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2021年06月16日 08:45 更新

【医師監修】新生児月経とは?なぜ起こる?いつまで続く?なかったときも大丈夫?

生まれて間もない女の赤ちゃんは、性器から出血する「新生児月経」を起こすことがあります。ここでは新生児月経とはどんなものなのか、その原因や対処法、ほかの病気の可能性などについて説明します。

おむつに血?新生児月経とは

おむつ

赤ちゃんのおむつに血がついていても、病気や怪我とは限りません。性器から出血する新生児月経(しんせいじげっけい)とは何か、知っておきましょう。

新生児月経とは

正期産(妊娠37~41週のお産)で生まれた女の赤ちゃんは、生後3~7日目ごろに性器からの出血が見られたり、赤やピンク色、茶色のおりものが出ることがあります。これは病気ではなく、「新生児月経」といいます[*1]。

12歳ごろに始まるはずの月経がなぜ新生児(生まれて28日目未満の赤ちゃん)に起こるのか、とても不思議ですね。これにはママのホルモンが関係しているのです。

新生児月経が起きる原因

お腹の中にいるとき、ママの持つ女性ホルモンが胎盤を通して赤ちゃんにも伝わります。そのため、胎児の女の子の子宮内膜は厚くなっています。

お腹から出た後はママから女性ホルモンを受け取らなくなるため、体内の女性ホルモンが減ります。そのため子宮内膜が剥がれ落ち、わずかな出血や、赤・ピンク色・茶色のおりものとなって出ることになるのです。

なお、新生児月経は通常の月経と似た仕組みで起こりますが、お腹が痛くなったり貧血になることはありません。

新生児月経はいつまで続くのか

新生児月経は、通常は生後3~5日ごろに始まり、1週間くらいで見られなくなります。

なお、1週間を過ぎても出血し続けている場合は新生児出血ではない可能性があるので、注意が必要です。 これについてはこの後の「うんちに血が混ざる場合は病気の可能性」で詳しく解説します。

新生児月経がなかった…必ず起こるわけでない?

新生児月経は女の新生児に起こることですが、すべての赤ちゃんに起こるものではありません。そのため、新生児出血が見られなくても心配はありません。

新生児月経が起きたときの対処法

オムツ交換

赤ちゃんの出血が新生児月経によるものであれば心配ありませんが、新生児月経と勘違いするような出血を伴う病気もあります。まずは以下のようなことをチェックしてみましょう。

まずは慌てず状況を確認する

新生児月経の場合は腟(尿道口と肛門の間)から出血します。そのため、出血や色のついた粘液が見られたら、まずはどこから出血しているのかを確認しましょう。

性器ではなく、肛門や尿道口などからの出血ではないか、また赤ちゃんの様子(母乳やミルクの飲みっぷりはどうか、機嫌は悪くないかなど)も観察しましょう。

出血量・期間を観察することも大切

次のような症状が見られたら、かかりつけの小児科や医療機関に相談をしましょう。

●出血量が多い
●出血量が増えてきた
●出血や色つきのおりものが1週間以上続く
●肛門から出血している
●血尿がある
●外陰部に傷がある

診察のときには血がついたおむつも持参するのがおすすめです。その際は必ずビニール袋に入れましょう。

うんちに血が混ざる場合は病気の可能性

生まれて間もない赤ちゃんのおむつに血がついていたら、すべて新生児出血かというと、そうではありません。新生児月経による血と通常のうんちがおむつの中で混ざることもありますが、最初からうんちに血が混じっていた場合は新生児月経ではなく、病気によって起こっている可能性があります。

うんちに血が混ざる病気って?

血が混じったうんちが出る病気には、さまざまなものがあります。起こる頻度はそれほど多くありませんが、かかった場合には緊急性の高いもの(腸重積(ちょうじゅうせき)、腸回転異常などの腸の病気、ビタミンKが不足して起こる新生児メレナ(真性メレナ)など)もあります。

また、消化管の出血、血液が止まりにくくなる病気の影響、細菌・ウイルス感染などが考えられます。

出血以外の症状をともなう場合は速やかに受診を

赤ちゃんと聴診器

原因の病気によっては長く様子を見ていると悪化することもあるので、性器以外からの出血だと気づいたり、うんちに血が混じっていると気づいたら、早めに医療機関に相談しましょう。その際、血便の状態で緊急性の目安をはかることができます。

夜間や休日でも急いで受診が必要となる目安

●おむつ全体に血便、または黒いうんちが広がっている
●いちごジャムのようなねばりのある血便が出ている
●赤ちゃんの機嫌が悪い、またはぐったりしている
●何度も嘔吐を繰り返す

診療時間内の受診で大丈夫

●うんちに少量の血が混ざっているが、赤ちゃんの機嫌はよく、母乳やミルクもしっかり飲んでいる

なお、受診のときには、密閉した袋に血の混じったうんちをおむつごと入れて持参したり、うんちの写真を撮っておいて医師に見せるのがおすすめです。

赤ちゃんの血便に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
【医師監修】赤ちゃんの血便 | 考えられる病気と対応は?

ホルモンによる現象には「魔乳」もある

赤ちゃん 上半身

胎内にいた頃、ママから受け取ったホルモンによって起こるのは新生児月経だけではありません。「魔乳」についても知っておきましょう。

魔乳とは

魔乳とは、新生児の乳首から一時的に少量のお乳が出ることです。

これは新生児月経と同じように、胎児の頃にママから受け取った女性ホルモンの影響で起こります。魔乳がなくても乳房が一時的にふくらむこともあります。ただし魔乳や乳房のふくらみは、新生児月経と違い、男の子に見られることもあります。

魔乳にはどう対処する?

時間が経ってママから受け取った女性ホルモンが薄れてくれば、乳房のふくらみや魔乳は見られなくなります。治療をしなくても自然に止まりますので、まずは様子を見ましょう。

まとめ

生後3~7日ごろの新生児の女の子には、性器から少量の出血が起こることがあります。これは「新生児月経」といい、胎内にいる頃に受け取ったママのホルモンの影響で起こります。一部の赤ちゃんに起こるだけで、病気ではなく生後7日ごろにはなくなります。様子を見ておきましょう。

もっとも、同じ出血でもうんちに血が混じっていたり、おう吐、異常な泣き方をする、うんちの状態がおかしいなど、いつもと違う症状が見られる場合は、新生児月経ではなく病気の可能性が高いです。急いで小児科や救急医療で診てもらってください。

(文:大崎典子/監修:梁尚弘 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]『病気がみえるvol.10 第4版』メディックメディア
[*2]『NEWエッセンシャル 産科学・婦人科学 第3版』医歯薬出版

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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