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2022年08月23日 13:53 更新

産休期間はいつからいつまで? 計算方法や保険料、給与について解説!

働く女性が妊娠・出産の前後にとることができるのが産休(産前休暇・産後休暇)です。妊娠がわかり、出産予定日が決まったら、産休はいつからとれるのか、休みの期間を計算してみましょう。日数の数え方、出産が予定日からずれた場合の考え方もくわしく解説しています。産休中の社会保険料や税金、給与など気になるお金の事情も紹介しますよ。

産休期間(産前休暇・産後休暇)はいつからいつまで?

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産休期間は、いつからいつまでなのでしょうか? いつから産休をとることができるのか、法律で定められている産休の定義についても確認しておきましょう。

産休(産前休暇・産後休暇)とは

産休(産前産後休業)とは労働基準法で定められた、女性労働者が出産前と出産後に取得できる休業制度です。

法律上は「休業」という言葉が使われていますが、一般的に「産前休暇」「産後休暇」という言葉もよく使われています。

産休の条件や期間は、勤続年数などで変わるものではありません。法律で定められており、産前産後の一時期に、仕事を休むことができると定められています。

産前休暇(産前休業)と産後休暇(産後休業)の期間

産休には、出産前に請求して取得する産前休暇と、出産後に取得しなくてはいけない産後休暇があります。それぞれ、いつからいつまでの期間かを確認しましょう。

産前休暇は出産予定日の6週間前から出産当日まで

産前休暇は、出産予定日の6週間前(双子など多胎の場合は14週間前)から、請求すれば取得することができます。

産前休暇は、出産当日までです。出産当日も、産前休暇に入ります。

出産が予定日より早まった場合、産前休暇も早く終わり、出産翌日から産後休暇に入ります。

出産が予定日より遅れた場合は、産前休暇もその分、長くなることになります。

また、本人が産前休暇を6週間より短く請求して取得することや、産前休暇を請求せず、取得しないことも制度上は可能です。

産後休暇は出産翌日から8週間

産後休暇は、産後8週間です。出産翌日から、8週間ですね。双子以上の多胎出産であっても変わりません。

労働基準法には「使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。」とあり、仮に本人が「働きたい」といっていても、雇用している側は義務として産後の女性を休業させなくてはなりません。

ただし、本人が希望し、医師が認めた場合は、産後休暇を6週間に短縮することができます。

なお、残念ながら流産や死産となってしまった場合でも、妊娠4ヶ月以上であれば、産後休暇を取得することになります。

産前休暇・産後休暇の数え方・計算方法

産前産後休暇の日数の数え方を、もう少しくわしく解説しましょう。

産前休暇6週間とは、出産日以前42日間を指します(多胎の場合は14週間・98日間)。出産日もここに含まれます。

産後休暇8週間とは、出産日後56日間を指します。出産日の翌日から開始します。

たとえば10月10日が出産予定日になっているとしましょう。

双子以上でなければ、予定日どおりに産まれた場合の産前休暇(6週間)は、8月30日から10月10日です。産後休暇(8週間)は、10月11日から12月5日です。

出産日:10月10日
  ↓
産前休業期間(42日):8月30日~10月10日
産後休業期間(56日):10月11日~12月5日

実際の出産が予定日からずれることはよくありますね。この場合、産前休暇は出産当日まで、産後休暇は出産翌日から開始します。

産休期間がすぐにわかるツールや一覧表

産休期間を正確に知りたいけど数え方がよくわからないという場合、信頼できるツールや一覧表を利用しましょう。

産休期間の自動計算ツール

厚生労働省委託の母性健康管理サイト「妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ」では、出産予定日または出産日と、双子以上の妊娠かどうかを入力するだけで、産休期間と育休期間を自動計算してくれるツールを公開しています[*1]。

産休期間、育休期間を一度に計算してくれます。

産休となる産前産後期間の一覧表

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、産休の対象となる産前産後期間の一覧表を公開しています[*2]。

出産日から産前休暇の開始日、産後休暇の終了日を調べることができます。うるう年にも対応しています。

産休取得の方法

産休を取得する場合の手続きは、勤務先により担当部署や申請書類の様式が多少異なりますが、

1)産前産後休業取得申請書のような申請書類
2)母子健康手帳の出産予定日がわかるページのコピー


を、人事部や総務部などの担当部署に提出する、ということが多いです。

2022年(令和4年)4月から、妊娠出産を申し出た従業員に対し、企業は休業の意向確認と育児休業の制度等の個別周知を行うことが義務化されています[*3]。

妊娠・出産に関しては、法律で保護されている権利のほかに、企業が独自に設けている制度が利用できることもあります。まずは口頭でも構わないので上司に妊娠を報告し、産休取得に必要な手続きや休業期間を含めて、社内の制度やルールを確認することをおすすめします。

産休中は社会保険料や税金は免除されるの? 産休期間との関係は?

