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2022年04月15日 17:30 更新

らっきょうの食べ過ぎのリスク|気を付けたいポイントと目安量を解説【管理栄養士監修】

ポリポリとした食感がおいしいらっきょう。カレーやご飯がモリモリ進みますよね。甘酢の味付けが食欲をそそり、つい食べ過ぎてしまうことも。らっきょうはたくさん食べても大丈夫なのか、気を付けたいポイントや適量の目安などを見ていきましょう。

らっきょうを食べ過ぎるとどうなる?

独特な風味のあるらっきょうですが、食べ過ぎた場合にはどんなことがおこるのでしょうか。らっきょうは一般に甘酢漬けのことを指すことが多いので、ここでは甘酢漬けのらっきょうの食べ過ぎについて、お話しします。

リスク① 腹痛や下痢になる

らっきょうや、玉ねぎ、にんにくなどにみられる特有の強い香りと辛みは硫化アリルの一種であるアリシンという成分によるものです。アリシンは大量に摂取すると胃腸を刺激して腹痛や下痢を引き起こすことがあります。

リスク② 塩分の摂り過ぎ

カレーライス らっきょう

甘酢漬けは一般的に、酢・砂糖・塩で作った液体にらっきょうを漬けたものです。商品にもよりますが100gあたり1.9gの塩分が含まれています[*1]。らっきょう100gというとだいだい1パックくらいです。

一方、塩分の摂取は成人男性で1日7.5g未満、成人女性で1日6.5g未満が目標とされています[*2]。1食あたりで考えると2.3g前後が目安です。らっきょうが好きで1回で1パック食べてしまうと、1食分に近い塩分量を摂取してしまうことに。

また、そこまで食べることはなくても、らっきょうをカレーなど味の濃い料理に添えることが多いため、いくつも食べてしまうと1食の塩分量をオーバーしてしまうでしょう。

リスク③ 口臭や体臭に影響することも?

アリシンを含むらっきょうは匂いが強いため、食べ過ぎると口臭が気になるかもしれません。食べた後に歯を磨いたりうがいをするとよいでしょう。また、体臭にも影響する場合があるといわれたりもしますが、定かではありません。

らっきょうの1日の適量は?

らっきょうが好物で毎日食べたいという人もいるかもしれません。食べ過ぎのリスクがでないようにするには、どのくらいを目安にするとよいのでしょうか。

適量の目安|1日3~4粒くらい

甘酢漬けのらっきょうは塩分の摂り過ぎにならない量を目安と考え、毎日食べるなら1日3~4粒くらい(10g、塩分0.2gほど)がよいでしょう。付け合わせとして、さまざまな料理や食材と一緒においしく食べたいですね。

らっきょうに含まれる成分は?

らっきょう 

ここからは気になるらっきょうの成分についても見ていきましょう。

アリシン|ビタミンB1と結合して効果を高める

らっきょうに含まれるアリシンは、ビタミンB1が結合するとアリチアミンという物質になります。これはビタミンB1と同等の生理作用をもち、そのうえビタミンB1よりも吸収性や持続性がよいとされています。

そのため、たとえば豚肉を使用したカレーとらっきょうの甘酢漬けを組み合わせると、豚肉に含まれるビタミンB1をより効果的に利用できます。ビタミンB1は糖質などの代謝にかかわる栄養素なので、摂ったエネルギーを効率よく代謝させることに役立つ食べ合わせになりますね。

フルクタン|食物繊維の一種

生らっきょうには食物繊維が多く含まれています。一方、甘酢漬けにも食物繊維が含まれますが、その量には違いもあります。

<らっきょうの食物繊維量> (100gあたり)
・生……水溶性18.8g 不溶性2.1g
・甘酢漬け……水溶性1.3g 不溶性1.5g [*1]

このように生だと水溶性食物繊維が多いのにもかかわらず、甘酢漬けになると大きく減っているのがわかります。らっきょうに含まれる水溶性食物繊維「ラッキョウフルクタン」は、甘酢漬けにすると分解されてしまうためです[*3] 。

もしラッキョウフルクタンを多く摂りたいと思ったら生のらっきょうがよいということになります。しかし実際には生だと辛みや匂いもあるので、ラッキョウフルクタンの効能を期待して食べるというのは少し難しそうです。

Lazy dummy

ちなみにフルクタンとは、フルクトース(果糖)が結合してできる高分子多糖類の総称で、体内で消化されにくい食物繊維の一種です。その他のフルクタンの例としてイヌリンなどがあります。

生らっきょうなら栄養を効率的に摂れる

生らっきょう

生のらっきょうには水溶性食物繊維だけでなくビタミンCも豊富に含まれます。一方の甘酢漬けらっきょうにビタミンCは含まれません。そのため、旬の時期には生のらっきょうから甘酢漬けを手作りすると、なるべく栄養を摂取できるでしょう。

水溶性食物繊維もビタミンCも水に溶けやすいため、調味液に漬かっている時間が長いと栄養が逃げてしまいます。あまり漬け過ぎないで食べるのがおすすめです。甘酢漬けだけでなく醤油や味噌につけるのもよいでしょう。手作りすれば塩分の調節などもできますね。

Lazy dummy

生のらっきょうは芽が出やすく日持ちしないため、購入したらすぐに下処理して漬け込みましょう。

■らっきょうって何の仲間?■
らっきょうはネギの仲間で、オオニラ(サトニラ)という種類の野菜の根元の近くの部分(りん茎)です[*1]。若どりのらっきょうは「エシャレット」と呼ばれます。香りやくせが強くなく、生のままでも食べやすいのが特徴です。似たような名前の野菜で「エシャロット」がありますが、こちらは小型玉ねぎの一種で、フランス料理やイタリア料理で使われる香味野菜です[*4]。名前が非常に似ていますが、「エシャレット」と「エシャロット」は別の野菜になります。

らっきょうは子どもも食べられる?

独特の風味なので好み次第ではありますが、注意点を押さえれば子どもでも食べることができます。

誤嚥に注意|丸いまま与えない

歯の生えそろう3歳ごろでも、まだ大人と同じように噛むことはできません。丸みのあるらっきょうは、ふとした時に飲み込んでのどに詰まってしまう可能性があります。与える際には細かく刻んだり、スライスして誤嚥を防ぐようにしましょう[*5]。

塩分に注意|大人より少量を心がけて

体の小さな子どもは大人よりも塩分摂取量を少なくしたいので(※)、甘酢漬けのらっきょうをたくさん与えたり、塩分が多くなりがちなカレーに添えたりすることは避けられるといいでしょう。

そのまま食べる場合は汁気をよく切って小さくスライスにしてから与えるなど、食べ過ぎを防ぐ工夫もできるといいですね。料理に使う際には刻んでタルタルソースやドレッシングに混ぜたりすると、味付けのアクセントになるので食べやすいでしょう。

(※)子どもの食塩摂取量の目標値は3~5歳で3.5g未満、6~7歳で4.5g未満、8~9歳で5.0g未満、10~11歳で6.0g未満

まとめ

甘酸っぱいらっきょう漬けはおいしくていくつも食べてしまいがちですが、食べ過ぎると胃腸の調子を悪くしたり、塩分の摂り過ぎにつながるなどの影響が考えられます。どんな食材でも食べ過ぎは身体に負担がかかることがあるので、食事内容に合わせてバランスよく取り入れていきたいですね。

(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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