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2023年09月26日 15:57 更新

【医師監修】妊娠4週まとめ|どんな時期? 初期症状と赤ちゃんの状態、起こりうるリスク

妊娠4週は、妊娠していなければ次の生理開始予定日ごろ。そろそろお⺟さんが「妊娠したのかな︖」と気づき始める時期です。ここでは妊娠4週の症状、お腹の中の⾚ちゃんの状態、この時期に気をつけたいことなどをご紹介していきます。

妊娠4週は妊娠に気づき始める時期

妊娠4週で妊娠したかもと考える女性
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妊娠週数は、妊娠前の最後の⽣理が始まった⽇を「妊娠0週0⽇」と数えます。つまり妊娠4週というのは、前回の⽣理が始まった⽇から28日後、次の⽣理が始まる予定の日からの週にあたります。このため、⽣理周期が28日で一定の⼈なら⽣理が遅れていることから「もしかして妊娠したのかな︖」と気づき始める時期です。
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早い人ではつわりのような症状が出てくる場合も

妊娠4週になると、早い⼈では妊娠を知らせるさまざまなサイン(妊娠初期症状)が体に現れ始めます。つわりは、妊娠5〜6週から現れることの多い症状ですが、早い人では4週から吐き気を感じたりおう吐したりすることもあります。
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そのほか、熱っぽさ、だるさ、眠気を感じたり、胸が張る、乳首が痛いなどの胸の症状を感じたりすることも。こうした、病気ではないけれども妊娠に伴い感じる不快な症状は、マイナートラブルと呼ばれています。
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ただし、何ともない人も多いので、変わった症状がないから妊娠ではない、とは言えません。
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妊娠4週の赤ちゃんの状態

妊娠4週はまだ目立った変化がないことを示すイメージ
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妊娠8週未満の⾚ちゃんは「胎芽(たいが)」と呼ばれます。受精卵が着床した後の胎芽の時期は、赤ちゃんの主要な臓器が作られる器官形成期にあたります。

赤ちゃんを包む胎嚢が見え始める

妊娠は、受精卵が子宮に正常に着床することで始まります。しかし、子宮の中の正しい場所に妊娠したかどうかは、医療機関で超音波検査を受けないと確認できません。

妊娠4週後半くらいから、経腟超音波検査で「胎嚢(たいのう)」が確認できるようになります[*1]。超音波検査では白い輪に囲まれたちいさなリング状のものとして見えるのが胎嚢ですが、それが子宮の中に確認できたら、子宮内での妊娠が確定します。通常の妊娠の場合、妊娠4週で約80%、妊娠5週でほぼ100%の確率で、子宮内の胎嚢を確認することができます[*1]。
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また、5週後半くらいからは、赤ちゃんの心拍と、卵黄嚢(らんおうのう:赤ちゃんのための栄養が入っている袋)を確認することができることが多いです。
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赤ちゃんはまだ「胎芽」の状態

妊娠4週ごろは「胎児」になる前段階の「胎芽」の状態です。この時期は器官形成期の始まりにあたり、受精卵から段階が進んだ胚の中には「外胚葉」「中胚葉」「内胚葉」という3層の細胞の集団ができてきます。

外胚葉からは、体を保護し外界の情報を感じ取る皮膚や神経系(脳、脊髄、末梢神経系)が、内胚葉からは消化管(胃、肝臓、膵臓、小腸、大腸など)や肺、膀胱が、また中胚葉からは骨格、筋肉、血管、心臓、腎臓、尿路などのさまざまな構造が生じます。これらが妊娠8週で「胎児」になるまでに、次々と作られ始めます。
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\厳選/妊娠4週によくある疑問|おすすめ記事5本

Q1. 妊婦健診はいつから始まる?
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Q2. 妊娠したらなにをすればいい?
関連記事 ▶︎妊娠がわかったらすること

Q3. マタニティマークはいつから付けよう?
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Q4. 妊娠報告はいつする?
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Q5. 妊娠したけどなんの症状もないのは大丈夫?
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妊娠4週での妊娠判定

妊娠4週で妊娠検査薬を使うイメージ
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妊娠4週で「妊娠したかも?」と感じたら、まずは市販されている妊娠検査薬を使ってみましょう。妊娠検査薬が陽性にならなかったら、1週間ほど時間をおいて、もう一回検査してみましょう。
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医療機関で行う妊娠反応検査は、市販のものと基本的に同じで、特殊な妊娠反応検査があるわけではありません。そのため、まずは市販されている妊娠検査薬を使ってみて陽性反応が出てから産婦人科を受診するのがおすすめです。

妊娠検査薬は最速で妊娠4週から使用可能

医療機関に行く前の、妊娠の可能性を知る方法が妊娠検査薬の使用です。早期妊娠検査薬であれば、生理(月経)開始予定日から使用可能です。
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妊娠検査薬は、妊娠すると分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが尿中に出ているかどうかを調べます。hCGは、受精卵が着床するとできる胎盤絨毛細胞から分泌されるホルモンです。このホルモンは通常、妊娠していないときや男性では産生されないものなので、妊娠検査薬が反応して「陽性」を示した場合、妊娠したということになります。
関連記事 ▶︎妊娠検査薬の正しい使い方

しかし、妊娠検査薬だけでは、子宮の中に妊娠したかどうかはわかりません。そのため、妊娠検査薬で陽性になったら、必ず産婦人科を受診してください。超音波検査を含めた最初の診断は、産科のない婦人科でも受けることができます。
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妊娠4週頃に意識したいこと・注意したいこと

妊娠4週で妊娠に影響が出そうなサプリには注意する女性
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妊娠4週は、受精卵が子宮に着床することで妊娠が確定し、赤ちゃんの体の器官が作られ始める大切な時期。赤ちゃんが健康に育つためにお母さんができることや、気をつけたいことなどを見ていきましょう。

薬など、赤ちゃんに影響する可能性のあるものに注意する

妊娠4週に入ると、赤ちゃんの重要な器官が作られる時期が始まります。そのため、生活や行動には少し注意が必要です。

薬について
妊娠前から常用していた薬であっても、自己判断はせずに、必ず医師や薬剤師に相談してください。この時期の赤ちゃんに奇形を引き起こすことが報告されている薬には、血液を固まりにくくする薬(ワルファリン)、白血病などのがんや関節リウマチの薬(メトトレキサート)、てんかんの薬(フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸)などがあります[*2]。
病院が遠方でかかりつけ医にすぐに相談できないときなどで、薬の影響が気になる人は、「妊娠と薬情報センター」に相談することもできます。
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X線の被ばくについて
X線(レントゲン)検査やCT(コンピューター断層撮影)検査、マンモグラフィなどは、放射線の被ばくが心配になりますね。
ただ、これまでの調査で、胎児に影響が出る線量(しきい線量)は100mGy以上[*3]と確認されています。受精後10日(妊娠3週末ごろ)までに被ばくしても奇形となることはないとされています[*4]。また、受精後11日(妊娠4週ごろ)~10週までの間は、50mGy未満の被ばくは奇形の確率を上昇させないとされています[*4]。腹部レントゲン撮影で、1回あたり1~2mGyなので、通常の検査でこの量を超えて被ばくすることはまずありませんが、医療機関を受診するときは、妊娠の可能性があることを必ず医師に伝えてください。

アルコール、飲酒について
妊娠がわかったらアルコールは飲まないようにしましょう。
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タバコ、喫煙について
妊婦が喫煙することによって、赤ちゃんに直接的に害をもたらすことがわかっています。喫煙は不妊率を増加させ、異所性妊娠(子宮外妊娠)発生率を2倍に高めるほか、流産率も増加させます。ヘビースモーカーは非喫煙者の2倍の流産率になるとも言われています[*5]。赤ちゃんのためにもお母さんのためにも、妊娠はよい機会ですので、ぜひ禁煙しましょう。また、一緒に暮らすパートナーや家族の喫煙による受動喫煙でも母子ともに影響を受けることが明らかになっています。その人たちも禁煙しましょう。
最近は「電子タバコ」や「加熱式タバコ」を愛好する人も多いですが、これらもニコチンなどの体に影響する物質を含まないわけではありません[*6]。有害物質を含む以上、吸う本人はもちろん受動喫煙でも影響がないとはいえず、胎児に対する影響についても、まだ研究されていないのでわからないというのが現状です。今までのタバコと同様の悪影響があると考えて、妊婦さん本人や家族は電子タバコも使わないようにしたほうがいいでしょう。
なお、禁煙のための補助剤であるニコチンパッチは、体内にニコチンが入ってしまい危険なので、妊婦や授乳中のママは使用できません。タバコを吸えば、ニコチンパッチ以上のニコチンが入ってしまうので、おかしな話なのですが、毒性があるので使えないのです。

カフェインについて
カフェインに対する感受性は個人差が大きいので、一日摂取許容量はどの国でも設定されていません。しかし、無制限に飲んでよいとは言えません。
たとえばコーヒーなら1日カップ1~2杯程度を摂取する分には問題がないだろうと考えられています。
なお、エナジードリンクなどは、1本でコーヒー2杯分など、カフェインを高濃度に含むものが多くあります。摂取する場合は総量に気をつけて、摂取量が控えめになるように心がけてください[*7]。
関連記事 ▶︎妊婦のカフェイン摂りすぎのリスク
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風疹などの感染症予防について
妊娠中に感染すると胎児に影響する感染症はいくつかあります。
日本で現在大人に流行している風疹は、とくに妊娠初期に注意したい感染症です。お母さんが妊娠1ヶ月で風疹にかかった場合は50%以上、妊娠2ヶ月の場合は35%の確率で、赤ちゃんが「先天性風疹症候群」にかかる可能性があるといわれています[*8]。
妊娠中は風疹を防ぐワクチン接種ができないので(妊娠を希望している人は、妊娠前に接種しておくことが大切)、同居する家族で風疹にかかったことのない人、かかったかどうかわからない人がいる場合は、ワクチン接種をしてもらうことも必要です。風疹ワクチンは一生で2回必要です。40歳以上の日本人男性は、一回もワクチンを受けていない人がほとんど※なので、とてもリスクが高いです。必ず2回のワクチンを打ってもらうようにしましょう。
妊娠初期には妊娠健診で風疹の抗体価を調べますが、それが低いまたはない妊婦さんは、流行地域での不要な外出を控える、うがい・手洗いなどの感染予防をしっかり行うといった対策が必要になります。その場合はぜひ主治医とよく相談して、ベストな対策を心がけてください。
また、出産が終わったら、授乳している間に風疹のワクチンを打って、次回の妊娠に備えましょう。これは、今から妊娠する人に風疹をうつさないためにも大事なことです。
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※参考:政府広報オンライン「昭和37年度~53年度生まれの男性の皆さんへ 風しんの予防接種にご協力ください!」

厚生労働省では、風しんの公的予防接種を受ける機会がなかった、1962(昭和37)年4月2日~1979(昭和54)年4月1日生まれの男性を対象として、風しんの抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券を配布する事業を、平成31年(2019年)4月1日から2022(令和4年)年3月31日までの3年間、実施します。

出典: https://www.gov-online.go.jp

多量の出血があったらすぐに受診

妊娠中はどの時期でも出血はしやすくなりますが、妊娠初期に受精卵の着床によっても出血することがあります。このような妊娠3~4週のころに起きる出血は「着床出血」と呼ばれています。着床出血は、生理生理開始予定日の1週間前(妊娠3週)から生理予定日(妊娠4週)の間に起こる場合が多く、生理がきたと間違える人もいます。着床出血による出血の場合、量はごくわずかで、7日以内にはおさまります。着床出血が初期の流産につながることはありません。
関連記事 ▶︎着床出血の症状 | 量や色、痛み
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ただし、200ml(コップ1杯)以上の出血量がある場合や、腹痛が眠れないほどひどい場合には、「異所性妊娠(子宮外妊娠)」などの危険な状態である可能性があります。こうした場合には、夜間、時間外であっても、すぐに医療機関を受診することが大切です。

葉酸を積極的に摂取しよう

本文 妊娠中はどの栄養も過不足なく摂ってほしいのですが、特に妊娠初期の妊婦さんに積極的に摂ってほしいのが「葉酸」です。

赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」を予防するため、1日0.4mg以上1mg未満を妊娠の1ヶ月以上前から妊娠12週頃まで、食事からの摂取に加えて、サプリメントなどの栄養機能食品、栄養補助食品などで補うことが推奨されています(食事からだけでは不足しがちなため)[*10]。ただ、サプリメントで摂る場合、葉酸以外に複数の栄養素が一緒になっている製品で0.4mgの葉酸を摂ろうとすると、ビタミンAなどを摂りすぎる場合があることに注意しましょう。
関連記事 ▶︎妊娠初期までに葉酸が必要な理由
関連記事 ▶︎妊婦はビタミンAの過剰摂取に注意

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まとめ

妊娠4週は、お母さんにとっては妊娠がわかり始める時期であり、赤ちゃんにとっては重要な器官が作られ始める大切な時期です。お母さんによっては、マイナートラブルを感じ始める人もいれば、まったく感じない人もいますが、お腹の中ではものすごい変化が起こっています。薬や食品、嗜好品には、神経質にならない程度に気をつけつつ、心穏やかに過ごすことを心がけてください。

(文:石井悦子/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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