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2022年03月16日 12:00 更新

意外と昆布を食べ過ぎてるかも?気を付けたい目安量と注意が必要な理由【管理栄養士監修】

昆布はだしに使ったり、煮物としてそのまま食べたりするだけでなく、市販の駄菓子やおつまみなどにも幅広く使われています。とても身近な食材ですが、食べ過ぎると心配なことがあるのをご存じでしょうか? もしかしたら、知らない間に食べ過ぎてしまっているかも? 食べ過ぎとなる目安や注意点についてお伝えします。

昆布を食べ過ぎるとよくない?

昆布をご飯のおかずとして食べるだけでなく、おつまみなどにも昆布を使ったものがありますよね。手軽に昆布を食べる機会はたくさんあります。しかし食べ過ぎには注意が必要です。昆布に含まれるヨウ素は過剰摂取すると身体に悪影響を与えてしまうからです。

ヨウ素の摂り過ぎのリスク

ヨウ素はミネラルの一種で甲状腺ホルモンの主な成分ですが、過剰摂取すると甲状腺機能低下症や甲状腺腫を発症する恐れがあります。ヨウ素を含む食品の代表的なものが海藻類です。なかでも昆布は群を抜いてヨウ素が多く含まれているため、食べる量が少なくても多くのヨウ素を摂ってしまいます。

昆布はどのくらいで「食べ過ぎ」になる?

おやつ昆布

では、ヨウ素の過剰摂取にならないように昆布を食べるには、どのくらいの量を目安に考えればいいのでしょうか?

おもな昆布製品のヨウ素量と食べる目安

ヨウ素の1日の耐容上限量(注)は15歳以上で3,000μgとされています[*2]。次に昆布中のヨウ素の量を見てみましょう。

・昆布だし(水出し)……100mlで約5,300μg
・結び昆布(水煮)……1つ(10g)で約1,900μg※
・昆布の佃煮……10gで約1,100μg
[*3]
※日本食品標準成分表の「藻類/(こんぶ類)/まこんぶ/素干し/水煮」の数値より計算

昆布だしには特に多くのヨウ素が含まれていることがわかります。結び昆布なら2つで耐容上限量を超えることに。昆布だしをそのまま飲んだり、毎日おでんなどで結び昆布を食べるということは少ないかと思いますが、昆布エキスの入ったカップ麺などもヨウ素を含んでいるので、気がつかない間に摂りすぎているかもしれません。

では、このほかの身近な昆布製品では、目安量はどれくらいになるのでしょうか。

(注)耐容上限量とは、この量を超えて習慣的に摂取した場合には、健康に悪影響をもたらすリスクがゼロではなくなることを表します。耐容上限量を超えたらすぐに健康を害するということではありませんが、習慣的に摂取する食品では、耐容上限量を超えないように注意が必要です。

おしゃぶり昆布・酢昆布|毎日は避けて

おしゃぶり昆布や酢昆布の原材料である真昆布(素干し)は1gでも2,000μgのヨウ素が含まれます[*3]。昆布1gはおしゃぶり昆布や酢昆布にすると1~2枚ほどです。少量でもヨウ素が多いので、つい食べ過ぎていることがないように気を付けたいですね。たくさん食べた場合は、その日は海藻類を食べることは控えたり、その後も毎日摂らないようにするといった工夫をしましょう。

また、昆布にしっかり味のついている商品が多いですが、味付けのない無添加のものを選ぶと食べ過ぎの予防になるかもしれません。

Lazy dummy

おしゃぶり昆布や酢昆布は水分を含ませながらよく噛んで食べるので満腹感を感じやすく、カロリーも低いためダイエット中におやつとして食べる人も多いかもしれませんが、毎日何枚も食べるようなことは避けましょう。

とろろ昆布・おぼろ昆布|毎日は避けて

同じく真昆布を原材料とするとろろ昆布やおぼろ昆布は、1食分(約3g)で耐容上限量を超えてしまいます。お椀にとろろ昆布とお好みで少量の醤油や塩を入れてお湯を注ぐだけで、おいしいお吸い物ができるなど、重宝したくなる食材ですが、頻繁に食べるのは避けた方がよいでしょう。

