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2022年03月04日 09:19 更新

いつから持たせる? 小学生の親に聞いた、子どもにスマホを持たせるメリット・デメリット #渡邊大地の令和的ワーパパ道 Vol.25

『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップをテーマにした著書が話題の渡邊大地さんによる新連載! 令和における新たなワーパパ像を、読者のみなさんとともに考えます。

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皆さんは「あおり運転」されたことがありますか?

ぼくは最近どういうわけか、よく「あおり運転」に遭遇します。「もっとスピード上げて! 遅れちゃう!」「まぶしいから、車の向き変えて!」「マック食べたいって言ってんじゃんか!」などなど、車内での散々の「あおり」を受けて、ため息が出るばかり。

昔は、車で女性の送り迎えをする男性のことを「アッシー君」(移動手段=足代わり)と呼んでいました。ぼくは、若いころに「絶対にオレはアッシー君のような男にはならない!」って決めてましたけどね。今や車の運転といえば、保育園や習い事、友だちと遊びに行く際の送り迎えばかり。まさか将来、子どもたちの「アッシー君」になって、「あおり運転」の渦中にさらされるなんて、夢にも思いませんでしたよ。

皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!

4年生で“みんな”スマホ持ってる!?

我が家には、2022年の春に中学に入学する長男がいます。彼が保育園のときの保護者パパで作ったLINEグループがあり、それがもう6年以上続いています。

先日あるパパが、「いよいよ息子にスマホを与えました。保育園の友達とLINEしたいと言ってるんで、スマホ持ってる子がいたら教えてください」という投稿をしました。直後に、別のパパが「うちはまだ娘にスマホを持たせてなくて、迷ってるんだけど、皆さんもう持たせてます?」とコメントしました。「うちはまだです~」というパパもいれば、「お下がりのスマホ使わせてます」というパパもいるし、「子ども向けの携帯を買ったら、『クラスの友だちとLINEができない』って言って、結局スマホを買い直したよ」というパパも。

2021年の内閣府の発表[*1]によると、小学生でスマホを持っている子(下記グラフ、左から2グループ目の水色部分)は40.2%だそうで、5人に2人ということになります。ちなみに、中学生では67%、高校生では94.2%ですから、中学では3人に2人、高校生はほとんどの子が持っている状況ですね。

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我が家の長男も、低学年のころからしょっちゅう「スマホが欲しい」とねだっていまして、その都度「まだ早い」と一蹴していました。4年生ころになると、「クラスの“全員”が持ってるのに、オレだけ持ってない」と言い出して、「そんなわけあるか!」とこれも一蹴していましたが……。

4年生の3学期、妻が参加した小学校のクラス懇談会で、担任の先生から「お子さんにスマホを持たせている家庭は?」という質問があり、その時点で8割ほどの保護者が挙手したそうです。妻曰く、「つられて手を挙げちゃいそうになるくらい、“みんな”手を挙げてた」とのこと(実際にはキッズケータイも含めた数だったようです)。

そうした事実が発覚したため、急遽、我が家でも「子どもにいつスマホを持たせるか緊急会議」が行われました。

インターネットとの付き合い方に慣れることを重視

スマホを持たせるとお金がかかるとか、有害なサイトにアクセスするんじゃないかとか、依存症になるんじゃないかとか、いろいろ懸念事項はありましたが、ぼくら夫婦がまず考えたのは、「今の時代は仕事も私生活もインターネットに頼っている面が多く、インターネットとの付き合い方に早いうちから慣れておいた方がいいんじゃないか」ということでした。

ぼくが小学生のときは、国語辞典をどれだけ早く引けるか競争して、勝ったヤツは人気者になれるような時代でした。それが今や、娘(小3)から「パパ~、○○ってどういう意味?」と聞かれて、「そういうのは国語辞典を引きなさい」と答えると、娘から「じてんを“ひく”って何? ひくわ~、ってこと?(ドン引きする、の意味)」「あのなあ……」って言ってる間に、息子が「こういう意味だって」とスマホの画面を見せる時代。父親の威厳もなければ頼り甲斐もない、スマホさえいなければ威厳が保てたのに!

