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2017年12月28日 13:41 更新

RSウイルスが過去最多に流行中! 症状と治療・予防策【ママ女医と娘の○○な日常 vol.11】

夏から各地でRSウイルスが流行しはじめています。通常は冬に流行を起こすことの多いRSウイルス感染症。症状や治療方法、夜間や休日でも受診が必要な時をわかりやすく解説致します。

2学期スタート! しかしもう風邪に……

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幼稚園がスタートしました。

娘3歳、8月になってから何度も、
「あしたは9がつでしょ? ままとずっといっしょにいたい……なんでままはようちえんにいけないの……? いっしょにいこうよ……」とさめざめと泣く事を繰り返しており、果たして無事に2学期を開始出来るかハラハラ……。

しかし、なんとかなだめつつ送り出した幼稚園初日、帰りの園バスから降りてくるなり、
「まま、U(娘)ね、ようちえんだいすきなのー」と泣きながら抱きついてきました。どうやら葛藤はあるようですが、幼稚園は楽しい様子。未だに時々家で涙ぐむこともありますが、なんとか幼稚園生活を再開できております。

さて。幼稚園がはじまって1週間。娘が鼻水を垂らしはじめました……。

話を聞いてみると、すでに熱を出して休んでいるクラスメイトもいる様子。集団生活、感染症との戦いだなあ……。調べてみると、うちの自治体でもRSウイルスが流行してきているようです。こじらせないといいけどな……ということで、今回はRSウイルスのお話をさせていただきます。

普段は冬に流行するRSウイルス感染症

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RSウイルス感染症は、約7割の子が1歳までに感染を起こし、2歳までにほとんどの子が感染すると言われているくらい、誰もが気づかないうちに経験した事がある「風邪」の一つです。

通常冬に流行する感染症ですが、今年は流行の立ち上がりが早く、夏から流行がスタートしています。RSウイルス感染症は、感染症発生動向調査で流行状況を確認できるようになっていますので、自分の住んでいる地域の流行状況が気になる方は「自治体名+RSウイルス+感染症発生動向調査」で検索してみてください。(ただし、自治体によってグラフを作ってくれていないところもあるので、見にくいところも多いです……。)

例:東京都感染症情報センター » RSウイルス感染症の流行状況
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/rs-virus/rs-virus/

RSウイルス感染症の症状・治療・検査・受診目安など

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症状

さて、このRSウイルス、接触や飛沫感染で広まり、感染すると4〜5日の潜伏期間を経て、鼻水、38℃程度の発熱、咳が2~3日続く、といった上気道炎を起こします。ほとんどは(特に免疫がしっかりしている年長児や大人)、この所謂「風邪」の症状で回復します。

しかし、初めて感染した乳幼児の3割程度は、上気道よりもっと下の方、下気道炎を起こし、ひどい咳や喘鳴(ゼイゼイする)、呼吸困難(呼吸の回数が多かったり、肋骨の間やおなかが呼吸に合わせてぺこぺこへこむ)などを起こしてくることがあります。場合によっては入院治療が必要となります。

また、1歳未満では特に中耳炎の合併が多くなります。2歳未満で7割、年長児でも3割程度の合併があるという報告もありますので注意が必要です。

治療

RSウイルスに対する、根本的な治療は存在しませんので、症状に応じた治療(対症療法)を行うことになります。上気道炎のみであれば外来治療ですが、呼吸状態が悪かったり、ミルクの飲みが悪いなどの症状があれば、入院治療が必要になることもあります。

RSウイルス感染症は、必ずしも受診の必要はありません。しかし状態が悪い以下の場合には休日や夜間でも受診が必要になります。
・呼吸状態が悪い(特に、呼吸に合わせておなかのあたりがぺこぺこへこんでいる)
・ぐったりしている・顔色が悪い
・授乳や食事が全くできない
・眠れないほど咳がひどい
このような症状がある時には、一度医療機関にご相談ください。

RSウイルス感染症は、多くは軽い風邪の症状で軽快しますので、鼻水が出ているからといって全員に検査の必要があるわけではありません。鼻水をとっておこなうRSウイルスの検査は、「入院治療が必要な子」「1歳未満の乳児」「パリビズマブ(シナジス®)適応の子」が保険適用になります。

RSウイルス感染症の予防法

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残念ながらワクチンはありません。

ワクチンではありませんが、パリビズマブ(シナジス®)という予防薬があります。これはRSウイルスの抗体(ヒト化抗RSV-Fタンパクモノクローナル抗体という長い名前があります)を、流行時期に月に1回注射をするというものです。しかし、これはものすごく高価でもありますので、現在は重症化する可能性の高い子(早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患、ダウン症など)のみが適応となっています。

従って、一般的な感染予防をするのがメインになります。
• 手洗い、マスクをする
• 人ごみを避ける  などですね。

また、風邪の症状がある時には乳幼児にはできるだけ近付かないことも必要です。特に家族から感染する事が多いので、大人やお兄ちゃんお姉ちゃんが風邪をもらってきた時は、できるだけ赤ちゃんとの接触を避けるように注意してあげてください。

家族で予防ケアを

さて、娘3歳ですが、熱もなく鼻水だけずるずる出ている状態で、本人は幸いいたって元気です。そして、そんな娘と接していた旦那が、本日ずるずると鼻水を出し始めました……。私も微熱が出ていますが、なんとか踏みとどまっています。RSウイルスか他のウイルスかはわかりませんか、なにかのウイルスの風邪なんだろうなあ、この全身のだるさ。

幼稚園や保育園、集団生活をしているとさまざまな病気をもらってきます。そして、もらってきた病気を家族でうつし合ってしまうのも、またよくある光景。手洗いやマスクなど、気をつけていても家庭内での感染を防ぐのは、なかなか困難だな、と実感中です。

とはいえ、私がダウンするとこの家を守る人がいなくなりますので、なんとか踏みとどまります。栄養、休養、水分摂取。しっかり食べて、しっかり寝て、これ以上悪くしないように頑張るぞ。

<参考文献など>

遠藤文夫「最新ガイドライン準拠小児科診断・治療指針」中山書店

RSウイルス感染症とは/国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html

Relationship between respiratory syncytial virus infection and acute otitis media in children.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15571905

シナジス AbbVie channel | 日本 | トップページ
http://abbvie-channel.com/contents/pages/synagis.aspx

(HAL)

※記事内の画像はすべてイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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