助産師解説!断乳はいつする? <体験談>時期の決め方と無理なく進める方法
離乳食の開始後にとまどうのは、「断乳・卒乳をいつするか」ではないでしょうか。その子に合わせてと言われても初めてだからよくわからない……そんな人のため、先輩ママにいつ断乳したか聞いてみました。時期の決め方と具体的な方法などについても、助産師の坂田先生に解説してもらいます。
<アンケート>断乳のタイミングはいつだった?
まずは、先輩ママに卒乳・断乳した時期を聞きました。
一番多かったのは「1歳前半」
卒乳・断乳した時期でもっとも多かったのは「1歳前半」で47%でした。「0歳代」の34%、「1歳代後半」の11%がそれに続きました。
<体験談>卒乳・断乳した時期ときっかけ
※マイナビ子育て調べ 調査期間:2021年10月28日~2021年11月12日 調査人数:150人(21歳~40歳以上の女性)有効回答数:75人の回答より抜粋
※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。
断乳する時期はどう決める?早すぎ遅すぎはあるの?
断乳の時期は子供によって多少異なりますが、そもそもするかしないかは何を基準に考えれば良いのでしょうか。
「離乳食がしっかり食べられている」はマスト
赤ちゃんは生まれてからの1年間で、体重はおよそ3倍、身長は1.5倍にも大きくなります。その間の栄養源が母乳やミルクです。
断乳は、それまで赤ちゃんの成長を支えてきた母乳やミルクを卒業すること。ですから、行うときには赤ちゃんが母乳やミルク以外の食品、つまり離乳食から大部分の栄養を摂取できる状態になっている必要があります。
離乳食が食べられているかの目安
離乳食は一般的には生後5、6ヶ月には始めることが多いものです。でも、最初は1日1回ひとさじの「つぶしがゆ」から。
このころ(離乳初期。ごっくん期とも)は、離乳食で栄養を摂るというより、まず「乳汁以外のものを口に入れて、飲み込むのに慣れる」ことが目標です。
その後、離乳中期(モグモグ期)、離乳後期(カミカミ期)を経て、完了期(パクパク期)となり、より大人が食べるものに近い幼児食へと移行していきます。
断乳を考え始める人が多い1歳ごろの離乳食の量の目安などについては、下記の記事でくわしく解説しているので参考にしてください。
無理なく進める断乳のやり方
最近では「卒乳」という言葉もよく使われるようになってきました。はっきり分けられるわけではありませんが、一般的には「断乳」というと「短期間で母乳やミルクを止める」、「卒乳」は「赤ちゃん主導で、もう少し緩やかに卒業」、というニュアンスのことが多いようです。
ここでは、それぞれの具体的な方法を紹介します。
徐々に行う方法(卒乳)
1日の授乳回数を徐々に減らしていく方法です。具体的には「それまでの回数から、2~3日ごとに1回、もしくはそれよりもゆっくりしたペース」で授乳を減らしていきます。
このように意図的に減らしていく方法のほかに、離乳食が始まった赤ちゃんが自分から母乳を飲まなくなる「自然卒乳」ができることもあります。
ただ、1歳前後の赤ちゃんが自然に母乳を欲しがらなくなることはあまりなく、あっても一時的に母乳を飲んでくれなくなる「哺乳ストライキ」のことが多いと言われています[*1]。
卒乳と勘違いしがちな「哺乳ストライキ」
哺乳ストライキの場合は、通常は4〜5日でまた自然に授乳できるようになることが多いので、眠そうなときなど、飲んでくれそうなタイミングで授乳してみましょう。
でも、無理強いは禁物です。離乳食を食べ、おしっこがたびたび出ているならあまり焦らなくても大丈夫です。
ただ、おしっこが6〜8時間以上出ていないと脱水の可能性もあります。
ストローやコップでこまめに水分補給をしましょう。
短期間でやめる方法(断乳)
ママの健康上の理由などで、急に母乳をストップしなければいけない場合もあります。その場合、「乳房が張ってから半日以上、母乳を溜めておく」と母乳のつくられる量は減ってきます。
母乳のなかには「乳汁産生抑制因子(FIL)」というたんぱく質が含まれていて、母乳が乳房に長時間とどまることでこの濃度が上がるからです。
ただし、断乳してすぐに母乳の産生が止まるわけではないので、溜まり過ぎた乳汁で乳房が張って痛んだり熱をもったりすることも。急に止めるときはとくに乳房が張りやすいので、適度に「搾乳(いわゆる圧抜き)」しながら乗り切りましょう。詳しいやり方は下記の記事を参照してください。
部分的にやめる方法
「職場復帰で日中だけ」「睡眠不足がひどいので夜間だけ」というように部分的に断乳する方法もあります。この場合も、離乳食をある程度しっかり食べられていることが必要です。
夜間断乳の方法について、くわしくは下記の記事を参照してください。
断乳したら「夜の寝かしつけ」はどうする?
それまで、寝かしつけ時の授乳を習慣にしていた場合、断乳後はどうやって寝かしつければ良いのでしょうか。
「寝かしつけのための授乳」も減らして行く
赤ちゃんの要求に合わせて授乳を続けるならば、授乳で寝かしつけを続けてもよいのですが、断乳するなら寝かしつけを目的にした授乳も減らしていったほうがよいかもしれません。
赤ちゃんによっては、授乳なしでは寝付けなくなってしまうこともあるからです。
実際、夜中に目覚めるたびに母乳やミルクで寝かしつけられている赤ちゃんは、夜泣きする確率が高いという調査結果もあります[*2]。
ネントレを試してみても
もし、寝かしつけ時の授乳が習慣になっているのなら、断乳のタイミングで「ネントレ」を試してみても良いかもしれません。
ネントレがどんなもので、どのように行うものなのか、下記の記事で紹介しているので参考にしてください。
また、生活リズムを整えたり、寝るときの「ルーティーン」を習慣付けたりすることでスムーズに寝付けるようになる場合もあります。
寝かしつけについては、月齢別に下記でくわしく解説しているので、参考にしてください。
まとめ
「断乳することが多い時期」「断乳時期の決め方」「無理なく進める方法」「断乳後の寝かしつけ」について解説しました。
赤ちゃんによってベストな時期や方法は異なりますが、ここで解説した考え方を基本にその子に合わせて時期や方法を調節してみてくださいね。
ママの服薬など、事情で急に母乳を止めなければならない場合はとくに、おっぱいのケアについても忘れないようにしましょう。
(文:坂田陽子先生/構成:マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
[*1]「特集:母乳育児の疑問 Mr.&Mrs.水野が一挙解決! お母さんのお悩みケーススタディ大特集」ペリネイタルケア 38-3 2019.3
[*2]森田麻里子・星野恭子:医者が教える赤ちゃん快眠メソッド, p.126, ダイヤモンド社, 2020
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます