【医師監修】赤ちゃんは自転車にいつから乗せられる?注意点や自転車の選び方
赤ちゃんを自転車に乗せられれば、買い物も楽になって行動範囲も広がり、子育てライフも楽しくなりますね。そこで今回は、赤ちゃんを自転車に乗せていい年齢の目安や、自転車を選ぶ際のポイント、乗る際の注意点などをまとめました。
赤ちゃんが自転車に乗れるのはいつから?
赤ちゃんを乗せられる年齢は、「〇歳から」と法律などではっきり決められているわけではありません。転車用チャイルドシートの使用年齢の目安や赤ちゃんの体がしっかりしてくるころなどから「1歳くらいからがいいのでは」と考えられています。
1歳以降を目安に
自転車(電動アシスト自転車を含む)は、道路交通法で「軽車両(原動機を持たない車両)」と位置づけられています。乗る際のルールも道路交通法で定められているので、違反をするとさまざまな罰則が科せられる場合があります。
原則として、自転車は運転者1人しか乗ることができませんが、運転者が16歳以上で自転車用のチャイルドシート(幼児用座席)をつけていれば、小学校に入るまでの幼児1人を乗せることができる、という規定があります。
子どもを乗せるのに必要な自転車用のチャイルドシートには、ハンドルの手前に取りつける前乗せタイプと、サドルの後ろにつける後ろ乗せタイプの2種類があり、タイプによって使用に適した年齢の目安も以下のように異なります [*1]。
・前乗せタイプ→1歳以上4歳未満が目安
・後ろ乗せタイプ→1歳以上小学校就学前までが目安
どちらのタイプも、安全に使用できる対象年齢は1歳以上とされています。また、1歳前だと赤ちゃんは体のバランスが不安定になりやすいこともあるので、自転車に乗せるのは1歳過ぎてからと考えるといいでしょう。
おんぶ紐を使う際はしっかり固定し、より注意して走る
自転車に乗せられる子どもの数や乗せ方は、各都道府県が「道路交通法施行細則」で決めています。それによると、赤ちゃんを乗せる場合は、チャイルドシートに座らせなくてもおんぶ紐などで確実に固定しておぶっていれば、自転車に乗ってもよいことになっています。
たとえば埼玉県では、「おんぶできるのは4歳未満」としていますが、道路交通法施行細則は自治体によって多少の違いがあります。子どもを乗せる際のルールについては、自治体や警察署のサイトに出ているので、一度、自分の住む都道府県の規定を調べてみるといいですね。
ただ、おんぶの場合、しっかりおぶっていてもグズったときなど赤ちゃんに気をとられることもありますし、赤ちゃんが動くとバランスを崩しやすくなります。そのため、おんぶをして自転車に乗るとき、走行には特に注意が必要です。
なお、1人を確実におんぶしていれば、もう1人の子どもをチャイルドシートに乗せて、子ども2人まで乗せることができます。その場合は、子ども2人を乗せられる構造や装置があると認められた「幼児2人同乗用自転車」であることが条件となっています。
赤ちゃんを自転車に乗せるときの注意点
1人で乗っていても、バランスを崩して倒れたり車と接触する危険のある自転車の走行。赤ちゃんを乗せているときには、さらにさまざまな点で注意が必要です。
子供を乗せたまま自転車から離れない
赤ちゃんを自転車に乗せる場合、気をつけて走るのはもちろんですが、自転車を止めたときにも注意が必要です。まず、親が自転車に乗る前や降りた後は、万一自転車が倒れそうになってもすぐに支えられる位置に立つことを心がけましょう。
スタンドを立てた状態で、子どもをチャイルドシートに乗せたまま自転車から離れるのは絶対にやめてください。たとえ短時間でも、親が離れたすきに少しでも子どもが動くと、バランスを崩して自転車ごと倒れてけがをする危険が大きいからです。
ヘルメット、シートベルトは必ずする
警察や自治体は、赤ちゃんを自転車に乗せるときは安全のためにヘルメットを着用するように呼びかけています。ヘルメットは、赤ちゃんの頭のサイズに合ったものを選びましょう。
ヘルメットを正しく着用するには、先がまゆ毛のすぐ上にくるようにして、前から後ろにかけて水平になるようにします。あごひもは、のど元に指1本が入る程度の余裕を持たせてしっかり締めましょう。
また、チャイルドシートに乗せるのは当然ですが、短距離や短時間の移動でもシートベルトはきちんとしめる習慣をつけることが大切です。
おんぶは大丈夫だが、前に抱っこして走るのは違反
親子で自転車に乗る場合、おんぶはOKとされていますが、前抱っこは認められていません。
「前抱っこは、ママと赤ちゃんがお互いに顔が見えるので安心」と思うかもしれませんね。でも、自転車に乗ると前傾姿勢になりやすいので、ママと赤ちゃんの体にすきまができてしまい、急ブレーキをかけたり段差に乗り上げたときなどに、衝撃で赤ちゃんが抱っこひもから飛び出してしまう危険があります。
