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2021年06月11日 16:40 更新

【医師監修】妊娠したときの胸の張り、生理前との違いは?

出産後に母乳を出すため、妊娠するとおっぱいの準備も始まります。そのため、妊娠中にはときどき胸の張りなどを感じます。ところが、生理前に同様の症状があることも。妊娠と生理前でこれらの症状には何か違いがあるのでしょうか。胸の張りで妊娠の可能性に気づいたとき、注意したい点と併せて解説します。

妊娠の兆候のひとつ、胸の張り

バストに手を置く女性

妊娠すると胸の張りを感じることが増えます。でも、生理前に胸の張りを感じることもよくありますよね。これらに何か違いはあるのでしょうか。

生理前に多く見られる「胸の張り」

胸の張りは生理前にもよくみられます。これは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンの作用で起こります。

生理周期と女性ホルモンの変動イメージ(1サイクル28日の人の場合)
生理周期と女性ホルモンの変動イメージ(1サイクル28日の人の場合)

生理が始まり、次の生理が始まるまでの期間を「生理(月経)周期」と言いますが、女性の体内では生理周期の中で女性ホルモンの分泌量が基本的に上図のように変動しています。

生理前の時期は、「黄体期」といってエストロゲンとプロゲステロンの分泌量がともにいったん上昇する時期です。このように女性ホルモンの分泌量が両方増えると、胸が張ったり痛くなったりします。

プロゲステロンには乳房に作用して母乳をつくる「乳腺の小葉」を増殖させる作用、エストロゲンには母乳を乳首に運ぶ「乳管」を増殖させる作用があるからです。

胸の張りは妊娠初期症状としても多い

妊娠していない場合、排卵後に一度増えたプロゲステロンとエストロゲンの分泌量は、生理が始まるまでに下がります。一方で、妊娠した場合、これらの分泌量は出産まで右肩上がりに増え続け、産後の授乳に備えて乳房の準備が進んでいきます。

そのため、妊娠初期の症状としても胸の張りや痛みはよく起こります。

妊娠時の胸の張りと生理前との違い、見分け方は

ソファで考え事をする女性

妊娠による胸の張りと生理前の胸の張り、両者を見分ける方法はあるのでしょうか。

生理開始予定日以降も胸の張りが続いているかどうか

さきほども解説したとおり、通常、いったん増加はするものの生理直前にはエストロゲン、プロゲステロンの分泌量は下がります。その変化に応じて、胸の張りも和らぐと考えられます。プロゲステロンの分泌量が下がることがきっかけで生理も起こります。

妊娠していた場合は、このような女性ホルモンの分泌量低下は起こらず出産まで増え続けるので、胸の張りが続くかもしれません。

胸の張りだけで見分けるのは難しい

とはいえ、胸の張りが起こる時期や症状の強弱だけで、妊娠と生理前を見分けるのは難しいでしょう。女性の生理周期はデリケート。ささいなストレスなどがきっかけで、生理の開始が遅れるのは珍しくないからです。

また、妊娠により現れる体調の変化は人それぞれ。妊娠していたとしても、胸の張り含め、あまり変化を感じない人も中にはいます。

では、妊娠の可能性があって生理前に胸の張りが気になった場合、妊娠の可能性を知るためにはどうすれば良いのでしょうか。

ほかの変化とも照らし合わせて確認を

生理前の胸の張りと妊娠の関係が気になったら、次のような点に注目してみると良いでしょう。

基礎体温の変化

以前から基礎体温表を付けている人の場合は、「高温期が続いているかどうか」に注目してみましょう。

生理周期ごとに排卵が起こっている人の基礎体温は、排卵を境に「低温期」と「高温期」に分かれています。高温期から低温期に入ると生理が起こりますが、妊娠した場合は「高温期が17日以上」続きます。これは、妊娠すると分泌量が増えていくプロゲステロンによる影響です。

妊娠したときの基礎体温表の例(生理周期が28日の場合)
妊娠したときの基礎体温表の例(生理周期が28日の場合)

ただし、もともと生理不順の人などで低温期と高温期の違いがはっきりしない場合は、妊娠により高温期が続いていてもよくわからないことがあります。

おりものの変化

妊娠すると、人によってはおりものに変化があったと感じることもあります。妊娠していない場合も、おりものには生理周期の中で基本的に以下のような変化が見られると言われています。

妊娠していないときの女性ホルモンとおりものの変化のイメージ
妊娠していないときの女性ホルモンとおりものの変化のイメージ

図の通り、妊娠していない場合、排卵後~生理が起こるまではおりものは減っていく時期ですが、妊娠するとこの時期になってもおりものの量が減らず、むしろ増えたと感じる可能性があります。これは妊娠すると分泌量が増えていくエストロゲンによる影響で起こります。

ただし、おりものの量や質感はもともと個人差が大きいので、こうした変化がよくわからなくても珍しくはありません。

妊娠かも……と思ったら検査薬で確認

ここまでで解説した、基礎体温やおりものの変化に注目するより確実なのは、「適切な時期に妊娠検査薬を使用する」ことです。

妊娠検査薬は、「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」という妊娠女性に特有のホルモンが尿中に検出されるかどうかを調べる検査キットです。

ただし、妊娠検査薬は使用する時期が大切です。hCGは妊娠のかなり早い時期から分泌されますが、早すぎる検査では実は妊娠しているのに陰性と判定されてしまうこともあります。

通常の妊娠検査薬は、「妊娠5週(生理予定日の約1週間後)」からの使用が推奨されています。詳しくは下記の記事を参照してください。

なお、妊娠検査薬で陽性と判定されたら、産婦人科を受診して超音波検査を受け、赤ちゃんが子宮の適切な箇所に着床していることを確認してもらってくださいね。


まとめ

妊娠検査薬を見る女性

妊娠したことによる胸の張りが生理前の胸の張りと異なるのかどうか、その見分け方と、妊娠の可能性を確認するための方法を解説しました。ここで説明した通り、胸の張りだけから妊娠の有無を知るのは難しいのですが、人によってはいつもの生理前と違った症状を胸に感じる可能性もあります。妊娠を心待ちにしているときはいち早く結果を知りたくなってしまいますが、まずは適切な時期に妊娠検査薬を使ってみるのが一番確実な方法です。検査薬で陽性が出たら、産婦人科で妊娠を確定してもらいましょう。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:窪麻由美先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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