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産休を取っている期間中は、社会保険料や税金はどうなるのでしょうか? 産後は一定期間まで働くことはできませんから、その期間中の支払い金額は気になりますよね。

産休中の社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)は免除

以前は産前・産後も社会保険料を納めなければなりませんでしたが、2014年(平成26年)4月以降に、産前産後休業中の健康保険・介護保険・厚生年金保険の社会保険料が免除となり、支払いの義務が無くなりました[*4]。

社会保険料は会社と本人が半々で負担しているものですが、産休取得中は本人だけでなく、会社側も負担がありません。

保険料の免除期間中も、保険料を納めた期間として扱われます。免除期間中も健康保険証は使用できますし、将来受け取る年金が減額されたり、介護サービスが変わったりすることはありません。

また、社会保険料は、「産前産後休業期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)」に免除となります。有給か、無給かを問わず、仕事を休んでいれば免除になる点もポイントです。

社会保険料免除になる産休期間の数え方・計算方法

社会保険料の負担が免除される期間は、日割りではなく、月単位で数えます。対象期間は「産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(産前産後休業終了予定日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)まで」です。

たとえば、10月10日に出産した場合の産休期間と、産休で社会保険料が免除となる期間は、次のとおりです。

出産日:10月10日
  ↓
産前休業期間:8月30日~10月10日
産後休業期間:10月11日~12月5日
  ↓
産休で社会保険料免除期間となる期間:8月(休業開始月)~11月(休業終了予定日の翌日の属する月の前月)まで

出産予定日より早く生まれた場合、産前休暇はいつから?

実際の出産日の6週間前から働いていなければ、その日が産前休暇の開始日に変更となり、開始日が含まれる月から社会保険料が免除になります。

出産予定日より実際の出産が早くなった場合でも、産前休暇を出産予定日の6週間前にスタートし、それまで働いていた場合は、産前休暇の開始日に変更はなく、産前休暇の終了日が予定より早くなるだけです。社会保険料免除になる産休期間とは、あくまで「妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間」が対象だからです。

問題になるのは、出産予定日の6週間前より早く休みに入っていた場合です。この場合、出産予定日より出産が早まったときは、産前休暇の開始日を変更することができます。開始日を変更した結果、開始日が前の月にずれこめば、社会保険料が免除となる期間も1ヶ月早く開始となります。

極端な例でいうと、同じように出産予定日が9月11日だったとしても、実際に9月11日に出産した場合と、1日早く9月10日に出産した場合とでは、社会保険料が免除となる期間が1ヶ月変わってくる場合があることに注意しましょう。

出産予定日:9月11日
出産日:9月10日
  ↓
※7月31日時点ですでに休みに入っている場合
産前休業期間:7月31日~9月10日 
産後休業期間:9月11日~11月5日
  ↓
社会保険料免除期間となる産休期間:7月(休業開始月)~10月(休業終了予定日の翌日の属する月の前月)まで

出産予定日:9月11日
出産日:9月11日
  ↓
産前休業期間:8月1日~9月11日 
産後休業期間:9月12日~11月6日
  ↓
社会保険料免除期間となる産休期間:8月(休業開始月)~10月(休業終了予定日の翌日の属する月の前月)まで

出産予定日より遅く生まれた場合、産前休暇・産後休暇はいつまで?

出産予定日を過ぎて出産した場合、産前休暇もその分延長になります。社会保険料が免除となる期間も、その分延長となります。

産後休暇は、出産日の翌日から8週間で、開始日は変わりますが、期間の長さは変わりません。

産休に続けて育休に入る場合、社会保険料免除期間はいつまで?

産休に続けて育休(育児休業)に入る女性は多いでしょう。育休中も、引き続き社会保険料は免除となります。

この場合、社会保険料免除期間は、育休終了予定日の翌日の属する月の前月までが原則です。ただし、育休期間がごく短い場合などは、免除対象にならない場合もあります。

また、育児・介護休業法で定められた育児休業期間は原則1歳まで、保育園に入れないなど条件に合えば最長で2歳までですが、勤務先によってはこれより長く、3歳になるまで育児休暇(育児目的休暇)を取得できる場合があります。この育児休暇中も、社会保険料は免除となります。

産休中の社会保険料免除のための手続き

産休中の社会保険料免除のための手続きとしては、従業員から産休取得の申し出のあった事業主(勤務先の会社など)が、年金事務所や事務センターに申し出ることとなっています。

したがって、産休をとる女性自身が年金事務所等と直接やりとりする必要はありませんが、一般に勤務先に対して、

1)(産休取得前に)産前産後休業の取得を申請
2)(出産後に)出産の報告

をする必要があります。勤務先によって申請を担当する部署や書類の様式が異なるので、早めに確認しておきましょう。

産休中の雇用保険料は無給なら発生しない

産休中の雇用保険は、給与が支給されていれば徴収され、給与が支給されていなければ徴収されません。

雇用保険料は、給与が支給されるときに給与額に応じて算出されます。給与が発生しない場合は、ゼロになり、支払う必要はないのです。

産休中の所得税は無給なら発生しない

産休中の所得税は、給与が支給されていれば控除され、給与が支給されていなければ控除されません

産休中、毎月の給与は支給されなくても、賞与(ボーナス)は支給されるというケースもあります。その場合、ボーナスからは所得税が控除されます。

また、1年の所得税を精算する手続きとして、年末調整があります。産休中でも年末調整は必要なので、産休期間が年末にかかる場合は、あらかじめどのような手続きになるか、勤務先に確認しておきましょう。

産休中も住民税は納める必要がある

住民税とは前年度の所得に応じて支払う税金です。住民税は、産休をとっている期間でも納める必要があります

通常、住民税は給与から天引きされていることが多いでしょう。産休中に給与から天引きされなくなると、自宅に住民税の納付通知が届き、コンビニ等で住民税を納めることになります。通知書を放置していると住民税の滞納となってしまうため、気をつけましょう。なお、勤務先によっては、産休中も会社を通じて住民税を納付できる場合もあります。

出産手当金は非課税扱いとなるため、出産手当金により翌年の住民税が上がることはありません。

産休期間中の給与や賞与はどうなるの? 有給休暇はとれる?

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産休中は給与や賞与はどうなってしまうのでしょうか? 減額されてしまうのではないか、まったくもらえないのではないか、などと心配されている方も多いでしょう。一人ひとりの場合によって違うため、確認していきましょう。

産休中の給与について

産休中の給与について、法律上の規定はありません。多くの会社では、産休中の給与は支払われないというのが実情です。

ただし、会社で健康保険に加入していれば、健康保険から出産手当金(産休手当)というお金が支給されます。

出産手当金(産休手当)と支給の対象となる産休期間

出産手当金とは、子供を出産する被保険者とその家族の生活を保障するための制度です。健康保険に加入していて、産休中に給与の支給がない(あるいは、給与の支給があっても出産手当金の額より少ない)場合に、手当金を受けとることができます。

出産手当金で受けとることのできる金額は、おおむね給与の2/3程度。正確な計算式は、次のとおりです。

支給開始日(最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2×産休日数分

計算式からもわかるように、出産手当金は、産休をとった期間を対象に、日数分が支給されます。1ヶ月単位となる産休中の社会保険料の免除とは対象期間が違うので、混乱しないようにしたいですね。

産休・育休中に支給されるお金

出産手当金以外にも、産科での支払いにあてることができる出産育児一時金、育児休業中に雇用保険から支給される育児休業給付金(育休手当)など、産休・育休中の収入を補ってくれる制度があります。

産休・育休中には、勤務先からの給与が支給されないことが多く、これらの手当金制度を使って家計を支えていくことが一般的です。使える制度は余さず使って、お金の不安なく出産や育児にのぞんでくださいね。

産休中の賞与(ボーナス)について

産休期間中の賞与(ボーナス)に関しては、給与と同じで、法律での定めはなく、会社の考え方によります。

賞与支給日が産休中であっても、産休期間以外の日の分の賞与(ボーナス)が支給されるのが一般的です。

産休中の有給休暇について

産休期間中に、有給休暇を取得することはできるのでしょうか。

労働基準法では産後8週間以内の女性を働かせてはいけないことになっています。本人が希望し医師の許可があれば産後6週間から働くことができます。

有給休暇とは労働義務がある日で取得するもののため、少なくとも産後の6週間は、取得できないことになります。

産前に対しては、法律で休ませなければならないという規定はありません。そのため、本人が産休を取得せず、有給休暇を使いたいと希望した場合は、有給休暇をとることができます。

まとめ

これから産休を控えている方は、取得できる期間や、その間の収入について調べておきましょう。産後は健康保険からの出産一時金や、育児休業給付金の支給もあるため、確認しておきましょう。

(構成・文 マイナビ子育て編集部)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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