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2021年01月28日 17:42 更新

【医師監修】子供の胃腸炎、症状と原因は? 気をつけたい脱水症状とケア

子供を苦しめる胃腸炎には、さまざまな原因があります。今回は、子供の胃腸炎について、考えられる原因、症状、治療法、そしてホームケアについてご紹介します。

子供の胃腸炎とは?

胃腸炎で吐き気がある子供
Lazy dummy

子供の胃腸炎の原因

胃腸炎とはその名の通り、何らかの原因で胃腸に炎症が起きた状態のことです。主な原因を紹介します。

■ウイルス
・ノロウイルス
・ロタウイルス
・アデノウイルス など
*冬期に感染することが多いです。

■細菌
・腸炎ビブリオ
・サルモネラ
・病原性大腸菌
・カンピロバクター など
*夏期に感染することが多いです。

■寄生虫
・アメーバ
・クリプトスポリジウム など

乳幼児の胃腸炎の原因は「ロタウイルス」が多い

生後6ヶ月~2歳児がかかりやすいのが、ロタウイルスによる胃腸炎です。5歳までにほぼすべての子供がロタウイルスに感染するとされています。ロタウイルスに感染した患者の嘔吐物や便などの処理後に十分な手洗いが行われなかった場合の手指や、それによって汚染されたドアノブなどを介して、ウイルスが口に入ることで感染します。

中でも、乳幼児は、症状が激しく出るケースが多いです。主な症状として、水のような下痢や嘔吐を繰り返し、発熱、腹痛なども起こります。脱水症状がひどくなる場合もあり、入院が必要になることがあります。

ロタウイルスへの感染の予防として、予防接種が挙げられます。日本ではロタウイルスのワクチン2種類が承認されており、任意接種が可能です。

なお、感染しているかどうかは嘔吐物や便を処理するときは不明なので、体液を含んでいるものを扱うときは、常に感染している可能性があるとみなして、使い捨ての手袋を用いたり、十分に手洗いをしたり、日頃から十分に注意していくことが望ましいでしょう。

子供の胃腸炎の症状

胃腸炎の疑いのある子供を診察する医師
Lazy dummy

代表的な症状

以下に、子供の胃腸炎の症状として考えられるものをご紹介いたします。

・嘔吐
・下痢
・腹痛
・発熱
・吐き気

脱水症状のサインとは?

胃腸炎の合併症で最も多いのは「脱水症状」です。胃腸炎になると、嘔吐や下痢で体の水分が失われていきますので、脱水症状にならないように、十分に注意して看てあげる必要があります。以下、「脱水症状のサイン」をご紹介します。

・唇や舌、手のひらが乾いている
・尿が濃い、量が少ない
・顔色が良くない
・元気がなくぐったりしている、うとうとしてすぐに寝てしまう
・皮膚にはりがない

子供の胃腸炎の治療法

胃腸炎のために水分補給をする子供
Lazy dummy

基本的な治療法

ウイルス性胃腸炎には有効な薬がありません。よって、それぞれの個別の症状に対する対症療法が行われます。脱水を防ぐための水分補給と栄養補給が中心となり、点滴が必要となる場合も。

細菌性胃腸炎の場合も対症療法が行われ、抗生物質(抗菌薬)は必要ないことが多いとされています。

子供の胃腸炎のホームケア

胃腸炎で頭に包帯を巻いたクマちゃんを抱いて寝むる子供
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最も重要なのは「水分補給」

胃腸炎にかかると、下痢や嘔吐によって水分が失われていきます。このような脱水症状は、子供の生命に危険を与える可能性もありますから「水分補給は最も重要なケア」です。以下、水分のとり方をご紹介します。

■経口補水液
・薬局などで購入できる市販のものとしては「OS-1」「アクアライトORS」など
・家庭では、湯冷まし1Lに、食塩3g(小さじ1/2杯)、砂糖40g(大さじ4.5杯)、好みで果汁(レモンやグレープフルーツなど)を混ぜて作ることができます。

■経口補水液の飲ませ方(経口補水療法)
最初は5cc(ティースプーン1杯)から始めて、1~5分おきに飲ませてください。嘔吐が見られなければ少しずつ1回に飲む量を増やしていきます。一度にたくさん飲ませると吐いてしまい、かえって脱水が進んでしまうことがあるので気をつけましょう。まだ母乳(ミルク)を飲んでいる赤ちゃんの場合は、母乳(ミルク)を少しずつ何度も与えてください。

心配な点がある場合は、医師に相談しましょう。

食事やお風呂

■食事
嘔吐が続いているうちは、食事を与えても、すぐに吐いてしまうので、無理に与えなくて大丈夫です。水分を与えても嘔吐しなくなったのを確認したら、食事を与えます。食事は、消化吸収の良いものが基本です。食物繊維の多い食べ物、刺激の強い食べ物、脂質の多い食べ物は、胃腸に負担をかけるので避けましょう。望ましい食事は、おじや、うどん、すりおろしりんご、スープ、豆腐、ヨーグルトなどです。食材は小さくカットしてください。1回の食事で食べられる量は少なくしつつ、1日5回前後など、食事の回数を分けてあげましょう。

■風呂
38度を超える発熱をしていたり、吐き気が強い時、下痢が止まらない時などは体力を消耗させないためにお風呂に入らないほうが良いでしょう。症状が悪化してしまう可能性があるほか、吐瀉物や下痢で、浴槽を汚染してしまう可能性があり、衛生面で問題があります。

すでに吐き気は治まっているが、多少下痢があるという状態では、ごく短い時間の入浴ならば大丈夫です。長時間の入浴は、体力を使うため控えましょう。また、体調が戻らず発熱などがあっても「体がべとべとして気持ち悪い」ということは特に夏場などには多いはずです。このような場合は、お湯を使った濡れタオルで体を拭いてあげましょう。

また、下痢のうんちは肌を刺激しやすいので、お尻についたままにしていると、肌がかぶれてしまいます。下痢をしたら、すぐにおむつを交換して、シャワーや座浴でお尻を清潔にしてから、極力こすらないようにしつつ柔らかいタオルなどで水分を拭き取ってあげてください。また、二次感染を防ぐため、おむつ交換のあとには石けんを使って十分に手洗いをしましょう。

まとめ

胃腸炎が回復して花の匂いを楽しむ子供
Lazy dummy

胃腸炎は適切なケアによって重症化を防げる医療が進んできています。乳児は症状の進行が早く、下痢などによる脱水症状も起こる可能性があるため、症状が出たら早めに、病院を受診させてください。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.20)

※記事の修正を行いました(2019.06.17)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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