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2021年07月08日 17:10 更新

【医師監修】赤ちゃんが後追いしないけど大丈夫? 原因や対処方法をご紹介

赤ちゃんにずっと付いてこられるのは大変ですが、後追いする様子がないとそれはそれで気になりますね。赤ちゃんが後追いをしない場合、どんな理由が考えられるのでしょうか。赤ちゃんが後追いをしないときの対処方法とともに説明します。

そもそも「後追い」とは

こちらにはいはいしてくる赤ちゃん
Lazy dummy

後追いとは、どんなもので、いつごろの赤ちゃんにみられるものなのでしょうか。最初にチェックしておきましょう。

「後追い」は親との心のきずなを表現する行動

「後追い」とは、赤ちゃんがママやパパなど「保護者の後をくっついてまわること」ですが、それにはどんな意味があるのでしょうか。

赤ちゃんは生まれたあと、体がぐんぐん成長するとともに、「心」も徐々に育っていきます。生まれたばかりの赤ちゃんの心の成長でまずみられるのが、「こころよさ」と「不快感」の区別がつくようになることです。そして、「お腹がすいたら授乳してもらう」「排泄しておむつが不快になったら交換してもらう」など、自分の欲求がその都度、世話してくれる人によって満たされることに安心し、ママやパパなどの保護者と「心のきずな」を築いていきます。

この心のきずなは「愛着」とも呼ばれ、これを赤ちゃんが人に対して示すときにあらわれるのが「愛着行動」で、「後追い」もそのひとつです。ちなみに、「人を目で追う」「ほほえみかける」「声や手をあげて合図する」なども愛着行動に含まれます。

後追いが始まると、ママがトイレに行こうとしているのに赤ちゃんが離してくれないなどということもよくあります。1日中落ち着かず困ることも多いですが、後追いは赤ちゃんの心が順調に育ち、親子間の愛着が育ってきている現れでもあるのです。

後追いはいつ始まって、いつ終わるの

はいはいで泣く赤ちゃん

後追いは生後8ヶ月ごろから激しくなる

赤ちゃんは、生後3~6ヶ月ごろには、特定の人に対して、「目で追う」「声を聞こうとする」「ほほえみかける」「声や手をあげて合図する」などの愛着行動を示すようになります。

その後、生後6ヶ月以降になると、今度は「知っている人」と「知らない人」の区別がつくようになるとともに、知っている人に対して「自分から近づく」「しがみつく」「後追いする」といった行動も示すようになってきます[*1] 。 これはつまり、「人見知り」するようになる、ということでもあります。

なお、後追いが激しくなってくるのは、はいはいが始まり自分で自由に動き回れるようになる「生後8ヶ月ごろ以降」が多いようです。人見知りが始まるのも、だいたい生後8~9ヶ月ごろと言われています[*2, 3] 。

後追いは2、3歳ごろまで続く

その子によって程度は異なりますが、「後追いは2、3歳ごろまでみられる」とされています[*4] 。

3歳ごろを過ぎると、子供の考える力や記憶力、言葉の発達がだいぶ進みます。そのため、ママやパパなどの保護者がいったん自分から離れてもまた迎えに来てくれるという信頼ができ、離れていても落ち着いて待てるようになります。

こうして3歳以降にだんだんと、後追いは落ち着いていきます

赤ちゃんが後追いしない原因

泣き顔の赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんの中には、あまり後追いをしない子もいます。後追いをしなかったり、少ない原因には何が考えられるのでしょうか。

その子の個性

赤ちゃんによって後追いが激しい子もいれば、逆にあまり後追いをしない子もいます。
これは、育て方というよりも、赤ちゃん1人1人がもって生まれた「個性」や「性質」による影響が大きいと言われています[*5] 。

赤ちゃんは初対面だったり、あまりなじみのない人に不安を感じやすいものですが、その不安以上に「あの人は面白そうだ」とか「どんな人かな?」といった好奇心や興味を抱くような性質の子では、たとえば数回しか会っていない保育園の先生でも人見知りせず、ニコニコしているかもしれません。

逆に、初対面の人や場所に強い不安を感じるタイプの赤ちゃんでは、人見知りが強く、保護者との別れ際に激しく後追いすることもあるでしょう。

赤ちゃんに後追いがみられない場合は不安になるかもしれませんが、ほかに気になる点がないのであれば心配する必要はありません。

愛情不足が関係するの?

