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2021年09月17日 14:13 更新

【助産師解説】母乳はいつまで続けるべき?「1歳で終わり」「2歳までは授乳継続」!?

ママと赤ちゃんの大事なスキンシップタイムでもある授乳。母乳は赤ちゃんにとっては重要な栄養源でもあります。でも、離乳食が順調に進み、ママの職場復帰や保育園入園が近づくと頭をよぎるのが「おっぱい卒業」。今回はママたちに「母乳、いつまで?」「卒乳・断乳、いつ?」について聞いてみました。最後の川島先生の解説も必見です!

母乳はいつまであげる?

ママのみんなさん、こんにちは! 育児相談員歴26年の助産師、川島智世です。
今回のテーマである「母乳育児、いつまで続ける?」について皆さんにお話ししたいと思います。

「いつまで母乳をあげるか」答えを出すのはママ自身

母乳育児の期間は「子供が〇歳までにやめなければならない」というような決まりはありません

「1歳になったら、断乳しなければならないと言われた」「2歳までは母乳育児を続けなければならないと聞いた」というママの相談を受けますが、人それぞれ、状況が異なります。だから画一的に答えを出すことは難しいのです。

私は「育児は生き方」だと考えています。

生き方は誰かに決められるものでも一方的に非難されるものでもなく、偏った意見によって捻じ曲げられるものでもありません。思うようにいかないことだってあるけれど、自分で考えて答えを探さなければなりません。

それは母乳の終了時期だって同じ。あなたがどうしたいか、どういう方法が自分らしいかを考え、出した答えは個々で違っていいのです。

自分たち母子に最適な「母乳、いつまで?」の答えを見つけてくださいね。

似ているようで異なる「卒乳」と「断乳」

卒乳して眠る赤ちゃん

母乳育児を終える時期をさす言葉に「断乳」がありますが、その後「卒乳」という言葉も出てきました。

断乳とは
断乳とは、突然、急に母乳育児をやめること。
ママは母乳分泌量も多く、張りの強い乳房の状態で母乳育児を急に終えることになるので、乳腺炎になることがあります。また、乳房の張りが強いので、断乳後の乳房のケアに時間を要することもあります。
急にお乳が飲めなくなるわけですから、子供が泣きじゃくり、数日間にわたって泣きじゃくる子をなだめ、おっぱいをあきらめさせるケースも多いでしょう。
関連記事 ▶︎断乳の圧抜きマニュアル〜方法やスケジュール、注意点

卒乳とは
おっぱい終了日を決め、それに向けて子供が無理なく自然とおっぱいから離れていくように調整していくことを、俗に「卒乳」と呼びます。
ママは、張りの強い乳房の状態から、授乳回数を徐々に減らしながら乳房の張りを弱めていき、母乳の分泌量を減らしていきます。そうすることで乳腺炎になりにくいです。また、すでに分泌量が低下し、お乳の張りがなくなっているので、その後の乳房のケアも無理なくスムーズにできます。

子供には外遊びの楽しさや食事の楽しさを教えて、徐々におっぱいから離れさせていきます。外遊びの楽しさをおぼえた子供は、運動量と食事の量が増し、おっぱい離れが進むため、無理なく母乳育児を終えることができます。

母乳以外の栄養手段があれば断乳しても大丈夫

ミルクを飲む赤ちゃん

卒乳が理想とはいえ、ママが母乳育児の頻繁授乳に疲れ切っていたり、病気で強い薬を使う必要があり医者から授乳ストップを告げられたり、乳腺炎を繰り返し治療費の負担・食事の制限など心身のストレスで、どうしても断乳を選択しなくてはならない場合もあるでしょう。

子供が母乳以外の栄養手段(粉ミルクが飲める、離乳食から十分に栄養が摂れる)があれば、断乳しても大丈夫です。決して罪悪感を感じることはありません。

あくまでも母乳もミルクも栄養手段なのです。ママやパパが子の笑顔を見て心癒されるように、子も同じで、ママやパパの笑顔で心癒されるのです。最高の安心感を得るのです。その笑顔に包まれた栄養方法が最高の栄養だと思うのです。

