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2021年08月08日 19:00 更新

【医師監修】生理一週間前に妊娠検査薬は使えるの? 気になる兆候もご紹介

「妊娠しているかもしれない!?」と思ったら、1日でも早く妊娠検査薬を使ってみたいと思うかもしれません。「生理予定日の1週間前」でも妊娠検査薬は使えるのでしょうか。また、その場合、注意すべきことはあるのでしょうか。妊娠している場合に見られることもある兆候とともにまとめました。

生理一週間前に妊娠検査薬は使えるの?

カレンダーに書いた生理期間のイメージ
Lazy dummy

妊娠すると、「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが分泌され、尿中にも出てくるようになります。薬剤によってこのhCGを検出し、妊娠の有無を検査するのが「妊娠検査薬」です。妊娠検査薬は生理予定の1週間前にも使用できるのでしょうか。

通常の検査薬は反応しにくい

hCGは、受精卵が子宮に着床するとすぐに分泌されるようになります。最初は微量ですが正常な妊娠では急激に増えていき、着床から少しすると尿中にも出始めるようになって、妊娠10週(妊娠3ヶ月の後半)ごろまでには増え続けます。

通常タイプの妊娠検査薬は、尿中のhCGの濃度が「約50IU/L以上」になると判定が可能ですが、尿中hCGがこの濃度に達するのは排卵日から14日前後で、これはちょうど生理開始予定日ぐらい。週数で言えば、妊娠4週ごろに当たります。

ですから、生理予定日(妊娠4週)ごろに使用して陽性となることもありますが、場合によってはhCGの増え方が少し遅いこともあるので、通常タイプの妊娠検査薬は「生理予定日のおよそ1週間後」以降の使用を勧めています。

生理予定日の1週間前はちょっと早すぎ

通常タイプの妊娠検査薬を生理予定日1週間前(妊娠3週)に使用すると、まだhCGの分泌量が十分ではないため、はっきりした反応が出ないことが多いと考えられます。

とはいえ、この時期でも使ってみて「陽性」が出たら、hCGが一定以上多く分泌されているということなので妊娠の可能性は高いと考えられます。ただ、このタイミングで陽性が出たからとすぐ受診したとしても、妊娠を確定することはできません。超音波検査で「胎嚢(赤ちゃんを包んでいる袋)」が確認できるのは、「妊娠4週の後半~5週以降」だからです[*1]。

あまり早く受診してもこの段階ではまだ妊娠を確定できないので、とくに体調などに異常がないようであれば、1週間後に妊娠検査薬で再検査し再度陽性となったのを確認してから産婦人科を受診すると良いでしょう。

フライング検査で「陰性」の場合も再検査を

妊娠検査薬
Lazy dummy

逆に生理予定日の1週間前では、妊娠検査薬が「陰性」でも、本当に妊娠していないとは言い切れません。hCGの分泌量がその後急増することも考えられるので、この場合も「生理開始予定日の1週間後以降」に再検査をしてみましょう。

やはり妊娠していなかった場合は陰性のままですが、適切な時期に検査することで今度は陽性と判定が出る可能性もあります。

「早期妊娠検査薬」でも基本的に「生理開始予定日」から

通常タイプの妊娠検査薬は、「生理開始予定日の1週間後以降」に使用するのが一般的とされています。ただ、「それまで待てない」とか「もっと早く知りたい!」と言う人には、早期妊娠検査薬」を使う方法もあります。

早期妊娠検査薬とは、通常タイプが50IU/Lのところ、「25lU/L」というより低い濃度のhCGも検出できるタイプの妊娠検査薬です。このタイプの妊娠検査薬として現在日本で市販されている製品の場合は、「生理開始予定日の当日」から検査することができます。

「化学流産」に気づく可能性も

早期妊娠検査薬や通常タイプのフライング使用で早くに妊娠していることがわかると、妊娠中に避けたほうがいいことを知らずにしてしまうリスクを回避できるというメリットはあります。ただ、一方で、「化学流産(化学妊娠、生化学妊娠)に気づいてしまう」というデメリットもあります。

「化学流産」とは、受精卵が着床して検査薬でいったん陽性が出たものの、医療機関での超音波検査で胎嚢を確認する前に流産してしまうことです。

実は、化学流産は、健康な若いカップルでも30~40%[*2]という高い頻度で起こることがわかっており、珍しいものではありません。化学流産すると、普段の生理と同じくらいかそれより多めの出血がみられますが、ちょうど生理予定日かそれより少し早めの時期に起こるので、妊娠検査薬を使っていなければ通常の生理と勘違いすることが多いでしょう。

現在では妊娠検査薬が普及して早い時期に妊娠を知ることができる一方で、それまでであれば気づかずに済んだはずの化学流産にもまた気づく可能性があるということです。なお、化学流産は偶然それ以上育つことができない受精卵だったせいで起こることが多いので、起こったとしても妊活は継続して問題ありません。また出血が続いているなどの問題がなければ、とくに治療の必要もありません。

早期妊娠検査薬はどこで買えるの?