赤ちゃんが後追いをしない原因として、よく心配されるのが「愛情不足ではないか」ということです。

ヒトを含め、ほ乳類の赤ちゃんは誰かに世話をしてもらわなければ、生きていくことができません。また、十分な栄養が与えられる衛生的な環境で育っていても、かまってくれる人がおらず極端に孤独な状態になると、赤ちゃんは強いストレスを感じ、それが心身の発達に影響を与えることがわかっています。

ただ、これは心のきずなでつながっていた保護者から完全に引き離され、長期間隔離されるなどの場合でおもに心配される事態です。ママやパパなどの保護者と赤ちゃんの間である程度コミュニケーションが取れていて、ママやパパ自身が「赤ちゃんがかわいい」「なついてくれている」などと感じることがあるのなら、あまり心配しなくてよいとされています。

発達障害との関連

赤ちゃんが後追いをしないために、「もしかして発達障害ではないか」と心配している保護者もいるかもしれません。

確かに、発達障害の子では「乳幼児期に後追いをしなかった」という特徴がみられる場合もあるようです。ただし、発達障害の場合は、後追いをしない以外にも「目を合わせようとしない」とか「変わったこだわりが強い」など、ほかにも特徴のあることが多いようです。

後追いをしないこと以外にも、気になる点が赤ちゃんにみられる場合は、一度、発達障害の専門医に相談してみてもよいかもしれません。ただし、発達障害かどうかを2歳以前に確実に診断するのは難しいと言われています[*6] 。

「後追いをしないこと」以外に気になる様子がない場合は、好奇心旺盛で社交的なタイプだと思って大らかに見守ってくださいね。

後追いしない子に親は何かしたほうがいい?

眠る赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんが後追いをしない場合、ママやパパは何か対策をとったほうがよいのでしょうか。

あまり心配しないで

後追いは、赤ちゃんとママやパパなどの保護者との間に愛着が育っていく過程で、赤ちゃんがそのときできる表現方法としてとる行動です。ただ、すでに解説したように、愛着の形成とは関係なく、もともとあまり後追いをしないタイプの赤ちゃんもいます

後追いがあるかどうかより、赤ちゃんと保護者の間に愛着が育っているかどうかが重要なので、保護者に赤ちゃんがかわいいという気持ちがあり、後追いはしなくともその赤ちゃんなりの方法で心のきずなを表現してくれていると感じるなら、あまり心配しないで大丈夫です。

スキンシップや他の遊びでコミュニケーションを

後追いをしないからといって心配し過ぎる必要はありませんが、抱っこしたり、話しかけたり、自分から近づいてきたら優しく応えてあげる、などのコミュニケーションをとることは、赤ちゃんとの心のきずなをより強くするのに役立ちます。

後追いをするかどうかを気にするより、おおらかな気持ちでこの時期にしかできない赤ちゃんとのやりとりを楽しんでくださいね。

まとめ

離乳食を食べる赤ちゃん
Lazy dummy

「後追い」は、赤ちゃんと保護者との間に愛着が形成されていく過程でみられるようになる行動です。その他の人と保護者を見分けることができるようになったころからみせるようになり、保護者が自分からいったん離れても「戻ってきてくれる」と理解できるようになると減っていきます。

赤ちゃんによっては後追いをしない子もいますが、その原因として大きいのは、個々の性格の違いではないかと言われています。もし、後追いをしない以外にも気になる様子が続いている場合は、健診などで一度、専門家に相談してみるとよいでしょう。

でも、ほかにとくに気になる様子がないのであれば、後追いをしないからといって気にしなくても大丈夫。月齢に合ったそのときどきの方法で、赤ちゃんとたくさん触れ合って親子のきずなを深めていきましょう。

(文:大崎典子/監修:三木崇弘 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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