【医師監修】生理が2週間遅れているときの妊娠の可能性は？ 検査薬陰性でも受診すべき？

生理予定日から2週間経っているのにまだ生理が来ない……そんな時はやはり妊娠の可能性が高いのでしょうか。

普段の生理が規則的に来ている人で、最近1ヶ月前後のうちに思い当たる性交があったなら、「妊娠によって生理が2週間遅れている可能性は高い」と考えられます。

生理周期に変動がなかったと考えると、生理予定日のおよそ2週間前に「排卵」が起きます。そこからあまり時間をおかずに卵子は精子と「受精」し、受精から5日目以降に受精卵は子宮に「着床」し始め、生理予定日の数日前に着床完了します。「着床によって妊娠は成立した」状態になります。

ただし、生理が遅れる理由は妊娠に限りません。普段、規則的に生理が来る人であっても、ストレスなどによって一時的に生理周期が狂うのは実はよくあることです。

排卵含め女性の生理周期は、「女性ホルモン（エストロゲン、プロゲステロン）」の分泌の増減によって左右されます。女性ホルモンの分泌は「脳の視床下部」でコントロールされていますが、この部位はストレスの影響を受けやすいと言われています。

ストレスを受けると、視床下部はストレスに対処するためのホルモンを分泌します（これは一般的に「ストレスホルモン」とも呼ばれています）。このストレスホルモンには女性ホルモンの分泌を抑える働きがあるので、その結果生理周期が狂うことがあるのです。妊娠以外で生理が遅れる原因となるものはストレス以外にもあり、あとで詳しく解説します。

もし妊娠する可能性があって生理が遅れているのなら、まずは妊娠検査薬を使ってみましょう。通常タイプの妊娠検査薬は「生理予定日の1週間後以降」の使用が勧められているので、2週間遅れている場合はすぐに使用してOKです。

妊娠検査薬で陽性と判定されたら、産婦人科を受診して超音波検査を受け、妊娠を確定してもらいましょう。

さて、生理が2週間遅れているので妊娠検査薬を使ってみたのに「陰性」だった人もいるかもしれません。その場合はどんな事態が考えられるのでしょうか。

まず考えられるのは、やはり「妊娠していない」場合です。妊娠検査薬は、妊娠すると分泌されるようになる「ヒト絨毛性ゴナドトロピン（hCG）」というホルモンが尿中に一定以上ある場合に「陽性」と判定します。

妊娠していない場合は、このhCGが尿中に存在しないので「陰性」となります。

ただし、hCGは分泌されているものの「妊娠検査薬で検出できる限界より尿中の濃度が低い」と、やはり妊娠検査薬は「陰性」になってしまいます。この場合は陰性でも妊娠しています。

通常タイプの妊娠検査薬が「生理予定日の1週間後以降」の使用を勧められているのは、使用する時期が早すぎると、妊娠しているのにhCGの濃度がまだ低すぎて陰性と判定される可能性があるからです。

hCGは着床直後から分泌されますが、最初は少なく、その後2週間ほどで急増し、生理予定日の翌週には妊娠検査薬がほぼ確実に反応できる尿中濃度になります。

なんらかの原因で生理周期が狂い、「排卵が通常よりだいぶ遅れた」場合は、「着床＝妊娠成立」した時期もその分、遅れます。この場合は、生理予定日から2週間経っていても、hCGの分泌量がまだ十分ではなく、「妊娠しているのに陰性」となる可能性もあります。

生理が2週間遅れているのに妊娠検査薬が陰性の場合、考えられる理由を解説しましたが、陰性の理由がさきほどの（1）なのか（2）なのかは、どうやって調べれば良いのでしょうか。

妊娠検査薬を使用して陰性だった場合、その後やはり生理が来ないなら数日後に再検査してください。

もし、（2）のように「hCGがまだ少なすぎることが原因で陰性」になっていたのであれば、数日後の検査では陽性に変わるはずです。陽性が出たら産婦人科を受診して、妊娠を確定してもらいましょう。

再検査で陰性だった場合でも、婦人科を受診して医師に体の状態を調べてもらいましょう。

妊娠を妨げる卵巣や子宮の異常を発見してもらえるかもしれません。受診の際は、できれば2、3周期分記録した基礎体温表を持参するとよりくわしいアドバイスがもらえるでしょう。

ここでは、妊娠以外で生理を遅らせる可能性のあることを解説します。

強いストレスや疲れなどは、生理が来るのを遅らせることがあります。環境の変化や体調不良、不安や悩みなどがあるときは、ストレスを感じやすくなります。

無理なダイエットも体に大きなストレスをかけるので、生理が遅れる原因になり得ます。このために生理が来なくなってしまうことは、「体重減少性無月経」と呼びます。

肥満も生理不順や無月経の原因になることがあります。この場合は、脂肪細胞から分泌される「レプチン」というホルモンがうまく作用しなくなることで起こると言われています。

「多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）」「黄体機能不全」「高プロラクチン血症」「早発卵巣不全（早発閉経）」などといった卵巣や脳の視床下部の病気や、のど仏のすぐ下あたりにある「甲状腺」という臓器の病気によって、生理不順や無月経が起こる場合もあります。

一部の処方薬は副作用で「高プロラクチン血症」を引き起こすことがあり、その結果、生理不順や無月経が起こることもあります。

持病がある人は、妊活中であることをあらかじめ主治医に伝えておきましょう。また、処方されている薬は生理に影響を及ぼす可能性がないか、主治医に確認しておきましょう。

最後に、生理が遅れること以外で妊娠したら見られることのあるサインを紹介します。

妊娠すると基礎体温は高温期が続きます。高温期が17日以上続いている場合は、妊娠の可能性があります。

いわゆる「つわり」の症状です。妊娠していた場合、早い人では生理予定日の翌週ごろからこうした症状が始まることもあります。

食欲が急に増したり、反対に減退することもあれば、味覚や嗅覚に変化を感じる人もいます。

妊娠により頻尿になる人も多いです。妊娠するとホルモン分泌の変化により腸の動きは悪くなるので、尿とは反対に便は出にくくなり、便秘がちになります。

妊娠により体に現れる可能性がある症状は、他にもたくさんあります。ただ、その有無や感じ方は個人差が大きく、妊娠すると必ず現れるというわけではありません。

また、「月経前症候群（PMS）」が原因でこうした不調が現れることもありますが、症状だけで妊娠によるものかPMSによるものか見分けることはできません。生理の遅れとともに何か今までにない不調を感じて妊娠の可能性があると思ったら、妊娠検査薬を使ってみましょう。

生理が2週間遅れている場合は、やはり妊娠の可能性をまっさきに考えますよね。そのタイミングで妊娠検査薬を使ってみると陽性のことが多いでしょう。ただし、判断に困るのが陰性だった場合です。陰性でも相変わらず生理が来ないなら、いったい何が原因で遅れているのか不安になるかもしれません。

ここで解説したとおり、妊娠以外で生理が遅れる原因にはストレスや無理なダイエットもあれば、卵巣などの病気もあります。生理の遅れが気になったらまずは妊娠検査薬を試してみて欲しいのですが、陰性だった場合は数日後に再度検査してみてください。それで陽性だった場合はもちろん、再検査でも陰性でやはり生理が来ない場合も、受診してくわしく調べてもらうことをお勧めします。

（文：マイナビ子育て編集部／監修：齊藤英和 先生）

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※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます