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2021年09月09日 16:05 更新

妊婦の食事で気をつけることは? 献立づくりのコツ10【管理栄養士監修】

妊娠すると母体と胎児の健康のために、食事バランスの摂れた食事を意識しなければなりません。今回は「むくみがつらい…」「体重増加が止まらない!」「血糖値が気になる」といった妊婦さんのために目的別に献立のポイントとおすすめレシピをまとめました。

むくみが気になる妊婦のための献立 4つのコツ

妊婦のむくみ対策

妊娠すると母体には様々な変化が起こります。なかでもむくみは、多くの妊婦さんが経験するトラブルの1つ。食事で気を付けるべき点をご紹介します。

1. 塩分控えめは必須! 目標は1日6.5g

むくみを避けたいと思ったら、塩分は控えることが望ましいです。ナトリウムは細胞に水分を貯めこんでしまうためです。
厚生労働省が発行している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18歳以上の女性の食塩は1日6.5g未満が目標値[*1] とされているにも関わらず、令和元年度の国民健康・栄養調査で成人の女性の食塩摂取量平均は9.3gと高い数値でした [*2] 。
妊娠中は特にむくみ防止のために1日の食塩摂取量が6.5g未満になるようと薄味を心がけたいものです[*1] 。

妊娠中の塩分について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎妊婦が塩分を取りすぎるリスクと1日の目安摂取量

2. カリウム豊富な食材を用いる

カリウム豊富なバナナを食べる妊婦

カリウムは余分な塩分を体外に排出してくれる働きがありますので、ナトリウムの摂取量に対して、カリウムの摂取量が不足するとむくみの原因にもなります。カリウムは野菜や果物に多く含まれているので積極的に摂りましょう。特にほうれん草や小松菜、かぼちゃ、バナナなどに多く含まれます [*4] 。カリウムはゆでると水に溶け出るため、調理の必要のないバナナなどは手軽にとれる食材の1つといえますね。

妊娠中のバナナについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎妊婦はバナナでつわり、便秘対策!うれしい効果と注意点

3. 味噌汁の具は多めに

具だくさん味噌汁

野菜は汁物に入れることでかさが減り、より多くの野菜を摂取することができます。さらに、具材を多めに入れることでうま味が増すので、調味料が少量で済むため減塩にもつながります。

また、汁物に具材を多く入れることは水に溶けだしたビタミン類などの栄養素も余すことなく摂れるメリットがあります。野菜だけに限らず、肉や魚、豆腐などのタンパク質なども汁物に加えることで、おかずが汁物だけでも栄養満点の食事を作ることができるので、つわりなどで食事が思うように作れない際にはおすすめです。

4. 香味野菜や出汁を活用

香味野菜やかんきつ類、香辛料、酢を料理に使い、風味をきかせることで味が引き立ち調味料の量が少なく減塩にもつながります。肉や魚の下ごしらえをする際に少し多め香味野菜を使用することも良いでしょう。香味野菜を使うことは肉や魚の臭み消しにもなるため、つわりの時でも食べやすくなります。

また、少し濃いめの出汁(だし)を料理に使い、出汁をきかせることで塩分の摂りすぎを防ぎ、おいしく減塩ができます。かつおと昆布を組み合わせるなど、2種類以上のだしを使うことで「うま味の相乗効果」が生まれ、うま味を強く感じることができます。今まで1種類のだしを使用していた方はぜひ2種類の出汁を組み合わせ、だしのうま味を引き立たせてみましょう。

むくみ対策!おすすめ夜ご飯レシピ「優しい味付けの筑前煮」

筑前煮

■材料(1人分)
・鶏肉 60g
・こんにゃく 50g
・ごぼう 40g
・にんじん 30g
・生しいたけ 20g
・さやいんげん 10g
・サラダ油 3g
・濃いめのだし汁 150ml
・砂糖 10g
・醤油 6g
・しょうが汁 5g

