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2022年01月14日 18:54 更新

「この漫画で、自分が受けているのはモラハラだと気づいてほしい」『モラハラ夫に人生を狂わされた話』作者・もちさんインタビュー

「この男、ヤバすぎる……」モラハラ、借金、出産中の妻を放置などなど、想像を絶するモラハラ夫の行動の数々に、Instagramで大反響を呼んだ漫画『モラハラ夫に人生を狂わされた話』。自身も元夫からモラハラを受けていた経験を持つ作者・もちさんに本作への思いを聞きました。

もちさん
小学生の娘2人を育てるシングルマザー。モラハラ夫との結婚から離婚までを赤裸々につづったブログが話題に。2019年11月からはモラハラ夫から受けた壮絶な体験を自ら漫画化、Instagramで公開し、その衝撃すぎる内容が話題を呼ぶ。

ブログ「もちママブログ」
Instagram @mochimama129
マイナビ子育てでは、もち・作『モラハラ夫に人生を狂わされた話』を連載中!

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『モラハラ夫に人生を狂わされた話』が生まれた理由は? 作者・もちさんに聞く

――『モラハラ夫に人生を狂わされた話』を書こうと思ったきっかけを教えてください。

モラハラの実態やモラハラをする人の存在を伝えたかったからです。過去の私のように自分を責めて苦しんでいる人がいるなら、この漫画が「自分が受けているのはモラハラなんだ」と気づくきっかけになってほしい。そして、その苦しみから解放されたらいいなと思い『モラハラ夫に人生を狂わされた話』を描き始めました。

実は、私も元夫と別居するまでモラハラを受けていた自覚がなかったんです。でも、結婚生活では「なんでこんなに夫に責められるんだろう」と感じていて……。別居して、モラハラについて書かれた新聞記事を読んで初めて自分が受けていたものがモラハラだったと気づき、とてもスッキリしたのを覚えています。


――自身がモラハラから解放されたからこそ、同じ境遇の方に「あなたが受けているのはモラハラなんだ」と知ってもらいたかったんですね。

私も当事者だったのでわかるのですが、「おまえが悪い」と言われ続けると悪いのは自分だと思い込んで自己犠牲に走ってしまうんです。誰かに「あなたは悪くない」と言ってもらえていたら、元夫に”洗脳”されることなく自分をもっと大事にできたかもしれません。

それともうひとつ、こんな男に騙されたのは私だけじゃないことを証明したくて作品を描いていました。

――と、言うと、モラハラ夫のことで周囲に責められた経験があるのでしょうか?

別居前からたくさん助けてくれた実母に、離婚後、「あんな男に騙されるのはおまえくらいだ!」と散々言われてしまったんです。母自身も離婚経験者なのに、どうして結婚の失敗を責められなきゃいけないんだと理不尽に思っていて。だから、「あんな男に騙されるのは私だけじゃない!」と母に反論したくて描いた節もあります。

作品を描く中で共感のコメントをたくさんいただきましたし、同じような境遇の方がいることもわかって、結果的に「私だけじゃないんだよ」と母に伝えられて満足しました(笑)。

今は、モラハラがどういうものなのか、いろいろな人に知ってほしいと思いながら描いています。

――作品を描くうえでこだわったポイントはありますか?

『モラハラ夫に人生を狂わされた話』は私の実体験をベースに描いた作品なので、いかにリアルに表現できるか、にはこだわりました。

――たしかに、初めての子どもが生まれたのに生後3ヶ月になるまで一度も会いに来なかったり妻に消費者金融からお金を借りるよう迫ったりと、にわかには信じがたいアキラの言動がたくさんありました。

『モラハラ夫に人生を狂わされた話』は、「自分は大丈夫って思っているかもしれないけど気をつけて!」という思いを込めた作品です。

読者の中には「嘘でしょ? 本当なの?」と感じた方もいると思います。でも、この話は私が実際に体験したことで、現実なんです。これは現実に起こったことだと、こんな人が世の中にいるんだと知ってほしくて、暗い内容も描くことにしていました。


――現実で起きたことをリアルに伝えたかったとはいえ、シリアスな内容を自ら発信することに迷いなどはありませんでしたか?

