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2022年04月08日 11:31 更新

【ラン活】黒川鞄に聞く! 2023年度のラン活傾向や、気になるランドセルの選び方

小学校の入学準備に欠かせないランドセルは、子どもにとっても親にとっても特別な買い物。「今まさにラン活している真っ最中!」なんてご家庭も多いのではないでしょうか。そこで今回編集部では、老舗ランドセル工房の黒川鞄に注目。今年のラン活傾向や選び方などを黒川社長に伺いました。

黒川鞄にお邪魔したのは……

ライター みさと
ママ友がラン活していると聞いて、慌てて自分もスタート。よくわからないまま大量に資料請求し、とりあえず展示会に参加中。超老舗&超人気工房の黒川鞄で取材ができると聞き、娘を連れてラン活へ!

娘と一緒に、銀座 黒川鞄に行ってきました

今回お伺いしたのは、東京銀座にある黒川鞄。明治中期に創業され、約125年もの歴史がある鞄工房です。

天然素材にこだわり、すべての工程を熟練の職人さんたちが手作りで仕上げています。伝統的な製法で作られるランドセルの品質は最高クラス。毎年早期に完売するほど、非常に人気が高い工房です。

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黒川鞄のショールームが入る、銀座の紙パルプ会館

2023年度のラン活の傾向と、上手な選び方とは?

娘を連れていざ黒川鞄へ! ショールームにはいろいろな何種類ものランドセルが陳列され、圧倒されるほどでした。

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ショールームでは、全種類のランドセルの試着が可能。鏡を挟んで壁一面にランドセルが陳列されています

今回は黒川鞄の社長である黒川由朗さんに、ランドセルの専門家としてお話をお伺いできるということで、今年のラン活事情や選び方などをいろいろと質問してみました。

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黒川鞄 代表取締役 スーパー・クリエイティブ・ディレクター 黒川由朗さん

ラン活の時期はいつ?

――我が家では今年ラン活なのですが、例年と比べてラン活の時期はどうでしょう。いつ始めるのが正解ですか?

黒川社長:僕らの肌感覚で言うと、1学年・1ヶ月ずつ繰り上がっている印象です。たとえば先輩ママの話通りに始めると、少しずれてしまっているかもしれません。黒川鞄の場合、今年は年中の9月からカタログ請求が始まって、もうじきカタログの配布が終わりそうなんですよ。

――今は3月半ば(取材時)ですけど、もうなくなるんですか!?

黒川社長:そうですね。カタログ請求の件数は相当きています。(※編集部注:3月末時点で、カタログ請求はすでに終了しています)

最近やっとランドセルを見に行き始めた我が家としては、もうカタログがなくなるという事実は衝撃的。職人さんたちが手作りしている分、生産できるランドセル数も限られるため、カタログの配布量を調整しているのだそうです。

黒川社長のお話では、ここ数年の入学児童数は毎年約100万人。そのうちの約9割がいわゆる「量販店系」のランドセルを選び、残り1割のこだわりのある人が「工房系」を選ぶと言われているそうです。

――周りのママ友を見ても、こだわりのある人の方がラン活を早く始めている印象があります。量販店さんだと、販売開始や購入時期がもう少し遅い気がするのですが?

黒川社長:そうですね。量販店系は夏がピーク。僕らの場合のピークは春休みですね。ほかの工房系では1・2月から販売しているところもあります。2023年入学者向けは注文受付が3月17日から順次解禁で、ほかの工房さんと比べるとちょっと遅いくらい。昨年は3月半ばに解禁して、5月半ばには完売しました。

たった2カ月で完売になるとは……。黒川鞄の人気ぶりがうかがえます。

ランドセルをスムーズに選ぶコツは?

――ランドセルを見に来た親御さんがよく気にしているポイントや、逆に社長から見て気にした方がいいポイントはありますか?

黒川社長:予算や素材ではなく、色選びが優先になるご様子を見ていると、私たちとお客様とでギャップがあるなと感じますね。普通の買い物だとまず、予算があって、素材があって、形があって、色を選ぶと思うんですよ。でもランドセルは一生に一個買うものなので、おじいさん、おばあさんがスポンサーになるケースが多い。そうすると、予算は青天井のような状態になることが多いんです。素材については、コードバンと牛革とクラリーノでそれぞれ大きく違うんですが、買いに来る人は詳しいことまでよくわからない。「ランドセルの形も、まぁ似ている」となると、「まずは色を選ぼう!」となる方が多いんです。

確かに我が家でも、ラン活は色選びがメインになってしまいがち。ピンク一択な娘とキャメル推しな筆者とではまったく意見が合いません。ラン活を始めたばかりのときは素材をまったく確認せず、色や刺繍を優先的にチェックしていました。

