出産・産後 出産・産後
2021年11月22日 20:30 更新

【助産師解説】卒乳は何歳にすればいい?<みんなの体験談>

母乳は何歳まであげていいものなのでしょうか。「実際いつ卒乳したか」と「卒乳のきっかけ」を先輩ママに聞いてみました。卒乳の具体的な方法や注意点についても、助産師の坂田先生に解説いただくので、参考にしてみてくださいね。

何歳で卒乳した?<みんなの体験談>

授乳中の赤ちゃんとママ
Lazy dummy

気になる卒乳の時期について、先輩ママたちに聞いてみました。

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2021年10月28日~2021年11月12日 調査人数:150人(21歳~40歳以上の女性)有効回答数:75人の回答より抜粋
※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

最多は「1歳前半」!

先輩ママたちに、母乳やミルクを卒乳・断乳した時期について聞きました。もっとも多かったのは「1歳前半」で47%、次に多かったのは「0歳代」で34%という結果でした。

卒乳時期のグラフ
卒乳・断乳した時期

卒乳を決めたきっかけ

また、何がきっかけで卒乳・断乳することにしたのかも聞きました。

卒乳のきっかけ
卒乳のきっかけ

<体験談>卒乳の時期・きっかけ・大変さ

「1歳半では約7割が卒乳」していたというデータも

保護者348人に聞いたアンケート調査では、1歳6ヶ月健診の受診時点で卒乳していた子は67.2%、まだ授乳している子は32.8%だったという報告もあります[*1]。

いつがベスト? 卒乳時期の見極め方

離乳食を食べる赤ちゃん

そもそも卒乳のタイミングは、どうやって見極めれば良いのでしょうか。

離乳食をしっかり食べているか確認しよう

母乳やミルクは、離乳前の赤ちゃんが育っていくのに欠かせない栄養源です。ですから、卒乳するかどうか考えるときには、その赤ちゃんが「母乳やミルク以外から十分に栄養を摂れるようになっているか」が大切になってきます。

状況によって多少異なりますが、離乳食は「生後5、6ヶ月ごろ」に始めるのが一般的です。ただ、最初は「1日1回1さじずつ」。

初期はまず乳汁以外のものを口にするのに慣れるところから始まります。その後、徐々に自分の口内で食品をつぶせるようになったり、軟らかいものからうまく飲み込めるようになったり、味や舌ざわりに慣れたりしながら、いろいろなものが食べられるようになっていきます。

食事の回数が1日3回になるのは「離乳後期(カミカミ期)」で生後9~11ヶ月ごろ、生後12~18ヶ月ごろには「離乳完了期(パクパク期」となります。

離乳後期と離乳完了期に一般的な分量や食材の種類などの目安については下記の記事で紹介しているので、チェックしてみましょう。

自然に卒乳させる方法は?

疑問がある女性のイメージ

「卒乳しよう!」と思ったら、どうやって進めていけば良いのでしょうか。授乳方法ごとに解説します。

母乳の場合(1)自分から飲まなくなるのを待つ方法

離乳食をよく食べるようになってくると、授乳の回数は自然と減ってきます。

さきほど紹介した1歳6ヶ月健診時のアンケート調査でも、すでに卒乳していた子では「自然に卒乳した」が57.4%でもっとも多く、「我慢させた」は31.8%だったそうです[*1]。

ただ、1歳前後の場合は、赤ちゃんが自然に欲しがらなくなることはあまりないと言われています[*2]。

おしえて、ようこ先生!

