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2022年04月30日 07:41 更新

フィルタリングだけじゃ足りない? 子どものスマホルールの作り方 #親と子のネットリテラシー入門 Vol.2

ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

子どもが巻き込まれるネットトラブルの種類

スマホ、タブレット、PC、そしてテレビでも、私たちの周囲にはネットに繋がるデバイスがあふれています。子どもたちは小さなころから親のスマホでYouTubeを見たり、タブレットで知育ゲームをすることが当たり前の世界で育っています。家庭の団らんの時間に、テレビで動画配信サービスを利用して映画やアニメ見るご家庭も珍しくないでしょう。

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子

となると、親としては子どもが画面に向かっている時間の長さが気になりますね。親が子どものころにはテレビしかなかったこともあり、「視力が下がってしまうのでは?」「姿勢が悪くなるのでは?」と健康上の問題も心配です。中学生以上ともなると、部屋にこもってスマホ三昧になり、睡眠不足のまま学校に行く子どもも増えてきます。

また、ネットの向こうには悪い人たちもたくさんいます。詐欺や誘拐など、親子で深刻な問題に巻き込まれる可能性もあります。

子どもがネットを使うことで起こりやすいトラブルは、以下のようなものでしょう。

●スマホやタブレットの長時間利用
●不適切なコンテンツの視聴
●LINEいじめなどの知り合いとのトラブル
●誘い出し、嫌がらせなど出会いによるトラブル
●個人情報の漏洩
●課金や投げ銭による金銭トラブル
●フィッシング詐欺やアカウント乗っ取りなどのネットトラブル

お子さんが小さなころは、長時間利用や有料コンテンツへの課金などが問題の中心になりますが、知り合いと繋がる年齢になるとコミュニケーションのトラブルも起きるようになります。また、自分専用のデバイスを持つようになると、知らない人とSNSで出会ったり、自ら個人情報を投稿することで危険な目に合う可能性も出てきます。フィッシング詐欺などの大人でも巻き込まれるトラブルは、子どもにも同様に送られてくるため、注意が必要です。

こうしたトラブルを防ぐためには、ご家庭に合わせたスマホルールとフィルタリングの2つが必須です。私はこれを、「アナログ(=スマホルール)とデジタル(=フィルタリング)の両輪での見守り」と呼んでいます。スマホルールで決めた時間制限には、フィルタリングのスマホをロックする機能が便利です。でも、フィルタリングで制限するだけでは、子どもは親がなぜそんなことをするのか反発して、リテラシーの成長には繋がりません。

とはいえ、「スマホルールってどうやって決めたらいいんだろう」と悩む保護者の方も多いと思います。そこで、スマホルールの作り方を説明します。

スマホルールはサンプルをベースに家庭に合わせて変更

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子

スマホルールは、お子さんの年齢によって内容が変わりますね。親と共有のデバイスを使っているか、占有デバイスかによっても違うでしょう。また、年の離れた兄弟の真似をしたがる、学校の宿題にネットが必要など、ご家庭それぞれの状況もあります。

そこで、よく使われるスマホルールを元にして、家庭の困りごとの解決策を追加する、または不要な項目を削除する方法がおすすめです。

スマホルールのサンプルとして、私が作ったスマホルールの一例を挙げておきます。

<1>スマホの利用時間は22時まで
<2>スマホはリビングだけで使用する
<3>スマホは宿題と明日の準備が終わってから使用する
<4>本名や学校名、住所などの個人情報をネットに公開しない
<5>人とのやり取りは言葉に気を付け、嫌がる画像は公開しない
<6>人のプライバシーに関する情報を公開しない
<7>人の文章や画像、動画を勝手に使わない
<8>アプリをダウンロードするときには親に相談する
<9>ネットでお金を使うときは必ず親に相談する
<10>フィルタリングを外す時期は親が決める
<11>ネットで知り合った人に会いに行かない
<12>スマホのパスワードは親とだけ共有する
<13>少しでも困ったことや疑問があったら親に相談する
<14>ルールを破ったときは一週間親に預ける

ただし、これは初めてスマホを持つ子ども向けなので、小さなお子さんには合わないでしょう。その場合は内閣府が作った「>スマホ時代の子育て~悩める保護者のためのQ&A~(幼児・児童編)」に「ルールづくりのヒント」として例が載っているので、参考にすると良いかと思います。

また、ソフトバンクが提供している「親子でつくるスマホルールリスト」は、記入していくとスマホルールが作れる仕組みになっているので、活用してもいいですね。

スマホルールを作る際には、最初に親が案を提示して、子どもに理由を説明して話し合うと良いでしょう。なぜこの制限をつけるのか、親の気持ちを伝えるのです。ある程度の年齢の子どもであれば、納得してくれるでしょう。子どもの意見を反映し、改訂したものを完成版とします。

完成版は、紙に印刷して、リビングなどのわかりやすい場所に貼っておきましょう。なぜなら、親がスマホルールを決めたと思っていても、子どもは約束した覚えがないことがよくあるからです。また、時が経つにつれルールがあいまいになることもあるため、親子ともに見直せるようにしておきましょう。

スマホルールで抑えておきたいポイント

スマホルールで抑えておきたいポイントを2つお話します。

まず、スマホルールにはペナルティが必要です。ペナルティというとかわいそうに聞こえますが、破っていいルールは形骸化してしまいます。「ルールをやぶったら一週間スマホを禁止」など、何かしらの約束をしておきます。

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子

また、実態に合わせて定期的に見直すことも大切です。「最近は宿題もしっかり進めるようになったし、大好きなMinecraft(マインクラフト)をもう少しやらせてもいい」と思ったら、学年が上がる機会に30分延長するなど、子どもの成長に合わせて変更してあげてください。デジタル機器を使うことはこれからの時代に欠かせないことです。なんでもかんでも制限しておくことはありません。

スマホルール作りでは、スマホの使い方について親子で話し合う機会が持てます。「スマホは親が買って貸し与えているものだ」という親の姿勢をきっちり見せつつ、子どもの気持ちを尊重してルールを作るといいですね。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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