妊娠 妊娠
2018年12月04日 13:42 更新

マタハラ被害の実態とは?働く女性が受ける4タイプとそれぞれの対処法

妊娠はとても喜ばしいことですが、残念ながら働いている女性にとっては精神的、もしくは肉体的な嫌がらせをされるマタハラ(マタニティ・ハラスメント)の原因となってしまう現実があります。万が一マタハラの被害にあってしまった場合に泣き寝入りをしないためにも、マタハラの現状をきちんと把握しておきましょう。

深刻なマタハラ問題

Lazy dummy

マタハラとは

妊娠や出産、育児を理由として職場で上司や同僚から不当な扱いや嫌がらせを受けることを「マタニティー・ハラスメント」、略して「マタハラ」と呼んでいます。

マタハラは男女雇用機会均等法および育児・介護休業法において禁止されている行為です。2017年1月1日からは法改定により、マタハラを防止するために事業主は必要な措置をとることが義務とされました。これにより、現在ではマタハラは懲戒の対象となっています。

どこからがマタハラなの?

マタハラは、妊娠や出産、育休を理由にした解雇や雇い止め、不当な配置転換、減給などがマタハラに該当します。マタハラの場合には被害者の心情ではなく、具体的な行為をともなうので第三者から見てもわかりやすいのが特徴といえるでしょう。ただし、妊娠や出産、育休とは関係なく、経営状態の悪化や妊娠する以前から本人の能力不足が問題となっていた場合には例外となるケースもあります。

人ごとではないマタハラの被害者数

厚生労働省が2015年に25~44歳の就業経験のある女性を対象にした調査で、妊娠・出産した正社員の21%がマタハラ経験者であることがわかりました。派遣社員にいたっては48%という結果がでています。

しかし、実際にはもっと多くの女性がマタハラの被害にあっているのではないかと考えられています。妊娠・出産・育児という女性にとってデリケートな問題に関係していることもあり、泣き寝入りしているケースが少なくないようです。

マタハラを知る

Lazy dummy

マタハラの実態

具体的にどのようなマタハラが存在するのか、一部をご紹介しましょう。

・妊娠を報告したら、退職するよう言われた(契約社員の場合は契約の打ち切り)
・育児休業を取得したら正社員からパートにさせられた
・産休や育休が認められなかった
・切迫流産で入院をしたら退職をすすめられた
・妊婦健診を受けるために休暇を申請したが認められなかった
・産後に時間外労働の制限を申請したら正社員から契約社員になるよう迫られた
・妊娠したので業務内容の変更を申し出たら役職を外された

このように妊娠・出産・育児休業などをきっかけに解雇をするだけでなく、労働条件を悪化させるのもマタハラに含みます。

マタハラの主な4つのタイプとは

マタハラは、次のように主に4つのタイプがあるといわれています。

昭和の価値観押しつけタイプ

悪意はないのですが、世代間の違いを理解しようとせずに「妊娠したら仕事をやめたほうがいい」という考え方を一方的に押しつけてきます。

いじめタイプ

妊娠や出産で仕事を休まれると自分に負担がかかると不満を感じ、悪意のある嫌がらせをしてきます。

パワハラタイプ

妊娠や出産を理由として働き方を変えることを許さないという考えから、ほかの社員と同様の労働条件で働くよう求めてきます。

追い出しタイプ

妊娠や出産した女性は働くことはできないと、解雇や退職を求めてきます。

マタハラの原因とは

マタハラをしている人には、女性が妊娠や出産をした場合には職場に迷惑をかけるから退職するべきだという考え方に固執しているために無意識に行っている人が少なくありません。妊娠や出産への理解が不足しており、協力しようという考えが欠如しているのが大きな原因といえるでしょう。また、妊婦や産後に職場復帰した女性を支援する制度が整っていない、もしくは十分に運用されていないという企業がまだまだ多いのも問題です。

おなかの子にも影響するマタハラ

Lazy dummy

早産・流産の危険性

マタハラを受けたときに感じるストレスや、妊娠中に業務内容の変更や通勤時間の調整といった必要な措置を受けられないことで早産や流産を引き起こすおそれがあります。マタハラの被害はおなかにいる子の命にもかかわる深刻な問題であることを社会全体がしっかりと認識し、早急に対策をとらなければなりません。

マタハラはひとりで抱え込まないように

Lazy dummy

相談を受けつけているところは多数存在している

マタハラを受けたときには決して泣き寝入りせずに、早めに対処していきましょう。ひとりで抱え込まずに、まずは夫や家族に相談してみましょう。信頼できる同僚に話してみるのもいいでしょう。

また、勤務先でマタハラなどを含む問題を相談できる窓口が用意されていないか調べてみてください。次のようなマタハラについて相談できる外部機関を利用するのもひとつの方法です。

日本労働組合総連合会「なんでも労働相談ダイヤル」

正社員や契約社員、パートなど雇用形態に関係なく、どなたでも相談できます。

労働局や弁護士などのプロに

マタハラは違法な行為ですから、法的なアドバイスを受けられる労働局や弁護士により具体的な相談をしてもいいでしょう。

厚生労働省 雇用環境・均等部(室)

勤務先を監督している労働局の「雇用環境・均等部(室)」ではマタハラ被害の相談も受けつけています。匿名で連絡しても構いません。必要に応じて事業主へ指導を行ってくれます。

日本労働弁護団ホットライン

マタハラを含めた女性特有の問題を扱う女性専用の無料電話相談です。水曜日であれば女性弁護士が対応してくれ、秘密も厳守してくれるようになっています。

法的な手段も検討

マタハラの被害を受けた場合には、最終的な手段として法的に訴えることも可能です。実際に、2014年に妊娠を理由に管理職から降格された理学療法士の事例があります。この裁判では降格は法的に問題ないと一度は判断されましたが、その後の最高裁で一転され「妊娠による降格は原則禁止」と病院側に賠償金の支払い命令が言い渡されました。このように、自分ひとりではどうにも対処できない場合には専門家に相談してみましょう。

まとめ

マタハラの問題が表面化しているケースは、氷山の一角と考えられています。不当な扱いを受けても「仕方がない」と我慢している女性が多いのでしょう。妊娠・出産をしても本人が希望すれば働き続けられるよう法律で認められていますし、そのための制度も整っています。まずは自分が正しい知識を身につけていきましょう。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-