卒乳について、助産師の坂田先生に寄せられた実際の相談と対処法を紹介します。

ケース1

離乳食が進むにつれて、大好きだったおっぱいの回数も減ってきたのですが、どうしても寝る前の授乳がやめられません……

このご相談では、授乳をすれば15分ほどで眠りにつくのに、授乳なしで寝かせようとするとおっぱいを欲しがって泣くので、しばらくすると根負けしてしまい、授乳をして寝かせるということが続いていました。

ところが、ある日、ママはお風呂にゆっくりとつかり、寝かしつけを「パパ」に頼んだところ、最初の20分は泣いていましたが途中で諦めたようで、パパの横で眠りにつきました。

その後、寝かしつけはパパの役割になり、順調に卒乳できたそうです。

このように、少し目線を変えて工夫するだけで、自然に卒乳できることもありそうですね!

ケース2

泣いたらすぐ授乳、寝かしつけも授乳で……という風に育てていたら、授乳を減らしたいなあと思って日中に気をそらせるようなことをしてもかえって逆効果で、大泣きして授乳をせがむようになってしまいました……

この赤ちゃんにとっては、おっぱいが「心のよりどころ」になっていたのかもしれませんね。

でも、赤ちゃんに「もうすぐおっぱいバイバイだよ!今はどうぞ楽しんでね!」と1ヶ月間ほど言い聞かせているうちに、少しずつ授乳しなくてもいい時間が延びていったそうです。

自分の気持ちはまだ上手く伝えられない赤ちゃんたちですが、言われていることは意外となんでもわかっているような気がします。

母乳の場合(2)授乳回数を徐々に減らしていく方法

「職場復帰」「保育園入園」や「睡眠不足」「授乳が辛い」などで、ママに授乳をやめたい気持ちが強い場合の方法も紹介します。

具体的には、

・1日の授乳回数を2~3日ごとに1回ずつ、またはそれよりもゆっくりしたペースで減らす

というやり方を試します。

「日中の授乳回数」を先に減らしていらっしゃるママたちは多いです。日中だと、外に出かけたり、遊びで気をそらせたりして、実施しやすいからです。

でも、減らす時間帯にとくに決まりはありません!
赤ちゃんとママがトライしやすい時間帯から始めるのが一番良いでしょう。

なお、授乳回数を徐々に減らしていくときのコツには、以下のようなものがあります。

・ママからは授乳に誘わないが、子供にせがまれたら拒まない

・「月齢に合ったおやつを食間にあげる」「絵本や公園などに子供の興味を向ける」などで、授乳から気をそらす

「おっぱいは少しにしよう」「ご飯を食べてから」「おっぱいはもうバイバイしよう」などと子供に話してみる

母乳の場合(3)まずは夜間だけおっぱいを止める方法

「夜間断乳」という方法もあります。具体的には、以下のように行います。

・子供ができるだけ長い時間熟睡するよう、日中たくさん遊ぶなどして生活リズムを整える

寝る前にたっぷり授乳する

添い乳で寝かせることをできるだけ控える

よりくわしくは下記の記事を参照してください。

ミルクの場合

ミルクの赤ちゃんの場合も、卒乳時には「離乳食から十分に栄養を摂れる」ようになっている必要があります。

「育児用ミルク(乳児用調製粉乳)」の対象年齢は、「生後0~12ヶ月」[*3]。

ただ、乳児期も後半からは、舌や口の動きが変わったり歯が生えたりするなどして、乳汁ではないものを食べる準備が始まってきます。

とはいえ、これが始まる時期やスピードは赤ちゃんによって異なるので、その子に合わせて離乳食を進め、徐々にいろいろな食品を食べることに慣れさせていくわけです。

卒乳を考え始めるタイミングには、ミルクの場合も「離乳食の進み」をまずチェックしてあげてくださいね。

フォローアップミルクは?

