【医師監修】赤ちゃんの下痢 | 危険な下痢の見分け方と注意点

【医師監修】赤ちゃんの下痢 | 危険な下痢の見分け方と注意点

便の状態は、健康のバロメーターのひとつです。とはいえ、赤ちゃんのうんちは月齢が低いほど大人とは違うので、「この状態が赤ちゃんのふつうなの?」と気になったり、「もしかして、下痢では?」と心配になることもあるかもしれませんね。そこで今回は、赤ちゃんの下痢の原因や症状の見分け方、受診の目安などをご紹介します。


この記事の監修ドクター
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

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赤ちゃんのうんちと下痢

赤ちゃんのうんちはもともとやわらかめ

一般的に、赤ちゃんのうんちは、大人と比べるとやわらかい傾向があります。特に月齢が低い赤ちゃんは排便のコントロールができず、離乳食開始前は母乳やミルクしか口にしていないこともあって水っぽく回数も多いものです。

また、母乳かミルク(人工乳)かでもうんちの状態は異なり、母乳のみ、もしくは母乳メインの混合栄養の赤ちゃんでは、1日10回以上も水のようなうんちが出ることも珍しくありません。

ですから、一日に何度も多少ゆるめなうんちをしていても、回数や状態が普段と変わらず、おしりのかぶれなどもなく、食欲があって普段通り機嫌よくしているなら、特に心配する必要はありません。

下痢との見分け方は「普段と比べる」

下痢というと、「回数が多かったり、ベチャベチャと水っぽいうんち」と思いがちですが、下痢かどうかを判断するには「その子の普段のうんちと比べる」ことが大切です。

うんちの回数や状態は、月齢や栄養方法で変わってくるだけでなく、個人差もあります。たとえば、月齢が低くても便秘気味な赤ちゃんもいますし、1歳前後になって離乳食が進んでいても、いつも便がやわらかめで、1日に何回もうんちをする子もいます。

そこで、下痢かどうかは、回数やうんちの状態が「普段」と比べてどうかを見て判断します。普段うんちを1日に何回もする子でも、下痢をするとさらに回数が増えますし、ゆるゆるのうんちをする新生児でも、下痢をすると水分の量が増えて水のようなうんちを何回もするようになります。また、やわらかさや回数だけでなく、色やにおいの変化なども重要な判断材料となります。

赤ちゃんの下痢の原因は?

赤ちゃんが下痢をするのは、おもにウイルスや細菌に感染して胃腸炎を起こしたときです。なお、ウイルス性胃腸炎は、寒い季節に起きる下痢の原因の80~90%を占めています[*1]。

そのほかにも下痢の原因となる病気はさまざまあり、症状もうんちの回数がいつもより若干多くなる程度の病気もあれば、激しい下痢が続いて脱水症状を引き起こす危険がある病気もあります。

下痢にともなう症状から考えられる病気は?

下痢が起こる原因はひとつではなく、また同時に起こる症状も様々です。ここでは赤ちゃんに見られやすい下痢をともなう疾患を解説します。思い当たる症状があれば、必ず小児科を受診しましょう。

熱があるとき

・激しい下痢に高熱・嘔吐をともなう…感染性胃腸炎(ウイルス性、細菌性)

<ウイルス性胃腸炎>
原因となるウイルスは、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどがあり、医学用語ではありませんが「おなかの風邪」などと呼ばれたりもします。

【医師監修】ロタウイルスの予防接種について。スケジュールや効果、費用など

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1ヶ月健診を無事終えると、医師から予防接種について説明を受けることが多いかと思います。その際、「こんなにたくさん受けるの?」とその数の多さに驚くママも少なくないようです。今回はその中でもロタウイルスの予防接種について気になる点をまとめました。

ウイルス性胃腸炎にかかると、水のような下痢(1日に数回~十数回)になります。そのほか、突然の吐き気や嘔吐、発熱などが見られます。また、ロタウイルスの場合、便が白っぽくなったり灰白色になることもあります。

【医師監修】ロタウイルス感染症とは? 原因や症状、対処について

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5歳になるまでにほとんどの乳幼児が感染してしまうと言われているロタウイルス。嘔吐や下痢、発熱を繰り返し、脱水症状を引き起こしたり、重症化してしまうと入院が必要になるケースも……。今回はそんなロタウイルス感染症の原因や症状、対処すべきことや注意点など保護者にとって必要な情報をまとめました。

【医師取材】ノロウイルス感染症の子供の症状とは?

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ノロウイルスは、毎年、秋から冬にかけて流行し、保育園や学校などで集団感染を引き起こすこともあるウイルスです。ここでは、このノロウイルスに感染したときに、具体的にどんな症状が現れるのかをご紹介していきます。

<細菌性胃腸炎>
細菌に感染してかかる胃腸炎は、一般的にウイルス性胃腸炎よりも症状が重くなりがちです。原因となる細菌は、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、0-157などの病原性大腸菌などさまざまな種類があります。ただし、ウイルス性胃腸炎に比べて頻度は少ないです。

細菌性胃腸炎の症状は、便に血や粘液、膿が混じることも多く、高熱や強い腹痛などが見られます。

熱がない場合

・ミルクや母乳を飲んだ後に下痢をする…乳糖不耐症

母乳やミルクには「乳糖」という糖質が含まれていますが、腸内で乳糖分解酵素によって分解され、体内に吸収されます。「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」とは、この乳糖を分解できずに下痢をしてしまう病気です。

乳糖不耐症は生まれつきの場合もありますが、ほとんどは感染性胃腸炎にかかったことで腸の粘膜が傷つき、乳糖分解酵素が一時的に出なくなることが原因です。腸の状態が元に戻るまでは、下痢が続くことがあります。

特定の食べ物を食べると下痢をする…食物アレルギー

特定の食べ物を食べたときに、体がアレルギー反応を起こした状態のことで、下痢だけでなく、湿疹やじんましん、肌の赤み、唇の腫れ、吐、腹痛、せき、ゼーゼーする呼吸音、息苦しさ など、さまざまな症状が現れます。ひどい場合は、アナフィラキシーショック(全身性の強いアレルギー症状)によって血圧低下や意識障害などが起こり、命にかかわることもあります。

アレルギーの原因となる食品は年代によって異なり、0歳の乳児の場合は、一番多い鶏卵で57.6%、牛乳が24.3%、次いで小麦が12.7%を占めています[*2] 。1歳では鶏卵・牛乳のほか、魚卵、ピーナッツ、果物なども食物アレルギーの原因食材の上位に挙がります[*2]。

赤ちゃんは消化管の消化機能などが未熟なために食物アレルギーが起きやすいのですが、成長するにつれて消化機能が発達し、自然と症状が軽くなっていくケースが多いです。

・激しく泣き、赤いゼリー状の便をする…腸重積症

腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)は、腸が腸の中に入りこんで重なり合ってしまう病気です。腸が重なり合うと、中に入りこんだ腸は外側の腸の一部に締めつけられ、腸閉塞(腸の内側が狭くなり、腸の中にある物が流れなくなってしまう状態)が起こり、飲んだり食べたりしたものが通らなくなってしまったり、血液がスムーズに流れなくなったりします。

腸重積症は2歳以下に多く、特に生後4ヶ月ごろから1歳ごろまでに起こりやすい傾向があります[*3]。腸重積になったばかりの時は下痢を伴うこともあります[*3]。

症状は、以下のように腸重積症に特徴的なものがいくつかあります。

・元気だった赤ちゃんが、急に激しく泣く
急激にひどい腹痛がおそってくるため、機嫌よく遊んでいた赤ちゃんが、前ぶれもなくいきなり激しく泣き出します。顔色が悪くなったり、体を丸めて苦しむ様子が見られることもあります。

・激しく泣いたり泣き止んだりをくり返す
腸重積症は、最初は痛みが間隔をおいて起こるので、赤ちゃんは激しく泣いたかと思うとしばらく落ち着き、数分~15分くらいするとまた激しく泣く、ということをくり返します。

・吐いたり、いちごゼリー状の血便が出ることもある
症状が進むと、赤ちゃんはずっと激しく泣き続けるようになり、何か飲ませてもすぐに吐いてしまい、吐くものがなくなると胆汁の混じった黄色っぽい粘液状のものを吐くこともあります。また、いちごのゼリーのような粘血便(ねばりけのある液体と血が混ざったうんち)が出ることもあります。

腸重積症は時間がたつほど腸の障害がひどくなるため、処置が遅れると腸が壊死してしまう恐れがあります。そこで、いちごゼリー状の便が出ていなくても、赤ちゃんが激しく泣いたり落ち着いたりをくり返していたり、吐くなど腸重積症が疑われるような症状が見られたら、診察時間外や夜中でも急いで病院へ行くことが大切です。

・下痢だけで機嫌がよく、食欲もある…単一症候性下痢

下痢をしているけれども、それ以外に症状がなく、赤ちゃんの機嫌もよくて食欲もある状態を「単一症候性下痢」といいます。これは病気ではないので心配ありませんが、適切な水分補給とおしりのかぶれ予防を心がけましょう。

赤ちゃんが下痢をしたときの対処法

うんちの回数や色、全身症状もチェックを

赤ちゃんが下痢をしたときは、うんちの状態、回数や色、機嫌や食欲、顔色が悪くないか、発熱や嘔吐などほかに症状がないかどうかをチェックします。

いつもよりうんちが水っぽくて回数も多く、赤ちゃんが不機嫌なときは早めに受診しましょう。また、下痢に加えて熱があったり吐いたりするときには、脱水予防のために水分を少量ずつこまめにとらせることも大切です。

