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2023年01月31日 10:55 更新

言うことを聞かない子どもにしてしまう5大原因…効果アリな3つの対処法を解説【教えて保育士さん】

子育てをしていると、子どもが言うことを聞かなくてイライラ!なんてこと、ありますよね。でもそれは、子どもだけのせいではないのかも。なぜ言うことを聞かないのか、子どもの気持ちや行動の背景とともに、上手な対処法について、保育士・幼稚園教諭の豊富な経験を持つmamaco先生に解説いただきます。

子どもが言うことを聞かないのはどうして?

言うことを聞かない子供

子どもが言うことを聞かない理由はさまざまです。

大まかに言うと、2歳~6歳頃は自我の芽生え、小学生になると社会に出たことによる疲れ、中学生高校生では思春期といった原因が背景にあります。どの年齢でも、自分の葛藤をうまくし消化できず、その思いをぶつける先が親という場合が多いです。

Lazy dummy

ちょっとしんどいかもしれませんが、お子さんにとって親が甘えたり頼ったりできる存在ということなので、親御さんとしては喜んでいいでしょう。

今回は特に6歳以下の子どもが言うことを聞かないケースについて解説しますが、この年齢では言うことを聞かない理由を自分で説明することは難しいものです。なにせ、自分でもよくわかっていないのです。

では、親は子どもをどう理解したらいいのでしょうか。年齢別に理由を探ってみましょう。

1歳~2歳頃に言うことを聞かない理由

自我が芽生え始める1歳~2歳頃の言うことを聞かない理由は、母親からの分離です。お母さんのお腹の中でずっと一緒に過ごしてきた赤ちゃんは、生まれてからもしばらくはお母さんと自分は一心同体。
しかし、1歳を過ぎた頃から、少しずつ母親と自分とは別の人間だと気づくようになります。そして、自己主張を始めるーこれが、第一次反抗期、いわゆるイヤイヤ期の始まりです。2歳頃にピークと言われていますが、個人差があります。

3歳~4歳頃に言うことを聞かない理由

3歳~4歳頃の言うことを聞かない理由は、イヤイヤ期の延長であったり、イヤイヤ期が遅れてきたりという場合があります。

1~2歳と違うのは、言葉で表現できるようになってくるということ。それまでは、ただ「イヤ!」と反発するだけだった子どもが、「〇〇したい」「〇〇はやりたくない」などとはっきり言えるようになってきます。そのため、より言うことを聞かないと感じるかもしれません。

5~6歳頃に言うことを聞かない理由

5~6歳の言うことを聞かない理由は、できることも増え、自立心が強くなってくることにあります。自分という人間を認めてもらいたくて自己主張をするため、親からすると反抗的に見えるかもしれません。

言うことを聞かない子ども自身も困っている

混乱していじける子供

親からすれば、「なんで言うことが聞けないの⁉️」と苛立ってしまうものですが、(年齢にもよりますが)実は子ども自身もそう思っています。

自分のやりたいことが自分でできなかったり、言いたいことがあるのに言葉にできなかったり……。子どもは自分自身の「言うことを聞いていない」ことを感じ、困っているのです。

Lazy dummy

今までママやパパにやってもらうことが当たり前だったのが、自我が芽生えることによって”自分でやりたい!“と思うのに上手くいかない、そして、それを親はわかってくれない。
そんなとき親に通じるパンチのある行動が言うことを聞かないことなのです。

このように、子どもが言うことを聞かない背景には、子ども自身の困り感や葛藤があることを理解しましょう。すると、「どうして言うことを聞かないの!」とイライラする前に、一旦冷静になって「この子はなぜ言うことを聞かないんだろう?」と子どもの気持ちや行動の理由を考えることができるかもしれません。

子どもが言うことを聞かない理由がわかれば、ただイライラするだけでなく、さまざまな対処ができますよね。

言うことを聞かない子どもへの上手な対処法

子どもが言うことを聞かない理由がなんとなく理解できても、じゃあ実際の子育てでどう対処したらいいの?!と思いますよね。保育士たちが保育や子育てで実際にやっている効果的な対処法を紹介します。