――と嘆いても仕方ないわけです。

とにかく、国語辞典も、地図も、電話帳も、調べなくてもスマホに「入っている」世の中なので、ぼくら夫婦がそれを受け入れて、正しい使い方をさせないといけないんだろう、という前提で前向きにスマホを持たせることにしました。

それにあたって、まず息子にこの本を与えて、熟読させました。

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『学校では教えてくれない大切なこと(12)ネットのルール』(旺文社)

この本は、自分用のタブレットを持って“モテたい”主人公・マナブと、ネットのルールをうまく教えることができずに戸惑う家族のもとに、スマホとタブレットを駆使して1日1万人が見に来るブログを運営するおじいちゃんが降臨。あれもしたいこれもしたいマナブに対して、インターネット、メール、SNS、ネットオークションなどについてわかりやすく解説してくれる本です。メリット・デメリット両面から教えてくれることや、ほぼ全編マンガで非常に読みやすいので、親子で勉強できる本です。

この本を読んだうえで、ぼくたち親が出題する問題に息子がすべて答えられたら、購入する権利を獲得できます。

「なんで個人情報をネットに書いちゃいけないの?」
「身に覚えのない請求メールが来たらどうする?」
「クラスLINEで誰かの悪口が書き込まれてたらどうする?」

こんな感じだったと思います。正解でなくてもいいので、きちんと考えて答えられるようになった時点でOKとしました。

結局、ぼくたち夫婦は息子が小5の冬にスマホを買い与えました。

息子が祖父母とLINEでやり取り

中学デビューする子やもっと遅い子もいるなかで、我が家の息子に小5でスマホデビューさせた理由は、「ネットとの付き合い方に慣れるため」ということのほかにもう一点ありました。

遅かれ早かれいつか購入するとして、その時点で息子が反抗期真っ最中だったりして、「スマホのルールもへったくれも関係ねえ!」っていうなかでのスマホデビューだとまずいな、と思ったことです。今ならまだ「こういう使い方はダメだよ」「こういう約束にしよう」という話ができるので、「その話し合いができるうちに持たせたほうがいいよね」という考えです。

持たせてみて、意外によかったなと思ったのは、祖父母とときどきLINEのやり取りしていることです。ほとんど祖父母側から発信しているようですが、息子はきちんと応答しているみたいで、祖父母も喜んでいます。

そのほかにも、持たせている友人に話を聞くと、

●子どもの位置情報が分かるので、子どもだけで出かけたときに安心材料になる
改札を通過したことをメールで知らせてくれるサービスを使っていて、塾の行き帰りに利用している
●親子で「ポケモンGO」をやって共通のネタができた
●子どもがアラーム機能を使って、習い事に行く時間を忘れないようにしている
●スマホに慣れているので、学校のパソコンの授業もある程度スムーズに受けられている

など、一定のメリットがあるようです。

朝起きると、未読のLINEが80件!?

もちろん、デメリットもあります。

ある朝息子が起きてきてスマホを開けて「はぁ~~~~」と長い溜息をつきました。就寝中の未読LINEが80件以上来ているんだそうです。

息子はクラスLINEに加入していて、宿題の確認をしたり、遊ぶ約束をしたりと、いい面もありますが、ときどきこうして意味もなく大量にスタンプを押してくる子もいるんだとか。それに対抗して大量スタンプ返しをする子もいたりして、夜中にスタンプの応酬に。朝起きると、100件以上未読があることもあるそうです。

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特に悪いことがはびこっているわけでもなければ、クラスLINEを抜けろとも言いませんが、子ども社会ってこういうこともあります。ただ、この80~100件のメッセージを遡って読み返すだけでも大変です。これが毎日とはいかなくとも、週に3~4回くらいあるとなると、正直大人でもウンザリします。

また、休みの日には朝からリビングのソファに横になって、ず~っと一日中スマホをいじっていることもあります。あるときは、家庭教師の授業中にスマホをいじりだしたこともあって、先生から注意されたことがありました。まあ、子どもですからこういうことも経験して、時に怒られて、学んでいくんだと思います。

ぼくもそんな息子を見て、「こういうのを依存症って言うんだな」と内心イラっとしつつ、その直後に自分のスマホでSNSチェックをしながら、「あ! オレもだ!」と気付いたりします。

SNS系のトラブルはやはりどこの家庭でもあるようで、

●クラスの特定の子の悪口を言うために、クラスLINEのほかに“裏”クラスLINEがあるらしい
●クラスLINEで「みんなで裸の写真送り合わない?」という誘いが来たことがある
●クラスLINEでカンニングの打ち合わせをしていた
●一晩で誰が一番たくさんスタンプを押せるか競争していた

などという話を聞きました。もし子どもにスマホを持たせるなら、どんな使い方をしているのか、「変だな?」と思うことがないか、親がときどき聞いてみた方がいいと思います。

親としてスマホチェックはする? しない?

