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2022年05月27日 11:37 更新

おもちゃに性差は関係ない? 保育園で人形、将棋、ドールハウスを導入したら、園児が意外な行動に【こどもSDGsプログラム】

ピープルは、子育て支援サービスを提供するここるくが開発した、保育園の子どもたちと企業とが協同して持続可能な社会づくりに取り組む「こどもSDGsプログラム」に第一弾企業として参加し、園内プログラムを実施しました。

プログラムには、ピープルの人気おもちゃ「ぽぽちゃん」も使用

ジェンダー平等を実現しよう

「こどもSDGsプログラム」は、子育て支援サービスを提供するここるくが開発した「SDGsの目標5:ジェンダー平等を実現しよう」にフォーカスしたプログラム。今回、ピープルは子育て支援サービスを提供するここるくと協同して、園内プログラムを実施しました。

同プログラムは2月25日、SDGsについての基礎的な情報を提供するためのデジタル絵本を園内で上映することからスタート。上映後には、子どもたちと対話する時間を設けて、「SDGsとは?」について一緒に考えを深めました。翌日からは、プログラム第一弾のテーマである「おもちゃとジェンダー」をふまえ、全18種類の新しいおもちゃを導入して子どもたちが自由に遊ぶ姿を観察・記録しました。

プログラム実施にあたり、保育園はピープル製品を含めた全18種類の新しいおもちゃを導入。約11週間にわたって子どもたちが主体的におもちゃを選択して遊べる環境を提供しました。

ぽぽちゃん

おもちゃを介して特徴的な行動がみられたものとしては、お人形の「ぽぽちゃん」、将棋、ドールハウスの3つ。子どもとおもちゃとの接点が生まれ、遊び始める「導入時期」、子ども同士の間で遊びが広がる「拡散時期」、新たな遊び方や遊びの発展が見られる「拡充時期」の3段階に沿って、次のような変化がありました。

「ぽぽちゃん」の遊びを通して見られた子どもたちの変化とは?

「ぽぽちゃん」を最初に遊びはじめたのは女の子のグループで、お世話や医者さんごっこが人気となりました。その様子を見ていた男の子グループが興味を持ち始め、男女で一緒に遊ぶように。「ぽぽちゃんたちのお家を作る」という共通テーマが子どもたちの間で生まれ、1.5㎡のダンボールハウス制作がスタートしました。

段ボールハウスを作る園児たち

子どもたちの遊びが発展する中、保育者から子どもたちへ「ぽぽちゃんを誰かにプレゼントするとしたら、誰にあげたい?」と問いかけたことをきっかけに、子どもたちが他者へと思いを馳せるようになります。「ぽぽちゃんを誰かに引き継ぐとしたら?」と解釈したことから、「やさしい人にプレゼントしたい」「病院で入院している人にプレゼントしたい」といった意見が子どもたちから飛び出し、プレゼントにふさわしいラッピングをデザインするという取り組みを展開するという時点で、プログラムは終了しました。

ぽぽちゃんを誰にプレゼントする?

「将棋」も、まず遊び始めたのは女の子グループでした。女の子グループが遊ぶところを男の子たちが周りで見ている状況がしばらく続きましたが、導入から2~3週間経つと、将棋を指す男の子が増加。子どもたちだけで遊ぶという過程を経て、1カ月後には、男の子が保育者を相手に将棋を指すようになりました。大人が相手になったことで指し方のバリエーションが増え、将棋のルールをどんどん理解していく姿が見られました。

将棋で遊ぶ園児たち

「ドールハウス」でも、導入当初は女の子が中心となって遊んでいました。3~4週間ほど経つ頃になると、男の子同士で遊ぶ姿が頻繁に見られるようになります。遊んでいる男の子のきょうだい構成を調べると、全員が同性きょうだい(兄・弟)のみであることが分かり、自宅にはない遊びとしての新鮮さがあったことが推察されました。

子どもたちの好奇心にとって、ジェンダーは無関係であることが明らかに

この結果を受けて、ピープル取締役兼代表執行役の桐渕真人氏は、以下の通りコメントを発表しました。

今回のプログラムによって、いわゆる「男の子のあそび」「女の子のあそび」とは大人が勝手に思っていることであり、おもちゃで遊ぶ様子をみて、子どもたちの好奇心にとってジェンダーは何も関係もないことだと改めて気づきました。

しかし現状は、遊びへの導入の段階で、パッケージや広告、周りからの言葉などをきっかけに好奇心にフタをさせてしまうことが多くあります。「人生最初のジェンダー問題は、私たちおもちゃの作り手の眼の前で起きている」と感じ、改めて自分たちのやってきた事も今一度見つめなおす必要性に気づかされました。子どもたちが生まれながらの好奇心を発揮できるきっかけとなる役割がおもちゃにはあると私は思っています。今回の取り組みをきっかけとして、おもちゃを通してジェンダー問題を解消するために私たちができることを探し出し、子どもたちが性別や年齢などの属性にとらわれず没頭して遊べる環境を実現していきたいと思います。

「おもちゃとジェンダー」は、いま進めている企業変革にも関わる非常に重要なテーマです。私たちがこの問題に対して、今回で終わりとせず、これからも考え行動していく様子をありのままに発信してまいりますので、応援いただければ大変うれしく思います。

プログラム 実施概要

実施回:プログラム第一弾 「おもちゃとジェンダー」(参加企業:ピープル)
実施期間:2022年2月25日~5月13日
実施園:社会福祉法人鐘の鳴る丘友の会 認定こども園さくら
対象児童:4歳児クラス児童(期間中に5歳児クラスに進級)67名

ピープル
https://www.people-kk.co.jp/

(マイナビ子育て編集部)

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