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2023年01月16日 14:24 更新

つわり中のラーメンはOK? 食べる時に知っておきたいポイントを解説【管理栄養士監修】

つわりの時には味覚の好みが偏ったりもするので、ラーメンばかり食べたくなる妊婦さんもいるのではないでしょうか? ラーメンは栄養面でよくないイメージがあるので、ラーメンに偏ってしまうことが気になる方もいらっしゃると思います。この記事ではつわり時のラーメンの注意点と食べ方のコツをご紹介します。

つわりの時のラーメンってどうなの?

ラーメン 家 

妊娠初期の悩みの1つにつわり中の食事がありますよね。つわりの症状は妊婦さんそれぞれ異なりますが、吐き気があって思うように食べられず、必要な栄養が摂りにくくなってしまうことも。この時期は食べられるものを口にすることが優先になります。ラーメンもポイントを押さえることでつわりの時にうまく活用できるでしょう。

つわり中にラーメンを食べても大丈夫

つわり中はさっぱりしたものや酸味のあるものが好まれる傾向にあるようですが、その一方で、味が濃かったり脂っこかったりするフライドポテト 、カレー、ラーメン、お好み焼きを食べるとつわりの症状が和らぐ場合もあるようです。

つわり時にラーメンがよくないということはありません。大切なのは母体と赤ちゃんにとってよりよい食べ方になるように工夫するです。

ラーメンで注意したいのは主に、塩分と脂肪を摂りすぎてしまうこと[*1]。ですから、それらの摂りすぎを抑えられれば、基本的にラーメンを食べることは妊娠中であっても問題はないとされます。

夜中のラーメン、守るべき3つのポイント

インスタントラーメン 生麺
日中にあまり食事ができない場合は、夜遅い時間にお腹が空いてしまうことももちろん考えられます。そんな時にささっと食べられたり、日持ちする食べ物でお家にストックしてあるラーメンを食べたくなる場合もあるでしょう。

しかし、夜中に食事をすることは体にとって負担がかかるデメリットもあります。たとえば、食事で塩分を摂取すると血液中の水分が増えますが、夜食の後は体を動かすことが少ないので、水分がうまく排出されず、むくみやすくなります。

また、ラーメンに多く含まれる脂肪は糖質・たんぱく質と比べて胃の中で留まる時間が長く消化に時間がかかる特徴があります。そのため、お腹がもたれるような感覚が出たり、翌日の朝にお腹がすきにくくなる場合があるかもしれません。

夜中にラーメンが食べたくなった時は、体への負担になりにくい商品選びをしましょう。

 ■夜中のラーメンの選び方のポイント■
また、体の構造を考えると、食べたあとすぐに横になると食べた物が胃から逆流しやすいので、すぐに寝てしまわないようにも気をつけましょう。

食べたあと気持ち悪くなることも

一般的に、においの強いものや脂っこいものは吐き気を強めることがあり、 ラーメンを食べたあとに気持ち悪くなる可能性は十分考えられます。つわりの症状やラーメンの種類によっては、「塩味が濃いとダメ」「スープの出汁の香りで気分が悪くなる」と感じることがあるかもしれません。

ラーメン以外にも食べたいものや食べられるものの選択肢があるとより安心ですね。

つわり中は食べられるものを食べよう

つわりで吐き気などがあると不安になってしまうものですが、気持ち悪さや吐き気があったとしても、それ自体は妊婦さん自身や赤ちゃんの異常ではないため、過剰な心配は必要ありません。つわりのメカニズムについては明らかにはなっていませんが、妊娠初期の急激なホルモンや代謝、精神的な変化など妊娠に伴う心身の変化が影響していると考えられています。

妊娠16週ごろまでにはつわり症状が落ち着くことが多いので、口にしやすいものから少しずつ食べ、母体の維持や赤ちゃんの発育のために少しでも栄養を摂るように意識していきましょう。

関連記事▶【医師監修】つわりでも食べれるものが知りたい!軽減のコツと食べやすい食品

つわりが軽くなるとされる食べ物も

つわり軽減に効果が期待できる食品、栄養素というものがあります。これらの食品をラーメンに組み合わせてみてもいいでしょう。

■しょうが
しょうがには消化管の働きを調整する辛み成分や香り成分が含まれます。妊婦の摂取量は1日2000mgまでがよいという報告[*2]があるので、おろししょうがをティースプーン1杯や、しょうが汁2ml程度をラーメンにちょこっと足すのもいいですね。

■ビタミンB6を含む食べ物
アミノ酸、脂肪酸、糖などの代謝を調整するビタミンB6を摂れるといいでしょう。ラーメンに合わせやすい食材でビタミンB6を比較的多く含む食品には、焼きのり、わかめ、ごま、鶏ささみや豚肉があります。

このほか、バナナ、キウイ、パイナップルなどの果物を献立に添える方法も簡単でおすすめです。

つわりの時におすすめのラーメンの食べ方は?

インスタントラーメン 鍋 調理

食べてもよいとはいえ、同じように食べるのであれば母体にも赤ちゃんにもやさしいものにしたいと思う妊婦さんはたくさんいらっしゃると思います。そのようなお悩みを解消するおすすめの食べ方はあるのでしょうか?

