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ワンオペ育児に苦しむママの声! 解決策は育児を「プロジェクト化」することだった

ワンオペ育児に苦しむママの声! 解決策は育児を「プロジェクト化」することだった

今、各所で話題になっている言葉「ワンオペ育児」。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏に、ネットでのリアルな声と、3月発売された書籍『育児は仕事の役に立つ「ワンオペ育児」から「チーム育児」』から読み解いてもらいました。パパ・ママに必読の内容です。


記事の著者
ネットニュース編集者 中川淳一郎
1973年生まれ。東京都立川市出身。一橋大学商学部卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を担当。2001年に退社し、しばらく無職となったあとフリーライターになり、その後『テレビブロス』のフリー編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々なネットニュースサイトの編集者となる。主な著書に、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)、『夢、死ね!』(星海社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)、『電通と博報堂は何をやっているのか』(星海社新書)など。

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ワンオペ育児のリアルな声

「ワンオペ育児」という言葉が各所で見られるようになってきた。昨年5月、2ちゃんねるには、3歳の子供を育てながら仕事も継続中の妊婦によるこんな悲痛な書き込みもあった。

〈一人目3才がすごく手がかかり、食べ物好き嫌い、テレビ付けると独占、常に話し掛けてくる等で本当に私のイライラが止まらない
その妊娠初期にお腹の上でぴょんぴょんされて私がキレてもじゃれてると思われたみたいで、それも今更ながら腹が立ってきた。
仕事も時短ではなく帰宅は19時のほぼワンオペ〉(原文ママ)

 これが書き込み主の状況なのだが、ここに「協力しない夫」の存在もあり苛々が募る様が見て取れる。

〈ストレスは妊活の大敵とわかってて、夫にもヘルプをお願いしてるけど、元々気がきなかい人だから私から頼むのも私のストレスになり、頼んでやってもらっても罪悪感、貸しを作った感かありもうどうすれば解消できるのかわからない
とにかく子供と離れたいけど安心した預け先でないといけないし、夫が空気読んでくれると有り難いけど、しないからお願いする形になり、何か予定があると拒否される
仕事辞めないのはもはやプライドの世界かもしれないけど、何か他に解解決方法があるのではと模索しておるけど、そんな時間も取れない
今すごく壁にパンチしたい気分〉(原文ママ)

そして毎日新聞は、2017年2月4日、“2017年新語・流行語大賞の有力候補!? 「ワンオペ育児」と「ブラック夫」”の見出しの記事を夕刊に掲載した。また、4月8日には、2児の子育てをしているというツイッターユーザー「きなこ」さんの以下のツイートが900超のRTをされ、1600超の「いいね」がついた。

〈幼稚園の保護者会の保護者自己紹介で
「夫が単身赴任で..」
「夫は土日仕事でして」
「夫の帰りが毎日遅くて」
というワンオペ育児母の挨拶が続く中
「下の二人の担当は全て私です」
というただ一人父として参戦していた五人の子持ちパパの発言が勇者の輝きを放つ。〉

ワンオペと呼ばれる背景


「ワンオペ」という言葉は、牛丼チェーンが深夜に従業員一人で店を回す過酷な労働形態「ワンオペレーション」から生まれたもの。牛丼チェーンで、大量の食器が片付けられないまま、従業員がぶっ倒れている様子などがツイッターに投稿され、同社は「ブラック企業」認定をされるに至った。

 これが、育児の分野にも進出しているというのが、「ワンオペ育児」である。冒頭の毎日新聞の記事タイトルにあるように、妻が一人で子育てをし、子育てに協力しない「ブラック夫」も存在するということだ。2ちゃんねるには、「ワンオペ育児」への不満をとうとうと訴えるスレッドも存在し、とにかく育児に協力しない夫を糾弾するような空気が生まれている。だからこそ、「きなこ」さんのこうしたツイートが疲弊する母親からの称賛を浴びるのだろう。

育児が仕事に役立つ!? ワンオペ育児からチーム育児へ

 だが、こうして「ワンオペ育児」と「ブラック夫」をひたすら糾弾するだけでは先に進まない。3月14日に発売された『育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」』(浜屋祐子・中原淳/光文社新書)は、ワンオペ育児にならざるを得ない事情を理解しつつも、いかにして夫だけでなく、「ファミリー・サポートセンター」といった外部組織も巻き込んで子育てをしていくか、を説く書である。また、同書の特徴はタイトルにも表れているように「(仕事の阻害要因になっていると捉えられることもある)育児経験をすることが、実は仕事にも役立つ」ということを説いている。