一般的な妊娠検査薬は、薬局やドラッグストア、量販店、ネット通販などさまざまなルートで購入することができます。

一方、早期妊娠検査薬は「医療用体外診断用医薬品」 に分類されるため、薬剤師のいる薬局などで対面販売でないと購入することができません。薬局であっても取り扱いのない店舗もあるので、必要な場合は購入前に問い合わせてみましょう。

知っておきたい妊娠初期症状

下腹部痛のある女性のイメージ
Lazy dummy

妊娠すると、特徴的ないくつかの兆候が表れることがあります。妊娠初期に起こる可能性のある変化を知っておけば、妊娠検査薬を使う動機や受診のきっかけになりますね。ここでは、妊娠初期によくみられる症状の例を紹介します。

下腹部の痛み

妊娠すると、子宮への血流が増えて筋肉が伸び、子宮を支えている「じん帯」や「広間膜」という部分が引っ張られるようになります。また、子宮は急激に大きくなりはじめ、非妊娠時は鶏卵ほどの大きさだったものが、その後たった1ヶ月間ほどの間に握りこぶしくらいの大きさになります。

こうした変化により、妊娠初期には下腹部に生理痛のような鈍痛を感じることがよくあります。

また妊娠すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの分泌量が増えていきますが、このホルモンには腸の機能を低下させる働きがあります。加えて、大きくなっていく子宮が腸を圧迫することで便秘気味にもなりやすいので、こうしたことが原因で下腹部に痛みを感じることもあるでしょう。

胸の張り

妊娠すると、プロゲステロンだけでなくエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量も増加していきます。これらのホルモンには、母乳をつくる「乳腺の小葉」や母乳を乳首に運ぶ「乳管」を増殖させる作用があるため、妊娠によって胸が張ったり痛くなったりすることがあります。

おりものや出血

妊娠するとエストロゲンの分泌量が増えますが、その作用で、粘液が増加するため「おりもの」も増えやすくなります。ただ、おりものの量や性状はもともと個人差が大きいので、こうした変化を感じない人もいます。

また、妊娠初期には、本来の生理開始予定日かそれより少し前に少量の性器出血が起こることがあります。これは「着床出血」と呼ばれるもので、量がそれほど多くなく短期間で治まれば心配ありません。

基礎体温で高温期が続く

排卵が定期的で周期が正常な人だと、基礎体温は低温期と高温期の二層を描くという特徴があります。この場合は、排卵日から次の生理が始まる直前までの約2週間が高温期となります。

生理開始予定日を過ぎても生理が来ず、高温期が17日以上続いているようなら妊娠している可能性があります。妊娠したときに気づきやすくなるよう、日頃から基礎体温をつけておくといいですね。

どの症状もPMSでも起こる

ただし、ここまでで説明した症状は、基礎体温で高温期が続くこと以外はいずれもPMS(月経前症候群)」でも起こることです。

PMSとは、生理前に起こる精神的・身体的症状の総称で、おもな症状は、「イライラする」「集中力が低下する」「眠くなる」「ゆううつになる」などの精神症状と、「腹痛」「頭痛」「腰痛」「胸の張り」「むくみ」などの身体症状です。こうした症状は生理前の3日~10日間にわたって続き、たいていは生理が始まると症状が軽くなったり消えたりします。

PMSによる症状と妊娠初期症状は区別がつきにくいのですが、もっともわかりやすい違いは、妊娠によりこれらの症状が出ている場合は、「適切な時期に使用すれば妊娠検査薬で陽性が出る」ことです。また、以前から基礎体温をつけていて、もともと二相に分かれた期間がはっきりわかっていた人の場合は、妊娠していれば高温期が17日以上続くことでも妊娠の可能性に気づくことができます。

まとめ

クーファンとエコー写真
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妊娠検査薬は通常より早めに使用することもできますが、それでは検査結果の信頼性が低いのです。とくに、早めに使用して陰性と出ても、実際は妊娠していることがあるので注意しましょう。

また、フライング検査で陽性が出た場合、すぐに受診しても、超音波検査ではまだ妊娠を確定することはできません。時期が早すぎるので、しばらく経ってからもう一度受診するよう指示を受けることもあるでしょう。

なお、妊娠すると特徴的な兆候がいくつか見られることもありますが、こうした症状はある人もいればない人もいますし、その程度もさまざまです。PMSによって同様の症状が起こることもあるので、それらしい症状があるというだけで妊娠を確定することもできません。はやる気持ちはできるだけ抑えて、妊娠検査薬は適切な時期に使用することをおすすめします。

(文:村田弥生/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]Baby+お医者さんがつくった妊娠・出産の本 p.9 日本産科婦人科学会監修
[*2]日本産婦人科医会「生化学的妊娠の扱い方」

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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