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2021年08月02日 17:37 更新

【医師監修】足の浮腫みに悩む妊婦さんにおすすめ! 着圧ソックスの正しい選び方&はき方

妊娠中は足が浮腫み(むくみ)やすいもの。その対策や予防に「着圧ソックス」がおすすめです。はくだけで浮腫みを改善できるならうれしいですよね。さまざまな着圧ソックスがある中で、妊婦さんはどんなタイプを選べばいいのか、ポイントや注意点を紹介します。

妊婦さんのための着圧ソックスの選び方

Lazy dummy

まずは妊婦さんが着圧ソックスを選ぶ時のポイントから解説します。

どっちがおすすめ? ハイソックスタイプorニーハイタイプ

着圧ソックスにはひざ下までの「ハイソックスタイプ」と、太ももまでカバーする「ニーハイタイプ」があります。お腹が大きくなってもはきやすいのはハイソックスタイプ。昼用に多いタイプで手軽に取り入れられるので、初めて着圧ソックスを利用する人にもおすすめです。

ニーハイタイプは、ふくらはぎ全体と膝裏、太ももをしっかりカバーしてくれます。お腹がまだ大きくなければ、好みで選んでもいいでしょう。

おもに足首のサイズに合わせて選ぶ

サイズは各メーカーのサイズ表にしたがって選びますが、その際は「足首のサイズ」に注目しましょう。もし、身長がサイズ表のMとLどちらにも該当していたら、足首のサイズが近い方を選びます。

最初は圧が弱いタイプから試す

着圧ソックスの圧力の単位では、一般的に「hPa(ヘクトパスカル)」が使用されています。適度な圧は浮腫みを予防してくれますが、あまり強い圧がかかると、毛細血管や動静脈が圧迫されてかえって血行が悪くなってしまいます。

太ももや膝に40 hPa以上の圧力がかかると、うっ血状態になり、血流障害を起こすという報告もあります[*1]。

浮腫みの解消・予防に役立てたいなら、最初は弱めの圧力のものから試して、自分にあった圧力のものを探していくとよいでしょう。

医療用は産院に相談してから使用したほうが無難

なお、着圧ソックスはドラッグストアなどでいろいろな種類が市販されていますが、こうした製品とは別に、医療用に販売されているものもあります。医療用のものはよく「弾性ストッキング」と呼ばれています。ストッキングという呼び名ですが、ソックスタイプもあります。

医療用の弾性ストッキングは、市販品とは異なる特殊な素材を使用し、安定して圧をかけられるよう特別な編み方をされています。そのため、通常市販されている着圧ソックスより全体的に圧力が強く、また用途によって何段階かの種類があります。

静脈瘤や血栓症予防などのための圧力が弱いものは「20 mmHg(約27 hPa)未満」ですが、軽度の静脈瘤などでは「20~30 mmHg(約27~40 hPa)」、静脈瘤では「30~40mmHg(約40~53 hPa)」、つよい浮腫みのあるときや皮膚に栄養がいかなくなった静脈瘤などでは「40~50 mmHg(53~67 hPa)」、高度リンパ浮腫では「50 mmHg(約67 hPa)以上」を使用することが多いようです[*2]。

これに対して、医療用ではない市販品では、だいたい「20hPa程度」の圧力の製品が多いようです。

医療用の弾性ストッキングもネットやドラッグストアで販売されていることがありますが、市販品より圧力が高めなだけにサイズや使い方を誤るとかえって症状を悪化させる可能性もあります。医療用を使ってみたい場合は、かかりつけの産院で相談することをおすすめします。

マタニティ用に開発されたタイプも

弾性ストッキングのなかには、妊婦さん用に開発されたマタニティ用もあります。遠赤外線素材を使い、足首を暖めてくれる機能がついているタイプも。浮腫みだけでなく、手足の冷えが気になる人にはうれしいですね。

お腹が大きくて上手くはけない? 着圧ソックスのはき方

座っている妊婦

お腹が大きくなると、普通のソックスをはくことさえ難しくなりますね。着圧ソックスがはきづらいときは次のように対処してみてください。

横座りだとお腹を圧迫しない

着圧ソックスをはくときは、お腹を圧迫しない姿勢をとりましょう。床に座って足を横に出す横座りの姿勢になれば、お腹を圧迫せずにはくことができます。

ただし、妊娠中に長時間横座りのままでいることはおすすめできません。妊娠中はホルモンの影響で骨盤を支える靭帯が緩んでいます。出産時に赤ちゃんが産道を通りやすくするためですが、これによって骨盤が不安定になっているので、腰痛が起こりやすくなります。産前・産後の腰痛予防のために、はき終わったら横座りはやめましょう

