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2021年01月09日 15:24 更新

【医師監修】子宮頸がん検診の重要性は? 受けるべき3つの理由

子宮頸がんは自覚症状がないため、自分ではなかなか気づけません。早期発見のためにも検査を受けましょう。「検査は保険が効くの?」「生理中もOK?」「痛い? 出血は?」など、よくある疑問に答えます。

子宮頸がん検診の役割・目的

子宮頸がん検診で事前の問診を受ける女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

「子宮頸がん検診を受けましょう」とよく言われますが、子宮頸がんが、どんな病気かご存じですか? 病気の特徴や、検査についてご説明します。

子宮頸がん検診を受けるべき3つの理由

・自覚症状がなく若い女性も発症

子宮頸がんは、子宮頸部(子宮の入り口部分)に発生する女性特有のがんです。原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)で、主に性交渉によって感染します。HPVは、多くの女性が一生に一度は感染すると言われるありふれたウイルスで、HPVに感染しても必ず発症するわけではありません。通常は、HPVに感染しても免疫機能によって排除されますが、ウイルスが排除されずに感染が継続する場合、その一部の人で、がんの前段階の異型細胞が発生し、これが治癒することなく増殖すると子宮頸がんになります。

以前は40~50歳代に多いといわれていたのですが、最近、20~30歳代での発症が増えています。初期の子宮頸がんは自覚症状がないので、検診を受けることで早期発見につなげることが大事になります。

・子供が産めなくなってしまうこともある

子宮頸がんの治療は、がんの病期(ステージ)や年齢などそれぞれの患者さんの病状に応じて選ばれます。がんのある子宮の頸部組織を円錐状に切除したり、場合によっては、子宮を摘出しなくてはならなくなることも。それは早産のリスクが高くなったり、子供を産めなくなることを意味します。若い女性には、「子供はいらない」と思っている人もいるかもしれませんが、ずっと考えが変わらないとは限りません。「若いころは子供は欲しくなかったのに、年齢を重ねてから、どうしても子供を産みたくなった」という女性も珍しくありません。将来、後悔しないためにも、定期的に検診を受け、早期発見につなげましょう。

・命を奪われることもある

子宮頸がんは命を奪われることもある病気です。発見が遅れると子宮の周りの組織、膀胱や直腸の粘膜までがんが進展して、手術では取り切れない状態になってしまいます。この段階まで進行すると根本的な治療は難しく、延命目的の化学療法などが主となります。検診で早期発見できれば、このようなリスクを回避することができます。

子宮頸がん検診は何歳から受けたほうが良いの? 頻度は?

子宮頸がんは20歳代から増加し始めます。そのため、20歳以上の女性は検査を受けることが推奨されています。受診の間隔は2年に1度ですが、もちろん毎年、受けてもOKです。市区町村からの補助がある場合が多いので、上手に活用しましょう。

子宮頸がん検診の内容・当日の流れ

子宮頸がん検診を初めて受けるときは、心配や不安を感じてしまうかもしれません。検査の流れを簡単にご紹介しましょう。

問診

子宮頸がんの検診は、問診から始まるのが一般的です。問診票に記載した情報をもとに、担当医からいろいろ質問されます。答えにくい質問もあるかもしれませんが、詳しく話したほうが検査に役立ちます。過去の流産、中絶経験についても聞かれますが、口頭で伝えにくいことは問診票に書いておきましょう。

子宮頸部細胞診

問診のあとは内診台に上がり、子宮腟部の視診(腟鏡を挿入して観察)、子宮頸部細胞診(ヘラなどで優しくこすって細胞を採取)を行います。緊張して下半身に力が入っていると不要な痛みを感じることがあります。短時間の検査でほとんど痛みを感じることはないので、リラックスして臨みましょう。細胞診ではごく稀に出血することもあるので、念のためナプキンを用意しておくとよいでしょう。

子宮頸がん検診のここが気になる

どこで子宮頸がん検診を受ければ良い?

子宮頸がん検診は婦人科で受けます。自治体や健康保険組合の補助が出ることがあるので、条件を調べてみてください。補助によって2,000円前後で受けられるケースが多く、無料になることもあります。補助なしに検診を受ける場合、保険は効かないので5,000円前後の費用がかかります。なんらかの症状がある場合や精密検査の場合は健康保険が適用されます。

当日どんな服装で子宮頸がん検診を受ければ良い?

子宮頸がん検診では内診を行うので、脱ぎ着しやすい服装を選びましょう。脱ぐのに時間がかかるブーツは避け、ストッキングより靴下の方が良さそうです。病院によってはガウンのような検査着に着替えることもあります。また、検査内容に影響する可能性があるので、前日の性行為、腟の念入りな洗浄は避けてください。

問診票にはどんなことを書くの?

検診当日、受付を済ませると問診票を渡されます。これまでに子宮頸がんの検査を受けたことがあるかどうか、ある場合は最後に検査を受けた日付を記入します。普段の月経周期や最終月経、既婚か未婚か、妊娠、出産経験の有無もスタンダードな質問です。婦人科系の病歴の有無、現在治療中の疾患の有無、子宮関係の病気を発症した血縁者がいないかどうか、質問されることもあります。おりものの異常など、気になる症状があったら予備欄に書きましょう。せっかくなので、気になることは積極的に質問しておくと今後も安心です。

生理で出血中…子宮頸がん検診はキャンセルすべき?

子宮頸がん検診の予約を入れた当日、生理になってしまった場合はどうしたら良いでしょうか。生理中でも検査を受けられるかどうかは検査を実施する医療機関によって異なります。生理中は対象外としているところもあれば、生理の終わり頃で少量の出血であれば検査可能としているところもあるので、受診する医療機関に問い合わせてください。

妊娠中でも子宮頸がん検診は受けられる?

子宮頸がん検診は妊婦検診の必須項目になっているので、妊婦さんは必ず受けることになります。検査が、お腹の赤ちゃんに影響を与える心配はありません。

妊娠中に子宮頸がんが見つかったら?

妊娠中に子宮頸がんを発症していることが分かった場合、がんの進行度合いによっては、厳しい選択を迫られることがあります。

初期段階の場合は子宮頸部の一部を切り取る円錐切除手術が選択されます。ただし子宮頸管が短くなるので、早産、流産のリスクが生じます。

円錐切除では取り切れないほど、がんが進行している場合、妊婦さんの命を救うため赤ちゃんを諦めて子宮を摘出しなければならないケースも考えられます。また、妊娠を継続する場合、妊娠中は抗がん剤や放射線による治療は行えないので、がんは進行します。この場合、お母さんの命が危険にさらされることになります。

まとめ

子宮頸がんは感染、発症しても手遅れになるまで自覚症状が出ません。そのため、気づいたときには子宮摘出手術を受けなくてはならない段階まで進行している可能性もあります。最悪の場合、手術もできないほど転移し、命が奪われることもあります。自分の体や未来を守るためにも、子宮頸がん検診を定期的に受けることが大切です。

また、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)はワクチン接種で感染予防が可能です。予防接種は任意ですが、中学1年生から高校1年生相当の女性への接種は公費助成の対象となっており、自治体によっては無料で受けることができます(半年の間に3回、受ける必要があります)。副作用(副反応)を心配する声もありますが、接種率の高い国ではHPVの感染率や子宮頸部の異型細胞の発生が減少する効果が見られており、有用なワクチンだと考えられています。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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