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2021年01月09日 14:41 更新

【医師監修】子供の風疹、その症状と原因・治療法などについて

子供が風疹(ふうしん)を発症したら、どのような症状がみられるのでしょうか。また、合併症などもあるものなのでしょうか。今回、1度は確認しておきたい「風疹」の症状や治療法などについて紹介していきます。

大きな流行はない? 子供の風疹

風疹にかかったようで鼻をかむ子供
Lazy dummy

※画像はイメージです

風疹は、1990年代前半までは5~6年前後ごとに大規模な流行がみられていました。 しかし1995年4月より、1歳~7歳半までの幼児にも定期接種がスタートしたことにより、全国的な流行はほぼみられなくなりました。 ただし、局地的な流行はみられ、予防接種を受けていないと発症する可能性がある ため、気をつけなければならない感染症です。

子供の風疹の症状

風疹は、麻疹(はしか)にも似ており 、あまり知識のない方が見るとじんましん(蕁麻疹)と区別がつかないこともあります。まず初めに、風疹独特の症状を知っておきましょう。それから、どれぐらいで治るのか、学校は欠席扱いになるのか、なども確認しておきましょう。

どのような症状?

風疹の症状は風邪に似ている部分もありますが、風疹ならではのわかりやすい特徴もあります。以下に風疹の症状をご紹介致します。

・発熱が約50%の方に起こります
・後頭部や耳の後ろにリンパ節の腫れがみられます
・小さく淡紅色の発疹が、発熱と同時に全身へ広がります。
・成人ではとくに倦怠感、関節痛などが見られるケースがあります。

なお、「発熱」「発疹」という2つの特徴によって、風疹を、麻疹(はしか)やじんましん(蕁麻疹)と混同してしまう方もいらっしゃるようです。

風疹は「三日はしか」とも呼ばれることもあり、紛らわしいのですが、風疹と麻疹(本物のはしか)は別の病気です。風疹の感染経路が飛沫感染と接触感染が主である(後述)のに対し、麻疹の感染経路は、 空気感染・飛沫感染・接触感染で、その感染力はさらに強いものとなっています。 また、麻疹は合併症として肺炎を起こす場合が多く、より注意を要する病気です。

じんましんは、風疹とは異なりかゆみを伴い、発生した皮疹 (ひしん:皮膚の変化)は、数十分~数時間以内に消えることが多いです。

いずれにしても、風疹、はしかとみられる症状があらわれたら、子供を速やかに医療機関 へ連れて行きましょう。

合併症はあるの?

約3,000人に1人の割合で血小板減少性紫斑病(※)を、約6,000人に1人の割合で急性脳炎を合併する可能性があります。合併症の割合については数千人に1人程度と低いものですが、そのような可能性があることを覚えておくとよいでしょう。

(※)原因となる別の病気がないのに、血小板の数が減り紫斑ができる病気

どれくらいで治るの?

発熱や発疹は、3~5日程度で治ります。 そのため「三日はしか」とも呼ばれています。リンパ節の腫れが完全に引くのはもう少し先ですが、多少の不快感以外、問題はありません。

なお、風疹は「学校保健安全法」によって、出席停止措置の対象になります。 出席停止になると欠席扱いにはなりません。しっかりと治癒して、他の子にうつす可能性がなくなるまでは自宅でお休みとなります。出席停止の期間は解熱して発疹が消えるまでです。登校登園にはかかりつけの医師の許可が必要です。医療機関のみならず、学校側(学校医や担任の教師)とご相談ください。

子供の風疹の原因

風疹は「風疹ウイルス」によって引き起こされます。2つの感染経路が原因でうつると考えられ、さらに感染力の強さも大きな特徴です。

感染経路は?

風疹には2つの感染経路が考えられます。

1つ目は「飛沫感染」です。飛沫感染とは、くしゃみや咳から感染することで、具体的には、くしゃみや咳に含まれる細かい水滴(飛沫)を吸い込むことで感染します。風疹にかかっていて、なおかつくしゃみや咳をしている人が1~2メートル以内にいる場合は、飛沫感染のリスクが高まります。ただし、空気感染はしません。

2つめは「接触感染」です。風疹の感染者が触った物を介して、他の人にウイルスが付着してしまいます。具体的には、電話の受話器、窓やドア・冷蔵庫などの取っ手、電化製品のスイッチ類、筆記用具、ウイルス感染者が触れた食べ物など、身の回りのあらゆるものが接触感染の原因となり得るのです。

