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2021年09月24日 19:30 更新

出産前後のすれ違いを回避せよ! 実録・渡邊家の夫婦ミーティング(前編) #渡邊大地の令和的ワーパパ道 Vol.14

『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップをテーマにした著書が話題の渡邊大地さんによる新連載! 令和における新たなワーパパ像を、読者のみなさんとともに考えます。

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我が家の子どもたちは、何か買いたいものがあるとお小遣い稼ぎをするために家庭内アルバイトをします。もっぱら「お菓子作り」が手っ取り早く稼げる手段として定着しており、長男(小6)はガトーショコラ、長女(小3)はチーズケーキを、それぞれ一皿100円で販売してくれます。月に一回くらいケーキが食べられるとありがたいんですが、いったんこれが始まると目標金額に到達すべく毎日怒涛のケーキ攻勢になり、しかも、どちらかが始めると我も我もともうひとりがケーキ作りを始め、あっという間に連日のケーキ祭りになります。

そこに最近、5歳の次女が参戦してきました。チョコレートとマシュマロとフルーツを使った、自称「チョコスペシャル」というカロリー満点のスイーツ、一皿20円!
5歳にして「さきばらい」「まえばらい」「くいにげ」などのワードを使いこなします。

皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!

妊娠中から始まった、独りよがりの「イクメン」路線

今でこそ3人の子どもに恵まれ賑やかな我が家ですが、最初から「3人くらいほしいね~」と計画して順調に3人目に到達した、というわけではありません。

一番大きな転機は、2人目の妊娠が分かったときです。「妊娠しました」という妻からの薔薇色の報告とともに、「もう夫婦でいられません」という、まさかの最後通告。一瞬にして天国から地獄に突き落とされました。
ぼくにとっては、「ザ・青天の霹靂」でしたが、実はそこに至るまでに妻のなかではさまざまな葛藤があり、積もり積もった憤懣(ふんまん)の果てにたどり着いた結論だったようです。

なぜそんなすれ違いが起こってしまったのか、そして、その後どうやって夫婦のミゾを埋めて3人目までたどり着いたのか。そんな我が家の第一子出産前後の経緯を紹介したいと思います。

まず今回は、夫婦のすれ違いに至ったぼくの「不徳の致すところ」を振り返っていきます。

第一子妊娠中、ぼくは決して子育てに関心がなかったわけではありません。その証拠に、妻の妊娠中によく妊婦さん向け雑誌を買っていました。妻より先に読んで、読み終わったら妻に譲る、という順です。「朝晩の通勤電車の中で妊婦さん向け雑誌を読んでいる男、おそらく傍から見たら、イクメンに違いない!」――と自分で客観的に分析していた時点で全然ダメなんですけど、お恥ずかしながら当時はステータスの高さの表れだと思っていました。
ただ、今考えると、それら雑誌の何を真剣に読んでいたんだろう……。記憶にあるのは、カッコいいベビーカー、赤ちゃんとパパのおそろいのシャツ、外国製の赤ちゃんのオモチャなど、広告ページばっかりです。こういうグッズで子育てしたいな~という、見栄え先行だったんだと思います。

そんなぼくが、妻の妊娠中に欠かさずやっていたことが、「妊婦写真を撮る」ことです。
20週0日、21週0日、22週0日……と、毎週欠かさず妻の横向きの写真を撮影し(お腹がどのくらい出てきたかを比較するため)、徐々に“カメラマン渡邊”への階段を上っていきました。これがのちに妻の大きな不満へと発展します。

出産だけじゃない、妊娠も妻にとっては命がけ!

今でもよく覚えているのが、朝、妊娠中の妻が「耳が痛い」と訴えたときのこと。当時ぼくは会社員で、朝は7時ころに家を出る生活でした。そこで妻には、自宅の近くの耳鼻科に行くことを勧めて、会社に行きました。
そのとき妻は「病院に連れていってほしい」と言ったんですが、耳鼻科は歩いて数分のところにあります。そしてぼくは、朝から会社の会議があるため、遅刻できない状況だったので、「申し訳ないけど、自分で行って」と言い残して出社しました。

さて、その日の昼過ぎ、義理の母から携帯に着信がありました。何事かと思い電話に出ると、ものすごい剣幕で「今どこにいるのっ!?」と。「え? 会社ですけど?」と呑気に答えるぼくに、義母は「コトミ(妻です)がどうなってるかわかってるの!?」と言いました。

妻はつわりによる体調不良と耳の痛さのため自宅で倒れ、意識を失う前に何とか母親に電話をかけたんだそうです。慌てて駆けつけた義母がすぐに耳鼻科に連れていくと、なんと重度の中耳炎だったらしく、即入院・手術になったとのこと。治療が遅れたら非常に危険だったそうです。ぼくは、まさか通院もできないくらいの症状だったとは理解していませんでした。義母が駆けつけてくれなかったらどうなっていたことか……。「あんた、結婚するときに、“娘さんを幸せにする”って言ったんじゃなかったの!?」と電話口で怒鳴られ、慌てて仕事を切り上げて帰宅しました。