スープは飲み干さない

ラーメンは塩分が多めの料理といえます。家で手軽に調理できる袋麺のラーメンは、1食あたり5~6gほどの塩分を含むものが多いですが、これは日本人の食事摂取基準で示されている妊婦の食塩相当量の目標量「1日6.5g未満」[*3]に近い値です。

一般にラーメンの塩分の半分以上はスープに含まれますので、スープは極力残すように心がけるだけでも身体に入る塩分はかなり抑えられることになります。

その他の工夫として、ナトリウムの排泄を促すカリウムを摂取するのもおすすめです。カリウムは野菜・果物・芋類に多いですよ。

 塩分の摂りすぎは身体にどんな影響があるの?

塩分の摂りすぎが身体に起こす影響には高血圧のほか、むくみがあります。ラーメンのような塩分の多い食品に含まれるナトリウムが血管の中に多くなると、血液の水分量が増えます。すると余分な水分が皮下組織にたまってしまい、むくみとなります。

加えて妊娠中はむくみがおこりやすい状態でもあります。妊娠が成立すると身体に水分が溜め込まれるため、妊娠初期はむくみやすくなるほか、妊娠中期以降では、赤ちゃんに栄養や酸素を届けるために血液量が増加しますが、それがむくみの一因となるようです。

そのため、食べ物の塩分の影響によるむくみは食べ方によって上手に防いでいきたいですね。

野菜を足す

野菜ラーメン 手作り
 野菜でビタミンをプラス

中華麺類の詳細な食品成分を見てみると、多くは多種のミネラルを含む一方で、ビタミン類が少ない傾向にあります。

ラーメンを食べる場合に不足しやすいビタミン類をたっぷり含む食材は野菜類です。栄養バランスがよくなりますし、野菜には摂りすぎの心配も少ないため、おすすめです。

 特におすすめは葉酸の摂取

ビタミンの中でも特に葉酸は、妊娠初期に十分に摂取することで胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすことが知られています。中華麺類にはほとんど含まれていないため、葉酸が豊富な野菜類を「ちょこっと足し」してはいかがでしょうか?

 ■ラーメンにも合う葉酸の多い野菜■
いずれもさっと茹でたり、少量の油を使って炒めたりして手軽に使えるものばかりですよ。

なお、葉酸は水に溶けやすく熱に弱いため、生の野菜を使った方が効率よく葉酸を摂取できますが、体調に合わせて冷凍野菜も上手に使ってみてください。

関連記事▶【医師監修】葉酸を食べ物から摂る時の注意点、葉酸サプリを選ぶポイント

激辛ラーメンには注意

 唐辛子にはメリットとデメリットが

昨今の激辛ブームの影響で妊婦さんの中にも辛い食べ物を日常的に食べている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 辛みのある食品に代表される唐辛子にはカプサイシンという代謝促進成分が含まれます。適度であれば交感神経を刺激してエネルギー代謝を高め、血流がよくなって消化管のはたらきを良くするメリットがあるので、不調を感じやすい妊婦さんの助けになってくれる食材です。

しかし、辛い物を食べる頻度や1回に食べる量が多い場合、または「激辛」の表示のある商品には注意しましょう。口の中だけでなく気管や胃腸も刺激を受けます。過剰に摂りすぎると胃酸の逆流をはじめ、排尿障害、嘔吐、高血圧など[*4]、一見関連のなさそうな症状を引き起こすことも。

どんな食べ物にも当てはまりますが、身体によいとはいえ、くれぐれも摂りすぎることのないようにし、母体・赤ちゃんの安全を優先に食べ物を選んでいきましょう。

つわり終了後もラーメンをよく食べるのはOK?

アツアツのラーメンを食べる女性

つわりを乗り越えたあとは食欲も戻り、赤ちゃんの成長のためにバランスのよい食事を摂ろうと思ったはずが、つわり中の食事がそのまま習慣になってしまう、なんてこともあるかもしれません。ラーメンを食べる量や頻度にもよりますが、母体に負担がかかり妊娠期に特徴的な病気の発症につながりやすくなる恐れもあります。

肥満などのリスクを高める可能性がある

ラーメンに多い塩分はむくみ以外に肥満を引き起こす原因の1つにもなります。

味の濃い食事を食べた時は、特に主食に当たる糖質を一緒についつい食べすぎてしまう傾向があります。糖質は過剰に摂取するとエネルギーとして使われなかった分は体脂肪として蓄えられてしまい、これが肥満につながっていきます。

妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になりやすい要因の1つに肥満があるため、つわりの症状がない妊娠中ずっと、ラーメンを毎日のように食べることは避けた方がよいといえます。

つわりが終わったら食べる頻度に気を付けよう

つわりを乗り越えられたら、クセになってしまう前にラーメンを食べる頻度を見直してみましょう。

その他の食事でも塩分は摂取しますから、調整しながらということを考えると、ラーメンを食べる頻度は週に1回程度にできるといいですね。つわりの時にそれ以上の回数を食べていたのであれば、ストレスが溜まらないように無理のない範囲で、徐々に週1回程度におさまるようにしていきましょう。

関連記事▶妊婦の食事にラーメンはあり?注意点とおすすめの食べ方【管理栄養士監修】

まとめ

つわりでつらい時は、何がよくて何がダメと深く考えてしまったり、身体に悪いかもしれないと我慢をしてしまったりせず、つわりは強さや起きるタイミングも人それぞれと理解しながら食事を整えていくことが大切になります。

栄養が偏りやすいためにマイナスイメージを持ってしまいがちなラーメンですが、いくつかポイントを押さえれば、つわり中の食事としてしっかり活用できます。ラーメンと様々な食材を合わせておいしい発見を楽しみながら、つわりの時期を乗り越えていきましょう!

(文:関水芳江 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

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