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2018年11月29日 17:32 更新

パートも確定申告でお金は戻ってくる? やり方・必要な書類は?

確定申告といえば、所得額を申告して所得税を納めるものですが、場合によっては納め過ぎた税金が戻ってくることもあります。今回は、確定申告の方法や用意するべき書類など、確定申告についての情報をまとめました。

パートでの確定申告

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パートで働いて給料をもらっていたら、確定申告をしなければならないのでしょうか? そもそも確定申告ってどのようなものなのか、いまいちよく分からないという人も多いですよね。まずは、確定申告の仕組みと確定申告をするための条件などについてご紹介します。

そもそも「確定申告」って何?

確定申告とは、1月1日〜12月31日までのその年の間に所得があった人が行う、所得税に関する手続きのこと。具体的には、支払うべき所得税と復興特別所得税を算出するために収入額などを申告して納税の手続きをする「申告納税」、そして納め過ぎた所得税・復興特別所得税の超過分を返してもらう「還付申告」があります。

所得税は本来、所得間の損益通算や所得控除、税額控除などを考慮して計算された額が適切な納税額となります。しかし、日頃給与から差し引かれている所得税(「源泉所得税」といいます)は、それらを考慮する前の金額であるため、「所得税の納め過ぎ」が発生してしまう場合があるのです。確定申告では、所得税の再計算をして精算することができます。

手続きの期間は、申告納税は翌年の2月16日〜3月15日となっています。還付申告の場合は、翌年1月1日から5年間の期間行うことができます。

月収いくらであればパートでも確定申告すべきか

確定申告によって「申告納税」、つまり所得を計算して所得税を納めなければならない可能性のあるケースは、例えば次のようなものです。

・給与所得があった
・事業所得があった
・配当所得があった
・不動産所得があった
・退職所得があった
・譲渡所得があった
・山林所得があった
・一時所得があった
・雑所得があった

サラリーマンの場合は、「給与所得があった」に該当しますが、所得税の精算は年末調整で行われるため、「給与収入が2,000万円を超えた場合」「給与所得や退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円を超えた場合」「2カ所以上から給与を受け取っていて年末調整を受けていない給与とその他の所得の金額が20万円を超える場合」を除けば、基本的に確定申告は不要となっています。

同様に、パートの場合も「給与所得」に該当するため、年末調整が行われていない場合には確定申告が必要な可能性があります。それでは、パートの人の場合には月収いくらであれば確定申告をするべきなのでしょうか?

給料は、一般的に月額8万8,000円を超えると源泉所得税が発生し(扶養家族がいない場合)、支払いの際に所得税を差し引かれた額を受け取ることになります。ただし、所得税額の計算は、年間の給料の合計金額が基準となっており、収入が給与所得のみの場合には年間のトータルが103万円以下であれば所得税を支払う必要がありません。そのため、1ヶ月8万8,000円を稼いだことで所得税を差し引かれた月があったけれども、年間の給与額が103万円以下だった場合には、支払った所得税は必要がないのに負担してしまったことになります。

この支払い超過分は職場での年末調整で戻ってきますが、年末調整が行われない場合には差し引かれた分の所得税を確定申告で還付してもらうことができます。また、いくつかの仕事をかけもちしている場合や給与収入以外の収入がある場合には、確定申告をする必要があります。

配偶者控除を受けられるケース

配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下の場合、納税者は「配偶者控除」を受けることができ、納める所得税が少なくなります。

パートで働いた場合の収入は「給与所得」となるため、その収入から給与所得控除として65万円が差し引かれた額が所得金額となります。つまり、パートによる収入のみの場合には103万円以下であれば配偶者控除の対象となるのです。

例えば、配偶者がパートで年間98万円の収入があった場合には、給与所得控除額65万円が差し引かれるため、年間所得金額は33万円となり、配偶者控除が受けられます。ちなみに、配偶者が自営業や株式の譲渡益などの給与所得以外の所得で年間98万円の収入があった場合には給与所得控除はされないため、38万円以上の所得があったとして配偶者控除の対象にはなりません。

また、配偶者の合計所得金額が38万円を上回った場合でも、次の条件に該当すれば配偶者特別控除を受けることができます。

・控除を受ける納税者本人の合計所得が1,000万円以下(年収1,220万円以下)
・民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
・控除を受ける人と生計を一にしていること。
・その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
・他の人の扶養親族となっていないこと。
・配偶者の合計所得金額が38万円超〜123万円未満(年収103万超〜188万円未満)

配偶者特別控除の額は、配偶者の合計所得金額が増加するにつれて38万円から段階的に減っていきます。

副業でパートをしている場合の確定申告

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さまざまな事情により、本業とかけ持ちしてアルバイトやパートで収入を得ている人も少なくないのではないでしょうか。この場合は確定申告は必要になるのでしょうか? 次は、副業でパートをしている場合の確定申告についてご紹介します。

副業でも確定申告は必要?