■作り方
① 鶏肉は一口大の大きさに切る。こんにゃくはスプーンなどで一口大の大きさにちぎる。ごぼうは乱切りにし酢水につけておく。人参は乱切り、しいたけは4等分に切る。さやいんげんは筋を取り、3cm長さに切って塩ゆでし、冷水に取って水気を取っておく
② 鍋にサラダ油を中火で熱し、鶏肉を入れて表面が白くなるまで炒める。こんにゃく、ごぼう、にんじん、生しいたけを加えさらに炒める
③ ②にだし汁を入れて沸騰したら、アクを取り、砂糖と醤油を入れて落としぶたをし、中火で具材が柔らかくなるまで煮る
④ 落し蓋を取り、余分な水分をとばす。仕上げにしょうがの汁、さやいんげんを加えて火を止め、ザックリと全体を混ぜる

濃いめのだし汁を使うことによって味にうま味が増すので、少量の調味料で味付けでも満足のいく味付けができます。

また、仕上げにしょうが汁を用いることにより、風味よく薄味でも気になりません。

食物繊維の多いこんにゃくや根菜類で満腹感も得られる1品です。

体重管理が必要な妊婦のための献立 3つのコツ

妊婦の体重管理対策まとめ

妊娠時期は適度な体重管理が必要です。最近は妊婦さんがやせすぎていることが問題になっていますので、赤ちゃんのためにもしっかり体重を増やす必要もあります。しかし、過度の体重増加には気をつけましょう。つわりがひと段落したころから体重が増えやすくなります。カロリー過多や運動不足は肥満のリスクを高めますので、適度なバランスのとれた献立を意識しましょう。

5. 穀類だけに偏らず、おかずも食べる

穀類を減らさらなくてもいいのですが、どうしてもパンやおにぎりなど簡単なもので済ませてしまったりしがちです。穀類の摂取はエネルギー量がどうしても高くなるので、食べる量にも注意しましょう。

特に麺類は食べやすく、ついつい食べすぎてしまうことが多いです。さらに麺類は単体でもおいしく食べられるため、他のおかずが不足気味になり食事のバランスが崩れることも多いです。様々な食品からいろいろな栄養素を摂取するためにも、バランスの良い食事を意識しましょう。

6. 野菜やきのこを多くする

きのこサラダ

野菜(ごぼう、切り干し大根など)やきのこ、こんにゃく、海藻食物繊維が多く、低エネルギーでありながら食事のかさが増えるので満腹感が得られ、急激な体重増加を防ぐことができます。

また、食物繊維には血圧の低下作用があったり、血糖の上昇を穏やかにしたりする働きもあります。毎食の食事に食物繊維の多い食品があるかチェックしてみましょう。

酢などをつかってさっぱり食べると食欲がない時でも食べやすくなります。また常備菜として作り置きをしておくと、ちょっと小鉢を足すことができるので便利ですね

7. 低カロリー&栄養満点の野菜スープをとる

野菜をスープに入れることで野菜のかさが減り、生野菜より多くの野菜の摂取が可能となります。また、噛み応えのある食物繊維が多く含まれる食材は保水性があるため満腹感を与え、食べすぎを防ぎます。

食べすぎを防ぐためにも、食事のはじめに汁物を飲むこともおすすめの食べ方です。ビタミンなどの栄養素は水に溶けやすいため、汁物で水分に溶け込んだ栄養素も一緒に摂取しましょう。

体重管理対策!おすすめ夜ご飯レシピ「切り干し大根とパプリカの胡麻酢和え」

パプリカを切る

■材料(1人分)
・切り干し大根 15g
・パプリカ 15g
・にんじん 10g
・水菜 20g
・ごま油 5g
・酢 5g
・砂糖 3g
・すりごま お好みで

■作り方
① 切り干し大根は水につけて戻し、水気を切り3cmほどに切る
② パプリカ、にんじんは細切りにし、水菜は食べやすい大きさに切る
③ フライパンにごま油を入れ、②を軽く炒め、①に加える
④ 酢・砂糖・すりごまを混ぜ合わせ、③と和える

食物繊維とカルシウムが多く含まれた切り干し大根を使ったレシピです。切り干し大根を使うことにより、食べ応えup!