笑顔で、愛情をもって、与えること・食べさせることが一番大事だと、私は思います。


栄養、職場復帰、二人目妊娠、授乳のつらさ……母乳いつまで?を考えるヒント

「母乳をいつまで続けるか」について、以下の記事にヒントがあるかもしれません。参考にしてください。

■母乳の栄養
関連記事 ▶︎初乳はいつまで出る?その後出る母乳(成乳)との違いって?
関連記事 ▶︎母乳に含まれる免疫とは?母乳育児の健康面でのメリット

■職場復帰
関連記事 ▶︎母乳の場合の保育園準備、断乳・卒乳のタイミングは?
関連記事 ▶︎仕事復帰後も授乳を継続する? ママたちが今、不安に感じていること

■二人目妊娠
関連記事 ▶︎妊娠中も上の子の授乳は続けられる?

■授乳がつらい
関連記事 ▶︎母乳育児のここがつらい!乗り切り方は?
関連記事 ▶︎ディーマー(不快性射乳反射)とは?授乳の不快感の原因と対処法
関連記事 ▶︎乳首が痛い!授乳が苦痛...痛みの原因とセルフケアを教えて!
関連記事 ▶︎腱鞘炎の時の授乳、今すぐできる授乳のコツ4つ

■夜間授乳がつらい
関連記事 ▶︎夜間授乳はなぜ必要?いつまで続く?
関連記事 ▶︎夜間断乳、成功の秘訣5つ!いつごろからできる?

どのくらいのママが母乳をあげている?

ではここからは「母乳、いつまで?」について「母乳育児をしているママの割合」やママたちの声をご紹介します。

母乳育児をしているママは意外と多い【母乳栄養の割合】

厚生労働省の調べでは、約8割のママが「授乳について困ったことがある」(0~2歳の子供を持つ保護者の77.8%)[*1]とか。そんな悩み多き母乳ですが、同様の調べで約9割のママが赤ちゃんに母乳を与えていることが分かっています(下図)。実に、30年前のデータと比べ18.2%も増加しているのです。

みんなは母乳、いつまであげてる? 卒乳・断乳はいつ? ~ママたちの声~

母乳育児のメリットについてはわかりましたが、実際問題、そうそう理想通りに進むものでもありません。そこで、現在育児中のママたちに、「母乳、いつまで?」「卒乳・断乳はいつ?」について聞いてみました。

「2歳児の『おっぱい、おいしくない』」

「おっぱい、おいしくない」って、地味にショックですね……。息子さん的に、妊娠中のお母さんを気づかった結果の一言だったりして!?

「1週間でおっぱいの吸い方を忘れる」

「卒乳」でも「断乳」でもなく「忘乳」とは! 鼻で呼吸ができないとおっぱいを飲むのも難しいですもんね。
関連記事 ▶︎赤ちゃんの鼻づまり原因と3つの対処法とは?
関連記事 ▶︎授乳中に風邪をひいても、母乳は中断しなくていいの?

「1歳3ヶ月で断乳。夜、続けて寝るように」

「授乳をやめたら、夜よく寝るようになった」という方は多いようですね。睡眠不足続きだったママにはありがたい話です。

「生後1ヶ月で職場復帰。どんどん出なくなっていった」

職場復帰は心身共にママの負担も大きく、その影響が母乳に出ることも。

「母親の方が卒乳できなかった」

授乳中は子供にとってもママにとっても癒しの時間。それが意図せず無くなるとなると、さみしくなってしまいますよね。

「母の言葉で1歳の誕生日に断乳」

おばあちゃん世代からのご意見は、貴重なものもある半面、現代の育児法にはそぐわないものも。いいものは取り入れつつ、聞き流しスキルは重要ですね。

「1歳前の断乳、今でも残る罪悪感」

※マイナビ子育て調べ 調査日時:2019年1月22日~1月28日

まとめ

「赤ちゃんが○歳になったから母乳は終わり」「○歳まで母乳をあげなきゃダメ!」ということはありません。「母乳いつまで?」は、ママと子供の一番いいタイミングで決めていいでしょう。また、もっと母乳を授乳を続けたかったのにやむなく断乳ということもあるでしょう。でも、ミルクや食事など他の方法で栄養が摂れるのであれば心配ありませんよ。授乳が終わっても、ずっとあなたの子供であることには変わりません。

(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:川島智世先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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