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2021年04月19日 11:40 更新

【医師監修】妊娠初期出血(着床出血)の時期はいつ?時間・量・月経との違い

いつもの月経と違う出血があったとき、「もしかして、着床出血?」と思うことがあるかもしれません。妊娠初期にみられる出血のひとつである「着床出血」は医学用語ではなく、月経様出血とも言われます。今回は、着床出血やその他の妊娠初期に起こりうる出血についてお伝えします。

着床出血とは?

着床出血がありお腹を押さえる女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

「着床」とは、卵管内で受精した受精卵が子宮内部に移動して、受精卵の絨毛(じゅうもう)という根のような組織が子宮内膜にもぐり込み、周囲から栄養を得るようになった状態をいいます。この時、少量の無痛性出血がみられる場合があります。データによってばらつきがありますが、妊娠全体の数%にみられるといわれます。

しかし、医学的に着床出血を確認する方法がないことや、妊娠が判定できる時期に至っていないため、着床出血をもって妊娠という判定はできません。

なお、出血があっても子宮内に胎芽または胎児の生存が確認されるのであれば、妊娠は継続しており問題はありません。

着床出血がみられる時期は? 月経(生理)との見分け方

着床出血は、月経開始予定日ごろ、またはその少し前に起こる場合が多く、月経がきたと間違える人もいるようです。

3日程度でおさまり、出血量もごくわずかで、見た目は薄い鮮血、あるいはピンク色や茶色のおりもののように見えます。着床出血量や色では通常の月経と見分けがつかないこともあります。

妊娠初期に起こり得る着床出血以外の出血と対処法

妊娠初期におこる少量の出血や軽い腹痛は、すぐに救急外来に行く必要はなく、翌日で問題ありません。

しかし、月経2日目の時よりも出血や腹痛がひどい時は進行流産や異所性妊娠(いわゆる子宮外妊娠)が疑われるため、医療機関を受診することが大切です。

また、妊娠初期出血には流産、異所性妊娠(子宮外妊娠)の他に、胞状奇胎、頸管ポリープ、子宮腟部びらんなどが原因となる場合があります。こうした疾患による出血を「病的出血」といい、それぞれに応じた治療が行われます。

(1)流産

流産の危険が高い状態を「切迫流産」、既に流産が進行している場合を「進行流産」といいます。流産が進行した結果、胎芽や胎児、その付属物が全て子宮外に排出されると「完全流産」となり、一部が子宮内に留まると「不全流産」となります。

切迫流産では少量の出血や腰痛がみられますが、胎児の成長や心拍が確認できれば妊娠継続が可能となることが多いようです。

これに対して、進行流産では強い下腹部痛と多量出血が特徴です。完全流産は子宮内容物の排出とともに出血や痛みが治まりますが、不全流産は出血が続く場合があります。

なお、死亡した胎児(胎芽)が子宮内に留まる「稽留(けいりゅう)流産」では、出血はないか、あってもごく少量とされています。

(2)異所性妊娠(子宮外妊娠)

卵管や腹膜など子宮体部内膜以外の場所で妊娠が起こることを異所性妊娠(子宮外妊娠)といい、発症頻度は約1%といわれています。中でも最も多いのが卵管妊娠で、異所性妊娠の約95%を占めます。

異所性妊娠がどこで起こるかにより初期症状は様々ですが、卵管妊娠の場合は初期症状として出血がみられることがあります。

しかし、卵管流産や卵管破裂が起こると多量の腹腔内出血や激しい下腹部痛が起こり、急激な血圧低下によりショック症状となることがあります。

(3)胞状奇胎(ほうじょうきたい)

胞状奇胎とは、胎盤をつくる絨毛という部分の病気の一つです。子宮内でぶどうの房のような“つぶつぶ”がみられることからこのように呼ばれます。

国内では約500妊娠に1回の割合で発生するといわれ、40歳以上に多い傾向があるとされています。特徴的な症状はありませんが、出血がみられる場合があります。

(4)頸管ポリープ

頸管ポリープは子宮頸管にできる良性の腫瘍です。腟内に垂れ下がるような状態で大きくなる場合もありますが、悪性化することはごくまれとされています。

原因は不明で、30~40歳代に多い傾向があります。自覚症状はほとんどありませんが、大きくなると出血を起こすことがあります。

(5)子宮腟部びらん

エストロゲンの分泌などで子宮頸部の内側が子宮腟部の外へ押し出されると、赤く、びらんのように見えるのでこのように呼ばれます。性成熟期の女性にはよく見られ、おりものの増加や出血などの症状が出ることがあります。

着床出血だと思ったらどうやって妊娠しているか確認すればいいの?

妊娠の診断方法(市販検査薬、病院での検査)

妊娠の判定は産婦人科で行われますが、市販の妊娠検査キットを使えば、自分でも妊娠しているかどうかを知ることができます。妊娠すると分泌されるhCGというホルモンを検知する検査薬が入っており、尿に含まれるhCGを検査する仕組みです。

ただし、検査キットはあくまでも妊娠したか否かの目安であり、異所性妊娠などでも陽性反応が出ます。妊娠判定が陽性であっても、正常な妊娠かどうかを調べるために産婦人科を受診しましょう。

まとめ

妊娠初期出血(着床出血)は必ず起こるわけではなく、みられないことが多いものです。量や色では、月経か妊娠初期による症状なのか見分けがつきにくいので、妊娠の可能性があるなら、産婦人科を受診して。このほか、妊娠初期には心配な出血もあります。月経時よりも出血や腹痛がひどい時は、早急に医療機関を受診しましょう。

(保健同人社)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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