【医師監修】赤ちゃんの視力発達について テレビは見せない方がいい?
「やっぱりテレビは見せないほうがいいの?」「目の病気は遺伝するの?」「色の区別はいつから?」など、赤ちゃんの視力で心配していることはありませんか。発達によって見え方は変化します。新生児、生後2ヶ月から5ヶ月、1歳ごろまでの赤ちゃんの視力の発達経緯を把握しておきましょう。
月齢で見え方に変化が! 赤ちゃんの視力の発達プロセス
赤ちゃんには早くパパ・ママの顔を認識してほしいですよね。赤ちゃんの視力はどれぐらいの月齢ではっきり顔を認識できるほどになるのでしょうか。
生後1ヶ月の赤ちゃんの視力は?
生まれて間もない赤ちゃんの目は、まだ見えていません。生後1ヶ月から2ヶ月目でも、視力は0.01から0.02ほど。それでも、少しずつ近くにあるものをじっと見つめるようになり、生後2ヶ月もすると色も分かるようになります。赤ちゃんの目の前でおもちゃをゆっくり動かしてみて下さい。赤ちゃんの視線もおもちゃを追いかけるはずです。
赤ちゃんの視力は生後5ヶ月で0.04以上に
生まれてから3ヶ月以降は、どんどん視力が上がっていきます。生後3ヶ月前後で両目の焦点が合うようになるので、人の形も何となく分かるようになります。5ヶ月になる頃には、0.08まで視力が伸びる赤ちゃんもいます。目の前のものが動くと目で追う追視もできるようになり、また、笑うママとパパの口元も認識できるようになります。視力だけではなく、手も連動して発達しているので、目と手を動かす知育おもちゃも効果的です。
1歳の赤ちゃんの視力は0.2前後まで上昇
生後半年も経つと周りの大人の顔を区別できるようになるため、人見知りも始まります。また、お座りができるようになると寝ているだけの時期よりも視野がグンと広がり、好奇心旺盛になります。
1歳になると視力も0.2以上になるので、パン屑のように細かいものも確認できるようになります。1歳から3歳になるまで、順調に成長すると視力は1.0近くまで伸びます。
赤ちゃんにテレビを見せるとどんな影響が?
赤ちゃんのテレビ視聴にはどのような問題が出てくるのでしょうか。幼い子供のテレビ視聴を控えるべき理由や、テレビを見せる場合の注意点について紹介します。
2歳まではテレビを控えるべき理由
日本小児科医会では、「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう」と提言しています。理由の1つは、テレビを見せっ放しにすることで、ママやパパとのコミュニケーションタイムが少なくなってしまう可能性があるため。確かに、1日中テレビやDVDをつけたままにして、放置してしまうと日中ママと触れ合う時間が減ってしまいますよね。毎日長時間テレビを見続けた赤ちゃんは、言語や社会性の発達に悪い影響が及ぶと指摘する専門家もいます。
しかし、1歳前から子供番組に興味を示す赤ちゃんは多くいます。日中、一人で育児と家事に追われているママは、赤ちゃんが子供番組を見ている間だけでも手が空くので、毎日の習慣になっているケースもあるでしょう。また、上の子がいる場合、下の子も一緒にテレビを見る機会も増えます。2歳まで全くテレビを見せない、というのは現実的には難しいかもしれません。
赤ちゃんにテレビを見せる時に気をつけたいこと
赤ちゃんにテレビを見せる時は、見せっ放しに気をつけましょう。身体を動かして遊ぶ時間やママとコミュニケーションを取る時間を十分に確保するためにも、テレビやDVDを見せるのは長時間にならないよう注意しましょう。乳児は睡眠時間も長く、24時間のうち、遊んだり親子で触れ合ったりする時間はそんなに長くありません。DVDを流しっ放しにするなど、メリハリのない見せ方は止めて、見せる時間を意識して制限して下さい。できれば続けて見せるより休憩を挟み、連続で見続けないよう工夫するのが理想的です。
番組の内容も動物や美しい景色を楽しめるもの、言葉の学習になるものを選べばよい刺激になります。一緒に踊ったり歌ったりできる番組なら、楽しい親子遊びの1つになるので、必ずしも「テレビ=害」とは言い切れません。パパ・ママも隣で見て「ゾウさんだね」などと声をかけるなど、コミュニケーションをきちんととることが大切です。抱っこしながら見るのもお勧めです。
テレビに近づき過ぎないよう、座る場所をいつも決めておく対策も有効です。赤ちゃんは目まぐるしく動くテレビの映像に興味を示し、近くに寄って行ってしまうものです。近づきすぎないよう柵を用意しておくなど工夫しましょう。
目の病気は赤ちゃんに遺伝するの?
パパやママに目の病気があると、自分たちの赤ちゃんに遺伝するのではと心配になるでしょう。果たして遺伝の可能性はあるのでしょうか。
赤ちゃんに遺伝する目の病気もある
すべての目の病気が赤ちゃんに遺伝するわけではありませんが、遺伝する場合があることも事実です。例えば、近視は遺伝するものがあることが分かっています。可能性がある場合は特に目の健康に気をつけてあげましょう。照明は明るすぎや暗すぎに気をつける、テレビは長時間(40分以上など)見続けさせないなど、基本的な対策を徹底するだけでも、視力低下予防に役立ちます。
遺伝性の目の病気とは
遺伝性の目の病気はさまざまあります。近視、遠視、乱視などの屈折異常や斜視、色覚異常、先天性白内障、緑内障、網膜色素変性なども、遺伝によって発症することのある疾患とされています。網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)と呼ばれるがんにも遺伝性のものがありますが、早期発見、早期治療に取り組めば、治せる可能性があります。遺伝する可能性があるか事前に把握することで、早め早めに対策を施すことができます。
定期健診で赤ちゃんの視力異常をチェック!
赤ちゃんが生まれたあと、1ヶ月健診など定期的に健診があります。面倒くさい、と感じるママもいるかもしれませんが、赤ちゃんの視力もチェックしてもらえる絶好のチャンスなので毎回きちんと参加しましょう。健診では医師や助産師が赤ちゃんを診てくれます。目の動きや見え方など、少しでもおかしいところがあれば指摘があり、場合によっては治療も勧められます。
まとめ
赤ちゃんの視力は身体機能が発達するにつれて伸び、徐々に見え方も変化します。目がよく見えるようになるとテレビやスマホにも興味を持ち出すでしょう。赤ちゃんや小さな子供が楽しく見られる番組もたくさんありますが、ママも一緒に見て放置しないこと、たくさん声をかけながら見ること、きちんと時間を決めて長時間見せ続けないことが親子のコミュニケーションのためにも大切です。
※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.05.28)
※記事の修正を行いました(2019.06.24)