ヘルパーによる産前産後の家事育児のお手伝い

などなど、いろいろな種類があります。

地域によって、行政から補助が出る場合もあります。その場合、

・何回(時間)まで無料で使える
・時間あたり数百円の出費で何回(時間)まで使える
・第3子以降だけ補助が出る
・ヘルパーさんの交通費負担だけで使える

など、補助の程度が異なります。

なお、行政が民間の産後ケア施設・産後ヘルパー会社に委託をしている場合は、民間の運営会社の通常のサービスではなく、行政で決めた範囲内でのサービスに限定して補助を出すのが一般的です(例えば、通常サービスでは沐浴のお手伝いをしているが、行政から補助が出る場合、沐浴は禁止とする、など)。

夫婦だけで乗り切る場合の3箇条

ここまでサポートの種類やアドバイスをしてきましたが、「人手が欲しくても得られずに、夫婦で乗り切るしかない」というご夫婦もいますよね。
特に今のようにコロナ禍で、実家の両親から里帰りは難しいと言われてしまったり、サポートに行くのも控えたいと言われてしまったりするご家庭は少なくないです。その上、地元には産後ヘルパーが来られなかったり、産後ケア施設も近くになかったりしたら、自分たちで乗り切るしかないですよね。そんな、人手を頼れないパパ・ママへのアドバイスです。

パパに遠慮は禁物

「パパも仕事で大変だし、会社を休んでもらうのは気が引ける……」というママの気持ちはよくわかりますが、そんな優しさはかなぐり捨てて、パパに頼ってくださいね。夫が育休を取っていない・取れない環境の場合、「夫婦だけで乗り切る」という選択肢は、多くの場合「妻がひとりで乗り越える」を意味しています。二人でもキツイものを、ひとりでしょい込むなんて、冗談はヨシコちゃんです(←ヨシミちゃんでもいいです)。「どうにかなるでしょ」という思いを一旦横に置いて、できる限りパパに育児参加してもらいましょう。

何のためのリモートワーク?

出産を機に、パパがリモートワークを多めにしてくれて、自宅での時間を増やしてくれる、というご家庭もあると思います。が! 「夫がリモートワークになったけど、家事・育児の時間はまったく増やしてくれない」「むしろ、夫の昼ごはんまで作らないといけなくなった」という声のいかに多いことか。特に新生児期の家事・育児は、「仕事の合間に」とはいきません。リモートにしたことで安心しないようにしてくださいね。

※なお、2022年10月から始まる「産後パパ育休制度」も、産後パパ育休中(産後8週までに取得可能)は就業可能なので、気を付けましょう。

想像以上に復職は大変

よく「産後1ヶ月で復職しよう」と思っていたけど、回復に時間がかかって実際に復職できたのは6ヶ月以上先だった、というような話を聞きます。産後ヘルパーが入ってさえそんな話を聞きますから、自分たち夫婦だけで乗り切ろうとすると、なおさら予定通りにいかないかもしれない、ということを念頭に置いておきましょう。ママの復職の予定は、余裕を持って計画しておきましょうね。

「イレギュラーは起こるもの!」と心得ておく

今回は、出産して退院した後に、どう過ごすかについてお話ししました。実際のシチュエーションはもっと複雑で、「両親が近くにいるけど頼りたくない」とか、「妻の知らない間に(夫が)産後ヘルパーを予約していた」とか、「手伝いに来てくれた実母とケンカになり、手伝いを打ち切られてしまった」といったことや、「産後うつ病になってしまった」などの事情が絡み合います。

どう過ごすかを事前に夫婦でよく話し合っておくことは当然として、イレギュラーが発生する可能性もあるという前提で、困ったら再調整をしながら前進していくようにしましょう。

逆に言えば、「イレギュラーは起こります」。
このイレギュラーは、夫婦で乗り越える最初のハードル、というご家庭も多いかもしれません。「産後の恨みは一生」なんて言葉もありますが、逆を言えばこの時期の夫婦の協力は、その後の夫婦関係を強めますよ!

今回のまとめ

産後のイレギュラーにも夫婦で協力して乗り越え、パートナーシップを強化しよう!

(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)

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