仕事 仕事
2022年08月19日 13:06 更新

育児休暇とは? 育児休業との違いと知っておきたい9つのこと

仕事をしている女性にとって気になることのひとつが、出産した後に取得できる育児休業・育児休業のこと。産まれたばかりの赤ちゃんを育てるために、「育休」という制度があることは知っているけれど、具体的な内容までは知らないという人は多いでしょう。育休の仕組みについて、育児休業と育児休暇の違いについて、くわしくご紹介します。

「育児休業」ってなに? 「育児休暇」とは違うの?

Lazy dummy

育児休業(育休)とは、育児のために仕事を休むことができるという、働いている人に対して国が認めている権利です。育児・介護休業法という法律によって定められています。

育休について正しい情報を知らないと、思わぬところで損をしたり、困った事態に直面することもあるかもしれません。すでに妊娠している人はもちろん、そうでない人も、育休とはどのような制度なのか、正しい知識を確認してみましょう。

「育児・介護休業法」とは?

育児・介護休業法とは、育児または家族の介護を行う労働者が仕事と家庭生活の両立を図られるよう支援することを目的とした法律です。こうした支援を国が行うことによって福祉を増進するだけでなく、わが国の経済や社会の発展につながると考えられてつくられました[*1]。

簡単にいうと、幼い子どもがいる人や介護が必要となる家族を抱えている人が休みをとりながら仕事を続けていけるように定められた法律です。

この育児・介護休業法のなかで、1歳に満たない子を養育する労働者は、仕事を休むことができると決まっています。

第 5 条
労働者は、その養育する 1 歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。(育児・介護休業法)

「育児休業」と「育児休暇」の違い

育休には、「育児休業」と「育児休暇」があります。育休のことを理解するうえで、このふたつの違いを把握しておきましょう。

なお、単に「育休」という場合には、「育児休業」を指すことが多いです。

何の制度? いつまで? 手当金は?
育児休業 国の制度 子が1歳まで
(最長で2歳まで延長可)
育児休業給付金
(育休手当)
育児休暇 企業の制度 小学校入学まで
(具体的には企業による)
なし

「育児休業」とは法律で定められた労働者の権利・育休手当あり

育児休業とは、育児・介護休業法によって定められた休業制度のこと。原則として、1歳までの子をもつ労働者のもつ権利です。

国の制度で定められた権利なので、どの企業に勤めていても、同じ条件で、法律に基づいて休みを取得できます。

育児休業中は無給とする企業が多いですが、給料がもらえない場合は、雇用保険から「育児休業給付金(育休手当)」が支給され、収入が途絶える心配をせずに休むことができるのが、育児休暇との大きな違いといえるでしょう。

「育児休暇(育児目的休暇)」とは企業の努力義務

「育児休暇」とは、就学前の子どもをもつ従業員が育児を目的として取得する休暇のことで、「育児目的休暇」ともいわれます。

企業がそれぞれ設ける制度で、いつとれるか、何日休めるか、有給か無給かなどのルールは企業により異なり、名称も「配偶者出産休暇」「ファミリー休暇」など、企業によりさまざまです。

育児・介護休業法では、企業に対し「育児目的休暇」を設ける努力義務を課しています。しかし、すべての企業に制度があるわけではなく、制度がない企業では、取得することができません。

第 24 条
事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(子の看護休暇、介護休暇及び労働基準法第 39 条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含む。)を与えるための措置(中略)を講ずるよう努めなければならない。(育児・介護休業法)

育休(育児休業)を取得できる期間

育児休業は、原則として子どもが1歳の誕生日を迎える前日までの間で、申請した期間、休むことができます。ただし、下記のようなケースでは、子どもが1歳6か月になるまでと2歳になるまでの2回、育児休業を延長して取得することができます

・保育所に入所を希望しているが、入所できない
・子を養育する予定だった配偶者が死亡、負傷、疾病などの事情により子を養育することが困難になった

育休(育児休業)を取得できる条件

育児休業は原則として、1歳未満の子を養育する労働者に認められた権利です。取得するための条件として

1)続けて雇用された期間が1年以上あること
2)1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでないこと


があります。1)の条件は、2022年4月から育児・介護休業法上は撤廃されていますが、企業の労使協定で定めることは認められているため、勤務先に確認が必要です[*2]。

つまり、育休を取得できる労働者には、正社員や派遣社員、パート労働者も含みます(日雇労働者は対象となっていません)。条件を満たす労働者が事業主に育児休業を取得する申し出をした場合、事業主は原則として拒否することはできません。

なお、育児休業を取得するためには、休業に入る1ヶ月前までに、育休期間を示したうえで書面で申し出なければならないので、期限を過ぎることのないよう気をつけましょう。

育休から復職する方法

育休が明けてからも、当然ですが育児は続きます。1歳を過ぎても子どもにはまだまだ手がかかりますから、育休中に復帰後の生活や仕事の仕方をシミュレーションしておくとよいでしょう。

保育園への送り迎えはもちろん、子どもが急な病気になったとき、休日出勤や出張をすることになったときなど、さまざまなシチュエーションを想定して、夫婦で連携をとれるようにしておく必要があります。念のために、双方の両親や地域のファミリーサポート、病児保育施設などにお願いできるか、育休中に確認をしてくことをおすすめします。

職場の人への復帰報告も忘れないようにしたいですね。育休から復帰する際には、上司や同僚、関連する部署などにあいさつをするようにしましょう。幼い子どもを育てながら仕事を続ける場合、どうしても職場の人たちに協力をお願いしなくてはならない場面が増えてしまうものです。お互い気持ちよく働くためにもまた、仕事のカバーをしてもらったことなどの感謝の気持ちとあわせて、復職することを伝えておきましょう。

6ca5c474 9ab8 4c1d a9ae 32ac790dde31

男性も育児休業をとることができる?

