【医師監修】妊婦は岩盤浴をやってはいけない?サウナと温泉は?

【医師監修】妊婦は岩盤浴をやってはいけない?サウナと温泉は?

発汗効果があり、ストレス解消やリラックスにいいと言われる岩盤浴に行きたいという妊婦さんもいるのでは。しかし、妊娠中はできれば避けた方がよさそうです。今回はその理由を解説するほか、妊娠中のサウナや温泉などについても触れてみたいと思います。


この記事の監修ドクター
葵鍾会 ロイヤルベル クリニック勤務。福島県立医科大学、同大学院卒業後、社会保険二本松病院、南相馬市立総合病院産婦人科医長、福島県立医科大学附属病院総合周産期センター(母体・胎児部門)助教、東府中病院副院長、アルテミスウィメンズホスピタル院長を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、医学博士、J-MELSベーシックコースインストラクター。

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妊娠中の岩盤浴で考えられるリスク

岩盤浴とは、室温を40℃程度に保った高湿度の部屋で温められた石の上に横たわり、岩盤から発する遠赤外線などの温熱効果を得る入浴方法のことをいいます。発汗作用があり、疲労回復などに効果があるとされることから、「妊娠中にもやりたい!」と思う人もいるかもしれません。では、妊娠中の岩盤浴は妊婦や赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか。

妊婦や胎児への影響を調べたデータが少ない

岩盤浴は世界的に古くから行われているといわれますが、歴史は長いものの、そのことが妊婦さんや胎児に与える影響を調べたデータは多くありません。そのため、良い影響も悪い影響も、現状ではじつはよくわかっていないのです。

そのような状況の中でも、以下に挙げるようなリスクが考えられるため、妊婦さんが利用する場合はじゅうぶんに注意しておきましょう。

温まり過ぎによる赤ちゃんへの悪影響の可能性

岩盤浴は体を温めることが目的ですが、この「体を温める」という行為が、妊婦さんやおなかの赤ちゃんに先天異常などの良くない影響を与える可能性があるといわれています。

たとえば妊婦さんが40~41℃の湯船に10分間入浴すると、深部体温と呼ばれる、体の内部の体温が一時的に1.0~1.5℃上昇します。妊婦さんの深部体温が上昇すると、おなかの中では、赤ちゃんの心拍数や血流量の増加が生じます。これは赤ちゃんの体温が上がりすぎるのを防ぐために起こる変化だといわれています[*1]。

赤ちゃんの体温が38℃以上になると、赤ちゃんの健康に悪影響が生じることがあります。一部の研究結果では「妊娠初期に発熱した女性の赤ちゃんにおいて、神経管閉鎖障害(脳または脊髄の深刻な異常)のリスクがわずかに増加する」ことが示されています。神経管閉鎖障害の大きな原因は葉酸不足ですが、体温の上昇が影響する可能性が考えられるのです。

しかし、発熱による異常な体温と湯船につかることによる体温の上昇が、おなかの赤ちゃんに同じ影響を与えるかどうかは明らかではなく、例に挙げた「40~41℃の湯船に10分間」のような、よくある入浴方法であれば、基本的に心配はいらないとされています [*2]。

ですが、岩盤浴では15~25分の入浴と5分程度の休憩を3~4回繰り返すのが一般的です。これは一般的な入浴よりだいぶ時間が長く、おなかの赤ちゃんの体温に影響を与える可能性も考えられます。

のぼせ、立ちくらみを起こしやすい

入浴中やお風呂から上がるときにフラッとしたことはありませんか? それは湯につかることで血管が広がり、血圧が急激に下がったことで脳に血が行かなくなって起こる現象で「のぼせる」とも表現します。岩盤浴でも同様のことが起こる可能性があり、要注意です。

また、もともと妊婦さんは起立性低血圧による立ちくらみも起こりやすい状態です。そのため、岩盤浴で横たわった状態から起き上がる際、ふらついたり、倒れたりするリスクが増すことにも注意が必要です。

妊娠中のめまいや立ちくらみについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
▶︎妊娠中にめまいがおこる原因は?貧血だけではない?対処法は?

滑りやすい床で転倒の恐れがある

高温多湿な岩盤浴室の中は、床の水滴などで滑りやすくなっているほか、薄暗いことも多く、転倒のリスクが増すことも。おなかが大きくなって体の重心が変化しているので、妊娠中はただでさえ転倒しやすくなりがちです。滑って転ばないよう、気を付けましょう。

脱水状態になりやすい

岩盤浴での発汗により、からだが脱水状態に近づくことで、さまざまな影響が現れるリスクが高まります。

たとえば脱水によって、血液の固まりやすさが助長されることがあります。妊娠中は普段より少々血液が固まりやすくなっているのですが、この傾向があるために妊婦さんは血管の中で血液が固まってしまい、脳梗塞などの重大な病気が引き起こされる可能性があります。脱水状態に近づくと、このリスクが高まることが考えられます。

また汗をかいて脱水傾向になると尿量が減ります。尿の量が減ると本来、尿と一緒に流されるはずの細菌が膀胱や尿道に残り、尿路感染症などを引き起こすことがあります。

岩盤浴で必ずしも脱水になるわけではありませんが、注意が必要な状態ということは覚えておきましょう。

サウナや温泉ならOK?