黒川社長:色選びだと、多くの場合男の子はそんなに執着がないんですが、女の子はちゃんと自己主張をしてくれる。その代わり、お母さんと意見が合わなくて、(ランドセル選びに)時間がかかるケースをよく見かけます。女の子はどちらかというと、「鞄を選ぶ」というよりも「おもちゃを買う延長」の感覚になっちゃうんじゃないかな。

どうやら女の子をもつ大体のご家庭は、お母さんと意見がなかなか合わないのだとか。さらにおじいさん、おばあさんは昔ながらの赤や黒を勧めてくる場合もあるようで……。これじゃランドセル選びに苦戦するのも納得ですよね(苦笑)。

黒川社長:子どもに「小学校1年生から6年生まで使うんだよ」って言っても、本人が6年後を想像するのは無理があると思うんですよ。だからまず、親が予算と素材を決めたほうがスムーズに選べると思います。

ランドセルの相場は?

黒川社長:多少の地域差はありますが、ランドセルの相場は大体「1学年・1万円」として考えるとわかりやすいと思います。6年間で7万円前後がひとつの標準値ですね。そうするとうちの場合は、牛革になります。ランドセルは書類入れなので、生地が硬くて丈夫なほうがいいんです。クラリーノ、牛革、コードバンの順にグレードと値段が上がるので、一般的な予算で言うと牛革がベストチョイスです。

ランドセルの価格はピンからキリまで。上をみるときりがありません。ある程度の相場がわかれば、数あるランドセルのなかから候補を絞りやすそうですね。

黒川鞄が革にこだわる理由は?

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黒川鞄のランドセルの商品一覧。全部で85種類もある
工房系のなかでも高い品質を誇る黒川鞄。革の種類も多く、販売されているランドセルの形もさまざまです。なぜここまで多くランドセルがあるのか、牛革とコードバンの違いから聞きました。

――牛革とコードバンなら、コードバンの方が頑丈ですか?

黒川社長:別格ですね。押してみると硬さが違います。牛革は牛の全体の革が使えるんですが、コードバンは馬のお尻の革しか使えません。ランドセルが作れるほどの大きな革を用意するのも難しいのでお値段も上がるし、革が硬いから作るのも大変ですね。

――黒川鞄に革のランドセルが多い理由は何ですか?

黒川社長:他社さんとスタンスが違うからだと思います。効率化を求めるなら素材も型紙も同じ方がいい。けれどうちはそうじゃないだろうと。お客様の声を聞き、材料の特性に合わせて形も変えなきゃいけないと思いやってきた結果、種類が増えていきました。

黒川鞄さんではコードバンで6種類、牛革では7種類ものランドセルがあります。ラインナップの多さは、品質にこだわり続ける姿勢にありました。

「学習院型」と「キューブ型」の違いは?

ランドセルの形は大きく変わりませんが、本体と背あて部分にヘリがあるタイプのないタイプがあります。何が違うのでしょうか。

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左:ヘリがある学習院型 右:ヘリがないキューブ型
黒川社長:親御さんが使っていたころは、ヘリがある「学習院型」でした。荷物の入ったランドセルは重いから、ここでテンション(形状)を保ってた。ヘリがないのが「キューブ型」です。技術があるからヘリがなくても崩れません。見た目がシュッとして、コンパクトに見えます。容積は同じでも「キューブ型」の方が小ぶりに見えるのが特徴ですね。

横から見ると2つの違いが一目瞭然。写真右のヘリなしの「キューブ型」の方が一回り小さく見えます。使用する革も少ないので、ランドセル自体も軽く仕上げられるそうです。 

ランドセルを背負ったときのチェックポイント

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「匠・日本 長冠鞄コードバン」(黒川鞄パンフレットより)

ランドセルについて話を伺ったあとは、いよいよ試着。特に見た目の美しさが際立つ「匠・日本 長冠鞄コードバン」を、実際に見せてもらいました。

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皮が硬く、かぶせ部分は目を見張る美しさ!