Lazy dummy

育児休業制度は、女性のためだけのものではありません。男性も、育児休業を取得することができます。パパの育児休業についても知っておきましょう。

男性・父親の育児休業取得の条件と新制度

男性も女性と同様に、条件に当てはまっていれば、育児休業をとることができます。ママが専業主婦であっても、ママが育休中であっても、パパの育児休業の取得は可能です。

仕事と育児の両立を推進するため、育児・介護休業法は繰り返し改正されており、直近の改正では、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設や、育児休業の分割取得が可能になるなど、男性にも利用しやすい育児休業制度の整備が進んでいます[*2]。

産後パパ育休(出生時育児休業)とは

産後パパ育休(出生時育児休業)とは、子を持つ男性が、子の出生後8週間以内に4週間、2回まで分割して取得可能な休業制度です。

2022年(令和4年)10月から施行される改正育児・介護休業法による新制度で、これまでも認められていた通常の育児休業とは別に取得することができ、休業中は、育児休業給付金(育休手当)も支給されます。

また、通常の育休中は原則として働くことはできませんが、産後パパ育休は、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能になりました。

産後すぐの女性は体調が万全ではなく、また、昼も夜もない新生児のお世話は本当に大変です。新制度を利用し、男性の育休取得、育児参画が進むことが期待されています。

育休の分割取得とは

2022年(令和4年)10月から施行される改正育児・介護休業法では、これまで原則として連続してしかとれなかった育児休業を、2回まで分割して取得できるようになりました。上で紹介した産後パパ育休も2回まで分割して取得できるので、男性の場合は、計4回まで育休をとれることになります。

これにより、夫婦で交代しながら繰り返し育休をとったり、産後すぐの時期とママの復職前後の時期の2回に分けてパパが育休をとったり、といった柔軟な運用が可能になります。

また、育児休業中は育児休業給付金(育休手当)が支給されるとはいえ、給料のように毎月振り込みがあるわけではなく、とくに最初の支給までには育休開始から3ヶ月近くかかってしまいます。育休の分割取得が可能になったことにより、たとえば2週間育休をとって2週間働き、また2週間育休をとって2週間働く、といった形で、収入が途絶える月が出ないようにしながら、ある程度まとまった期間の育休を取得すること可能になります。

育休の分割取得は男性に限った制度ではなく、男女とも同じように適用されますが、この制度により、これまで育休をとりづらいと感じていた男性の状況が改善されることが期待されています。

育児休業中の給料は出る? 育休手当とは?

Lazy dummy

先にお伝えしたとおり、育児休暇では給料が支給されない企業がほとんどです。しかし、法律で規定されている育児休業制度の休業期間中には、育児休業給付金(育休手当)というお金を受けとることができます

子どもが生まれると出費もかさみますから、金銭的な制度についてもしっかりと理解しておきましょう。

育児休業中は育児休業給付金(育休手当)が支給される

育児休業制度を利用して休んでいる期間は、育児休業給付金(育休手当)を受けとることができます。雇用保険の一般被保険者が育児休業を取得した場合に支給される育児休業給付金について、説明しておきましょう。

育児休業期間中には、原則、育児休業給付金として雇用保険から「休業を開始した時点の賃金日額×支給日数×67%(半年後から50%)」のお金が支給されます

ただし、企業が一定額以上の給料を支払う場合には、育休給付金は減額されます。また、「休業を開始した時点の賃金日額×支給日数」の80%以上の給料が支払われる場合には、育児休業給付金は支給されません。

産休中の女性は育児休業給付金の対象外!

育児休業給付金が支給される期間には、女性の産休期間は含まれません。

出産した女性は、出産の翌日から起算して8週間(本人が希望し医師が認めれば6週間)の産後休業(産休)をとる必要があります。育休がスタートし、育児給付金の対象となるのは、産休が終了した翌日からである点に注意してください。

産休期間を対象とした手当には、出産手当金という別の制度があります。

育児休業給付金を受けとるための手続き

育児休業給付金は、本人がハローワークに直接申請することもできますが、通常は勤務先を通して手続きします。勤務先が用意する書類もありますが、母子手帳のコピーや、育休給付金を振り込む銀行口座の情報、マイナンバーなどは本人が用意して提出する必要があります。人事部など担当の部署にあらかじめ確認しておき、書類の提出を求められたらすぐに対応できるようにしておきましょう。

手続きとしては、勤務先は「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」といった書類に、出勤記録がわかるタイムカード賃金台帳の書類、育児をおこなっている事実を証明するための母子健康手帳のコピーなどを添付して、所轄のハローワークに提出します。

ハローワークでは受給資格を確認、支給金額を算定して決定し、「育児休業給付金支給決定通知書」を交付します。この通知書は、勤務先を通して、手元に届けられます。

「育児休業給付金支給決定通知書」が手元に届けば、数日以内に指定した口座に育休給付金が振り込まれます。

育休中の社会保険料は免除に

育児休業を取得している期間中は、社会保険料が免除されるようになっています。本人だけでなく事業主の負担分も同様に免除されます。

育児休業給付金も社会保険料の免除も、女性だけでなく男性も受けられる制度です。ただし、育休期間が短いと、免除を受けられないことがあるので、注意しましょう。

まとめ

育休に入る直前になると、ママのおなかもだいぶ大きくなってきますし、出産に向けての準備をしなくてはならないうえに、職場では引継ぎや挨拶まわりに追われるなど慌ただしくなってしまいます。余裕があるうちに、育児休業制度について、夫婦そろって正しい知識を身につけておくとよいでしょう。どのように制度を利用していくべきか、夫婦でじっくりと話し合えるといいですね。

(構成・文:マイナビ子育て編集部)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-