持っているものを見るな・使うな、というのは難しい話です。我が家では、息子がスマホを持つにあたって、いくつかのルールを決めました。スマホデビューに当たって決めたことはコチラです。

●課金、有料のアプリ取得はしない(フィルタリングしているので勝手にはできない)
●朝は家族全員が朝食を終えるまでスマホをさわらない、夜は8時で終わり
●LINEなどSNSで他人の悪口を書き込んだり、不必要に自分(家族を含め)の写真・個人情報をアップしたりしない
※その他、有害サイトのフィルタリングをしています

その後、運用しながら追加したのがコチラです。

●家にいるときはリビングに置いておき、リビング以外に持ち出さない。使うのもリビングで

ちなみに、「スマホを触っていい時間は1日○分(○時間)まで」など決めたこともあったんですが、結局子どもはそれ以上にさわりたくなるし、親もいちいち時間の管理をする方がストレスになるので、今では制限時間を設けていません。制限を取っ払ったことによる「またスマホばっか見てるな~」というストレスはありますが、「制限時間過ぎてる!」ということをチェックするストレスに比べるとぼくは格段にマシだと感じるので、これでいいと思っています。

ほかに、周囲のパパ・ママたちの話だと、以下のようなルールを設定しているそうです。

●勉強したのと同じ時間だけスマホをさわってよしとしている
●ネット検索は認めるが、YouTubeは認めていない(YouTubeばかり見るようになって家族団らんの時間が減ったためだそうです)
●学校のテストで80点以下を取った場合は1週間スマホ禁止
●ゲーム、スマホ、タブレット、すべて合わせて1日の視聴時間を○分までとする

それから、「子どものスマホをチェックするか」については、ぼくの友人のなかでも意見が分かれました。「当然する」というパパもいれば、「別に決めてないし、今まで見たこともない」というパパもいるし、「妻はときどきチェックしているみたいだけど、オレは見たことない」というパパもいました。

我が家では、「チェックしない」方針です。やはり子どもといえどもプライバシーがありますし、ぼくがもし親からスマホチェックをされたらすごくいやだと思うので、息子を信じてみたいと思っています。

なかには「月に1回チェックするよ」という約束で、子どもの見ている前でチェックする、という家庭もありました。親子で決めたルールであれば、ぼくも賛成です。

ニュースなんかでよく聞く「子どもが勝手に課金して、何万円も請求がきた」というのは、ぼくのまわりでは聞いたことがありません。課金・有料サイトの利用等は親の方でロックできるので、それさえ忘れなければ、子どもが勝手に使い込むトラブルは回避できるはずです。

※「子どもが親のスマホで間違ってAmazonでゲームソフトを注文した」という被害は聞きました(笑)

ぼくらが子どものときとは文化が違う

「いつから与えるか」「どんなルールを決めるか」に正解はないので、いったん家族みんなで納得するところからスタートしてみて、生活に合わせて修正していけばいいんじゃないでしょうか。

冒頭のパパたちのやり取りにもあったように、子どもたちはLINEをするためにスマホが欲しい、という動機が強いようです。ですから、ぼくのまわりでも子ども向け携帯(ガラケータイプのもので、LINEが使えない)を与えているという話はほとんど聞かず、スマホばかりの印象です。

うちの息子も、「野球少年団に行っているからスマホがあったほうがいい」という口実がありましたが、結局ぼくが車で送り迎えしているので、スマホを外で使う機会など皆無です。「いらなかったじゃん!」と思うこともありますが、妹たちがケーキ作りしているのを息子がスマホで撮影しているのを見たりすると、まあこういうのも悪くないかなと思ったりもします。

なお、「息子の小学校のクラスでは、4年生の時点で8割近くの家庭が子どもにスマホ・子ども向け携帯を与えていた」と書きましたが、パパたちのLINEグループでは、「6年生で与えた」または「中学入学のタイミングで与えようと思っている」という声が多かったです。

「お金かかるしな~」「大して使う必要がないのでは?」というネガティブな思いは親なら誰しもあると思いますが、ぼくらが子どものときとはもう文化が違うので、「うちはいらない!」「まだ早い!」と片付けたい気持ちをぐっとこらえて、子どもの言い分もよく聞いた上で、家族みんながハッピーになるようなスマホ・インターネットとの付き合い方を目指したいですね!

今回のまとめ

家族みんなでスマホルールを決め、子どものネット付き合いを見守ろう!

(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)

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