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2021年08月06日 17:40 更新

【医師監修】妊娠検査薬はいつから使える?〜生理不順の人の場合

妊娠の予感がしたときには、妊娠検査薬を使って早く結果を知りたいですね。ただ、生理が不順だと「検査薬をいつ使ったらいいか」悩むのではないでしょうか。今回は、生理不順の人が妊娠検査薬を使うタイミングと、迷う判定結果が出たときの妊娠の可能性などをまとめました。

妊娠検査薬はいつから使えるの?

Lazy dummy

妊娠検査薬は、尿の中に含まれる「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンを検出します。hCGは妊娠を維持するためのホルモンで、妊娠初期に受精卵が子宮に着床すると分泌され始め、一部は尿の中にも排出されるようになります。

妊娠検査薬は、このhCGが尿中に一定量以上含まれていると「陽性」の反応を示します。hCGの分泌量は最初は少なく、日を追うごとに増えていきます。そのため、検査薬を使うには適切な時期があります。

一般的には「生理開始予定日の1週間後以降」

市販されている通常タイプの妊娠検査薬は、使用するタイミングを「生理開始予定日の1週間後以降」としているものがほとんどです。このタイプの妊娠検査薬は、尿中hCG濃度が「50IU/L(尿1L中にhCGが50IU))で「陽性」の判定が出るようになっています。

妊娠するとすぐにhCGは分泌され始めますが、排卵日からおよそ2週間後までに分泌量が急激に増え、尿中濃度は50IU/Lに達します。妊娠検査薬は、尿中hCGの濃度が50IU/Lに達していないと、たとえ妊娠していても陽性にはなりません。妊娠検査薬で正確な結果を得るには、推奨時期を守って、hCG濃度が十分な値になってから使うことが大切です。

生理不順の人の使用タイミング

妊娠検査薬を使う推奨時期は「生理開始予定日の1週間後以降」ですが、生理不順の人の場合はそもそも、次回の生理開始予定日がはっきりしないかもしれませんね。

その場合はまず、「前回の生理開始日」から「前回の生理周期の日数」経った日を「次回の生理開始予定日」と考えます。「次回の生理開始予定日」の「1週間(7日)後」が、推奨される使用タイミングです。

例えば、前回の生理が1月1日に開始、前回の生理周期が28日だった場合は、
・前回の生理開始日:1月1日
・次回の生理予定日:1月29日(前回の生理開始日の28日後)
・推奨される使用タイミング:2月5日(次回の生理予定日の7日後)
となります。

人によっては、前回の生理開始日や前回の生理周期の日数がわからないこともあるでしょう。その場合は、「一番最近で受精した可能性のある性交日の3週間後から」を目安に妊娠検査薬を使用します。

生理不順の人が妊娠を見逃さないポイント

基礎体温の記録のイメージ

生理不順で妊娠検査薬を使うタイミングに迷ったときには、基礎体温や前回の生理が始まった日、性交日などの記録が役立ちます。さらに、妊娠初期に見られる特徴的な症状を知っておき、自分に当てはまるかどうかチェックすることも妊娠検査薬を使うかどうかの判断の助けになるかもしれません。

(1)基礎体温をつけておく

生理不順の人は、排卵日生理周期が一定ではありません。妊娠検査薬を使って正確な結果を得るには、生理開始日や生理周期を知っておくことが大切ですが、基礎体温をつけておくと排卵の有無やおおよその生理周期を知るのに役立ちます。

基礎体温は、排卵がきちんと起きている人では、通常、低温期と高温期のはっきりした二相を示します。生理開始から排卵までの約2週間は低温期で、排卵が起こると低温期より0.3~0.5℃[*1]くらい上がる高温期に入り、約2週間続きます(生理周期が28日の場合)。

基礎体温に異常がみられたらメディカルチェックを

基礎体温を2、3周期分測ってみて、以下のような特徴が見られたときには、妊娠しにくい状態や病気の疑いもあります。思い当たる人は婦人科を受診して、気になる点がないか調べてもらいましょう。

・低温期が続く
生理と生理の間の基礎体温がほぼ横ばいで変わらないうえ、低めの場合は、排卵が起こっていない状態が疑われます。排卵が起こらないと妊娠することはできません。

・高温期が短い
排卵すると分泌量が増える「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンの分泌期間が、通常より短くなっていることが考えられます。これは卵巣の働きが悪くなっていることが原因で、妊娠しにくい状態です。

排卵は起きているのでタイミングよく性交すれば受精する可能性はありますが、受精卵が子宮にうまく着床できなかったり、いったん着床してもうまく育ち続けられないことが多くなります。

・M字パターン
高温期に、一時的に基礎体温が下がる時期があり、その後また上がります。「高温期が短い」場合と同じく、卵巣の働きが悪くなっていて、プロゲステロンが十分に分泌されていない可能性があります。この場合もうまく妊娠できなかったり、続かないことが多くなります。

(2)性行為をした日を記録しておく

手をつなぐカップル
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生理不順の人が妊娠検査薬を使うとき、前回の生理開始日や生理周期の日数がわからないときには、「受精した可能性のある直近の性交日」が検査薬の使用日を考える基準になります。

生理不順気味の人は、普段からできるだけ基礎体温をつけて生理があった日を記録しておくことに加えて、性行為をした日も手帳やスマホなどに忘れずにメモしておきましょう。妊娠検査薬の使用可能日だけでなく、妊娠したときに出産予定日を自分でなんとなく予想する際の参考にもなります 。

