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2022年03月08日 17:15 更新

銀杏の食べ過ぎで中毒になるって本当?何個までOK?食べ方の注意点を解説【管理栄養士監修】

秋になると食べたくなる銀杏(ぎんなん)。食べ過ぎてないかな?と心配になりながらも、つい美味しくて食べてしまったりしますよね。体にいいイメージもあるので好んで食べる方もいらっしゃるかもしれません。しかし銀杏は食べ方によっては体に害となる危険があります。銀杏のリスクと安全な食べ方について解説します。

銀杏って体にいいの?

銀杏はイチョウの実の種子の部分です。果肉の中にある硬い殻に入っている胚乳を銀杏として食べています。銀杏には体によい効果などはあるのでしょうか。

銀杏の効果|特に認められていない

残念ながら、基本的に西洋医学において、銀杏の成分に何らかの期待される効果は認められていません。もっとも、原産国の中国では漢方の見地から喘息などの咳症状や頻尿などに対する効能があるという説もみられます。

銀杏を食べ過ぎるとどうなるの?

銀杏をたくさん食べてしまうとどうなるのでしょうか。また、食べても大丈夫といえる目安の量はあるのでしょうか。

食べ過ぎのリスク|銀杏中毒

銀杏の食べ過ぎによる体への影響として挙げられるのが中毒です。銀杏中毒では嘔吐や痙攣(けいれん)、めまいなどが見られます。これには銀杏に含まれる成分の1つである4ʼ-O-メチルピリドキシン(MPN)が関係しています。

4ʼ-O-メチルピリドキシンはビタミンB6と似た構造をもっており、ビタミンB6の作⽤を阻害します。これによりビタミンB6の欠乏状態が引き起こります。すると神経の興奮を抑制するGABAがうまく生成されず、けいれん(神経の異常な興奮)を起こしてしまうと考えられるのです[*1]。

 ■加熱しても毒性は減らない
4ʼ-O-メチルピリドキシンは熱に強く、銀杏を煮たり焼いたりしてもこの作用に変わりはないため、どんな調理法でも銀杏を⾷べ過ぎると中毒症状がおこりえます[*1]。

1日に何個までなら安心?

もともとビタミンB6が欠乏ぎみかどうかなどにもよるため、一概に何個なら大丈夫という目安量はありません。1つの参考として今までの報告例では、いちどに数十個食べたときにけいれんやふるえを引き起こしたケースがみられます[*2]。

飲酒が多い、偏食があるといった場合は普段からビタミンB6が不足していることがあり、食べた銀杏が少しでも症状がでる可能性があります。十分に注意しましょう。

茶碗蒸しに入っているものなどを数個、楽しむくらいが安心ではないでしょうか。

銀杏を安全に食べるための重要ポイント

銀杏を食べるときは、食べる量だけでなく食べ方にも注意が必要です。誤った食べ方は危険なので、しっかり確認していきましょう。

食べ方|生食は危険!加熱が必須

焼きぎんなん

銀杏を生で食べるのは危険と考えられています。必ず加熱して食べましょう。

 調理の方法
■電子レンジ調理
殻にひびを入れてから、茶封筒などに入れて口を折り曲げ、電子レンジ(600W)で1分半ほど加熱します。
■フライパン調理
殻にひびを入れてから、少量の塩と油とともにフライパンで加熱します。

 拾った銀杏の下処理方法
果肉のついた銀杏を使う場合は手袋をしてから周りの実の部分を水や土でふやかしてから取り除きます。その後、硬い殻の部分をよく洗い、天日で乾かしてから調理に使用しましょう。

食べる部位|周りの果肉はNG

ぎんなん

銀杏を食べるときは市販のものを購入するのが安全ですが、イチョウの実を拾うこともあるでしょう。この時にも注意が必要です。果肉部分は食べることができず、少量でも腸の炎症など重篤なケースを起こすことがあるとされます。果肉は絶対に食べないでください。

また、果肉に触れて接触性皮膚炎を起こす場合もあります。イチョウの実を触るときには手袋をはめるのがよいでしょう。特にマンゴーなどウルシ科の植物でかゆくなった経験のある人は十分に注意してください。

年齢|5歳以下の子どもにはNG

⽇本中毒情報センターでは、銀杏は「5歳以下の子どもには食べさせない」ように注意を促しています。幼児の場合は、数個でも症状が出ていることが確認されています。食中毒の問題だけでなく、形が丸いため気管に入って窒息を起こすリスクもあり、その意味でもお子さんには危険です。大人が目を離していたすきに食べてしまうということがないように注意しましょう。

妊娠中や授乳中の銀杏は?

食べ方によっては危険となる銀杏ですが、妊娠中や授乳中の女性はどうなのでしょうか。同じように注意すれば食べてもよいのでしょうか。

食べないほうが安心

妊娠中に銀杏を食べるとホルモンに作用したり、血が止まりにくくなる(出血傾向)可能性が指摘されているため、食べないほうがよいでしょう。また、授乳中の安全性についてもしっかりとした根拠がありません。

妊娠中や授乳中は安心して穏やかな生活をすることが大切です。中毒の心配のある銀杏をあえて食べる必要はないので、控えておいたほうが無難でしょう。

まとめ

茶碗蒸し

秋になると食べたくなる銀杏ですが、量によっては中毒の危険がある食べ物です。いくつまで食べていいという根拠もなく、体調や普段の食習慣などによってはリスクが高くなります。数十個と食べてしまうのは、あまり望ましくないといえるでしょう。茶碗蒸しに入っているものを数個楽しむ程度で楽しく秋の味覚を味わいたいものです。

(文・監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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