家族に手伝ってもらう

自分ではくことが難しければ、家族にはかせてもらいましょう。妊娠後期にパパに靴下をはかせてもらったというママは珍しくありません。遠慮せず頼りましょう。

はく時用の補助具が付属している製品も

医療用では、はく時に滑りやすくするスリッパや着脱補助器具が付属している製品があるほか、これらの補助具を別売りで入手できる場合もあります。医療用を使うときは産院で相談するようにしてください。

妊婦が着圧ソックスをはく場合の注意点

Lazy dummy

着圧ソックスをはくときは、次のことに気をつけてください。

製品の注意書きをよく読んでから使用する

製品の注意書きは、購入の際によく確認しましょう。特に次のポイントをしっかりチェックしてください。

妊娠中に使用できる製品か確認を

加圧スパッツでは、妊娠中は使用不可としている製品もあります。着圧ソックスの購入時も注意書きを確認しておきましょう。

昼用、夜用は区別して使う

着圧ソックスは、基本的に昼用と夜用に分かれています。昼用は圧が高めに、夜用は低めになっていることが多いようです。

寝るときも昼用をはいていると、圧が強いのでかえって血行が悪くなったり不快になったりする可能性があります。昼間に利用したいなら昼用、寝るときにはきたいなら夜用や就寝用と、時間帯にあわせて使い分けましょう。

サイズの合ったものをはく

それぞれの製品の適切な圧をうけるためには、自分にあった正しいサイズのものをはく必要があります。サイズ表記だけを参考にするのではなく、できれば実際にはいてみて自分の足にぴったりあうものを選びたいものです。

通信販売などで実物を確認するのが難しいときは、S、M、Lといったサイズ表記だけでなく、足首、ふくらはぎ、太ももといった各部位の寸法を確認して慎重に選んでください。

異変を感じたら使用を中止する

妊娠中の体はデリケート。はいてみて、以下のような異変を感じたら、すぐに使用を中止し、症状が治まらない場合はかかりつけ医に相談してください。

・きつ過ぎる

・食い込みや痛みがある

・足先の色が悪くなったり冷たくなっている

・しびれがある

・かゆみがある

・水ぶくれができた
 など

なお、浮腫みの軽減に役立つ方法には、着圧ソックス以外に以下のようなものもあります。軽い浮腫みが気になる場合には、試してみてください。

・足を高くして休む

・脚をマッサージする

・長時間の立ちっぱなしを避ける

・長時間座り続けることも避ける

・ウォーキングやストレッチなど適度な運動をする

・塩分を控え、カリウムを補う
 カリウムが多い食品:りんご、バナナ、オレンジ、にんじんなど

・バランスのよい食事でたんぱく質をしっかり摂る
 など

浮腫みがひどいときは医師に相談を

妊娠中の浮腫みはよくあることですが、高血圧やたんぱく尿を伴う場合は妊娠高血圧症候群の心配があるので注意しましょう。

また妊娠中に浮腫みが悪化すると、血液の逆流を防ぐ静脈弁が壊れ、ふくらはぎの血管に血液がたまって静脈が浮き上がる「下肢静脈瘤」になることもあります。妊娠中にできた下肢静脈瘤は出産後数週間で消えることが多いものの、一度壊れた静脈弁は完全には治りません。下肢静脈瘤になった場合、医療用の弾性ストッキングをはいても浮腫みが改善しなくなります。

浮腫みがひどいとき、改善しないときは、悪化させる前に健診などで相談してみましょう。医師から治療のために、医療用の弾性ストッキングを処方されることもあります。

まとめ

横になる妊婦
Lazy dummy

着圧ソックスは妊娠中の浮腫みの予防や改善に役立つ強い味方。ただサイズや使い方を間違えると、効果が得られないばかりか、逆効果になってしまうことも。ここで紹介したポイントを参考に、自分にあったものを選んでください。また、なかなか浮腫みがとれないとき、医療用を試したいときなどは、産院で相談するようにしましょう。

(文:佐藤華奈子/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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