酢、ごま油、すりごまを使うことによって風味よく薄味でもおいしい味わいとなっています。

血糖値が気になる妊婦のための献立 3つのコツ

血糖値対策のコツ

妊娠中に血糖が高いと、母体だけではなく胎児にも悪影響を及ぼす場合があります。妊娠前から食事には気を付け、母体の健康維持と胎児の健全な発育のためも血糖を急激に上げない食事を心がけましょう。

8. 雑穀やライ麦パンなど主食を工夫して量を減らす

ご飯などの主食は糖質が多く、血糖値が上がりやすいです。急激な血糖値の上昇をおさえ、ゆるやかに血糖が上がるような食事を心がけま精製度の低い雑穀米やライ麦などの食物繊維の多い炭水化物がおすすめです。雑穀米やライ麦、もち麦などの食物繊維の多く含まれている食材も上手に活用しましよう。
特に味付きの主食は、早食いになりやすくついつい食べすぎてしまうので気をつけましょう。

9. 薄味を基本に、牛乳をプラスして

薄味のメニュー

和食でも洋食でも、お肉など味の濃いものをおかずにしてしまうと主食であるご飯が進み、食べすぎてしまう傾向があります。出汁で煮込むようなメニューであれば、油の使用量も減りエネルギーが抑えられます。さらに出汁がきいていれば、うま味を感じやすく調味料も少なく済むことが和食の良いところです。

出汁の半分を牛乳に変える「乳和食」もおすすめです。牛乳を和食に加えることで「旨味」や「コク」を料理にプラスすることができ、味噌などの調味料を減らせ、食材本来の風味や特徴を損なわずに減塩にもつながります。牛乳は食後の血糖値の上昇が穏やかな食品の1つのため、ぜひ毎日の食事に取り入れてみましょう。

10. 鉄分、タンパク質、食物繊維をしっかり摂取

血糖値が気になるからといい、自己判断で食事の量を抑えると鉄分やタンパク質が不足してしまい、母体は貧血気味になってしまい不調が生じます。

タンパク質は脂質の多い肉類に偏らず、魚や大豆製品も取り入れ、バランスよく摂取することが大切です。赤身の肉や魚などを食べ、鉄分もしっかりと摂りましょう。

同時に食物繊維も意識して摂るようにします。食物繊維の多く含まれる根菜類は和食には手軽に料理に取り入れることが可能です。タンパク質の量など何か気になることがある場合には必ず、かかりつけ医や管理栄養士に検診の際相談してみましょう。

血糖値対策!おすすめ夜ご飯レシピ「乳和食!豚のしゃぶしゃぶ」

豚しゃぶ

■材料(1人分)
・豚薄切り草 1/2
・生しいたけ 6枚
・人参 20g

<鍋つゆ>
・牛乳 150ml
・水 150ml
・酒 大さじ1

<つけだれ>
・ポン酢 大さじ1
・牛乳(または鍋の煮汁) 大さじ3
・すりごま 大さじ1

・雑穀ご飯 150g

■作り方
① ほうれん草は下茹でをし、食べやすい大きさに切っておく。生しいたけは4等分、人参は薄く切っておく
② 鍋に鍋つゆを混ぜ、沸騰したら肉と野菜を入れて火を通す
③ 鍋に残った鍋の煮汁に雑穀ごはんを入れてひと煮し、雑炊にする

乳和食の鍋つゆはコクがあるので、少しのポン酢でもおいしくいただけます。雑炊を作る際に際に少量の味噌で味付けをしてもおいしいです。

豆腐や様々な野菜とも相性が良いのでお好みの食材で試してみてください。

まとめ

妊娠期は母体とお腹の中の赤ちゃんのためにも自分の身体に適した食事をしなければなりません。少しでも気になることがあれば、決して食事療法は自己判断で始めるのではなく、かかりつけ医の指導の下、行ってくださいね。
今回、紹介した様々な悩みのための調理法は簡単に毎日の調理に取り入れられるものです。ぜひ、試してみてください。特に妊娠中はむくみやすいので妊娠初期から減塩を心がけたいものです。調理の中でいろいろな減塩法を試してみましょう。

(文:茅野陽 先生、監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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