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2021年05月30日 13:08 更新

サバ缶ダイエットで「痩せた」は本当? 効果の理由とやり方、注意点

安くて美味しい「サバ缶」。ダイエットにも効果があるのか気になりますよね。サバは脂質が多いため、とり入れ方を間違えるとダイエットが失敗する場合もあるので気を付けたいところ。今回はサバ缶のダイエット中におすすめの食べ方と注意点を解説します。

「痩せた」と口コミで話題のサバ缶ダイエット

サバ缶アップ

サバ缶ダイエットとは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

サバ缶ダイエットとは

一般的に「サバ缶ダイエット」というと、言葉の通りではありますがサバ缶を食事にとり入れるダイエット方法のことを指します。

数年前にメディアでその効果が紹介されたことをきっかけに人気が高まり、一時期は売り切れのお店も続出するほどのブームになりました。

最近は入手できないほどではありませんが、一定の人気は続いているようです。

サバ缶ダイエットの基本的なやり方

サバ缶ダイエットのやり方はとても簡単で「毎日サバ缶を食べる」だけです。ただし選び方や食べる量にはポイントもあるので、詳しくは後半で解説していきます。

サバ缶がダイエットによいといわれる理由

脂ののったさば缶の身

ダイエットにサバ缶が効果的といわれる理由は、以下の3つです。

サバ缶に含まれるDHAとEPAの効果

サバ缶がダイエットによいといわれるひとつめの理由は、n-3系脂肪酸の「DHA」と「EPA」が豊富に含まれているからです。

DHAやEPAのダイエット効果とは?

DHAやEPAとは魚の脂に含まれている成分のことで、以下のように多くの健康効果が期待されています[*1-2]。

・動脈硬化や血栓を防ぐ
・血圧を下げる
・LDL(悪玉)コレステロールを減らす
・体脂肪の減少に役立つ


なかでも最後の「体脂肪の減少に役立つ」という部分が、ダイエットに向いているとよくいわれる理由です。

実際に、京都大学の研究チームが行ったマウスを使った実験によると、魚油を含む脂肪食を与えたマウスは通常の脂肪食を食べていたマウスに比べ、酸素の消費量が高まるとともに、体重は5~10%少なくなり、脂肪は15~25%少なくなっていたのだそうです[*2]。

これは、EPAやDHAが交感神経を活性化させ、褐色脂肪細胞での熱産生を引き起こすことで脂肪の蓄積を減らし、脂質代謝を改善するからではないかと考えられています。

サバ缶は生のサバよりもDHAやEPAを多く含む

DHAやEPAは、サバに限らず魚介類全般に多く含まれています。ただし魚油に含まれる成分なので、脂質の少ない魚(タラやマグロの赤身、カレイなど)よりも、脂質の多いサバやサンマ、ブリなどのほうが含有量は高い傾向にあります[*3]。

また以下のように、サバの場合、生よりも缶詰のほうがDHAやEPAが多く含まれます[*4]。

DHA・EPA含有量の比較(可食部100gあたり)

DHA EPA
サバ(生) 970mg 690mg
サバ水煮(缶詰) 1,300mg 930mg
サバ味噌煮(缶詰) 1,500mg 1,100mg

缶詰のように加工された食品だと、生より栄養が減っているのでは? というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、サバの場合はそんな心配は不要。手軽に食べることができるうえ、体によい成分が豊富に含まれているなんて嬉しいですよね。

サバ缶は低糖質で脂肪になりにくい

さらにサバ缶には、糖質が少ないという特徴もあります。糖質は体を動かすエネルギー源となる大切な栄養素ですが、摂りすぎると脂肪の蓄積につながるため、過剰摂取には注意が必要です。

その点、サバ缶は以下のように糖質含有量が少ないため、糖質を摂りすぎないように気を付けている人にも向いている食品です。

糖質含有量の比較(可食部100gあたり)[*5]

・サバ水煮(缶詰) 0.2g
・サバ味噌煮(缶詰)6.6g
・サバ味付け(缶詰)4.0g

さらに、サバ缶に含まれるDHAやEPAなどの脂肪酸は、「GLP-1」というホルモンの分泌を高める可能性があるともいわれています。GLP-1は俗に「やせホルモン」 などと呼ばれることもありますが、以下のような働きがあるといわれています[*6]。

・血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌を増やすことで血糖値を下げる
・脳に働きかけて食欲を抑える
・胃の動きをゆるやかにして小腸へ食物が送られるスピードを遅らせることで食後の高血糖を予防する


このように、「そもそも糖質が少ないことで血糖値に影響を与えにくい」というだけでなく、EPA・DHAが「血糖値の急上昇を予防したり食欲低下にも関与するホルモンの分泌を高める可能性がある」という点も、サバ缶がダイエットによいといわれる理由のひとつなのです。

カルシウムをしっかりとりながらダイエットできる

骨せんべい

さらにサバ缶は、生のサバを食べるときには捨てる骨なども丸ごと食べることができるため、その分カルシウムが豊富。その他、水煮の場合は、カルシウムの吸収を促進させるビタミンDも生鮮の状態よりも多く含みます。比較を以下に示します[*5]。

カルシウム・ビタミンD含有量の比較(可食部100gあたり)