ちなみにこのときの話、12年経った今でも当然妻は根に持っています。

出産後に加速する「勘違いイクメン」の末路

当時の妻の様子を、本人に語ってもらったところ、
「その後もつわりに悩まされ、体調不良が続き、仕事も休みがちになり、ようやくたどり着いた出産。陣痛開始で入院してから3日間を経て、ようやく3,800g超の男子が生まれました。出産直後は睡眠不足と体力の限界で精根尽き果てていました」とのこと。

しかしそんななか、ぼくはますます「勘違いイクメン」に磨きをかけるべく、写真魔と化します。それはもう、カメラマンとは言えません、写真魔です。

生まれたばかりの息子の写真を、毎日何十枚も撮りまくる。仕事の日は妻に撮影をお願いし、仕事中にもちょくちょく「今日の写真撮れてる? いいのあったら送ってきて」とメールしまくる。帰宅したらまずは、寝ている息子を起こして写真撮影。気が済んだら「風呂入ってくる」と、覚醒した息子を放っておいて消える。

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週に1冊ウィークリーアルバムを制作。なかでもとっておきのデキのものを選んで、月に1冊マンスリーアルバムを制作……と、独自路線を突っ走ってきましたが、出産から約1年半経ったころ、いよいよ妻に告げられました、「写真撮る以外に、この1年半何やったの?」と。

今では考えられませんが、その当時のぼくは本格的に勘違いしていて、「写真を残すこと(息子の成長を可視化すること)がイクメン」だと本気で思っていました。そして妻は、「今一番必要なことは、それではない」と本気で思っていました。

「あなたがこのままでいるなら、解散するしかありません」
ただただオロオロするばかりのぼくにそう告げた妻は、「離婚を回避したいのなら選択肢はただひとつ。週に一回、夫婦の話し合いの時間を持つこと」と提案してきました。

ぼくが夫婦ミーティングをしようと思った3つの理由

よく女性から「夫が話し合いに応じてくれません」「大事な話をしようとすると“疲れてるから”と言って避けられます」という相談を受けます。ぼくだって、できれば難しい話し合いはしたくないし、仕事で疲れているときは尚更です。皆さんだってそうですよね?

ぼくの妻も、「解散」は視野に入っているとしても、最終目的は話し合いで理解し合いたい、ということでした。要は、「夫婦の話し合いの時間を持とう」ということなんですが、ぼくはこのとき話し合いに応じる気になりました。それってなぜなのか。

【渡邊が妻からの話し合いに応じることになった理由】
①妻が話し合いを切り出してくれたこと

周囲に聞いても、夫婦関係に問題が発生した場合に、夫から解決に向けた話し合いを提案するということはほとんどないように思います。だいたいは妻が提案するか、または、妻も提案しないか。提案できる妻はよくて、提案しない妻はダメ、ということではなくて、話し合いの提案ってすごく難しいんですよ。
例えば、部下に肩たたきをすることを想像してくださいね(「肩たたき」って古い? 今で言う「リストラ」のことです)。もしくは、社長に退職届を出すイメージでもいいです。これ、なかなか勇気がいりますよね。そのくらいの覚悟で妻は夫に「話したいことがある」と言うんです。ぼくは過去に転職経験があって、そのことを妻に相談するときにすごくエネルギーを使ったので、「話したいことがある」のハードルを知っていました。

②相手を攻撃するのではなく、話し合いであるというスタンス
妻はこのとき「産後に夫婦の会話が減ったから、コミュニケーションが取れなくなっている」と言いました。ぼくはそう感じていなかったのでそれを否定しました。ここでもし、コミュニケーションが取れてる・取れてないの言い合いになったら没交渉だったんですが、妻は「私とあなたとの“コミュニケーション”の考え方(定義)が違うと思う」と言ったんですね。これには衝撃でした。夫婦間で定義が違うなんてことが起こりうるのかと。それは理解したいかも……と思いました。

③「いつなら話し合える?」と聞かれた
こういうところが、うちの妻の上手いところだと思うんですけどね、「今から話し合うよ! ほら!」ではないんですね。「いつなら話し合える?」とこちらの都合に合わせてくるんです。絶対断れないじゃないですか。

――というわけで、毎週日曜日に夫婦ミーティングをすることになった渡邊家です。
どのようなやり方で、どのような内容を話し合うことになったのか? 次回に続きます!

今回のまとめ

育児において、妻がしてほしいことと自分がしたいことはイコールではないことを知ろう!

(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)

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