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2023年01月31日 15:20 更新

【医師監修】妊娠初期症状がないけど「検査薬で陽性」はどうして?胎児への影響は?つわり以外の症状8例

「妊娠5週目なのに初期症状がなくて不安」「検査薬で陽性が出たのに普段と変わらないのはどうして?」など、妊娠初期の症状が出ずに不安に思う人は多いようです。ところが実際には妊娠初期症状はさまざまで、中には全くつわりを経験しない人も。今回は、妊娠初期症状とは、また感じないケースもあるのか、などについてまとめました。

妊娠したはずなのに初期症状がない。これって大丈夫?

妊娠初期症状のないことが疑問の女性
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妊娠したらつわりで吐いてしまう……。ドラマなどでよく見かけるこの光景ですが、果たして妊娠して何も体調に変化がないことはあるのでしょうか?

2〜5割の妊婦さんはつわりがない

妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する「つわり」。そのため妊娠の典型的な初期症状として広く知られていますが、全ての人が経験することでもないようです。

つわりと言えば「気持ち悪くてムカムカする」、「吐いてしまう」、「食欲がない……」というイメージを持つ人が多いと思います。医学的につわりを説明すると「妊娠初期にみられる悪心(おしん。むかむかすること)・嘔吐(おうと)を中心とした消化器症状」[*1]のこと。症状は妊娠5~6週から現れることが多いのですが、多くは一過性で、妊娠12~16週ごろにかけて消えていきます。

つわりは50~80%の妊婦が経験し、初産婦に多いと言われています[*2]。気分や食べ物の好みの変化、唾液が増える、といったこともつわりの一種で起こるものと考えられています。

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妊娠初期の症状について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎つわりの症状、どんなふうに始まった? 7人のママのつわり体験談
関連記事 ▶︎つわりの時期はいつから? つらいピーク時期の対処法
関連記事 ▶︎着床はいつ?症状はあるの?完了サインの確認方法

これも妊娠初期症状!? 表れやすい8つの症状

妊娠初期症状がないまま、お腹が大きくなった女性
Lazy dummy

つわり以外でも、妊娠初期に体の変化を感じることがあります。どのような症状を感じやすいのか見ていきましょう。

1. 体温が高い、熱っぽい

高温期が続く妊娠初期。風邪のような症状(頭痛・関節痛)や、体が熱っぽく感じられることもよく見られます。

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妊娠初期の体温について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠初期の体温はどうなる? 基礎体温の変化と心配な発熱

2. 眠くてだるい

妊娠初期は、眠気やだるさが強まる人も多い傾向にあります。中には、空腹時に強く感じるつわりが原因で夜中に気持ち悪さを感じ、寝不足になる人もいるようです。

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妊娠初期の眠気について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎生理前に眠いのは妊娠初期? 妊娠超初期の症状・兆候とは

3. トイレが近い

妊娠するとだんだん子宮が大きくなることで膀胱が圧迫され、頻尿になることもあります。

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妊娠初期の頻尿について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎頻尿は妊娠初期症状?妊娠超初期かもと思ったら確認すべきこと

4. 下腹部が痛い

妊娠初期には子宮へ流れる血液の量が増えて筋肉が伸び、子宮を支えるじん帯や広間膜(子宮の後ろ側にある膜) が引っ張られやすくなります。このときに生理痛のような張りや痛みを感じることも。多くは生理的な痛みですが、眠れないくらいひどい腹痛があったり、100mlを越えるような多量の出血を伴ったりするときは医療機関を受診しましょう。

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妊娠初期の下腹部痛について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠超初期は下腹部痛が起こる? 妊娠初期の症状と腹痛の原因

5. 便秘になりやすい

妊娠してから便秘になりやすくなる人もいます。「プロゲステロン」と呼ばれるホルモンが増加し胃腸の動きが悪くなる影響、大きくなった子宮による圧迫などから、食べ物が胃腸に留まる時間が長くなることが要因と考えられています。

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妊娠初期の便秘について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠初期の便秘に試したい! 4つの対策

6. 全身がかゆい

妊娠して基礎代謝が上がることで汗をかきやすくなったり、ホルモンバランスの影響で皮膚が敏感になったりする人もいます。

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妊娠初期のかゆみについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠超初期かもという時期、肌にかゆみが……妊娠との関係とかゆみで辛いときの対処法