ランドセルのかぶせ部分が錠前までカーブを描いているデザインで、高級感たっぷり。入手しにくい1枚革を贅沢に使用したモデルです。

触れてみると、革が硬くてとてもしっかりしていました。独特な曲線美は印象的です。かぶせ部分を作るために革を曲げるのは高い技術が必要とのこと。黒川鞄だからできる技術だと、業界内でも評価が高いランドセルだそうです。

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革がしっかりとしているのに背負い心地は軽い
――思ったより軽いですね。

黒川社長:見た目より軽く感じるかもしれません。お客様の要望に応えて軽くしました。

鏡に映ったランドセル姿の自分を見て、娘は「これがいいー♪」と即決! キラキラした刺繍やハートの型押しがないデザインを気に入ってくれたのは、初めてです。

さらに今年は黒川鞄ブランド「はばたく®ランドセル」の誕生20周年。コードバンのランドセルを購入すると、通常のネームタグとは別にペガサス型のネームタグももらえます。全5色展開で数量限定。「上のきょうだいの分も欲しいから別売りして!」なんて声も多いのだとか。
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牛革で作られたペガサス型のネームタグに、親子で一目惚れ♡
――ランドセルを背負ったときにフィット感が大切だと聞くのですが、実際にどういうところを見たほうがいいですか?

黒川社長:うちは肩ベルトが上に上がっている仕様なので、背中にすき間が空かないかを見てもらえればと思います。教材を入れた状態でトップ(かぶせ部分)と肩の位置が水平になるように保ってあげると背中にピタッと密着します。
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ランドセルが背中に密着していることが、体感が軽くなるポイント
ショールームでは、実際に教科書を入れてランドセルを背負うことができます。試しに、娘が背負っているランドセルに教科書を入れるとより背中にフィットし、すき間がないのか確認できました。抱っこ紐と同じように重さが分散されて、負担を感じにくくなる設計なのだそうです。
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ショールームに置かれた教科書や筆記用具。通学時の実際の重さを体験できる

雨雪に強く、安心して長く使える黒川鞄

日頃のお手入れと修理、リメイクについて

――購入した後、ランドセルのメンテナンスは必要ですか?

黒川社長:雨や雪をはじくから、(一部を除いて)メンテナンスは必要ないです。あえて言うなら、教科書が紙なので、濡れたら軽くぬぐっておけば大丈夫。ただ気をつけないといけないのは、濡れたレインコートをランドセルの中に入れると教科書が濡れちゃうので、ビニール袋を持たせてそれに入れるのがいいでしょう。

――濡れたらぬぐうのは、ランドセルのためというより教科書のためですか?

黒川社長:そうそう(笑)。ランドセルは全然大丈夫です。

――それはありがたいです。修理のことも気になるのですが、たとえばどんな修理が必要になる可能性があるでしょう?

黒川社長:普通に使っていれば壊れることはないですね。可能性があるなら(肩ベルトの上やロック部分などの)動くところ。リスクがあるという程度です。

基本的に壊れることはないそうですが、万が一に備え、黒川鞄さんでは有償、無償に関わらず、6年間修理保証を行っています。使う期間が長い分、親としては安心です。

ショールームでは、実際に6年間使用したランドセルが展示されています。多少の傷はあるものの、驚くほどきれいな状態でした。
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6年使用したとは思えないほど、型崩れのないランドセル
黒川社長:リメイクもしやすいですよ。ペンケースとか財布とか。お母さんが欲しいって言う人が多いですね。
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ランドセルからリメイクできる「ミニランドセル」「キーホルダー」「ペンケース」「お財布」

大人になっても使えるデザインのペンケースやお財布は、とても魅力的! 思い出が詰まったランドセルのリメイク、我が家もぜひ卒業後に試してみたいなと思いました。

黒川鞄について

●公式ホームページ
https://www.kurokawa-kaban.com/randoseru/

●販売開始時期と完売時期
現在販売中、一部売り切れになったものもあり。
昨年度は5月中旬に全ラインナップが完売。

●注文後の特典
パスポート、ギャランティーカード(個体識別のシリアルナンバー入り)、ギフトボックス、ネームタグ、レインカバー、時間割表

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(左)ネームタグ(男児モデルは四角、女児モデルはハート型)
(右)ランドセルが入ったギフトボックスには、世界地図が描かれています

ラン活をはじめるなら今! 高品質ランドセルも要チェック

今年のラン活は工房系なら春、量販店系なら夏がピークとのことでした。ラン活を始めるなら今がベストタイミング。3月末現在、黒川鞄ではすでに一部のモデルが早々に完売していますが、まだまだ販売中。ショールームへの見学予約も行っているので、気になる方は黒川鞄のホームページをチェックしてみるのがおすすめです。予算と素材の違いがわかっていれば、親子でお気に入りのランドセルをスムーズに見つけられそうですね。

クラリーノを見る機会が多かった我が家ですが、天然素材の堅牢さや革の美しさはとっても魅力的。牛革やコードバンならではのよさがありました。ラン活はまだまだ続きますが、これからは天然素材のランドセルも前向きに検討してみようと思います。

(文:みさと/取材協力:黒川鞄/編集:マイナビ子育て編集部)

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