ちなみに、よく疑問に思うのが「フォローアップミルク」は与えたほうが良いのかどうか

フォローアップミルクは「生後9ヶ月~3歳以降」が対象の製品ですが、育児用ミルクと違って母乳の代わりにはなりません。離乳期以降の赤ちゃんに、「たんぱく質」や「鉄」などの栄養素をバランスよく補うためのものなので、これだけで必要な栄養を補給できるわけではないのです。

フォローアップミルクは、離乳食が十分に食べられていて体重が順調に増えているなら、とくにあげなくても大丈夫です。

卒乳時期に気を付けること

指しゃぶりをする赤ちゃん

卒乳の時期に注意しておきたいポイントも紹介します。

子供の気持ちを大切に

育児では、新しくチャレンジすることが次々と出てきて、初めて試みるときにはいろいろ慌てがち。卒乳も赤ちゃんが最初にみせてくれる大きな成長ステップのひとつですが、栄養の摂り方が変わるだけでなく、これを機に親子のかかわり方も変化していきます。

「母乳やミルクを終わりにするのだから、離乳食をしっかり食べてもらわなければ……」という方向につい気持ちが行きがちですが、栄養面だけ気にするのではなく、授乳の回数は減らしてもスキンシップは減らさないで、赤ちゃんの気持ちに寄り添いながら徐々に進められると良いですね。

寝かしつけ・夜泣き対策

卒乳によって出てくる悩みでよくあるのが、「おっぱいをあげられないので寝かしつけが大変」というもの。毎日続くとかなり負担ですよね。

ただ、そもそも「寝かしつけのための授乳」はあまり勧められません。赤ちゃんが、授乳なしでは寝付けなくなってしまうことがあるからです。夜、赤ちゃんが目を覚ますたびに授乳で寝かしつけている家庭ほど、夜泣きする確率が高いこともわかっています[*4]。

それまで授乳で寝かしつけていたのなら、卒乳を機に赤ちゃんに「自力でねんねする力」を付けてもらい始めることを考えてもいいでしょう。そのためには「生活リズムや睡眠環境を整える」「夜のルーティーンをつくる」などいくつかコツがあります。

以下の記事でおすすめの方法をくわしく解説しているので、参照してみてください。

おっぱいケア

母乳の卒乳では、ママのおっぱいケアも必要です。乳汁は赤ちゃんに乳首を吸われ、飲み取ってもらうことでつくられるので、授乳の回数が減ればだんだん量が少なくなってきます。

ただ、卒乳のはじめのころは乳汁の産生がなかなか止まらず、乳房に溜まりすぎることが原因でおっぱいが腫れたり、痛んだり、熱を持ったりして「乳腺炎」を起こすことがあります。

これは適度に搾乳すればたいてい治まりますが、放っておくと炎症が悪化して高熱が出ることもあります。そうなると医療機関で抗生物質(抗菌薬)の内服が必要になったり、ひどく悪化してしまうと、乳房に膿が溜まってしまい切開による治療が必要になることがあります。

ですから、卒乳のときは乳腺炎を起こさないために、あらかじめ「おっぱいケア」をしておくと安心です。くわしいやり方は下記で解説しているので、参考にしてください。

まとめ

つかまり立ちする赤ちゃん

「卒乳は何歳で始めれば良いのか」について紹介しました。大変な子育てのなかでも、授乳タイムが親子のきずなを実感できる「至福の時間」だった場合は、いざ「おっぱい卒業」となるとさみしい気持ちになりますね。

反対に早く卒乳してほしいと思っている場合は、おっぱい・ミルク大好きな赤ちゃんに困ってしまうことも。でも、卒乳はいつか必ずできるもの。焦らず、ご飯をよく食べているかチェックしながら、親子で徐々に慣れていきましょう。

(文:坂田陽子先生/構成:マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]井出正道ら:「卒乳に関する保護者の意識調査」小児歯科学雑誌54(4): 462−469 2016
[*2]「特集:母乳育児の疑問 Mr.&Mrs.水野が一挙解決! お母さんのお悩みケーススタディ大特集」ペリネイタルケア 38-3 2019.3
[*3]日本乳業協会 「乳児用調整粉乳」と「フォローアップミルク」の違いは何ですか?
[*4]森田麻里子・星野恭子:医者が教える赤ちゃん快眠メソッド, ダイヤモンド社, 2020

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-