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2022年04月24日 07:15 更新

光熱費が5万ごえ、食費は予算を決めてない? 浪費がち共働き夫婦のリアルな家計公開、3つの改善ポイントとは?

「うちってお金、貯まらなすぎ?」家計管理がイマイチできないという共働きママのYさん。夫婦と子供1人の生活なのに、食費は6~7万、光熱費は5万ごえ。このうえ今年は空前の値上げラッシュがあり、不安が募っているといいます。

値上げの春

この春、気分を一新して「今度こそお金を貯めるぞ!」「今年こそ投資を始める!」と気合を入れた人も多いのではないでしょうか。

一方で、今年は値上げの春。スーパーで定番食材を買っただけなのに、いつもよりお会計が高かった気がしませんか? 意識しないとお金はどんどん出て行ってしまいます。

30代共働きで子育て中のYさんは、値上げラッシュのダメージを受けて家計管理に悩んでいるといいます。前編ではファイナンシャルプランナーの鈴木さんに、「夫婦でお金の話ができない」という根本的な問題の改善策を伺いましたが、後編ではYさん一家の家計改善についてアドバイスしてもらいました。

Yさん一家の収支表

夫婦でお財布を別々にしていて、それぞれの収入も支出も把握していないというYさん。この企画のために夫婦とも、あらためて一ヶ月の支出を書き出してみました。

夫(39歳)、妻(37歳)、子ども(8歳)の3人家族。東京在住

月々の支出

▼夫(39歳)自営業:手取り月25万~40万
住宅ローン:145,000円(残り2000万)
食費:30,000円
お酒:8,000円
wi-fi通信費:6,000円
スマホ:3,000円
Netflix:990円
国民年金保険料:16,540円
国民健康保険料:45,880円
学資保険(2011〜2026年):10,684円(満期300万円)
米ドル建終身保険(2011〜2026年):7,500円(死亡保障:3.4万ドル)
医療終身保険A:4,620円
医療終身保険B:9,770円
都民共済:1,200円
ーーー
支出計=289,184円
余りは小遣い/貯金しても各種保険と税で毎年ほぼゼロになる

火災保険:79,200円/年
地震保険:45,000円/年
住民税:181,200円/年
固定資産税:214,300円/年

▼妻(37歳)会社員:手取り月27万
光熱費(電気ガス):52,000円
水道:5,000円
食費:30,000円
スマホ:4,000円
子の習い事(塾):17,000円
学納金・給食費:5,000円
学資保険(2017年〜2027年):29,715円(満期500万円)
米ドル建終身保険(2017〜2027年):16,500円(死亡保障:5万ドル)
医療終身保険:5,555円
都民共済:2,000円
医療費:15,000円/月(子の歯列矯正、自身の歯列矯正、耳鼻科)
ーーー
支出計=181,770円
定期積立(50,000円)/余りは小遣いとして昼食代やこまごまとした買い物に消える
現在の貯蓄額は定期積立預金の600万
洋服、化粧品、子供の服、本などはボーナス含め小遣いで購入
大きい買い物をするときは定期を崩している

Yさんのお悩み

悩み1 夫婦でお金の話をしづらい前編へ
悩み2 光熱費が1月から急激に高くなってしまった
悩み3 今後の物価上昇にも恐怖を感じている
悩み4 子どもの塾代など教育費が今後かかる予定
悩み5 家の修繕積立費を用意していない

3人家族なのに光熱費が52,000円!

Yさん うち、電気ガス代が異常に高いんです。さかのぼってみたら、昨年8月まではあわせて22,000円だったのが、9月には33,000円に。そして今年1月に52,000円になってしまったんです。

鈴木FP 旦那さんがお家でお仕事されてるんですよね。ずっとですか?

Yさん ほぼ一日中、自宅で仕事をしています。また、私も昨年はテレワークの頻度が増えました。

鈴木FP 光熱費が高めなのは、それが大きな原因だと思います。ただ正直言って、それにしても高すぎます!