また、赤ちゃんが急に反り返ったりすると、バランスが崩れてハンドルがグラついてしまったり、赤ちゃんの頭でママの視界がさえぎられてしまうことがあるもしれません。こうした理由から、各都道府県は前抱っこで自転車に乗ることを禁止しています。
雨対策グッズも用意
雨が降っても、赤ちゃんを乗せたうえに片手で傘をさして乗ることは絶対にやめましょう。赤ちゃんを乗せてバランスがとりにくくなっているうえ、傘をさして片手ハンドルで走行するのは大変危険です。
保育園の送迎などで、雨の日でも自転車に乗る必要があるときは、レインコートやチャイルドシート用の雨よけ、レインカバーなど、雨対策グッズをしっかりそろえて活用しましょう。
安全第一で走りましょう
赤ちゃんを乗せたときだけでなく、自転車に乗るときは道路交通法を守ることが基本です。自治体や都道府県の警察署サイトなどの多くが安全な乗り方やルールを紹介しているので、ぜひチェックしておきましょう。
自転車の走行中にはバランスやスピードに注意することはもちろんですが、天候によっては滑りやすくなるので、路面の状態にも気をつけましょう。 またママの服装は、車輪に巻き込まれる危険がある裾の長いコートやスカートなどを避けましょう。万一バランスを崩してもパッと足がつけるように、スニーカーなどかかとの低い靴をはくといいですね。
赤ちゃんを乗せる自転車の選び方
自転車は、安全性が認められているものなら安心です。チャイルドシートも、赤ちゃんの体重や身長が安全基準に合っているものを選びましょう。
「BAAマーク」「SGマーク」がついているものを選ぶ
赤ちゃんを乗せる自転車は、車体の安全性が示されたものを選びたいですね。安全基準を満たした自転車には「BAAマーク」または「SGマーク」が貼付されているのでぜひ参考にしてください。
BAAマークは、自転車協会が定めた約90の検査項目をクリアした自転車に貼付されています。幼児2人同乗用自転車も、BAA基準で定められています。
SGマークは、製品安全協会が対象商品ごとに安全性に関する基準を定め、それに適合した製品の安全性を認証して貼付しています。SGマークのついた製品には対人賠償責任保険がついていて、自転車の有効期限は購入日から5年が目安となっています。
なお、SGマークは自転車用のチャイルドシートやヘルメットにも貼付されていますので、購入する際にチェックするといいですね。
カタログで体重・身長制限を確認する
自転車用チャイルドシートには、年齢とともに体重・身長の目安も記されています。チャイルドシートを買う前に、カタログなどで使用目安の体重や身長をチェックしておきましょう。
自転車用チャイルドシートの体重・身長の基準は以下の通りです[*1]。
■前乗せタイプ→体重は8kg以上15kg以下、身長は70cm以上100cm以下
■後ろ乗せタイプ→体重は8kg以上22kg以下、身長は70cm以上115cm以下
年齢が適合していても、体重や身長が基準に満たない赤ちゃんを乗せるのはNGです。また、体重や身長が基準の上限をオーバーしている子の場合は、チャイルドシートのタイプを変えるか、合うものがなければ乗せるのをやめることも検討する必要があります。
チャイルドシートは親の目が届く前乗せタイプがおすすめ
自転車用チャイルドシートを選ぶ場合、どのタイプにするか迷うかもしれませんが、初めのうちは前乗せタイプがおすすめです。
後ろ乗せタイプだと、走行中に赤ちゃんの様子を見ることができません。赤ちゃんは体のバランスが不安定になりやすいですし、自転車に乗って気持ちがよくなると眠ってしまうこともありますね。すると、ベルトをしめていてもずり落ちてしまう恐れがありますし、赤ちゃんの体が不安定になるとママもバランスを崩しやすくなります。その点、前乗せタイプなら赤ちゃんに目が届くので安心です。
後からサドルの後ろにチャイルドシートを取り付けられるタイプのものもあるので、そこらへんも視野に選ぶといいですね。
まとめ
親子で自転車に乗れれば、抱っこで重い思いをしなくてすみますし、少し遠い公園やスーパーなどにも気軽に行けるようになって、ママは便利で楽になるでしょう。
ただ、自転車は道路交通法を守って乗るものだということを忘れずに。乗せる場合は、基準をクリアした自転車を選び、チャイルドシートに座らせてヘルメットを着用させるなど安全には十分に配慮してくださいね。そして、事故には十分注意して走りましょう。
(文:村田弥生/監修:丘逸宏 先生)
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※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます