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【医師監修】マイコプラズマ肺炎に関する5つの質問

【医師監修】マイコプラズマ肺炎に関する5つの質問

「もしかしたら我が子がマイコプラズマ肺炎かもしれない」「マイコプラズマ肺炎になったらどうすればいいの?」…そんな親御さんが知りたい疑問にお答えしました。


この記事の監修ドクター
有明こどもクリニック 小暮 裕之先生
獨協医科大学卒業、総合病院国保旭中央病院主任医員を経て、有明こどもクリニックを開業。
地域の皆さまに信頼されるかかりつけの医療機関として、スタッフ一同、より質の高い医療の提供を目指してまいりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
http://child-clinic.or.jp/concept.html/

マイコプラズマ肺炎の疑問に答えます!

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※画像はイメージです

マイコプラズマ肺炎は、幼い子供の発症が多い病気です。感染をできるだけ防ぐためにも、また、いざという時に焦らず冷静に対処するためにも、感染経路や予防方法、かかってしまった時の対処法など、知識をしっかりつけておきましょう。マイコプラズマ肺炎について、多く聞かれる質問をまとめました。

Q1.マイコプラズマ肺炎ってうつるの?

「マイコプラズマ」とは

マイコプラズマは正式名称を「Mycoplasma pneumoniae(マイコプラズマ・ニューモニエ)」と言います。他の細菌と違って細胞壁(形をキープするための「外壁の膜」)を持たず、形をさまざまに変えられる(多形態性を持つ)ため、細菌感染の際に主に使用されるペニシリンなどの抗菌薬が効かないという特徴を持ちます。マイコプラズマによって引き起こされる主な疾患は、気管支炎と肺炎です。[*1]

「マイコプラズマ」はうつります

マイコプラズマは人から人へうつります。感染ルートは普通の風邪とほぼ同じで、具体的には感染者の咳(せき)やくしゃみのしぶきを吸い込むことによる「飛沫感染」と、感染者の皮膚や粘膜に直接触れたり、ドアノブやスイッチなどを介して間接的に触れることによる「接触感染」に大別できます。

常に身近にいたり、生活を共にしている人、またはそのような空間で感染しやすいです。咳の症状が長期間にわたるため、飛沫感染は特に注意が必要です。

感染しやすい年齢は?

マイコプラズマ肺炎はすべての年齢で発症しますが、特に若年齢層に多く、毎年14歳以下の発症が全体の8割程度を占めています。中でも、特に発症しやすい年齢は6~12歳の小児で、7~8歳での発症が最も多いというデータがあります。[*1][*2][*3]

Q2.普通の風邪との見分け方は?

マイコプラズマ感染症には特徴的な症状がある反面、軽症の場合には目立った症状が出ないケースもあります。見分けるポイントや、病院での診断方法について見ていきましょう。

肺炎になっていなければ、見分けるのは難しい

マイコプラズマ感染症の初期症状には、主に発熱と倦怠感、頭痛が見られます。特徴的な症状である「コンコン」「コホコホ」とした乾いた咳は、発症から3~5日後に出始めることが多いとされます。咳は徐々に強くなる傾向にあり、小児~青年では経過にともない痰の混じった咳になっていくことも多いです。また、マイコプラズマによる咳は、熱が下がっても3~4週間ほど続くという特徴があります。

ただし、マイコプラズマに感染すると必ず肺炎になるわけではなく、多くの場合は気管支炎のような軽い症状で済みます。このような場合は風邪との違いがほとんどないため、ベテラン医師でもマイコプラズマかどうかを見分けることは難しいです。実際に、初めは風邪だと思っていたのに「風邪薬を飲ませても治らない。おかしい…」ということで子供を病院へ連れて行き、初めてマイコプラズマ感染が発覚するケースも少なくありません。

症状や地域の流行状況、家族・友人の感染有無などによってマイコプラズマが疑われる場合は、診断が行われます。

近年では迅速な診断を可能とする遺伝子検出検査法(PCR法、LAMP法)が開発されています。特に、咽頭の液や痰から細菌を検出して検査できるLAMP法は精度の高い最も手軽な方法として、日本小児科学会が実施を推奨しています。[*4]

マイコプラズマ肺炎の症状は?

マイコプラズマ肺炎になると、発熱や咳などの症状の他、およそ40%の患者に喘鳴(呼吸がぜいぜいすること)、およそ25%の患者に喉(のど)の痛み、かすれ声、耳の痛み、胸の痛み、消化器症状が見られます。また、肌に発疹が見られることもあります。幼児においては、鼻炎の症状も出やすいです。[*2]

喘息(ぜんそく)がある場合は、マイコプラズマによって症状の悪化や発作が引き起こされる症例も少なくありません。[*5] 喘息治療で用いられる気管支拡張薬(テオフィリン)は、マイコプラズマ肺炎に用いられる抗菌薬(マクロライド系抗生物質)と薬物相互作用する性質もありますので、喘息がある場合はあらかじめ医師に伝えておきましょう。

この他、まれに中耳炎や無菌性髄膜炎、肝炎、関節炎などの合併症が起こることもあります。

Q3.マイコプラズマは予防できるの?

マイコプラズマにはワクチン(予防接種)がありません。そのため、事前に予防することが難しい面もありますが、注意することで感染の確率を下げることはできます。

予防のためには「基本」を守りましょう

マイコプラズマの感染を予防するには、普段から手洗い・うがいを徹底することが最も大切です。

また、秋から冬にかけては特に流行しやすいので、この時期には外出時にマスクをするとより良いでしょう。咳の症状がある人がマスクをつけるなど、咳エチケットを守ることも大切です。可能な限り、食器やコップ、タオルなどを分けて、接触感染も防ぐよう努めましょう。

Q4.マイコプラズマ肺炎になったら入院?

肺炎というと入院というイメージがあるかもしれません。特に、幼いお子さんが肺炎にかかったのですからパパ・ママの心配もより一層のはずです。

しかし、そんなイメージに反して、マイコプラズマ肺炎の治療はほとんどの場合は外来での治療で済みます。また、軽度のマイコプラズマ感染症は基本的に自然治癒が可能であるため、症状の程度によっては抗菌薬処方が行われない場合もあります。

外来で治療できます

マイコプラズマは、外来の内服治療で治ることが多いため、一般的なイメージよりも入院するケースは少ないと言えます。

ただし、乳幼児がかかった場合や、重い症状の場合、何らかの合併症が疑われる場合などは、入院となる場合もあります。外来で治療を行う場合には、薬を「決められたタイミング、回数、期間」にきちんと服薬することが重要です。また、通院以外の外出はできるだけ控え、症状が治まるまで安静を心がけましょう。

マイコプラズマの治療法は?

抗菌薬(抗生物質)での治療薬をメインに、咳や発熱に対する対症療法を行います。前でも述べたように一般的な抗菌薬(ペニシリンなど)は効果がないため、マイコプラズマ感染症には主にマクロライド系の抗菌薬が処方されます。

この他、喘息様気管支炎の症状が見られる場合は、気管支拡張薬が処方されることもあります。

Q5.マイコプラズマになると学校に行けない?

マイコプラズマ感染症は、流行の度合いなど、必要に応じて、「出席停止」の処置をとるよう定められた感染症です。

流行したら「出席停止」になることがあります

「出席停止」とは、マイコプラズマにかかった子どもに対して「出席を停止する措置」を指します。なお「出席停止」の措置は「学校保健安全法」という法律に則って行われます。

マイコプラズマ感染症は学校保健安全法の「その他の感染症」に分類されますが、これは必要に応じて第3種の感染症として扱い、学校長が「出席停止」の判断を下すものです。[*6]この出席停止の措置には「学校での流行を防ぐ」という目的がありますので、子供に重い症状が出ていなくて「学校に行かせても大丈夫じゃないの?」と感じられるような状態であっても、学校に行くことは許されません。

医師(学校医や医療機関の担当医)の許可が出るまでは、自宅療養させる必要があります。

学校に行けるのは「許可」が出てから

このように、マイコプラズマ感染症にかかった後は、症状の重い軽いに関係なく、出席停止となるケースがあります。ただし、出席停止は法律で決められた「感染症予防策」ですから、「欠席」扱いにはなりません。

まとめ

「肺炎」と聞くと重く深刻な病気というイメージがありますが、マイコプラズマ肺炎は他の細菌性肺炎に比べて症状が軽度なことが多いので、必要以上に心配することはありません。症状が風邪と見分けにくいことも多いので、咳が長く続いている、だんだんひどくなってきているなど気になる症状が見られる場合は、医療機関に相談してみましょう。重症化を防ぐためにも、適切な処置で早期治癒につなげてください。

参考文献

[*1]『肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)検査マニュアル』 国立感染研究所 https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/MycoplasmalPn.pdf

[*2]『マイコプラズマ肺炎』 国立感染研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/503-mycoplasma-pneumoniae.html

[*3]『感染症発生動向調査/第43号』 国立感染症研究所http://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2011d/43douko.html

[*4]『小児肺炎マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方』 日本小児科学会 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_130219_2.pdf

[*5]『気管支喘息発作の誘因としての気道感染症』 日本小児アレルギー学会誌 第19巻 第2号203~207, 2005 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci1987/19/2/19_2_203/_pdf

[*6]『感染症各論』 厚生労働省 http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/__icsFiles/afieldfile/2013/05/15/1334054_03.pdf

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.05.22)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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