Yさん ですよね……。

鈴木FP 家族3人であれば、平均1.4万円、高くても2万円くらいだと思います。何かつけっぱなしの部分はありますか?

Yさん あります。うちは戸建てで細長くて3階建てなのですが、昼間も玄関や階段の電灯がつけっぱなし、誰も使っていない時間でもキッチンつけっぱなし、夫の仕事部屋がある3階はトイレと廊下の電気もつけっぱなしになっていることが多いです。さすがに1月・2月の光熱費におののいて、今はこまめに消すよう呼びかけているのですが。

鈴木FP 自分のいる部屋以外は全部消す! ということをYさん自身が徹底し、旦那さんとお子さんとも約束してもらいましょう。

Yさん それで3万円台まで戻せるでしょうか。

鈴木FP すごく影響あると思いますよ。チリツモですが、必要ないところは消す、電気やガスの無駄遣いをしないよう意識すれば、すぐに4万円台、徹底できれば2万円台にもなりますよ。
ただ、エネルギーは世界的に逼迫しています。すでに値上げが反映されてこの金額だとは思うのですが、今後ますます料金は上がる可能性があります。

Yさん このまま節電せず使い続けたら7万とか?

鈴木FP ないとは言えないですよね。省エネ家電に変えるのはどうですか? それもお金はかかりますが。

Yさん 冷蔵庫が12年目なのですが、使えるうちは使いたいなと……。

鈴木FP お気持ちはわかります。ただ、冷蔵庫が家電の中で一番電気代を食うんですね。10年前の製品と最新の省エネでしっかり冷やせる製品を比較すると、電気代は全然違ってきます。冷蔵庫だけでも、省エネ家電に買い換えるのはありかなと思います。

(photoAC)

屋根、外壁、水回りなど修繕は必須

鈴木FP もうひとつ、Y家の大きな問題点は、予算を決めずに買い物していることだと思います。食費などの予算を立てていないとおっしゃっていましたよね?

Yさん はい……予算内でやりくりするという考えがなかったですね……。私は大体週末にまとめ買いで、夫は平日にちょこちょこ補充したりお酒を買ってくれたりしています。なんとなくそれぞれ月3万円~くらいかなと。あと外食のときは夫婦ワリカンが多いですが、それは食費に含めずお小遣い枠です。

鈴木FP 3人家族で一ヶ月で大体6万円というのは悪くないとは思うのですが、2人合わせて予算はいくら、と決めてみましょう。
まず一ヶ月で構わないので、それぞれいくら食費に使ったかを共有して「見える化」してください。レシートを箱に入れるとか、カードやペイ払いなら明細を家計簿アプリに記録するとか。金額は千円単位でざっくりした記録でもいいです。「予算6万円」に対して実際はいくら使ったのかを知るためです。

Yさん 思ったより多くてびっくりしそう……。

鈴木FP マイナスになってもいいんですよ。でもこれをやってみることで、「じゃあ予算内ではこれくらいの買い物ができるね」ってことがわかるじゃないですか。それをしないとどんどん膨れ上がっていく懸念があります。
夫婦別財布でやっているとどうしてもそのあたりを擦り合わせるのは難しいので、もうゲームだと思って! 予算内でおさまるかゲーム、決めた金額でどのくらい買えるかやってみる、どうですか?

Yさん 子どもにもいい影響がありそう!

鈴木FP あると思います! そうですね、たとえば予算は夫婦それぞれで1人週6,000円までにしようとか、週単位にするとやりやすいかもしれません。そうすれば、プラスでお米やお酒を買っても月6万円に収まるかな。

Yさん でも最近どんどん物価が上昇してますよね。先日スーパーで、5束入りだったパスタの乾麺が4束入りになったのを見てショックでした。

鈴木FP 昔は6束だったかも。値段は変わらないけれど、6⇒5⇒4と徐々に内容量が減っていますよね。今後も物価上昇の波はしばらく止まりませんから、家計防衛は意識しないとまずいです。

Yさん あと戸建てなので、家の修繕も必要になってくるのですが、修繕用積立が全然できていないのも悩みです。

鈴木FP 築20年くらいから、いろんなところにガタがきますから、しっかり用意しておきたいですね。

Yさん いくらぐらい?

