【医師監修】妊娠後期、体重の増えすぎに注意すべき理由とは?

【医師監修】妊娠後期、体重の増えすぎに注意すべき理由とは?

「おなかの赤ちゃんの分まで食べなさい」と勧められるままに食べていては、あっという間に体重オーバーになってしまう妊娠後期。健診での体重測定に毎回ドキドキしてしまう妊婦さんも多いのではないでしょうか。自分はもちろん、赤ちゃんのためにも重要な体重管理。理想の増加目安と管理のコツについて知っておきましょう。


妊娠後期に体重が増えやすいのはなぜ?

体重計に乗る妊娠後期で体重増加をチェックする妊婦
Lazy dummy

※画像はイメージです

妊娠後期になると体重が増えやすくなるのにはいくつかの理由が考えられます。まず気をつけたいのは、妊娠初期にあった「つわり」の反動。今まで我慢していた分、何でもおいしく感じられ、つい食べ過ぎてしまうことも多いようです。誕生日やクリスマス、お正月など、みんなで楽しく過ごすイベントのシーズンにも注意しましょう。逆に俗に「後期つわり」といわれる吐き気の影響で食べられないという方もいます。

また、妊娠中に何らかのトラブルがあり、医師から安静にするように指示を受けたところ、体重が一気に増えてしまったという人もいます。トイレと食事以外は動くことができないため消費カロリーは減る一方なのにもかかわらず、手持ち無沙汰になってついお菓子に手が伸びて……となると、あっという間に太ってしまいます。産休に入って通勤がなくなった、出産のために里帰りして家事のほとんどを親がやってくれるようになった、臨月に入りお腹がせり出し動きにくくなったなどの理由も、運動量が減り太る一因になるようです。

妊娠後期の体重増加の目安は? 増えすぎた場合は?

妊娠後期の時期の体重増加の目安とはいったいどれぐらいなのでしょうか。妊娠初期と比べて違いはあるのか、また増え過ぎた場合の対処法などもあわせて知っておくと安心です。

理想的な体重の増え方とは

元々の体型によっても違いはありますが、一般的に理想とする増え方は「低体重(やせ)」と「ふつう」の体型の妊婦さんなら、妊娠中期~後期は週に0.3~0.5kg[1]。激しいアップダウンは好ましくなく、なだらかな曲線を描くように増えるのが良いとされています。1週間に0.5kgを超えて増えてしまうと注意が必要です。自分にあった適正体重を知るためには、あらかじめ自分のBMI(Body Mass Index)を調べておくことが必要です。

体重増加の上限は?

妊娠中の体重増加の上限は、妊娠前の体重が元で決まります。国際的に認められている体格指数である【BMI= 体重kg ÷ (身長m)² 】で算出できるので、自分の数値を把握しておきましょう。

■BMIの数値18.5未満:妊娠前の体重はやせです。体重増加の目安は9~12kg程度。
■BMIの数値18.5~25未満:妊娠前の体重は標準です。体重増加の目安医は7~12kg程度。
■BMIの数値25以上の場合:妊娠前の体重は肥満(太り過ぎ)です。体重増加の目安はおよそ5kg程度(ただしBMIの25を大幅に超える場合は個別対応)[2]。

しかし、BMIが適正範囲だからといって、1週間に0.5kg以上体重増加してしまうなど一気に太ることはいけません。急な体重増加は妊娠高血圧症候群などのリスクを高めてしまいます。気をつけましょう。

すでに適正体重を超えていたり、急激に増えた場合はどうする?

妊娠中の体重増加の目安が月に1kg程度だと考えると、ひと月に2~3kgなど急激に増えてしまった場合には注意が必要です。とはいえ、食事を抜くなどのダイエットをすることは妊娠中はしてはいけません。母体のためにも赤ちゃんのためにも最もカロリーが必要な時期です。特別なカロリー制限を必要としていないのであれば、適度な食事量と回数で栄養をとることは大切です。

太り過ぎてしまったなと思ったらまずは間食を控え、適度な運動をしましょう。反対に、痩せ過ぎにも注意が必要です。赤ちゃんに十分な栄養、エネルギーを行き渡らせるためにも、妊娠中の体重管理は医師・助産師の指導に従うようにしましょう。

体重が増えすぎると何が問題?

妊娠中に太りすぎることによって、ママや赤ちゃんのさまざまなトラブルが起こる可能性が高まります。母体、赤ちゃん、それぞれの影響についてみていきましょう。

母体への影響・リスク

母体への影響としては、まず妊娠高血圧症候群のリスクが高くなることが挙げられます。過度な体重増加によって、むくみ、高血圧、タンパク尿の症状が出るリスクが高まります。また、妊娠糖尿病の影響で赤ちゃんの体重が4000gを越えると難産となる確率が高まります[3]。そのほか、微弱陣痛になりやすいため、なかなか分娩が進行しないなど、さまざまなリスクが挙がっています。

赤ちゃんへの影響・リスク

母体だけでなく、お腹の赤ちゃんにも悪影響を及ぼします。妊娠高血圧症候群では、胎児の発育不全や通常よりも体重が少ない低出生体重児、常位胎盤早期剥離などのリスクが高まると言われています。さらに悪い場合には、子宮内胎児死亡という、おなかの中の赤ちゃんが急に亡くなってしまう危険もあるのです。万が一を避けるために、できるだけ早く赤ちゃんを体外に出そうと帝王切開での出産が行われるケースもあります。

また妊娠糖尿病になると、赤ちゃんも高血糖になり、4000g以上の巨大児となってしまうことがあります。赤ちゃんに起こりうる合併症としては、新生児低血糖症、新生児低カルシウム血症、新生児多血症、新生児高ビリルビン血症(新生児黄疸)、先天奇形、胎児発育遅延、胎児仮死などが知られています。