カルシウム ビタミンD
さば(生) 6mg 5.1μg
さば水煮(缶詰) 260mg 11.0μg
さば味噌煮(缶詰) 210mg 5.0μg

健康的にダイエットを進めるためにはビタミンやミネラルもしっかりとり入れていきたいので、そういった観点でもサバ缶は優秀な食材だといえますね。

より効率的にサバ缶ダイエットをするためのポイント

サバの水煮缶

サバ缶ダイエットを効率よく進めるためのポイントを紹介します。

サバ缶は水煮缶を使う

サバ缶には色々な味付けがありますが、ダイエットが目的なのであれば必ず水煮を選びましょう。

みそ煮や他の味付けのものは調味料などで糖分や塩分が添加されているため、以下のようにエネルギーや糖質、塩分が多くなります。

サバ缶の栄養成分(可食部100gあたり)エネルギー/糖質/食塩相当量[*5]

エネルギー 糖質 食塩相当量
サバ水煮(缶詰) 174kcal 0.2g 0.9g
サバ味噌煮(缶詰) 210kcal 6.6g 1.1g
サバ味付け(缶詰) 208kcal 4.0g 1.3g


余分な糖質や塩分を控えると、効率よく減量を進められるようになります。購入前に栄養成分をチェックする習慣をつけてみてくださいね。

サバ缶の汁も使うレシピで調理する

サバ缶は、缶の中にサバと水を入れて密封した後に加熱するという工程で作られます。そのため汁にはサバの栄養がたっぷり。捨てずに全て使うようにしましょう。スープや鍋、カレーなど、汁気のあるレシピで使用するとよいですね。

食物繊維を一緒にとる

野菜ときのこ

サバなどの魚介類には食物繊維が含まれていないので、食物繊維を含む野菜やきのこ、海藻などの食材も一緒にとるようにしましょう。

食物繊維には、ダイエットの大敵である便秘予防に役立ったり、食後の血糖上昇を緩やかにする働きがあります。そのため、ダイエット中にはしっかりとり入れるのがおすすめなのです。

サバ缶ダイエットの注意点

食事の注意点

ダイエット中にサバ缶をとるときには、注意点もあります。

サバ缶は1日1/2缶まで 

サバは脂質の多い魚で、エネルギーは決して低くありません。エネルギーや脂質の過剰摂取につながる可能性もあるので、食べ過ぎには注意しましょう。

前半で解説したDHAやEPAなどのn-3系脂肪酸の1日の摂取量の目安は、成人女性の場合1.6~2.0g程度ですが[*7]、サバの水煮缶詰100gには、約2.73g含まれています[*4]。

サバの水煮缶詰1缶は150~190gくらいが一般的なので、1日に食べる量は1/2缶程度(70~90gくらい) を目安としてみるとよいでしょう。

もちろん、当たり前ではありますが1日3食サバ缶だけを食べるようなダイエットは避けてくださいね。栄養の偏りを招かないよう、サバ缶以外の食品もバランスよく食べるようにしましょう。

調味料はできるだけ控える

塩分が比較的少ない水煮缶を使ったとしても、調理工程で濃い味付けにしてしまっては、塩分のとり過ぎを招いてしまいます。

缶汁に含まれるサバ本来の旨みを活かすことで、追加の調味料は控えめにしましょう。塩ではなく、唐辛子や山椒など味のアクセントになる調味料を上手にきかせることで、塩分は控えめにしながら満足感を高めるという技もあります。

塩分をとり過ぎるとむくみを招く恐れもありますので、いつも薄味を意識してみてくださいね。

酸化をできるだけ防ぐ

タッパー

DHAやEPAには、「酸化しやすい」という弱点もあります[*8]。酸化すると風味が落ちる原因となります。 魚に含まれている状態であれば酸化は進みにくいともいわれているため、そこまで神経質になる必要はありませんが[*9]、できるだけ酸化が進まないように気を付けるとよいでしょう。

一度缶を開けたら、家族で分けるなどしてできるだけ早めに全部食べきるか、余った分は空気に触れないようタッパーなどに入れて密封しやはり早めに食べきるのがおすすめです。

まとめ

サバ水煮缶

サバ缶がダイエットによいといわれている理由と、サバ缶を活用したダイエットのポイント・注意点を解説してきました。サバ缶にはダイエットに役立つと考えられている栄養が含まれていますが、これだけ食べていれば何もしなくても痩せるというものではありません。また、脂質が多く高エネルギーなので、食べ過ぎれば減量が進みにくくなるリスクもあります。適量を守ってとり入れるようにしていきましょう。

(文:猪坂みなみ)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]厚生労働省:e-ヘルスネット 不飽和脂肪酸
[*2] Minji Kim, Tsuyoshi Goto,et al.: Fish oil intake induces UCP1 upregulation in brown and white adipose tissue via the sympathetic nervous system, Scientific Reports volume 5, Article number: 18013 (2016)
[*3]長寿科学振興財団:健康長寿ネット 三大栄養素の脂質の働きと1日の摂取量
[*4]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 脂肪酸成分表編 第2章第1表(データ)
[*5]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章(データ)
[*6]公益社団法人日本薬学会 薬学用語解説 インクレチン
[*7] 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 Ⅱ 各論 1 エネルギー・栄養素 脂質
[*8]日本農芸化学会:化学と生物 Vol.54,No.10,2016「魚油の風味劣化と抗酸化」
[*9]千葉県:鈴木たね子先生 講演「健康へのアプローチ~魚を食べて~」(4)

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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