鈴木FP 一度にドーンではなくちょこちょこ修繕が必要なところが出てくるので、何年かかけて合計で500~600万円くらいはかかると見ておくといいのではないでしょうか。そうすると月にだいたい23,000円〜3万円ほどの積立になります。本当は、住宅ローンを組み始めた段階で積立を始めたほうがいいですけどね。

Yさん やっぱりそうですよね。外壁や屋根、キッチン、お風呂やトイレなどの水回り、配管とか……一気に故障しそうで恐ろしいです。

鈴木FP 家計をスリム化して、修繕積立をしていきましょう!

無駄に保険をかけすぎ?

Yさん 保険も入りすぎかな、とは思っているのですが、どれを削ればいいのかもうわからないんです。

鈴木FP 旦那さんは貯蓄がないんでしたっけ?であれば、保険よりもまずは貯蓄を優先してほしいですね。老後資金のために契約されている貯蓄型の保険を、「払済保険」に変更されてはいかがでしょうか。

Yさん 払済保険への変更???

鈴木FP 保険料の払込みを中止し、その時点の解約返戻金もとにして、保障を下げた契約を継続する制度です。保険料の支払いはここでストップしますよ、ということです。もし特約があれば、消滅するのでご注意ください。

Yさん そんなことができるんですね……!

鈴木FP 受け取れる保険金は少なくなりますが、今の支払いがきついのであれば、そういう方法もあるので検討してみてくださいね。
気になるのは、これだけいろいろ保険をかけているのに、自営業の方が一番入ってほしい保険に入っていないことです。

Yさん なんですか?

鈴木FP 就業不能保険です。病気やケガで手術や入院をして働けなくなったときにお金がもらえる保険です。会社員であれば、休業補償がありますが、自営業にはないですから、働けないイコール収入ゼロとなりますよね。

Yさん たしかに…それは不安ですね。

鈴木FP ただ共働きなので、もし、旦那さんが何らかの事情で働けなくなったとしても、Yさんが働き続けられればなんとかなるとは思いますよ。

Yさん なるほど。

鈴木FP 掛け捨ての医療保険に関しては、都民共済に入っているならもう一つは解約していいと思います。二つも入る必要はなく、都民共済で十分です。また、学資保険は満期まで続けてくださいね。米ドル建て終身保険は、最近円安なので保険料が高いと思いますが、あと4年ですし、家計見直しをして、捻出できそうなら続けてもいいのではないでしょうか。

Yさん ありがとうございます。保険の整理、やってみます。

鈴木FPが提案する改善後のY家の収支

収入 夫 200,000円
妻 200,000円
合計 400,000円
================
支出 住宅ローン:145,000円
通信費:16,000円 ※1
サブスク:2,000円
夫社保 ※2
民間保険:30,000円 ※3
学資保険2本:40,000円
火災・地震保険:10,000円
夫税金 ※4
固定資産税:18,000円
水道光熱費:40,000円
食費:55,000円
習い事・教育費:17,000円 ※5
医療費:15,000円
================
合計 388,000円

収支金額 12,000円 ⇒ 貯蓄へ回す

※1)子ども携帯追加しても携帯代は家族で1万円に抑える
※2)夫の家計から捻出
※3)終身保険は払い済みにして毎月の家計の黒字化を優先
※4)夫の家計から捻出
※5)塾通いを始めても習い事は3万円までに抑える


収入のうち家計に入れずに残っているお金を、それぞれ貯蓄しておきましょう。この内容でうまく管理できるようになったら、少しずつ家計に入れる金額をご夫婦それぞれ高くしていき、Y家としての資産増加に努めましょう。

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