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2021年10月26日 19:42 更新

【医師監修】蒙古斑が消えない2つのケースとは?消える時期と消えない場合の治し方

赤ちゃんに現れるあざの一種「蒙古斑」(もうこはん)。自然と消えることが多いものの、一部なかなか消えない場合があります。今回は、蒙古斑ができる原因や大人になっても蒙古斑が消えないケース、蒙古斑の治療法などをご紹介します。

蒙古斑が消えない!? 考えられる2つのケース

蒙古斑は多くの場合、小学校入学前後くらいのタイミングで消えていることが多いです。2歳くらいまでは、青色が強く出がちですが、だんだん薄くなっていき、遅くとも10歳前後には消えているケースがほとんど。
一方でなかなか消えない場合があります。それはどのようなケースなのでしょうか。

1. 消えない蒙古斑だった

蒙古斑が大人になっても残る割合はおよそ3%程度です。これは「持続性蒙古斑」と呼ばれます。また、お尻や背中以外の場所にできる「異所性蒙古斑」が残ることもあります。これらは病気のサインであったり、病気を引き起こすものではありませんが、外見の面でコンプレックスの原因になる心配があります。

2. 実は蒙古斑ではなかった

「あざ」のことを「母斑(ぼはん)」ともいいます。特に、青色のあざは、蒙古斑と勘違いしやすいでしょう。以下、蒙古斑と勘違いしやすい母斑をご紹介します。

■太田母斑
顔に出現する青あざを指します。通常は左右どちらかの片側だけに現れますが、まれに両側性のこともあります。原因は蒙古斑と同じメラノサイトですが、皮膚に分布しているメラノサイトの深さが蒙古斑より浅めのところにあるのが違う点です。見た目には蒙古斑よりも茶色味が混じって見える点が異なります。また、蒙古斑と違い、自然に治ることはありません
生まれたときからみられることも多く、おおむね生後3~6ヶ月までには、はっきりしてくることが多いです。20~40代になってから発生することも珍しくはありません。また、思春期ごろになって色が濃くなったり、新たにあざが現れることもあります。

■伊藤母斑
肩から肩甲骨にかけて出現する青あざを指します。出現する場所で名前が異なりますが、性質としては、太田母斑とほぼ同じものであるといえるでしょう。

■青色母斑
色むらがある(褐色斑が点々と混じっている)太田母斑・伊藤母斑とは異なり、青色母斑は皮膚に小さなしこりの状態になっていることが特徴です。多くは直径1cm未満ですが、1cm以上の大きさの青色母斑は悪性化する可能性もあります。痛み・かゆみなど、日常生活に不都合な症状は出ませんが、きちんと医師の診察を受けることが望まれます。

赤ちゃん特有の蒙古斑について

蒙古斑が消えない赤ちゃんもいる
Lazy dummy

※画像はイメージです

蒙古斑が消える時期|5〜6歳、遅くとも10歳前後

生後1週間から1ヶ月ごろの赤ちゃんのお尻、あるいはお尻から背中にかけて見られる青あざを蒙古斑(もうこはん)といいます。私たち日本人を含むモンゴロイド(黄色人種)に多く見られ、日本人の場合には、赤ちゃんのほとんどで出現するといわれるほど一般的です。なお、蒙古斑がほとんど出現しない人種も存在します。

おおむね5~6歳まで、遅くても10歳前後までに薄くはなりますが、自然に消えることが多いため、問題となることはほとんどありません。

しかし、約3%は成人になっても残り、その多くは直径2cm程度のまるい青あざです。また、先ほどご紹介した異所性蒙古斑(お尻や背中以外の箇所にできた蒙古斑の場合)は、体幹と比べて大人になっても消えないことが比較的あります。10歳前後になっても残っている場合には、医療機関への相談を検討すると良いでしょう。

小さいときは特に気にしなくてよい

蒙古斑

初めて子育てをするママのなかには「蒙古斑は赤ちゃんの時期だけのもの」というイメージを抱いている人もいるようです。そのため2歳、3歳になっても蒙古斑が残っていると「このまま一生残ってしまうのではないか?」と心配になってしまうことも。ですが、2歳、3歳など子供がまだ小さいときには、気にしなくて大丈夫です。ほとんどの蒙古斑は2歳ごろまでは青い色が強くなり、その後、成長に伴って少しずつ薄くなっていきます。