受診の目安

●夜間や時間外でも至急受診する
・先述「腸重積症」の症状にあてはまる
・激しい下痢や嘔吐が続いていて、水分を受けつけない
・血便(うんち全体に血が混じっている)が出た
・唇や爪が紫色になったり(チアノーゼ)、けいれんを起こした
・水分がとれずぐったりしてきて、意識がはっきりしない
・おしっこが極端に減っている

●診療時間内に受診する
・発熱や嘔吐など、ほかの症状もある
・1日に10回以上、いつもとは違うにおいのうんちが出る
・おむつからはみ出すくらい大量に下痢をしている
・普段より水っぽいうんちが1週間以上続いている
・白っぽいうんちが出た

●しばらく家で様子を見る
・機嫌がよく、食欲もある
・おしっこは普段と変わりなく出る
・発熱、嘔吐などほかの症状がない

病院に行く際の注意

医師に症状を正しく伝えるため、便の回数や様子、症状が始まった時期、食べたもの、他の症状などをメモしておきましょう。

また、便の状態が診断の参考になるため、便が出たらスマートフォンなどで撮影しておきましょう。便の付いたおむつをビニール袋などに密閉して持参するよう指示がある場合もあります。受診する医療機関に事前に電話で相談してみましょう。

下痢のときのホームケアで気をつけることは

こまめな水分補給を

下痢の原因にもよりますが、心配なのは下痢そのものよりも、体内の水分が急激に失われて脱水症を起こすことです。特に赤ちゃんは、身体の組成の水分の割合が大人より多いため、激しい下痢で水分が失われると、脱水状態になりやすいのです。

水分補給としては、離乳食開始前であれば母乳やミルクを中心に(乳糖不耐症の場合は別途対応)、離乳食開始後であれば、母乳やミルク以外に湯ざまし、麦茶、イオン飲料など赤ちゃんが飲めるものを、いずれの場合も小まめに少量ずつ飲ませましょう。

嘔吐をともなうときの水分補給は?

下痢をしているうえに嘔吐も伴うときは、下痢だけの場合よりさらに急速に脱水が進みやすくなります。ただ、一度にたくさん飲ませると吐き気を誘うことがあるので、この場合はひとさじずつくらいの少量を5分おきくらいに頻繁に飲ませることがポイントです。

離乳食や食事は下痢の様子を見ながら

食欲がある場合は、消化のよいものを食べさせます。やわらかく炊いたおかゆやうどんなどの炭水化物がおすすめです。ただし、食欲がないときに無理に食べさせることはせず、水分補給を重点的に行いましょう。

脱水を予防するためにも母乳やミルクはいつもどおり飲ませてかまいません(薄めず、少量を回数多く)。ただし、下痢が激しいときや長引くときは、必ず受診して医師の指示に従って飲ませてください。

食物アレルギーの可能性がある場合は、受診して医師の指示を仰ぎましょう。

おむつは、こまめに取り替える

下痢のうんちは刺激が強く、おしりの皮膚にふれているとすぐにかぶれてしまいます。うんちをしたら、できるだけ早くおむつを取り替えてあげましょう。おむつ交換のとき、できればシャワーや座浴などでおしりをきれいに洗い流してあげましょう。うんちで汚れたおしりの皮膚は、刺激に敏感になっているので、強くこすったり、ゴシゴシとタオルで拭いたりしないように注意してください。

洗ったあとのおしりは、やわらかいタオルを当てて、そっと押さえながら水分を吸い取るのがコツです(湿ったままおむつを履かせることは避ける)。また、清潔にして乾かしたおしりには、ワセリンなどを塗って保護しておきましょう。

二次感染に注意

感染性胃腸炎で下痢をしたときには、うんちにウイルスなどが含まれている可能性があります。家族への二次感染を予防するために、おむつを替えたりおしりを洗ったりしたあとには、石鹸でしっかり手を洗いましょう。また、使用済みのおむつは1回ずつビニール袋に入れて、密閉してから捨てるようにしましょう。

まとめ

赤ちゃんのうんちはもともとゆるめなので、特に月齢の低いうちは見慣れないと下痢かどうか判断するのが難しいかもしれません。下痢は、回数や水分が普段より多い状態になりますので、日頃からうんちの状態をよく観察しておき、いつもと違ううんちが出たときに見分けられるようにしておきましょう。また、赤ちゃんが下痢かもしれないと思ったら、全身の状態もよく観察し、必要があれば速やかに受診しましょう。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]金子堅一郎編「子どもの病気とその診かた」(南山堂)p.37-40
[*2]日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」 (今井孝成ほか:アレルギー.2016;65:942-6より)
[*3]日本小児救急医学会「エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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