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2021年01月09日 08:50 更新

【医師監修】逆流性食道炎とは? 妊娠中のつわりとの違いや症状・対策など

つわり(悪阻)と見分けがつきにくいこともある、妊婦さんの「逆流性食道炎」。今回は、妊娠中の逆流性食道炎について、その症状や予防法などをご紹介します。

逆流性食道炎って何?

逆流性食道炎で気分がすぐれない妊娠中の女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎とは「胃酸が逆流することで食道が炎症を起こす病気」です。胃酸は強い酸性であるため、食道には大きなダメージとなり、炎症のみならず、潰瘍・びらんの原因となることもあります。

逆流性食道炎の主な症状

逆流性食道炎では以下のような症状などが生じます。

・胸やけ
・酸っぱさが口まで上がってくる(呑酸[どんさん])
・胸の痛み
・咳

具体的にどの症状が生じるかについては、個人差があります。

逆流性食道炎になる原因

逆流性食道炎の原因と言われているのが、「脂肪摂取量の増加にともなう胃酸の増えすぎ」や「食道を逆流から守る筋肉(下部食道括約筋[かぶしょくどうかつやくきん])が弱まること」などです。その要因としては、一般的に、以下のようなものがあると考えられます。

・肥満
・胃の機能の低下
・加齢(高齢化)による胃や食道の筋力の衰え
・姿勢の悪さ
・脂肪分の多い食事
・たんぱく質の多い食事

妊婦さんが逆流性食道炎になりやすくなる理由

肥満気味の人や、高齢者で発症しやすい逆流性食道炎ですが、妊婦さんも発症しやすいことが知られています。原因は以下のように考えられます。

■ 胃の圧迫
妊娠するとお腹の中で赤ちゃんがどんどん育っていき、物理的にお腹が大きくなっていきます。そうすると、胃が圧迫され、逆流が起きやすくなります。「妊娠中期から逆流性食道炎のような症状が出始め、臨月で特にひどくなる」というケースも少なくありません。

このように妊娠中は、逆流性食道炎になりやすい 期間と言えます。妊娠前に、逆流性食道炎になったことがない人でも、妊娠して症状が現れる可能性は十分にあるということです。

逆流性食道炎とつわりの症状は似ている?

紛らわしいことに、妊娠時の逆流性食道炎の症状と、つわりの症状には重なる部分があります。胸やけ、呑酸(どんさん)などがその症状となります。

つわりのせいだとあきらめていた症状が、実は逆流性食道炎によるものだったという可能性はゼロではありません。

妊婦さんの "隠れ逆流性食道炎" に注意!

妊婦さんの逆流性食道炎は、妊娠期間中にいつでも起きる可能性があります。しかし、一般的にはつわりの症状が治まってくる妊娠16週以降にも胸やけの症状がひどいようでしたら「隠れ逆流性食道炎」のチェックをしてみるとよいかもしれません。この時期以降も、むかつきや吐き気が治まらない場合には、逆流性食道炎の疑いも考慮してみましょう。

妊娠中の逆流性食道炎の予防

食生活に気をつける――内容と食べ方

逆流性食道炎の妊婦さんがまず見直すべきなのが「食生活」です。以下のような食品は逆流性食道炎につながりやすいので、とりすぎに注意したり、摂取を控えたりするようにしましょう(妊娠中はもちろん控えていると思いますが、アルコールも胃酸の逆流を引き起こします)。

・脂肪分の多い食べ物
・柑橘類や酢の物など酸味が強いもの
・あんこ、ケーキなどの甘い食品
・チョコレート、コーヒー、炭酸飲料など

逆流性食道炎の予防の意味でも、なるべく消化のよい食べ物を選ぶようにするとベターです。また、食べる時間も規則正しく決めておき、寝る数時間前には食べないようにすることも効果的です。また、早食いもよくありません。ゆっくり噛んで食べるとよいでしょう。

普段の姿勢に気をつける

意外なことに、姿勢の悪さが逆流性食道炎につながるケースもあります。これは、前かがみの姿勢になることで胃が圧迫されやすくなるためです。妊婦さんの場合、お腹が大きくなるにしたがって、胃の負担はどうしても避けられなくなります。妊娠中~後期などは特に意識して、できるだけ背中をのばすように気をつけることも効果的と考えられます。

まずは生活習慣の改善を!

先ほど、食習慣について触れましたが、普段の生活の中にも改善すべきポイントが発見できるかもしれません。以下に記します。

・食後すぐに横にならない
・就寝・昼寝のときは、上体を少し高くして眠る
・食後すぐに就寝はしない
・胃への圧迫・負担が増すので食べすぎない(太りすぎない)
・重いものを持たない
・お腹をベルトなどでを強く締めたりしない

これら実践することで逆流性食道炎の予防となることが期待できます。

市販薬を飲んでも大丈夫?

逆流性食道炎に効果が期待できる市販薬は数多く販売されていますが、赤ちゃんの発育に影響を及ぼすことがありますので、自分で判断せず、必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。

逆流性食道炎になった場合、妊婦さんでも安全に服用できる薬は存在しますが、一部、赤ちゃんに影響を及ぼしたり、流産/早産などのリスクのある薬もあるため、受診の際は必ず妊娠している/妊娠の可能性があることを医師に伝えてください。

前述した「食習慣・生活習慣の改善」は、最も手軽で安全な治療法としてもお勧めできます。また、実践しても症状が治らなかったり、症状が重い場合には、我慢せず医師に相談してください。

まとめ

食習慣・生活習慣の見直しによって、逆流性食道炎を予防することが期待できます。逆流性食道炎は、つわりの症状をよりひどいものにしてしまうこともあるため、妊婦さんは食生活や生活習慣を見直し、体調に気をつけて過ごしてください。つわりの時期を過ぎても、胸やけ、胃酸の逆流する感じなどが続く場合は医療機関を受診しましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.30)

※記事の修正を行いました(2019.06.07)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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