蒙古斑が現れる場所|お尻から背中のほか手足などにも

足の蒙古斑

蒙古斑と言えば、お尻から背中にかけてできるというイメージが一般的でしょう。しかし、胸やおなか、手足に蒙古斑が出るケースもまれにあります。これは「異所性蒙古斑」と呼ばれています。異所性蒙古斑は消えずに残ってしまう場合もあります。見えにくい、目立たない部分であれば残っていても何ら問題はありませんが、精神的な苦痛をやわらげるために、治療するケースもあります。

蒙古斑ができる原因|メラノサイトという色素細胞

蒙古斑がなぜ青あざのように見えるのか。その原因は、「メラノサイト」という色素細胞です。私たちは日焼けをすると肌が黒くなりますが、これもまた、メラノサイトからメラニン色素がつくられるためです。さらに、人種ごとの肌の色もメラニン色素の量で異なっています。白人種は生まれつきメラニン色素が少なく色白ですが、黒人種はメラニン色素が多く色黒といった具合です。

ちなみに、多くの日本人の赤ちゃんの蒙古斑では、皮膚の深層にあたる真皮層にメラノサイトが確認できます。皮膚の深い場所にメラニン色素が存在するため、肌の上から見たときは青く見えることになります(浅い場所にメラニン色素が存在した場合は茶色く見えます)。これは、胎児のころに真皮にあったメラノサイトが生まれてからも残っているのが原因ですが、どうして残ったままなのかはよくわかっていません。

蒙古斑の治療方法

一般の蒙古斑は治療の必要はない

一般の蒙古斑であれば大半は10歳前後に消えるため、早期に治療を受ける必要はありませんが、異所性蒙古斑であれば早めに治療を始めることもあるでしょう。ただし、治療は何回か繰り返す必要があるため、麻酔による副作用のリスクなど、よく医師と相談してから治療を決める必要があります。

レーザー治療が主流

蒙古斑や母斑の治療には、古くはドライアイス圧抵法、皮膚切除や移植を行う形成術などが行われていました。現在は、レーザー治療技術の発展と普及により、「Qスイッチレーザー」が治療に使われています。

自然消失しなかった蒙古斑をはじめ、異所性蒙古斑、太田母斑、伊藤母斑の治療にはQスイッチルビーレーザーやQスイッチアレキサンドライトレーザーが有効です。

レーザー治療の注意

Qスイッチレーザーの痛みは「輪ゴムで弾かれる程度」といわれています。つまり、大人であれば我慢できないほどの痛みではありませんが、子供が治療を受ける場合は、暴れてレーザーが目に入ってしまうといった可能性もあるため、全身麻酔を受ける必要があります。

いつ治療を始めるかは医師とよく相談して決める

Qスイッチレーザーによる治療は、乳幼児から受けることが可能です。一般に、子供のほうが大人よりもレーザー治療の回数は少なくて済みます。しかし、全身麻酔が必要になり、全身麻酔そのものにもリスクがありますから、小児のレーザー治療が必ずしも強く推奨されているわけではないのです。

異所性蒙古斑であれば、10歳ごろまでは、色が薄くなることがあるため、治療をスタートするのはその後のほうがいい可能性もあります。また、太田母斑の場合は、小さいころにQスイッチレーザーの施術を受けても、思春期ごろに再発する可能性が高いため、思春期以降にQスイッチレーザーを受けさせたほうが、余計な手間や費用がかからないと考えることもできます。

いずれにしても、医師とよく話し合い、子供にとって最良の治療のタイミングを考えてあげましょう。

まとめ

蒙古斑は10歳前後で消えることが多いので、心配しすぎる必要はありません。仮に自然に消えない場合でも、現在では多くの場合、レーザー治療できれいにすることができます。いずれにしても気になったらまずは医療機関で診察を受け、様子を見るのか、治療するのかをよく相談してください。治療するのであればそれぞれの治療時期のメリット・デメリットを考慮したうえで、お子さんにとって最適な時期に治療を受けられるようにしましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.20)

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.20)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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