妊娠後期の体重管理のコツ

妊娠後期に適正な体重管理をしていくためにはどうすれば良いのか、いくつかのコツを見ていきましょう。

体重計測を日課に

最も簡単なコツは、体重測定を日課にすること。例えば、朝起きてトイレに行った後、食事の前など毎日同じ時間に測るようにしましょう。何週間も測らずに急に大幅な体重増加を知ったところで、それを軌道修正するのは大変です。毎日測定することで「ちょっと増え過ぎたから今日は食事を控えめにしようかな」と微調整することが可能になります。また、体重管理、妊娠生活に対する意識が変わることも大きなメリットになるでしょう。

常に体を意識した食事を

妊娠すると脂肪はもちろんのこと、水分も体に蓄積される傾向にあります。塩分をとり過ぎるとのどが渇き、余計な水分をとることに。栄養バランスを考えながら、塩分のとり過ぎにも注意することが必要です。間食、外食も余計なカロリーをとってしまいがちです。例えば1日に食べたものをノートに書き出すと、食べ過ぎ、脂っこいメニューが多い、野菜が少ないなどの傾向が見つけやすくなります。自分が太りやすいと思う人などは、常に体を意識した食事をするためにも、実践してみると良いかもしれません。

出産まで適度な運動を

妊娠後期になりお腹がせり出してくると、動くのも一苦労ですよね。でも家にいるとついお菓子などに手が伸びてしまい、結果、必要以上に体重が増えてしまったという悪循環に。適度な運動や外に出ることはリフレッシュにつながります。たとえば、ウォーキング、マタニティスイミング、マタニティヨガ、マタニティエアロビクスなども良いでしょう。無理をしない程度の運動は運動不足や肥満の予防になるのはもちろん、十分な睡眠、腰痛や便秘の解消、むくみの改善など、たくさんのメリットがあります。

臨月に入ったからといって、特に医師から制限の指示を受けていない限りは動いていけないということはありません。家事をしたり、時には散歩したりなど、出産まで適度な運動は続けるようにしましょう。もちろん、運動するときにもお腹に赤ちゃんがいることは忘れてはいけません。あまり激しすぎるスポーツや転倒の恐れがある運動は控えるなどの配慮は必要です。無理をせず、楽しみながら運動できると良いですね。

妊娠中におすすめの運動

妊娠中にどの程度運動しても大丈夫なのか、気になる妊婦さんも多いと思います。妊娠中に有効な運動とあまりおすすめではない運動があります。その違いを知り、快適な妊娠生活に役立てましょう。

ウォーキングなどの有酸素運動

個人差はありますが、運動は体調が安定してからにした方が良いでしょう。自分のかかりつけの産婦人科医に相談しながら、体調の良い時に始めましょう。妊娠中は、ウォーキングやマタニティスイミングなどの有酸素運動で、運動不足を解消することをおすすめします。また、自分にとって「ややきつい」と感じるぐらい、汗ばむ程度が妊婦さんにとってちょうど良い運動レベルと言われています。

ただし、大切なポイントは毎日続けられる運動であること。例えばこれまで特に運動をしてこなかった人は、週2、3回
30分の散歩からはじめてみると良いでしょう。適度な運動は出産ギリギリまで続けることができます。無理をすることはもちろん本末転倒ですが、体重管理を適切に続けるためにも運動は欠かせないものです。

運動するときの注意点

妊娠中の運動として向いていないのはゴルフやテニス、バスケやサッカーなど競技として勝ち負けやスコアをつけるものといえるでしょう。高得点を狙ってついムキになってしまったり、団体競技で皆に迷惑をかけまいと無理をしてしまったりする可能性があるからです。また、妊娠すると自分では気づかないうちに反射神経や平衡感覚、動体視力などが鈍っていることがあります。危険をともなうものや天候などで予想外の状況が起こりかねないスポーツは避けた方が無難です。

さらに、ジョギングや水泳の平泳ぎなど、ひざや股関節に負担をかける動きがあるものも注意が必要です。ウォーキングもマシンを利用する際にはペースを上げ過ぎないように気をつけます。減量のための過度な運動ももちろんNGです。一時的に体重が減ったとしても汗で体の水分が抜けただけです。水分不足はお腹の赤ちゃんにも悪影響をおよぼします。妊娠中の体重コントロールは基本、適度な運動と食事で行いましょう。

まとめ

スムーズな出産に向け、適切な体重管理を欠かすことはできません。特に妊娠後期は運動不足に陥りがちで、油断するとあっという間に体重が増加してしまいます。質の良い食事で栄養をしっかり摂りながら、適度に運動をして、バランスのとれたライフスタイルを送ることが母体のためにもお腹の赤ちゃんのためにもとても大切です。まずは自分が無理せず続けられそうな運動を見つけることから始めてみるのも良いかもしれませんね。

記事を監修してくれた<的野博院長>プロフィール

この記事の監修ドクター
的野ウィメンズクリニック 的野博院長
北里大学医学部卒業、国際親善総合病院産婦人科医長を経て、的野ウィメンズクリニックを開院。妊娠・婦人科検診はもちろん、生理痛、生理不順、更年期障害などのお悩みや、風邪をひいた、などのちょっとした身体の不安も安心して気軽にご相談いただける、女性のためのホームドクターを目指しています。
https://www.matono-womens.com/

参考文献
[1][2]厚生労働省ホームページ 「妊娠期の至適体重増加チャート」について
[3]公益社団法人 日本産科婦人科学会 日産婦誌60巻9号N-424「6 巨大児の取り扱いについて」

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.06.18)

※記事の修正を行いました(2019.06.07)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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