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2021年09月28日 15:30 更新

【医師監修】おしりの妊娠線を消す方法は?肉割れケアのポイントと予防法

「妊娠線」とは、皮膚表面にできる亀裂のような線のことです。「肉割れ」と呼ばれることもあります。おもに短期間で急激に皮膚が引き伸ばされることで生じ、妊娠ではおなかにできることが多いのですが、中には「おしり」にできることも。おしりにできた妊娠線を消す方法はあるのでしょうか?ケアのポイント、予防法などと併せて解説します。

おしりにできた妊娠線を消す方法

おしりにできた妊娠線のイメージ
Lazy dummy

妊娠中には、おなかなどに赤みを帯びた線ができることがあります。これが「妊娠線」と呼ばれるもので、英語では「ストレッチマーク」といいます。妊娠6~7ヶ月ごろから現れ始め、妊娠後期でとくに多くなる傾向があり、約90%、つまりほとんどの妊婦さんに妊娠線が認められるともいわれています[*1]。

妊娠線はおなかや胸にできることが多いのですが、それ以外におしり、太もも、腰にできることもあります。おしりにできた妊娠線を消すことはできるのでしょうか?

できてしまった妊娠線は「保湿で薄くできる?」

「妊娠線には保湿がいい」という話を、聞いたことがある人もいるでしょう。

たしかに、保湿が妊娠線予防につながることはあります。しかし、できてしまった妊娠線を消すことは、保湿だけでは難しいでしょう。

妊娠線は、おもに表皮の下にある「真皮」や「皮下組織」が断裂することでできますが、ローションや保湿剤を塗ることでケアができるのは、皮膚の表面だけです。保湿剤が真皮や、その下の皮下組織にまで届くことはほとんどないので、保湿をしても「できてしまった妊娠線」のケアにはほとんどならないのです。

皮膚の構造(イメージ)
皮膚の構造(イメージ)

医療機関で受けられる治療

美容皮膚科や美容形成外科などで、妊娠線を目立たなくするための施術を行っている医療機関もあります。

美容クリニックで行われている施術の多くは、マイクロニードルやレーザーなどによって妊娠線の部分の皮膚の再生を促す治療です

ほかには、周囲の正常な皮膚の色に合わせた色素を妊娠線の部分に注入し、周囲の皮膚の色味と馴染ませることによって妊娠線を目立たなくさせる施術(アートメイク)を行っている美容クリニックもあります。

ただし、医療機関での施術とは言っても、どの方法によっても妊娠線がまったくなくなるわけではありません。現在の医学では、いったんできてしまった妊娠線を完全に消す方法はないとされています。

妊娠線は「できる前の保湿」が重要

妊娠線はできてしまってから消すことはできないので、気になる人は「できる前に予防する」ことが大切です。

妊娠線をできる限り予防したいと思う人は、できる前に「十分な保湿」をすると良いでしょう。保湿により肌の柔軟性が高まると、妊娠線の予防に役立つ可能性があります。

妊娠線がとくにできやすいといわれているのは、妊娠末期~出産直前の時期。この時期には急激な体重増加が起こりやすく、そのために皮膚が引っ張られるので、妊娠線ができやすい傾向があります。

体重や体型変化が起き始める時期の前から、お腹やお尻など大きくなる部位の皮膚の保湿を心がけましょう。

また急激な体重増加も妊娠線の一因となりえます。お母さん・赤ちゃんの健康のためにも急激な体重増加は避けるようにしましょう。

妊娠線は徐々に目立たなくなる

赤い妊娠線
Lazy dummy

できてまもない妊娠線は目立つので、どうしても気になるという人が多いかもしれません。しかし、いつまでもそのままの状態ではありません。妊娠線は時間の経過と共に、徐々に目立たなくなっていきます

初期の妊娠線は赤い色でかゆみを伴うケースも

できたばかりの妊娠線はやや赤い色をしています。また妊娠線を触ってみると、ちょっとした皮膚の凹みがあり、陥没したようになっている様子が確認できるでしょう。

中には赤み以外に、かゆみを伴うケースもあるようです。妊娠中は皮膚が敏感になっていることに加え、妊娠線は急激に皮膚が引き伸ばされてできるので、その刺激がかゆみを引き起こすこともあります。

自然に白い線に変わっていく

ですが、産後時間が経つにつれて妊娠線の赤みは徐々に退色し、「光沢のある銀色~白色」に変わっていきます。

妊娠線ができやすい部位とできる原因

体重計と女性
Lazy dummy

妊娠線ができる部位は、おなかやおしりだけではありません。

脂肪がつきやすい部位にできやすい

妊娠線は脂肪がつきやすい部位に多くできる傾向があります。110人の妊産婦を調べた研究によると、48%はおなかに、25%は乳房に、25%は太ももに妊娠線ができたという報告がありました[*2]。中には、腰にできる人もいます。

急激な体重増加で皮膚が伸びるのが最大の原因

じつは妊娠線ができる原因は、はっきりと解明されているわけではありません。ひとつは、先ほどから説明している、急激に引っ張られることによる皮膚組織の断裂ですが、もうひとつ、妊娠中に増加する「副腎皮質ホルモン」の影響もあると言われています。

副腎皮質ホルモンによって皮膚組織の「入れ替わり(いわゆるターンオーバー)」が抑制されることで、断裂が生じやすくなるのです。

まとめ

悩みがある妊婦のイメージ
Lazy dummy

妊娠線はほとんどの妊婦さんに見られるもので、おしりにできるのもよくあることです。でも、一度できてしまった妊娠線を完全に消す方法はいまのところないようです。気になる人は、できる前に十分な保湿を行うと良いですが、それでも妊娠線を完全に予防する方法はありません。
妊娠線をできるだけ予防するためには、皮膚の保湿を十分に行い、お母さんと赤ちゃんの健康のためにも急激な体重増加が起こらないように気をつけましょう。妊娠経過や体調に応じて、適度な運動などを行いながら、妊娠末期~出産直前の急激な体重増加を防げると良いですね。

(文:山本尚恵/監修:横井彩先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]これならわかる産科学, p.45, 南山堂, 2010.
[*2]ウイリアムス産科学 原著24版, p56, 南山堂, 2015.

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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