所得税法においては、正社員、非正規雇用、アルバイト、パートといった就業形態を問わず、「給与所得」という区分において所得を計算することになります。そして、所得税を計算する上での所得金額は、年間の収入が元となります。つまり、副業でアルバイトやパートをしているなどで本業のほかに収入がある場合には、確定申告が必要となるのです。

年末調整を受けられるものと受けられないもの

給与を1カ所からのみ受給しており、医療費控除等の確定申告が必要な控除の適用もない給与所得者の場合には、年末調整のみで税金の計算が完了しますが、給与を複数からもらっている場合には、年末調整を受けられるのは本業のみに限られます。副業は年末調整を受けられないのです。

これは、正社員に限らずアルバイトやパートを掛け持ちしている場合も同様で、メインにしている職場、つまり1カ所でしか年末調整を受けることができません。この場合、本業の給与の分だけ年末調整を受けておき、その上で確定申告をすることになります。

確定申告はどうやってやるの?

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確定申告をしなければならなくなったけれど、初めての事ならなおさら、どういう流れでどうやって行うのか分からないものですよね。確定申告に必要となる源泉徴収票も、どのように見れば良いのかよく分からないという人も多いのではないでしょうか。次は、確定申告をするにあたっての源泉徴収票の見方や、必要書類などについてもご紹介します。

源泉徴収票を確認

パートで働き、給料をもらった場合には基本的に源泉徴収票が交付されることになっています。源泉徴収票の内容で確定申告が必要であるかどうかが判断できることもあるので、まずは源泉徴収票を確認してみましょう。

源泉徴収票を見てみると、「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」という項目があります。その中の「支払金額」には1年間に支払われた給与額、「源泉徴収税額」に、すでに差し引かれた所得税額が記されています。

例えば、支払金額が103万円以下にも関わらず、源泉徴収税額が0円ではない場合には、「還付申告」によって徴収されていた分の所得税の還付を受けることができることを意味しています。

また、2カ所以上から給与の支払いを受けている人は、全ての源泉徴収票を取り寄せましょう。それぞれの支払金額が少なくて所得税の徴収がなかったとしても、トータルすると103万円を超えていた場合には、申告納税にて所得税の支払い義務が生じます。

確定申告の手続きと書類

確定申告書の作成に必要なものは、収入の分かる書類や所得控除に関係する書類です。納税者によっては必要な書類は異なりますが、基本的には次のものが必要となります。

・源泉徴収票
・源泉徴収票に記載されている以外の国民健康保険や国民年金の支払いを証明する書類
・控除の対象となる親族や配偶者の生年月日や所得が記載された書類
・マイナンバーカードの写し(通知カード利用の場合は別途写真付き身分証の写しが必要)
・その他申請する項目の証明書類
・生命保険料控除の控除証明書
・地震保険料控除の控除証明書
・医療費控除の医療費領収書 など

※上記のうち年末調整の際に提出している書類は提出不要です

また、国税庁のホームページには「確定申告書等作成コーナー」があり、そこからも簡単に申告書を作成することができます。必要な情報を入力すると、税額が自動計算されるので、おおよその還付税額を知ることができます。確定申告書に必要な書類を添付して税務署に送付するか、直接持参します。いずれの場合も、必ず控(提出用のコピーに「控」と書いておけば大丈夫です)を提出して受領印をもらいましょう。郵送の場合は、返信用封筒を入れることを忘れないようにして下さい。

確定申告は過去5年分まで申告可能

パートやアルバイトの場合でも、確定申告をすることで払い過ぎた所得税が還付されます。雇用先から発行される源泉徴収票の支払金額を必ず確認し、配偶者控除の可能性なども検討したうえで、手続きを忘れないようにしておきたいところです。

もしも所得税が還付されたはずなのにその手続きを忘れてしまったという場合には、5年前まで遡って申請申告し、還付を受けることが可能です。また、申告漏れや間違いがあった場合の修正申告も受け付けています。

まとめ

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確定申告をしなければならない人が期間内に申告納税しないと、所得税にさらに「加算税」「延滞税」などの税金が上乗せされた金額が請求されることになります。これらの金利は高くつくため、期限はできるだけ守りましょう。また、支払いすぎた所得税も、自分から確定申告にて還付申告をしなければ、払いっぱなしになってしまいます。損をしないためにも、確定申告をすることは大切です。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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