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2021年12月17日 14:00 更新

助産師解説!授乳で片方だけおっぱいを飲むときはどうすればいい?<体験談>

母乳育児をしていると、「片方のおっぱいからだけ飲む赤ちゃん」に困ることがあります。これはどうして起こるのでしょうか。また、何か対処したほうがよいのでしょうか。今回は、授乳が片側だけになっているときに考えられる原因から具体的な対処法まで、助産師の坂田先生に解説してもらいます。

<体験談>赤ちゃんが片方ばかり飲んで困る!

授乳中の赤ちゃんとママ
Lazy dummy

まず、母乳育児中に「片側のおっぱいからだけ飲む赤ちゃん」に困った経験があるママはどのくらいいるのか聞きました。

「左右差」の困りごとの中では3番目に多かった

母乳育児中に、おっぱいの左右差で困った経験がある人は37%いました。そのうち、「片側のおっぱいからだけ飲む赤ちゃん」に困った人は3番目に多い結果でした。

母乳育児中に、おっぱいの左右差で困ったことはありますかのグラフ
母乳育児中に、おっぱいの左右差で困ったことはありますか?
おっぱいの左右差でもっとも困ったことのグラフ
おっぱいの左右差でもっとも困ったこと

<体験談>片側ばかり飲んで困った!起こった時期と対処

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2021年11月10日~2021年11月17日 調査人数:94人(21歳~40歳以上の女性)の回答より抜粋
※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

どうして片方ばかり飲むの?

ママに抱っこされる赤ちゃん

授乳の際、赤ちゃんが片側のおっぱいばかり飲む場合は、どんな理由が考えられるのでしょうか。

「抱っこしにくい側」がある?

右利き、左利きがあるように、同じような体勢でも左右どちらかだけとりづらいことはありますよね。

授乳する際は、基本的に赤ちゃんを抱き上げ体重を支えながら行いますが、それがうまくできない側があると態勢が安定せず上手に飲めないので、赤ちゃんはそちら側から飲むのを嫌がるかもしれません。

片方のおっぱいの「出が良すぎる」?

とくに産後2~4週ごろまでは、母乳の分泌がまだ落ち着かない時期なので、左右のおっぱいで分泌量が異なることもよくあります。

そんなとき、どちらかの乳房で母乳の勢いが強すぎると、赤ちゃんはむせたり咳き込んだりして、そちら側から飲むのを嫌がるかもしれません。

また、右または左だけで満腹になってしまうので、一回の授乳で片方しか飲めないこともあります。

片側が「吸いにくい」?

おっぱいがパンパンに張っていると、乳輪までむくむことがあります。そうなると吸いづらいので赤ちゃんは嫌がるでしょう。

また、乳首の先に白斑ができたり、乳管が詰まっていると、吸ってもなかなか母乳が出ないので嫌がることもあります。

飲まない方のおっぱいは「まずい」?

「もしかして飲まないほうのおっぱいはまずいの?」というのも気になりますよね。

母乳は血液を材料につくられるので、基本的に左右でほぼ同じ味と考えられます。ただ、乳腺炎にかかった側から出る母乳は、とくに異常のない側と比べて塩味が強くなるなど、味に変化があったと報告している研究もあります[*1]。

実際、片側だけ乳腺炎になると、そちらからは飲んでくれなくなることもよくあります。

おしえてようこ先生!こんなときの対処法は?

さて、授乳が片方だけになっているときはどう対処すればよいのでしょうか。

飲まないほうの「授乳姿勢」「ラッチオン」を確認

まずは飲まないほうを授乳する際、
無理な姿勢になっていないか確認しましょう。

授乳姿勢のチェックポイント

・赤ちゃんの口が乳頭に対して正面を向いているか
 乳頭が赤ちゃんの上顎の方に向いていて、赤ちゃんの下顎は乳房に触れているのがベスト

・赤ちゃんの耳・肩・腰が一直線になっており、顔も体もママのほうに向いているか

ママと赤ちゃんのお腹が向かい合いくっついているか

・赤ちゃんの体全体を支えられているか

「乳輪まで」口に含んでいるかどうか

また、赤ちゃんが乳首だけでなく「乳輪まで」口に含んでいないと母乳はうまく飲めません。

これを「ラッチオン(吸着)」と呼びます。正しくラッチオンできているかも確認してみましょう。

正しいラッチオン(吸着)のイメージ
右の「〇」は正しいラッチオン(吸着)のイメージ。左の「×」は吸着が浅くなっている

飲まないほうから先に授乳する

授乳の際は、「飲まない方から」あげてみるのもポイントです。

毎回そちら側から授乳して、赤ちゃんが自分から口を離したら、反対側を授乳します。

両側を飲ませないとダメなの?

疑問のある女性のイメージ

赤ちゃんが片方だけおっぱいを飲む時、試してみてほしい対処法を紹介しました。でも、そもそも授乳は両側でしたほうが良いのでしょうか。

飲まない方の「乳腺炎」に注意!

片方だけしか授乳ができなくても、体重増加とおしっこの出が順調で、機嫌よく過ごせているのであれば、赤ちゃんについてはほとんど心配はいらないと考えられます。

一方で、ママのほうは少し心配です。赤ちゃんが飲まない側のおっぱいには常に母乳が溜まっている状態になるので、乳腺炎を起こす可能性があります。また、母乳の分泌量の差が出たり、乳房の大きさの左右差が気になってくる人もいるでしょう。

授乳のタイミングごとに交互に与える方法も

そのため、できれば左右両方の乳房から授乳できるとベスト。1回の授乳で両方は難しい場合は、タイミングごとに片側ずつ順番に授乳する方法もあります。

そんなときは、左右のおっぱいでどのくらい授乳したか記録できるアプリを利用しても。「いつ」「左右どちらから」「どのくらいの時間」授乳したか記録しておくのに便利です。

まとめ

目を覚ましている赤ちゃん

授乳が片方ばかりになる理由と対処法を紹介しました。片方だけであっても体重が順調に増えていて、機嫌が良いのなら赤ちゃんは問題ありませんが、ママのおっぱいに不調が出ないかは心配です。

こうした事態はまだ母乳の分泌量が安定せず、授乳にも慣れていない低月齢で珍しくありませんが、授乳姿勢や赤ちゃんの飲み方に注意することで改善することも。ここで解説したポイントに着目して、まずいつものやり方を見直してみてください。

赤ちゃんがなかなか両方飲んでくれるようにならなかったり、片側の乳房にしこりや痛み、赤みなど乳腺炎を疑う症状が出てきたら、母乳外来などで専門家に相談しましょう。

(文:坂田陽子先生/構成:マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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