7. 胸の張りや痛み、かゆみなど

ホルモンの影響で乳腺が発達し始め、乳房に張りや痛みを感じる人もいます。中には乳首と下着がこすれるだけでも痛いほど、敏感になることもあるようです。また乳輪や乳首、胸全体が大きくなったり、胸や乳首にかゆみを覚えたりすることも。

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妊娠初期の胸の張りについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎胸の張りは妊娠超初期だから? 生理前症状と見分ける方法

8. おりものの変化

ホルモンの影響で、妊娠中はおりものの量が増える傾向にあります。

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妊娠初期のおりものについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠超初期はおりものも変わる?
関連記事 ▶︎妊娠超初期におりものが少ないこともあるの?量や色の変化

妊娠初期症状が現れる原因

妊娠初期症状ではないが、体調が悪い女性
Lazy dummy

ここまで見てきたように、妊娠初期に見られる体の変化はさまざまです。しかしつわりなどの妊娠初期症状がなぜ起きるのか、はっきりとした理由はまだよく分かっていません。

妊娠の維持に必要なホルモン「ヒト絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン(hCG)」の分泌量は、妊娠8~10週ごろにピークを迎えるとされており、このホルモンの増加がつわり症状に関係しているのではないかと言われています。ほかにもこのころ低下する甲状腺刺激ホルモンの影響や、妊娠したことによる体や環境の変化・ストレスに妊婦さんがまだうまく適応できないことが影響していると考えられています。

初期症状がなくても陽性ならば受診を

妊娠検査薬で陽性が出たら、妊娠5週ごろ(生理予定日から数えて1週間後あたり)、遅くとも妊娠6週のはじめには産婦人科を受診しましょう。「どうせ妊娠検査薬で妊娠がわかってるんだし、急ぐ必要はない」と思ってしまうかもしれませんが、妊娠検査薬で陽性でも異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性もあります。その場合は放置すると命の危険もあるので、妊娠5週〜6週を目安に受診しましょうね。

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妊娠の初診について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠したかもしれない!初診のタイミングはいつ?

妊娠初期症状、なくても赤ちゃんは大丈夫?

妊娠初期は流産しやすい不安定な時期で、つわりなどの初期症状があまり感じられないと赤ちゃんは元気なのか、心配になる人もいるかもしれません。しかし、妊娠の初期症状がどのように現れるのかは人によって違います。赤ちゃんの元気さとつわりの強さには関連はありません

個人差が大きい妊娠初期の症状

つわりによる吐き気や胸のムカムカなど、分かりやすい形で妊娠初期の症状が現れることもあれば、特に目立った症状に気づかず妊娠初期を過ごす人もいます。症状の種類はいろいろあり、程度にも個人差があるので、何も目立った症状がないからと言って不安になることはありません。

気にしすぎ、心配しすぎる必要はない

妊娠初期によく見られる症状が出なくても、健診の結果で問題がなければ心配は無用です。逆に、初期症状がないことを気にしたり、心配しすぎないようにしましょう。

まとめ

妊娠初期症状がないまま、妊娠が進むことも。晴れやかな気分の女性。
Lazy dummy

待望の妊娠が分かったあとでも、妊娠初期はおなかのふくらみも目立たず、赤ちゃんの胎動も感じられないため、赤ちゃんが元気でいるのか、心配になる人も多いのでは。つわりをはじめ、妊娠初期によく見られる症状がないと余計に不安になると思いますが、これらは個人差が大きいもの。つわりがなかった、という人も実際にいるので、症状がないからと言って心配する必要はありません。出血や腹痛など気になる症状がある場合は、医療機関を受診して相談しましょう。

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妊娠初期に知っておきたいことについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎葉酸はいつからいつまで摂取すべき? 妊婦は手遅れ?
関連記事 ▶︎出産予定日を計算|妊娠週数・期間と初期・中期・後期の様子

(文:剣崎友里恵/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会編: 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版, p263, 2018
[*2]医療情報科学研究所/編・2014年・『病気がみえるvol.10 産科 第3版』・メディックメディア・P82
[*3]日本産科婦人科学会監修 お医者さんがつくった妊娠・出産の本Baby+

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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