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とろろ昆布…昆布を重ねてひとまとめにして厚みの側面を薄く削ったもの
おぼろ昆布…昆布の表面を削ったもの。表面を削ったものは黒おぼろ、中を削ったものは白おぼろと呼ばれる

昆布茶|1日1杯程度

昆布茶は1杯分(2g)でヨウ素520μgです[*3]。そのため1杯で耐容上限量になってしまうことはありませんが、ヨウ素は昆布茶からのみ摂取するわけではありません。食事はいろいろな食品を組み合わせて摂るものなので1日に何杯も飲むのは控えましょう。また、1杯分に塩分が1g含まれるので塩分を摂り過ぎる可能性があります。

リスクだけじゃない!昆布のメリット

食べ過ぎるとよくないことを見てきましたが、もちろん、昆布には体によい効果もしっかりあります。昆布のメリットも知ったうえで上手に摂取していきましょう。

1.食物繊維が豊富

海藻類のとろみ部分に含まれるのがフコイダンやアルギン酸などの水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維のよさとして、1つには腸内環境を整え便秘の改善に役立つことが挙げられます。また、血糖値の急激な上昇を防いだり、ナトリウムを吸着して排出するはたらきやコレステロール吸収を抑制する効果もあり、肥満や糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の予防、改善が期待できます。

2.ミネラルがバランスよく含まれる

ミネラルは骨や歯、血液を作ったり、神経や筋肉に作用するなど、身体機能の健康維持に不可欠です。昆布にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅などの必須ミネラルがまんべんなく含まれています。

3.うま味成分のグルタミン酸が豊富

昆布にはうま味成分のグルタミン酸が含まれています。かつお節などに含まれるイノシン酸や、きのこなどに含まれるグアニル酸と組み合わせると、うま味の相乗効果でおいしさが増すだけでなく減塩にも有効です。

妊娠中や子どもの昆布の食べ過ぎは?

昆布 つくだ煮 おにぎり

妊娠中や授乳中は何を食べたらいいのか気になるりますよね。普段より特に注意した方がいいことはあるのでしょうか。また、子どもの場合はどうなのでしょうか。

妊娠中・授乳中の昆布|より摂り過ぎに注意

胎児や新生児はヨウ素の感受性が高く、お母さんがヨウ素を摂りすぎると赤ちゃんが甲状腺機能低下を起こすことがあります。そのため妊婦や授乳婦はヨウ素の1日の耐容上限量が2,000μgと、一般成人より低く設定されています[*2]。

2,000μgというと、たとえばおしゃぶり昆布なら1~2枚です。カロリーを気にせずおなかを満たしたいときに便利なので活用したいところですが、妊娠していない人よりも食べる量や頻度に注意が必要です。

なお、妊娠中の昆布の食べ方について詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
▶妊婦は昆布をどれくらい食べてよい?上限量と食べ過ぎたときの対処法

Lazy dummy

ただし、反対にヨウ素が不足しても、赤ちゃんの先天異常や甲状腺機能低下のリスクがあります。海藻類をまったく摂らないようなことはやめましょう。

子どもの昆布|大人よりも少ない量で

子どもの場合も大人と同様の健康障害が懸念されるため、長期間のヨウ素過剰摂取は危険であるとされています。子どもの耐容上限量(注)は、

1~2歳……300μg
3~5歳……400μg
6~7歳……550μg
8~9歳……700μg
10~11歳…900μg
12~14歳…2,000μg

と、大人よりも少なくなっています[*2]。おやつ昆布などを食べることも考えられるので気を付けましょう。

(注)耐容上限量とは、この量を超えて習慣的に摂取した場合には、健康に悪影響をもたらすリスクがゼロではなくなることを表します。耐容上限量を超えたらすぐに健康を害するということではありませんが、習慣的に摂取する食品では、耐容上限量を超えないように注意が必要です。

まとめ

昆布は健康にいいイメージがあり、口寂しいときや小腹を満たすために食べることもあるかもしれませんが、少量でもヨウ素が多いため頻繁に食べ続けると健康を害します。1つの食品だけで毎日、上限量まで摂っていいというわけではありませんので、1日の食生活の中でバランスよく海藻類を摂っていきたいですね。昆布やその他の海藻類を摂らないのではなく、摂り過ぎないようにしながら、適量を生活に取り入れていきましょう。

(文:二橋佳子 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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