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2021年01月09日 17:36 更新

【医師監修】基礎体温の正しい測り方と体温計の選び方

「基礎体温って測ったほうがいいのかな」と迷っているあなたへ。基礎体温は体から発信される大切なメッセージ。体調管理にも妊活にも役立ちます。基礎体温を測るメリットや正しい測り方をわかりやすく紹介します。

測るメリットは? 基礎体温でわかること

正しい測り方で基礎体温を計る女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

基礎体温とは「生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない安静時の体温」を指します。朝、目覚めてすぐ婦人用体温計で測定するのが基本です。基礎体温を測ることで、女性特有の体のリズムを自身で把握できます。これはとても大切なことです。月経や排卵の時期の予測、女性ホルモンの状態などを理解する助けにもなります。

基礎体温のグラフ例

月経周期と排卵日が予測できる

基礎体温を測るメリットのひとつ目は、月経サイクルと排卵の時期がわかることです。健康な女性の基礎体温は、体温が低い時期(低温期)と高い時期(高温期)の2つの時期が交互に繰り返されるのが特徴です。医学的にはそれぞれを「低温相」「高温相」と呼びますが、一般的には「低温期」「高温期」が使われるため、この記事ではなじみのある言葉で説明します。

基礎体温のサイクルは月経周期と連動し、2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)のバランスによってコントロールされています。

月経が始まってからの約2週間(月経周期が28日の場合)が低い体温が続く「低温期」。排卵をきっかけに体温は約0.3℃~0.5℃上昇し、次の月経が始まるまで高い体温の「高温期」が約2週間続きます。「低い」「高い」とはいえ、その差はわずかな値です。この微細な差を計測するため、朝の安静時に体温を測ります。

排卵をきっかけに上がり、月経開始で下がる基礎体温は、自分の体のリズムを映し出す鏡ともいえるのです。

婦人科疾患の有無がわかる

基礎体温を測る2つ目のメリットは、隠れた婦人科疾患に気付くきっかけになること。基礎体温表が低温期と高温期の2相にはっきり分かれていないとしたら、無排卵の疑いがあります。無排卵は思春期・更年期には多くみられますが、性成熟期(思春期以降・更年期前の20歳代~30歳代を中心とした時期)では不妊の原因になります。

出産を希望する場合はホルモン検査や超音波検査、治療が必要になります。無排卵でも出血はあるので 、基礎体温をつけない限り、自覚することはできません。出血のタイミング(周期)は正常のこともあれば、不順になる場合もあります。

高温期が10日以内と短い場合は、女性ホルモン(黄体ホルモン)を分泌する卵巣の働きが低下していると考えられます。月経周期の乱れも、女性ホルモンのバランスに何らかのトラブルが生じていると推測されます。

ちなみに月経周期には大きな個人差があり、25日~38日であれば正常範囲です。

生理日の予測、体調管理、妊活に活用できる

基礎体温を測るメリットの3つ目は、女性特有の体のリズムを把握できること。月経の予測はもちろん、体調管理、妊活にも役立ちます。例えば「生理の1日目がいつもつらい」という人は基礎体温表をつけることで次の月経を予測でき、スケジュールを調整することができるでしょう。

基礎体温の変化は体だけでなく、メンタル面とも関係があります。

一般的に排卵前の低温期では気持ちが安定し、排卵後の高温期ではイライラしたり、落ち込むなど気持ちが不安定になります。この変化もあらかじめ予測できるので、月経前に不快症状が現れる月経前症候群(PMS)の対策も立てやすくなります。
妊娠しやすい時期(排卵日の前後)を予測したり、妊娠の可能性を早めにチェックすることもできる(高温期が17日以上続くと妊娠の可能性が高い)ため、妊活にも役立ちます。

基礎体温の測り方

基礎体温の測定には専用の電子 体温計(婦人用体温計または女性体温計 とも呼ばれます)を使います。正しい測り方を身につけ、測ったら必ず記録をつけましょう。継続することで体のリズムがわかります。

基礎体温の正しい測り方

基礎体温は1日に1回、朝目覚めてすぐに測るのが基本です。起き上がらず横たわったまま、口の中で測るようにします。この時、舌下の付け根の部分に体温計をはさみ、口を軽く閉じるようにします。口の中で測るのは、表面の皮膚温ではなく、体の内部の深部体温に近い数値を知るためです。

測っている間は口で息をしないようにしましょう。

基礎体温測定のポイントと注意点

基礎体温測定のポイントは、継続することにあります。月経周期の中での体温の変動を確認するため、ワンサイクルだけでなく、2~3周期は測ってみるようにしましょう。

毎朝の習慣にするためには、枕元に基礎体温計を準備してから眠るとよいでしょう。できる限り、同じ条件で毎日測ることが理想ですが、継続することが大切。ストレスにならないよう、気楽な気持ちで測りましょう。

基礎体温計の選び方

基礎体温を測る時は、一般の体温計でなく、必ず専用の体温計を使います。シンプルなものから測定データを長期保存できる多機能タイプまで種類はさまざま。続けやすいように、自分に合った機能の基礎体温計を選ぶことが長続きするコツです。

基礎体温計の特徴

基礎体温を測るための体温計は、一般用体温計と異なり、「36.25℃」のように小数点のコンマ以下2ケタまでの数値が表示されるようになっています。これは微細な体温の変化を0.01℃単位で計測するためです。口の中で検温するため、先端が丸みを帯び、くわえやすいデザインになっています。

実測式と予測式の違い

基礎体温を測るための電子体温計の検温方法には「実測式」と「予測式」があり、市販されているものには「実測」のみで検温するタイプ、「予測」と「実測」のいずれかを選択して検温できるタイプなどがあります。

平衡温(体の内部と同じくらいの温度)を測るのが実測式、短時間で予測値を出すのが予測式です。

実測式は体温計に伝わる熱をそのまま表示します。検温時間は口中で約5分かかるものが大半です。予測式は体温の上昇比率を分析して予測値を出します。10秒~30秒で体温が表示されるので忙しい朝には便利です。

アプリやパソコンデータへの転送も可能に

基礎体温計の中には、測定データを記憶して自動的にグラフを作成する機種もあります。またスマートフォンやパソコン用のアプリでグラフを管理するためのデータ送信機能付きの高機能タイプもあります。もちろん紙のグラフを作成する方法でもよいでしょう。自分のライフスタイルに合わせて、好みの記録方法を選びましょう。

まとめ

基礎体温は健康管理のバロメーター。自分の体のひと月のリズムを把握できると安心だし、スケジュールを立てる時にも役立ちます。自分のライフスタイルに合わせて、無理のない方法で毎日の習慣にしましょう。あまり神経質になることはありません。最も大事なことは継続することなので、押さえておきたいコツをしっかりつかみ、毎日測るよう努めましょう。

(萩原明子/毎日新聞出版MMJ編集部)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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