「不顕性感染」に気をつけよう

不顕性感染(ふけんせいかんせん)とは、風疹のようなウイルスに感染しても、症状が現れないことをいいます。感染した本人は重い症状なども出ていないので特に問題はなく、そもそも感染しているという自覚もないはずです。実は、このような不顕性感染者が、ウイルスを広める感染源となる危険性が高いといえます。実際に風疹の不顕性感染ケースは15~30% と高めです。

知らずに感染源になることを防ぐためには、風疹予防の意識が大切といえるでしょう。風疹は、春先から初夏にかけて流行することが比較的多い ので、この時期にマスクを着用するのも有効といえます。もちろん、季節に関係なく手洗いうがいを徹底することも重要です。後ほどご紹介しますが、風疹予防の最も有効な手段は「予防接種を受けること」です。

子供の風疹のケアや治療法

風疹の治療には、対症療法的なものしかありません。 発熱や発疹が治まる までは、ホームケアが重要となります。どんな点に気をつけて看病・ケアすればよいのかを知っておきましょう。

医療機関での治療

発熱や関節の痛み(関節症)がある場合は、解熱鎮痛剤などで和らげるための対症療法が行われます 。発疹にかゆみがある場合にはかゆみ止めの処方も検討されるでしょう。ただし、風疹ウイルスそのものに対する治療法(根本治療)はありませんので、あくまでも対症療法的な治療が実施されることになります。ただし、先述の通りほとんどの場合は3~5日程度で発疹や発熱が治まります。

お家でのケア

食事については特に気を使う必要はありませんが、熱が出ているときは、消化のよいメニューにしてあげましょう。食欲がない時は、無理に食べさせる事はありませんが、ゼリーやプリンといった喉越しのよいものなら口にできることもあります。それから、発熱で汗をかくことが考えられますから、脱水症状にだけは気をつけて、 意識して水分を与えましょう。

また、発疹は治癒の直前にかゆみが強まります。子供に、痒くてもできるだけかかないようにと指導しましょう。冷水を絞ったタオルを当ててもかゆみがおさまりますが、医師に相談してかゆみ止めをもらうのもよいかもしれません。赤ちゃんの場合にはミトン(手袋)をさせておくのも、皮膚へのダメージを避ける手助けになります。痒みのある部分も清潔にしてください。お風呂については、熱が37℃台まで下がっていれば入浴させてもよいですが、発疹がかゆい場合には血流増加によりかゆみが悪化する場合もありますので、38~39℃くらいのぬるめの入浴 、あるいはぬるめのシャワーで短時間で対応してください。

風疹の予防方法

最後に、風疹の最も確実な予防方法である「予防接種」(ワクチン接種)について確認しておきましょう。ただし、風疹予防に関して心配なのは、子供よりもむしろ大人の方です。

子供の風疹予防

現在は、「MRワクチン=麻疹風疹混合ワクチン」の定期接種が行われています。原則的に「生後12ヶ月から生後24ヶ月に至るまで」と「5歳以上7歳未満」の2回、接種することで、風疹と麻疹の予防が期待できるのです。 風疹ワクチンについては、1回の接種で95%、2回目の接種で99% の子供に免疫が作られると考えられます。 したがって、子供にきちんと予防接種を受けさせておけば、風疹にかかる心配はほぼないと言えるでしょう[※1]。

大人の風疹予防

2012~2013年に風疹が流行したことをご存知でしょうか。感染者の90%は成人で、男性は20~40代に多くみられ、女性は20代に多くみられました。予防接種をしていなかった世代と考えられています。

その理由として、1990年4月2日以降に生まれた人は2回ワクチンを接種する機会がありましたが、それより上の年齢の人は受けても1回のみでした。さらに1979年4月1日以前に生まれた男性は1回もワクチンを接種する機会がありませんでした。そのような、十分に免疫を持たない人たちを中心に風疹は流行したと考えられます。

大人が風疹にかかると重症化しやすく、特に妊婦が感染した場合には、赤ちゃんの先天性心疾患、視覚や聴覚などの身体障害や低体重児出産を誘発すると考えられます。ワクチン未接種・未罹患の場合、男性はもちろん、女性の場合も妊娠中でなければワクチンを接種しましょう。すでに妊娠している場合は、なるべく人混みを避けるようにしてください。そして、同居する家族に風疹にかかる可能性が高い人がいるならば、対応策をかかりつけの医師に相談しましょう。

まとめ

風疹は合併症を引き起こす可能性がある病気です。子供には必ず予防接種を受けさせましょう。家族内感染を防ぐため、ママ・パパも関心を持ち、家族全員で予防する心掛けが必要です。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.30)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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