元夫には性行為や中絶など、たくさん強要されてきました。それらに「家族だから」とか「お前のために」なんて言葉がつくと、「私のことを思って言ってくれているんだ」と都合のいい解釈しかできなくなってくるんです。ですが、シリアスなシーンなくしてモラルハラスメントの実態は語れないので、省くことはまったく考えていませんでした。

リアルな友人にはなかなか話せないことでも、SNSだったら発信できる。SNSならではの気軽さに助けられて、この作品を描けたと思っています。また、SNSで連載していたからこそ得た知識もあります。たとえば、夫婦間であっても同意がなければ性的DVになることはフォロワーさんに教えてもらって初めて知りました。

――シリアスな内容でも逃げずに描くことで、リアリティーを追求したんですね。本作品はドキッとする内容も多いですが、一方でアキラがコミカルに描かれるなど、ただ暗い話では終わらない工夫がされているなと感じます。

暗すぎると読んでいて疲れちゃいますから……(苦笑)。読者に最後まで楽しく読んでもらいたかったので、クスッと笑える作品づくりを心がけていました。「次はどうなるの?」というドキドキを感じてもらったり、「ワクワク、ハラハラするけど続きが気になる!」と楽しみにしてもらえるように、自分なりに工夫して描いていましたね。

でも、元夫を許せない気持ちがあったので、いかに憎たらしく描こうかと常に考えていました(笑)。描きながら本当に腹が立ったときもありましたし、漫画を描く中で「なんでこんな男に引っかかったんだ?」と疑問に思うくらい、自分を客観的に見ることもできました。

そうこうしているうちに、“アキラ“というキャラクターができあがり、「憎いけどどこか憎めない」キャラとして自分の中で定着して、描きやすくなりました。

――『モラハラ夫に人生を狂わされた話』はInstagramで連載されていましたが、読者からの反響はいかがでしたか?

反響は大きかったですね。「私の夫もこうです! もしかして同一人物ですか?」「モラハラ養成所がどこかにあるんじゃないの?」などなど、たくさんの共感、同意のコメントをもらいました。「昔付き合っていた人にされたことはモラハラだったんだ」「夫がしてくることってもしかして……」と、自分がモラハラ被害者だと気づいた方や、モラハラをするパートナーと離婚して新たな生活を始めた方もいました。私が願っていたとおり、この漫画がモラハラを気づくきっかけになって嬉しかったです。


――共感、同意以外の反応はありましたか?

「ありえない」「なんでこんな人と結婚したの?」「早く別れればよかったのに」など、アキラに対する苛立ちを隠せないコメントや、私に対する疑問のコメントも、もちろんありました。

モラハラをする人は、結婚するまではとても優しくていい人です。でも、いきなり豹変するのでわかりません。アキラの場合は、仕事を辞めて無計画な事業を始めたことでいっぱいいっぱいになり、隠れていたモラハラが覚醒したんじゃないかな、と思っています。まあ、結婚前からおかしな部分はありましたが、私も頭の中がお花畑状態だったので(苦笑)。

――本作はもちさんの実体験をベースに描かれていますが、その中で印象に残っているエピソードはありますか?

里帰り中に元夫に新居探しをお願いしたときの「新居サプライズ事件」は忘れたくても忘れられないですね。

元夫に間取りや家賃などの要望は事前に伝えていましたし、物件の写真も送ってもらっていました。でも、実際に連れていかれた新居は今まで見せてもらっていた物件とまったく違う、家賃2倍の新築マンション。こんな嬉しくないサプライズは初めてでした(笑)。


――パートナーなど、周囲の人からのモラハラに悩む方に向け、メッセージをお願いします。

モラハラをする相手とまともに会話が成り立たず、仕方がないと諦めている方が多いかと思います。モラハラをする人はいろいろな言葉をそれらしく並べて丸め込もうとしてきますが、あとでその言葉を思い返すと「ん?」と疑問に思うことがほとんどです。お前のために、お前が可哀想、お前が悪い、誰のおかげで生活できていると思っているんだ……など、一見こちらのことを思ってくれているように見えますが、実際は自分自身を守るための言葉を並べているだけにすぎません。

いま隣にいる人と対等で、笑って過ごせるなら大丈夫。でも、そうじゃなければ一度立ち止まって考えてほしいなと思います。自分ばかり我慢したり、自分を責めていませんか? 隣にいる人と笑って生活できていますか? そうでない人に自分の人生を捧げることはやめて、幸せな道を歩んでほしいです。

自分の人生は自分のもの。

【試し読み】『モラハラ夫に人生を狂わされた話』第1話

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(マイナビ子育て編集部)

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