監修:直林奈月先生からのメッセージ
性交日を覚えておいていただくと、診断の助けになり大変助かります。とくに、異所性妊娠や化学流産、流産の判断に役立ちます。

(3)様々な妊娠初期症状を知っておく

定期的に生理が来ないと、その原因がもともと周期が不順なせいなのか、実は妊娠したことによるのか、判断がつきにくいものです。妊娠初期には、特徴的な症状がみられることもあるので、それらを知っておくと妊娠の可能性に気づく手がかりになりますよ。

妊娠初期によく見られるのは、以下のような症状などです。

・吐き気が続く、ムカムカする

・微熱があるなど、風邪のような症状がある

・体がだるい

・やたらと眠い

・生理痛のような下腹部痛がある

・胸が張る感じがする

・高温期がずっと続いている


ただ、妊娠していなくても、「PMS(月経前症候群)」によってこれらのような症状が見られることもあるので、上記はあくまでも参考程度と考えましょう。

女性の体は、毎回の生理周期のなかで激変する女性ホルモン分泌の変化とともに、体調が変動しやすいものです。気になる症状があるときは、適切と考えられる時期にまずは妊娠検査薬を使ってみましょう。また、上記のような不調が改善しないときや生理がなかなか来ないときは、早めに受診して検査を受けてくださいね。

妊娠したか分からないケースと対処法

妊娠検査薬に関する疑問のイメージ
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妊娠していても、検査薬を使った時期や体の状態によっては、検査薬の判定線がはっきりせず判断が難しい場合もあります。妊娠検査薬の結果がはっきり判定できない状況の例とそれを起こすと考えられる原因、対処法を紹介します。

(1)検査薬の判定ラインが薄い

市販されている妊娠検査薬の説明書には、「推奨時期に使用していれば、判定窓に出た線が薄くても陽性と判定する」と記載しているメーカーが多いようです。ただしこの場合は、線は薄くても「ピンク」や「青」などメーカーごとに「陽性」とされる色が目で見てわかることが前提です。

妊娠検査薬の公式サイトでは、Q&Aのコーナーなどで判定ラインが薄い場合について解説しているメーカーもありますから、一度チェックしてみるといいですね。

考えられる原因

・hCG濃度が低すぎた
妊娠しているのに判定線が薄くなるとき、まず原因として考えられるのは、「尿中にあるhCGの量が少ない」ことです。生理開始予定日を間違えているケースも含めて、「推奨時期より早く検査した」ときには、hCG濃度が検査薬が反応する「50IU/L」に達していないことがあります。

または、「水分を多量に飲むなどで尿が薄くなってしまった」場合にも、hCG濃度が低すぎて検査薬の反応が鈍くなる可能性はあります。

・hCG濃度が高すぎた
hCGの量は少ないときだけでなく、「多過ぎたとき」にも検査薬が正しく反応できなくなって、判定線が薄く出てしまうことがあります。

たとえば、妊娠している場合、前回の生理より約2ヶ月以上経過したころ、一時的にhCGが大量に分泌されることがまれにあります。また、「胞状奇胎」という異常妊娠が起こったときも、大量のhCGが分泌されます。

対処法

いずれにしても、判定線が薄くて判断が難しい場合は、数日~1週間後くらいに再検査をしてみましょう。

(2)時間が経ってから判定ラインが出た

各妊娠検査薬の説明書やメーカーの公式サイトなどを見ると、陰性か陽性かの判定は「10分以内に」と記載している場合がほとんどです。10分以上経っても判定線が出ない場合は、検査に失敗したと考えましょう。

ときには、検査後1~3分後は陰性だったのに、10分以上経ってから判定線が現れたというケースもあるようです。ただ、10分以上経ってから線が出てきても、色が「陽性」とされるものとは明らかに違って、うっすらとしたグレーなどの場合には「蒸発線」の疑いがあります。

考えられる原因

蒸発線は、時間が経ったことで薬剤にかけた尿から水分が蒸発し、尿に溶けている老廃物などの成分が濃縮されて周囲より濃く見えている状態です。

対処法

蒸発線の場合はhCGによる反応ではないので、陽性ではなく「陰性」と考えます。この場合も、数日~1週間後くらいに再検査をしましょう。

妊娠したかわからないときは相談して

生理不順だと、妊娠検査薬を使用するタイミングもつかみにくく、妊娠していても気づくのが遅くなってしまいがちです。生理がなかなか来ないので妊娠検査薬を使ってみたけれど、陽性かどうか判断に迷う場合には、産婦人科で相談してみましょう。

医師に経緯や状況を話し、検査を受けて体の状態を確認してもらえると安心です。もし、妊娠しにくい気がかりな点があったとき、早く見つけてもらう助けにもなります。

まとめ

赤ちゃんを望む夫婦のイメージ
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生理不順の人が妊娠を確かめたいときには、前回の生理を基準に次回生理予定日を予想して、その1週間後に検査するか、思い当たる性交の日の3週間後以降に妊娠検査薬を使ってみるとよいでしょう。各製品の説明書には生理不順の場合の使用タイミングの解説もあるので、事前によく読んでから検査をしてみてください。

ただ、生理不順は、卵巣などに何らかのトラブルがあって引き起こされている場合も多いものです。そのままだと妊娠しにくい状態である可能性もあるので、妊娠を望んでいる人は一度産婦人科で相談し、改善できそうな不調であれば妊娠前に対処しておくことも大切です。

(文:村田弥生/監修:直林奈月先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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