 中原氏は東京大学総合教育研究センター准教授で、浜屋氏は、中原氏のゼミに所属する大学院生だ。2人とも子育てをしている。同書では、冒頭の2ちゃんねるの書き込みに見られるように「共働き家庭」が「ワンオペ育児」をいかに脱するか、といった議論を二人が対話形式で行っている。両氏の以下のやりとりは「ワンオペ育児」に悩む人、そして「ブラック夫(妻)」に悩む人にとっての福音となるかもしれない。

浜屋:〈子供と直接接するだけではなく、育児に関わる周りのメンバーや施設とのやり取り、調整、コミュニケーションも育児の一環となっています。そうした活動のことをわたしは「体制づくり」と呼んでいます。共働きの育児の場合は、この「体制づくり」というのが大きなウェイトを占めるのではないかと考えたんです〉

中原:〈おっしゃる通りですね。共働きの場合、夫婦同士がコミュニケーションを取り、いかに育児というプロジェクトをなしとげるかという視点が生まれます。また、夫婦だけでリソース(利用できるもの)が不足する時には、民間の教育施設や保育園、おじいちゃん、おばあちゃんなど、夫婦「以外」の人に、いかに関与してもらって、育児をなしとげるかが重要になります。言葉を選ばずに述べるのであれば、共働き家庭の育児とは、夫婦ふたりが共になしとげる「プロジェクト」なのです〉

 私自身は子育ての経験はないが、「子育て」を「プロジェクト」に置き換えると2人のやり取りは腑に落ちた。つまり、プロジェクトと捉えることにより、必要なリソースや人材を調達するマインドが生まれるのである。

ワンオペになってはいけない。子育ては壮大なプロジェクト

 私自身、新しいネットメディアの立ち上げにはこれまで多数関与してきたが、その都度「どんなメディアを作りたいか」ということを事前に打ち合わせをする。その時に「格闘技の書き手はいませんかね?」や「安くイラストを調達できませんかね?」といった課題が発生する。ここで「ワンオペ」になってはいけないのだ。自分にはできること、できないことを明確に理解したうえで、「格闘技に詳しいライター」「自宅でできるバイトを探しているイラストレーター」などに助けを求める。ここで条件面で折り合えば、無事にこのメディアは始動する。

 仕事(プロジェクト)であれば、こうした当たり前の「誰かに頼る」ができるのに、育児となると途端にそれがしづらくなる。「育児は仕事じゃないでしょ?」といった「仕事ではないから他人に頼れない」状況があり、さらには「あなたが勝手に生んだ子供のことでしょ?」という「自己責任論」にも発展する。

 しかしながら、結果的に子育てというものは、親にとっては壮大なるプロジェクト(仕事)であり、そこに他からのリソースを注ぎ込むことは自然なことであると『育児は仕事の役に立つ』は説いているのだ。金銭面で解決するところもあるだろうし、「情」で解決するところもあるだろう。だが、親にとっての壮大なるプロジェクトたる「子育て」はチームで推進していく必要があるということは同書を読めばよくわかる。そこには私のような子育てをしない人間も含まれる。それこそ子育て中のライターが「明日は在宅仕事ができないのですが、よろしいでしょうか?」と言った時にキチンと代役をできる人材を揃えたりする、ということである。その程度の融通は我々も利かせたいと改めて感じ入った。

 毎日新聞は「ワンオペ育児」が「2017年新語・流行語大賞の有力候補!?」とセンセーショナルな見出しを付けたが、「ブラック企業」が2013年の同賞トップ10を獲得したのと同じ轍を踏む、との見立てだろう。現状、ネット上に「ワンオペ育児」への怨嗟の声があふれている状況は分かるが、同書が提唱する「チーム育児」が2017年の流行語大賞を取る方向に舵が切られた方が社会的にも有益だろう。

参考書籍:
育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ
浜屋祐子/著 中原淳/著
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039776

(中川淳一郎)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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