① まずは信頼関係を築く

約束する親子

たとえ親子であっても、別の人間。信頼関係がとても大切です。幼児教育の現場でも、まずは信頼関係を築くことから始めます。夫婦間や上司と部下でも同じですよね。何事も信頼関係がベースです。
信頼関係を築いていくと、徐々に子どもは大人の言葉に耳を傾けるようになり、「大好きなママやパパが嫌がることはしないでおこう」と自ら思うようにもなります。

信頼関係を築くために大切なこととして「親が約束を守る」というものがあります。

例えば
おやつをあげるとき「1個だけね」と言って渡したのに、子どもがぐずるので仕方ないなぁともう一個あげる
公園でまだ遊びたいという子に対し、タイマーが鳴るまでねとセットし、タイマーが鳴ったのに子どもがまだ遊びたいと泣くので、じゃあもう少しだけねと許してしまう
「抱っこして」という子どもに対し、「洗い物終わったらね」と待たせておいたのに、洗い物が終わったとき子どもが一人で静かに遊んでいたので抱っこしないでおく

これらは全て、約束を破っていることになります。

おやつを1個だけと言ってもらったのに、もっと欲しいとぐずったらもらえたら「ぐずれば要求が通る!」と学習します。子どもに言うことを聞いてほしいと思ったら、まずは親自身が約束を守りましょう。

② 子どもの話を聞く

会話する親子

「子どもがわたしの言葉を無視するんです」という場合、親が先に子どもを無視している可能性があります。

自分としては、無視しているつもりはないのかもしれません。家事の途中で話しかけられて適当にあしらった、忙しくて子どもの話をじっくり聞いてあげていない、まだ幼くて何を言っているのかわからないからスルーする、などなど……。

ママ・パパも日々やることが多くて大変かもしれませんが、できる範囲で子どもに言うことを聞いてもらう前に子どもの話を聞きましょう。大人の社会では「相手の話を聞く」ことが大切なマナーとされているのに、子どもに対しては怠ってしまいがち。まずは可能な限り子どもの話をじっくり聞き、気持ちを受け止めていくことが大切です。これは小さな子であっても同じ。言葉が話せなくても子どもなりの表現を受け止めていれば、子どもは満足します。きちんと聞いてもらえ満たされると、子どもも大人の話を聞こうとするようになるでしょう。

③ 理由を探り、子どもの気持ちに寄り添う

食事中に泣く子供

例えば、食事中に立ち歩いてしまうとき、「ただ落着きがない子」「座っていられない子」と片付けずに、理由を探りましょう。

例えば食事中に立ち歩いてしまうときには、こんな理由が考えられます。
・お腹が空いていない 
  対応:少し時間を置く
・遊びたい 
  対応:おもちゃが見えないようにし食事に集中できるようにする
・机や椅子の高さが合っていない 
  対応:足がつかないなら床に何か置いて足がつくようにする
  対応:机が高すぎるならおしりに何か敷き高さを出してあげる
・テレビの方に意識がいく
  対応:テレビを消す
・上手に食べられなくて嫌になる
  対応:少し手伝って、時には食べさせてあげる
  対応:一緒に練習して自信をつける
・手を汚したくない
  対応:スプーンやフォークの使い方を教える
  対応:手づかみでも手が汚れにくいものにする
・食事が楽しくない(食事中よく叱られる)
  対応:食事を楽しい時間と感じられるよう、励ましたり勇気づけたりする
・量が多すぎる
  対応:ほんの一口だけ盛り食べたらおかわりするなど、完食の喜びを感じられるようにする

食事の場面だけ見ても、これだけの理由が考えられます。理由がわかれば、それに合った対処ができます。まずは子どもの気持ちを考え、気持ちに寄り添ったかかわりをしましょう。