岩盤浴と同じぐらいファンが多いサウナや温泉ですが、これらに関しては妊婦さんが利用するのはOKなのでしょうか。

妊婦の利用は控えるべきという医師も

じつはこれも、医師の中で意見が分かれるところ。岩盤浴と同様、温まり過ぎによる赤ちゃんへの悪影響の可能性があるため「利用は控えるべきだ」という意見もあれば、赤ちゃんに影響が出るほど深部体温が上がらないため「妊婦さんが利用しても問題ない」という主張もあります。

ここではどちらが正しいかは別にして、今わかっている、サウナや温泉が妊婦さんへ与えるとされる影響について紹介します。

急激な体温の上昇は避けたほうがいい

サウナや温泉――とくに室温や湯温の熱いところでは入浴中、急激に体温が上昇する可能性があることは否定できません。体温の上昇は、先ほども説明したように血圧の低下をもたらします。妊娠中は、非妊娠時にはなんら問題がないようなことから影響を受けることも少なくありません。急激な変化はなるべく避けたほうがよいでしょう。

サウナの中でも比較的温度の低いフィンランド式サウナやミストサウナ、湯温が低めの温泉では、赤ちゃんに悪影響を与えるような急激な体温上昇にならない可能性もありますが、判断が難しいところです。

特に妊娠初期の利用は慎重に

深部体温の大幅な上昇は妊娠中の、妊娠初期に特に有害である可能性があります。

初めのうちはお腹の大きさなど見た目の変化がほとんどありませんが、体の中では妊娠を維持するための変化が生じています。つわりなどもあり、思いがけずめまいやふらつきが生じたり、体調不良に陥ったりすることも考えられるため、利用する際は慎重に体調の変化などを注意しておきましょう。

かかりつけの医師に相談を

自分だけでは判断が難しい場合、かかりつけの産婦人科医に相談するのもよいでしょう。
医師は妊婦さん各々の状態もふまえてアドバイスをします。「サウナや温泉が好きなので行きたいのだけれど、どうしたらいいでしょうか?」など健診の際に聞いてみるのはいかがでしょうか。

妊娠中、入浴施設を利用する際に気をつけること

最後に、妊娠中に入浴施設を利用する際、とくに気を付けておいたほうがよいとされる点を紹介します。

熱すぎない湯に短時間のみ

お湯の温度によっては、血圧や体温などに影響を与えるケースもあります。妊婦さんが湯船につかる場合は、40~41℃の熱すぎない温度のお湯に10分程度の短時間、1日2回を限度に入浴するのが良いとされています[*1]。

湯船の温度が42℃以上の熱いお湯、または30℃以下のぬるすぎるお湯では、交感神経が刺激され血圧が上昇するため、避けたほうが無難です。

のぼせにくい冬の露天風呂や雪見風呂ならよいだろうと思うかもしれませんが、それらの外気温とお湯の温度の差が大きく、体感温度が急変しやすい傾向があります。したがって妊娠中の利用は避けたほうがよいでしょう。

水分補給を忘れずに

入浴の際はぜひ、水分補給を心掛けてください。温泉など、自宅以外の入浴施設では、非日常感などから水分補給を忘れてしまうこともあるので、とくに注意しましょう。

転倒防止に細心の注意を払う

温泉施設は自宅の風呂よりも広く、慣れていないこともあり、足元をとられて転んでしまうリスクが増すことも考えられます。温泉施設に行ったときはできるだけ、マットが敷いてあるような滑りにくいスペースを歩くようにしましょう。

また、入浴直後はすぐに立ち歩かず、しばらくは椅子に座って落ち着いてから動くなど、転倒を防ぐため細心の注意を払っておきましょう。

異常を感じたらすぐに中止する

そのほか、普段は感じない体調の違和感などをおぼえた場合は、すぐに入浴を取りやめましょう。

まとめ

岩盤浴やサウナ、温泉を妊娠中に利用するのは、妊婦さんの体の変化を考慮するとなるべく避けたほうがよいでしょう。
そして入浴施設などを利用する場合も、温度が熱すぎるものには入らない、短時間の利用にとどめる、こまめな水分補給をするなど、いくつかのポイントに気を付けておきましょう。

(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]東京医学社「周産期医学」増刊「周産期相談300 お母さんへの回答マニュアル」,1998,p.184
[*2]南山堂「治療」増刊「こんなとき先生ならどう対応しますか―プライマリケア診療で困ったときに―」,2002,p.327

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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