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2023年01月16日 14:28 更新

【医師監修】つわりでお風呂が辛い! 気持ち悪くなる理由と対処法

つわりの時期には「入浴によって気分が悪くなる」という妊婦さんも少なくないようです。お風呂に入ると気持ちが悪くなるけれど、少しでもさっぱりしたい……そんなときに役立つ入浴方法のコツを紹介します。

つわりのときお風呂が辛くなるのはなぜ?

お湯を溜めている湯船

つわりのとき、入浴でも気持ちが悪くなったりするのは、妊娠による血圧の変化の影響やシャンプー、せっけんの匂いなどが影響しているのかもしれません。

温まってより立ちくらみが

妊娠中は、女性ホルモンの影響で血管が拡張し、血圧は下がりやすい傾向にあります。このため、急に立ち上がった際などに 「起立性低血圧」を起こすことがよくあります。とくに妊娠初期は起立性低血圧を起こしやすく、脳への血流が急に減ることで、めまいやふらつき、冷や汗などのほかに吐き気を覚えることもあります。

体が温まることでも血管が拡張して血圧は下がるため、とくに入浴中は、こうした不調を感じやすいかもしれません。

シャンプーや石けん、洗顔料の匂い

お風呂場で使うシャンプーやボディソープ、入浴剤などの匂いによって気持ちが悪くなってしまう人もいます。

嗅覚が変化し、匂いに敏感になるというのは、妊婦さんがよく感じる症状のひとつでやはり妊娠初期によく見られます。

料理やタバコの煙、傷んだ食べ物、香水、香辛料、コーヒーなど、特定の匂いをより強く感じるようになったり、嗅覚全般が鋭くなったりといった変化があるので、妊娠前は気にならなかったシャンプーなどの匂いが急に鼻につくようになる場合もあります。

水蒸気で吐き気が

つわりのときには「炊きたてごはんの湯気がつらい」という人もいますが、それと同じようにお風呂の湯気や湿気で吐き気をもよおしてしまう人も。「つわり中は、お風呂の湯気がどうしようもなくつらかった」という人は珍しくありません。

つわりでお風呂が辛いときの対処法

シャワー

つわりでお風呂に入るのがつらくても、体はさっぱりしたいもの。そんなときは入浴にかける時間やお湯の温度、タイミングなどを工夫すると、つらさが軽減されるかもしれません。

短時間で済ませる

入浴はなるべく短時間で、さっと済ませるようにしましょう。短い時間で済ませられれば、血管の拡張が抑えられて、めまいや立ちくらみによる気持ち悪さを防ぐのに役立ちます。

湯温はぬるめの適温に設定する

湯船につかる場合は、お湯の温度を気持ちぬるめにするのがおすすめです。妊婦さんの入浴に適しているとされるお湯の温度は「40~41℃」。このくらいの温かさのお湯に10分程度、1日2回を限度に入浴するのが良いといわれています[*1]。

42℃以上で熱すぎる、または30℃以下でぬるすぎるお湯では、交感神経が刺激されることで血圧が上昇しますが、血圧が急上昇すると今度は脳や心臓、血管などに負担がかかります。妊娠中はとくに、無理なく浸かれる湯温に設定するようにしましょう。

空腹時や食後すぐは避ける

入浴すると皮膚への血流量が増えるので、内臓へ流れる血液の量が少なくなり、消化機能が低下するといわれています。この影響により食後すぐにお風呂に入ると、食べたものが消化吸収されにくく、気持ち悪さが増すことも。食後は、1時間くらいたってから入浴するのがおすすめです。

また、空腹時の入浴も避けたほうが無難です。空腹時は血糖値が下がっているのでそれによってめまいなどを覚えることがあり、つわりの症状も出やすいからです。入浴するタイミングを工夫して、つらさを少しでも減らしましょう。

洗剤を無香料のものに替える

浴用洗剤のイメージ

シャンプーやボディソープの匂いで気持ちが悪くなる人は、それらを無香料のものにするのも、ひとつの方法です。

無香料のシャンプーやボディソープには肌への刺激を抑えた製品も多いので、肌が敏感な妊婦さんが安心して使いやすいというメリットもあります。産後、赤ちゃんと一緒に使えるものもあるので、いろいろ探してみるとよいでしょう。

シャワーだけで済ませる

一般的に入浴には代謝促進、疲労回復のほか、交感神経や筋肉の緊張を低下させ、ストレスを軽減させる作用があるとされています。つわりで体が辛くなっていたり、リラックスしたいときは湯船につかりたくなりますよね。

でも、つわりで辛いときは無理をせず、シャワーだけで済ませてしまいましょう。つわりが治まったら、お風呂をゆっくり楽しめるようになります。

体調にあわせて無理をしない

ヘアケアする女性

体調によっては無理をせず、「その日は入浴をしない」という選択肢もあります。そんなとき、お風呂に入らなくても体をさっぱりできる方法を紹介しましょう。

ホットタオルでさっぱり

ホットタオルは熱めのお湯にタオルを浸して絞るか、水に浸して絞ったタオルを電子レンジで温めることで用意できます。そのようにして温めたタオルで顔や首元、腕、足などを拭き取ると、さっぱりした気持ちになりますよ。

気持ちが悪かったり、体調が思わしくなかったりして入浴がつらい、でも少しは体をさっぱりさせたいというときには、この方法がおすすめです。

香料控えめのドライシャンプー/シートを試しても

体だけでなく髪もキレイにしたいという人は、「ドライシャンプー」を使ってみてはいかがでしょう。

ドライシャンプーは頭皮や髪に付けて拭き取ることで、髪を濡らさずに頭皮や髪の臭いやべたつきを抑えてくれるアイテムです。通常のシャンプーほど、しっかりと汚れを落としてくれるわけではありませんが、つわりでつらいけれど、できれば髪の毛はキレイにしておきたいという妊婦さんにとってはうれしい存在といえるでしょう。

ミスト、スプレー、パウダー、ジェル、フォームなどさまざまなタイプがあり、タイプごとに特徴や使用感が異なるため、好みのものを選んでみましょう。シートタイプのドライシャンプーならパッケージから取り出し、そのまま拭き取れるので、とても手軽に使えます。

なお、ドライシャンプーは香りが強いものも多いので、妊娠中は香料控えめのタイプや人によって異なりますが、柑橘系やメントールなど、自分が気にならない香りのものを選ぶとよいでしょう。

ドライシャンプーはつわりのときだけでなく、産後の入院グッズとしても役立ちます。ひとつ用意しておいてもよいかもしれません。

上の子はパパ担当に

経産婦さんの場合、自分だけでなく、上の子のお風呂をどうしたらよいのか悩ましいこともあるでしょう。つわりの期間は、比較的大丈夫なときもあれば、起き上がれないようなときもあるなど、体調が不安定なのもつらいところです。

これからの育児のことを考えて、上の子のお風呂はパートナーや家族に担当してもらえるよう、家族で話し合い、無理のない方法を探してみましょう。

つわりがひどい時の入浴の注意点

ツワリの女性

つわりがひどいときやつわりに限らず妊娠中、体調に不安があるときに入浴する場合は、以下のような点に気をつけておきましょう。

なるべく家族がいるときに入る

最初にもお伝えしたように、妊婦さんはもともと起立性低血圧による立ちくらみを起こしやすいのですが、入浴によって体が温まると血圧が下がり、さらにめまいを起こしやすくなります。それに加え、着替えの際や足場の不安定な浴室、脱衣所ではふらついたり、転んだりする可能性も少なくありません。

万が一、転倒するようなことがあっても、すぐに対応ができれば安心です。何かあったときにも気付いてもらいやすいよう、できればお風呂に入るのは、家族が家にいるときにすることをおすすめします。

入浴前に水を1杯飲む

つわりの時期は飲食物を口にする量が減ったり、おう吐をしたりする傾向にあり、じゅうぶんな量の水分がとれていない可能性があります。また、入浴すると、発汗により体から水分がさらに失われます。

体が脱水状態に近づくと血液が固まりやすくなり、血管内に血栓と呼ばれる血の塊ができやすくなります。妊娠中は出産に備えて、通常時よりも血液が固まりやすい状態になっているため、脱水には注意が必要です。

のどが渇いていなくても、入浴の前にはコップ1~2杯、そしてお風呂から上がった後にも同じく1~2杯の水分を補給しましょう。

他の症状もあるときは入浴を避ける

つわり以外の症状、例えば発熱や出血、お腹の張りがあるときも入浴は避けるのが無難です。入浴は体への負担が思いのほか大きいので、無理しないようにしましょう。また、しばらく休んでもこうした不調が続く場合は、産院に相談してください。

まとめ

湯上りの足元のイメージ

お風呂に入ると疲労回復やリラックス効果が期待できますが、つわりの症状によっては入浴そのものがつらく感じることもあります。そのときは入浴時間やタイミングを工夫したり、お風呂に入らなくても体を清潔に保てる方法を試したりしてみましょう。

においづわりの妊婦さんはお風呂そのものではなく、シャンプーやボディソープの匂いで気持ちが悪くなってしまうこともあるでしょう。その場合は、使う洗浄料を無香料のものに変えてみると良いかもしれません。

入浴は意外と体にかかる負担が大きいので、つわりの時期はできるだけ無理せず、症状が治まったころにゆっくり楽しむようにしましょう。

(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]東京医学社「周産期医学」増刊「周産期相談300 お母さんへの回答マニュアル」,1998,p.184

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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