原因は大人にもある⁉️ 言うことを聞かない子へのNG行動

子どもが言うことを聞かないとき、解決しないどころか、ますます言うことを聞かなくしてしまう子育てのNG行動を紹介します。

NG1 親が約束を守らない

先ほども言いましたが、子どもが泣くから、グズるからといって決めたことを破るのは逆効果です。大変かもしれませんが、幼い頃から親が約束を守る姿を見せることで、後々の子育てが楽になります。

NG2 親の言動がブレる

親の言動に一貫性がなく、ブレてしまうことがありますが、言うことを聞かない子どもへは避けたいNGパターンです。

例えば、家に帰ったら手を洗うということ。必ず手を洗ってから遊ぶようにしていれば手を洗うことが当たり前になります。子どもが「手を洗いたくない」と言って泣いたとき、「じゃあ今日はもういいや」と洗わないで遊ぶのを許可してしまうと、当たり前ではなくなります。子どもが大暴れしたり泣いたりしても手を洗わせるのはとても労力が必要ですが、何度か許してしまうと「泣けば手を洗わなくていいんだ!」と学習します。そして、泣いても要求が通らない場合は、さらに泣くことがヒートアップします。

ただ、これらを徹底するのは親も子も根気が必要で大変なこと。ですので、時には「今日は〇〇だから特別ね」と、もっともらしい理由を伝えるという逃げ道を使うのもありでしょう。
※あまり多用しすぎると特別ではなくなってしまうのでご注意ください

NG3 「ダメ」とだけ言う

ただ「ダメ」とだけ伝えても、子どもは何も学びません。理由がわからなければ、子どもにとっては、ただ「ダメ」とだけいう親の言いなりになるかならないかという話です。

水筒の紐やポシェットを肩にかけたまま遊具で遊ぶ子どもに対し、ただ「ダメ!」いうのではなく、「引っかかって首が絞まるかも知れない。危ないからやめよう」理由を添えて伝えることが大切です。まだ幼くて言葉の理解が難しい時期だとしても、”ママ・パパが言うことには何か意味がある”と感じることはできます。また、繰り返し伝えることで少しずつ理解していきます。

Lazy dummy

わたしは娘が0歳の頃から、理由を伝えていました!

NG4 脅す、罰を与える、叩くなどの暴力

これは当たり前のことかもしれませんが、意識していないとついついやってしまうことも。

「言うことを聞かないと鬼が来るよ」と脅すのは、一時的には効果がありますが、根本的な解決にはなっていないため、慣れてくると無意味です。親の脅しがヒートアップしていく可能性もありますし、子どもにとっても親にとっても悪影響が大きいです。

叩くなどの暴力は論外です。たとえ軽く叩く程度であっても「児童福祉法」と「児童虐待防止法」で禁止されています。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
「おしりぺんぺん」は効果的?体罰のもたらす悪影響と上手な回避方法【教えて保育士さん】

NG5 コントロールが目的になっている

子どもは親の所有物ではなく、また子どもにだって気持ちはあるし、子どもなりの都合もあります。なので、「言うことを聞かせること」の目的が自分の思い通りに動かすことという考えはNGです。

大人同士でも、人を思い通りに動かそうとする人には人望が集まりませんよね。子どもに対しても同じです。子どもに言うことを聞かせようとするのではなく、子どもが自らしたくなるような言葉がけを心がけましょう。

まとめ

くつろぐ親子

子どもが言うことを聞かないのにも理由があります。女の子だから、男の子だから、◯◯な子だから、などと決めつけず、子どもの気持ちの理解に努め、その子自身を見つめましょう。しんどいこともあるかと思いますが、大人自身の言動を振り返ることも大切ですね。
子どもを一人の人間、理解し合うためにはお互いの努力が必要です。子どもにはとても難しいことなので、親が気持ちに寄り添ってあげられるといいですね。

(文:mamaco)

※画像はイメージです

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